休日出勤のない久しぶりの本当の休み。納期を守る願掛けのつもりで今日予約していた美容院は夜の予定とは関係ないったらないけど、こんな色で仕事に差し支えねえのかよ、と一段明るくなった私の髪を指で梳くあなたに、あと10センチ切ろうとしてやめた理由は教えない。
(菊田杢太郎)
終電1本前に乗り込んだ地下鉄は最寄り駅まで15分、駅から家まで徒歩7分。中華屋のレバニラとハイボールにも惹かれるけどスマホの通知が1分おきに帰宅を促す。
「新米炊けてるぞ」「いい卵がある」「風呂すぐ入れる」
よし今日中に帰って風呂入って米食って寝る!!
(月島基)
「遅いんですよ、来るのが。社会人としてどうなんですか?」始業3分前にデスクで息を切らす私に後輩が辛辣だ。言い訳はしない、ずっと終電帰りなのは私だけじゃない。「はぁ、仕方ないから明日は起こしてあげますよ」机に置かれた缶コーヒーは少しぬるくなっていた。
(宇佐美時重)
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