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ちよど
2024-11-18 19:58:45
23049文字
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わし様など
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練習1P 9月分まとめ
#練習1P、のタグで書いていたもの。
わし様中心SS。節操なくCP混在。
■2024/09/30 No.388
ビマヨダ
「俺達はこうあるべきだったんだ」
「俺達を滅ぼすのか。──まあ、平和すぎたんだろうな」
年老いたビーマの言葉にマスターは目を伏せた。
古代インドに広がるこの国は大きな戦ひとつなく繁栄を極めている。神の血を引く者が玉座に座り、広い謁見の間に並ぶ豪華な椅子に座る親族たちがまだ幼い彼を協力して支えていた。その中の老人が口を開く。
「わし様は認めん。外戚としてこの世の全てを手に入れたというのに。なぁんで滅ぼされねばならんのだ」
特徴的な口調にマスターが弾かれたように顔を上げた。
「ドゥリーヨダナが生きている!?」
「勝手にわし様を殺すな。この世で最も優れた宰相であるわし様がいなくてはこの国はまわらんのだぞ」
外戚、宰相。この特異点のドゥリーヨダナはパーンダヴァと婚姻して王位ではなく権力を掴む道を選んだのだろう。
ならば、彼がその選択をする事を聖杯に願った者は。
マスターが振り返ると年老いたビーマは苦笑した。
「──そう。こいつさえ和平に同意してくれればと願ったのは俺だ。こいつと肩を並べて国を守るのは楽しかった」
年老いたドゥリーヨダナを見るビーマの目は眩しいものでも見るかのように細められていた。
「だが、どうしても思ってしまう『こいつは違う』ってな」
マスターに向き直ったビーマは棍棒を構えた。
「カルデアにいるんだろう?『ドゥリーヨダナ』が。そいつと戦うことが聖杯を渡す条件だ」
■2024/09/28 No.387
アシュくん+次男
「後日、本命も大喜びした」
「皿いっぱいに料理が盛られているの初めて見た!」
きらきらした目でコメダのカツパンを見つめるドゥフシャーサナにアシュヴァッターマンは首を傾げた。
SNSで常に話題のこの店に来たがったドゥフシャーサナをこっそりひとりだけ連れ出したのはドゥリーヨダナの昔話に釣られたからだ。
適量という言葉を知らない料理の数々に、幼い頃の自分ならいざ知らず裕福なドゥフシャーサナが喜ぶのはおかしくないだろうか?
「
…
飯、出てるんだよな?」
「ちまちましたのがいっぱい。食った気がしねぇ。ナイフとフォークは?」
きょろきょろとあたりを見回す大富豪ご子息にアシュヴァッターマンは重々しく告げた。
「手づかみでいけ」
「ヒュー!最高!!アシュヴァッターマン愛してる!!」
意気込んでおしぼりを探すドゥフシャーサナに丸められたそれを示すと、金持ちのボンボンはまた爆笑した。
「おまえ今度兄貴連れてこいよ。絶対喜ぶから。──写真撮って」
カツパンを掴んだドゥフシャーサナにスマホを構えて、アシュヴァッターマンは注意する。
「ナプキンはねぇぞ」
「え?マジ?」
■2024/09/27 No.386
ビマヨダ
「鍋ドン」
狂気は白い湯気と共に現れる。
一抱えはある鍋から覗く伊勢海老のつぶらな瞳に訴えかけられ、ドゥリーヨダナは箸を置いた。
「昨日は牡丹、一昨日はすき焼き、その前はちゃんこ!」
「美味かっただろ?」
にこやかに伊勢海老の頭をもいだビーマは菜箸を取る。
惨たらしい姿になった伊勢海老が解体されていく様を眺めながらドゥリーヨダナは改めて取り皿を差し出した。
「もうすぐ冬だが。鍋しか作れないのか、おまえは?」
「あったかくて湯気が立ってるもんはご馳走だろう?」
「その論理だと白湯もご馳走になるが?」
ドゥリーヨダナの反論にビーマは目を細めて伊勢海老を取り分ける。
「恨み言をいうわけじゃねぇが。昔、お前に追放されて森で暮らしていた頃。煮炊きするのは贅沢だったんだよ」
喉を絞められたような音を出したドゥリーヨダナにビーマは山盛りにした取り皿を返す。
「たくさん食べてくれよな!」
にかっと笑ったビーマに、ドゥリーヨダナは何も言わず箸を取った。
