「ん?」
目を覚ますとAiが顔を覗き込んでいた。
「Ai
……お前
……なに
……?」
遊作は眠気の残る頭で疑問を紡ぎ出す。
「あは
……オハヨー、遊作ー」
ベッドから身を起こす遊作からさっと離れながら、Aiはいつもと変わらない明るい素振りをみせた。
だが、先ほど自分が目覚めたときにAiがほっとしたような表情をしていたことを遊作は見逃さなかった。
「
……まさか、ずっと、か?」
「いやぁそんな
……えーっと2時間と47分?」
遊作ちゃんは察しがいいなぁーとベッドサイドに佇むAiはおどける。
「そんなに監視しなくたっていいだろう?」
「でもだって、もし目が覚めなかったらーとか考えちゃうじゃん?」
「お前、そんな心配しなくたって俺はちゃんと
――」
言いかけて遊作ははっと口をつぐむ。
こちらを見るAiはなにも言わず穏やかに微笑んでいる。
人工物のはずソルティスの顔に浮かぶ微笑みには、たしかに慈しみと憂いが混ざっていた。
「Ai、そんなに心配しなくても俺はちゃんとここにいる。どこにも行ったりしない」
「遊作、いっつもそう言うんだよな。そんで安心してたらあっさり俺を置いて
――」
今度はAiが口をつぐむ番だった。
「
……思い出させたか。すまない」
「いや、こっちこそ悪ぃ。今でもわかんなくなるんだ。これが現実なのかシミュレーションなのか。俺にとっては同じようなもんだし」
そう言うとAiは顔をくしゃりと歪めて笑う。
「Ai、それでも俺はいつかは死ぬんだ。お前だってそうだ。寿命はないようなものかもしれないが、いつかは」
「ああ、わかってるよ。もちろん」
Aiの笑顔は引きつっている。
それは笑顔ではない。泣き顔だ。ソルティスの体では涙が流せないのだ。
「だから、だ」
遊作はベッドから立ち上がり、小さく肩を震わせるAiの手を取る。
「俺が生きている限り、毎朝ちゃんと言わせてくれ
――おはよう。Ai」
Aiは一瞬、面食らった顔をしたが、今度こそ本当におかしそうに吹き出した。
「
……っ、なんだよそれぇ。これまでのシミュレーションではそんなに健気だったことないじゃん」
「ほらな。現実ってのは予想がつかないもんなんだ」
「あーもうほんっとそういうとこずるいよな
……おはよ。遊作」
夜は、明けた。
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