「明日は豆乳鍋だぜ!」
それが良いことのようにビーマは宣言する。
終わらない白い狂気にドゥリーヨダナは箸を運ぶしかなかった。哀れな伊勢海老は美味かった。
■2024/09/26 #練習1P No.385
現パロ ビマヨダ
「うちはホテルじゃねぇ!!!」
「びぃまくん、泊めて♥」
終電を逃した女みたいな口調で小首を傾げたドゥリーヨダナに俺は顔をしかめた。
ここは俺が勤める警察署だ。後ろ暗い職業のくせに真っ昼間にひとりでやって来たこのトンチキは小さなボストンバッグと大きな封筒ひとつだけを持っている。
「
…
うちはホテルじゃねぇぞ」
「もちろん宿代は払うぞ」
聞いちゃいない奴は封筒を俺に押し付ける。札束とも違う感触に俺は中身を取り出して唸った。
「おまえ欲しかっただろう?わし様の裏帳簿」
もちろんコピーされたこれだけではないだろうが。この数枚でこいつを留置所に叩き込むには充分だ。
俺はドゥリーヨダナを睨みつけた。
「何を企んでいる」
「がんばっているビーマくんへのプ・レ・ゼ・ン・ト♥」
「丸めて欲しいか?」
にたにた笑うこいつの最近の行動を脳内で洗いなおす。確か大きな組織とやり合っていたはず。
「
…
おまえ、ヘマしたな」
俺の指摘にドゥリーヨダナは視線をそらせた。
「わし様を守るとボーナスタイムが発生するぞ」
それは刺客がやってくるという意味だ。そして警察署内にある留置所は外部の出入りが制限されている。俺は叫んだ。
■2024/09/25 No.384
現パロ ヨダナさん+モブ
「俺は何をすればいい!?」
ドゥリーヨダナは篤志家を気取っている。有り余る財力があるくせに買い取ったのは場末のラブホ。そこに俺達みたいな行き場のない人間を集めて食事まで支給している。
「そりゃあ、裏があるに決まってんだろ。でも他に風呂付きテレビ付きメシまでタダな所があるか?」
角部屋の指無しは器用に箸を操って俺を指す。この場所に長くいるこいつは俺と一緒に弁当を取りたがるのだ。
「電気に水道に食費、ずっと満室だからどれくらいかかってんのか考えてみろ。俺達にそれだけの価値があるか?」
「たまにくる赤毛の奴はライとぺらぺら喋っていたし。白い方は暴れた奴をあっさり押さえつけてただろ?有能な人手はあるのに俺達を飼っておいてどうするんだよ?」
俺の疑問に指を無くした男は片目をすがめた。
「使い道が違うのさ。気をつけろ。お前みたいな奴はすぐいなくなるぞ」
どういう意味だよ。と笑ったのは数分前。足元にクレジットカードが落ちている。
角部屋から出た俺は、赤と白のドゥリーヨダナの手下が去っていくのに出くわしたのだ。このカードは彼らが落としたものだろう。拾い上げると馬鹿正直に名前が書いてあった。──知っている女の名前だ。
ぞわりと背中が総毛立った。
理性は即座に逃げ出せと叫んでいる。あんな女知るものか!だが足は彼らを追ってしまう。
■2024/09/25 No.383
ヨダナさん+岸波さん
「またこのパターン」
「マスターっ!!そやつの指導などやめておけ!!」
ストームボーダーの中に設置されたジムにドゥリーヨダナの声が響き渡った。
ランニングマシンで汗を流していたマスターと、その傍らの新入りサーヴァントの女性が振り返る。同じいつの間にか縁が出来ていたサーヴァントであるドゥリーヨダナは後輩に顔を向けた。
「岸波白野とか言ったか。わし様のハイグレードな勘が告げておる。おまえはサドだと。罪なき利用者を言葉巧みに虐め倒すのが趣味な女だと」
「困ったなー」
言いがかりに肩を竦める岸波さんにマスターはドゥリーヨダナに向き直った。
「蘭陵王をライダーと勘違いしていたことといい、どこかと混線してない?バーサーカーだからかな?」
「あの男はどう見ても幸薄いライダー顔だろうが!いかにもマスターに先立たれそうな顔をしておる!!」
「不吉なことは言わない。岸波さんの指導は適切だよ」
「えー、そいつ性格悪そ
…
」
ドゥリーヨダナが唇と尖らせた時、突然世界が切り替わった。かわいいターゲットスコープが出現する。
「真!BB~!チャンネルー!!フィジカル、メンタル全てにおいて低レベル!これはいけません。はい、頭のよくなるお薬ですよー!!(略)オペレーション完了です❤」
■2024/09/24 No.382
アシュくん+モブ
「ああ、ありがとう」
※2部4章のネタバレを含みます
神たるアルジュナから仲間を庇ってカルナは消滅した。
認めたくないがその時俺の胸にこみ上げたのは、羨望、だった。
新しいユガが周り世界は花と善意に満ちあふれている。それもすぐにカリ・ユガに変わるだろう。穏やかな村から子供たちがまろび出てじゃれ合っている。それを眺めながら俺はつかの間の平和にどかりと腰をおろした。
どのユガでも呪いに苛まれた体は際限のない苦痛とこらえきれない怒りで満ちて今にも爆発しそうだ。
──羨ましい。
カルナの背後には続く者がいた。俺の背後には誰もいない。今の俺に守るべきマスターはおらず。生前ドゥリーヨダナから後を託された俺はパーンダヴァの後継を殺し尽くそうとして果たせなかった。
後を託す、のはどのような気持ちだろうか。そしてそれを奪われそうになるのはどういう気持だろうか。
英霊の座から見た人類史はあの人の生き様にも似て守るに値するべきものだった。だが子孫もなく呪いで人と隔離され続けていた『俺』に続くものだとは思えない。
ぼんやりと考え続けていた俺に子供たちが寄ってくる。
「神将さま、神将さま。私達を守ってくれてありがとう」
差し出された花はどこにでもあるようなもの。そして俺達神将は民を守っているわけではない。
体中の痛みが震え、俺はゆっくりとそれを受け取った。
■2024/09/23 No.381
生前カルヨダ
「わし様が欲しいのは武器ではなく強い戦士だからな」
「アンガ王になったお前のお披露目の宴だ。もうちょっと笑顔を浮かべてみろ」
友となった男の言葉にオレは首を振った。ドゥリーヨダナによって集められた人々はオレを祝う口実に酒宴を楽しんでいるだけに見える。
「オレの武勇を示すのは宴ではないだろう」
父から賜った鎧を撫でればその輝きが宴の明かりに一層煌めいた気がした。
母に流されたオレを拾ってくれた両親の事を慕う気持ちはある。だが、彼らにはオレが武勇を渇望する事がどうしても理解出来ないのだ。
「おまえの強さはもう充分に見せてもらった。あのアルジュナに張り合えるとは!! ──だが、クシャトリアは武勇だけでは務まらんぞ」
そう言ってドゥリーヨダナは給仕が捧げている盆から葡萄を手に取った。武器を握るため固い指が一粒摘み取る。
「口をひらけ。──いや、我が友カルナ。あーん、だ」
命令を言い直されては逆に従わずにはいられない。大人しく口を開ければ放り込まれる。ごくりと飲んだ。
「こら!味わえ!!」
「栄養摂取にはこれで充分だ」
食事など戦うための補給に過ぎない。そう告げるとドゥリーヨダナは頭を抱えた。
「カルナ。覚悟しろ。これからわし様がお前を育ててやる」
■2024/09/22 No.380
カルヨダ
「
……
おまえは溶けたりしないな?」
※奏章Ⅲ後編のネタバレを含みます
「かぁるな!とうとう貸し切ったぞ!!」
ストームボーダーの廊下の真ん中。やり遂げた顔で両腕を広げたドゥリーヨダナの胸にとりあえずカルナは収まった。
「強欲なおまえが何を手に入れた?」
カルナの問いにドゥリーヨダナはふふん、と笑う。
「これからマスターが夏休みとやらに入るだろう?おかげで順番が繰り上がったのだ。くっ、つよつよ王族であるわし様であろうともカルデアではいちサーヴァントとして秩序を守らねばならぬとは」
「おまえは出来たサーヴァントだ。マスターも鼻が高いだろう。──だが、何を得た?」
周回で稼いだ有り余るQPとその交渉技術でカルデアでも大抵の物は手に入れているドゥリーヨダナが大人しく順番待ちをする物。カルナには心当たりがなかった。
そんなカルナを胸から離してドゥリーヨダナはその顔を覗き込む。
「おまえ、言っておっただろう?ストームボーダーでは陽を浴びながらの沐浴が出来ないと。──喜べ!一面の窓付の大浴場だ!おまえとわし様の貸し切りだぞ!!」
カルナは目を見開いた。確かにそんな事は言ったが随分前の事だ。ドゥリーヨダナはその頃から大人気の大浴場の予約争奪戦に参加していたのだろう。
「楽しみだな!今はオプションで全て泡風呂だそうだ」
■2024/09/21 No.379
アシュヨダ+カルナ
「なんで!?」
※奏章Ⅲエピローグのネタバレを含みます
ふたりが結ばれたのだと口に出して言われた訳では無いがカルナには分かったのだ。
思えば生前からふたりきりになれた事がない二人だった。このドバイでドゥリーヨダナが手狭な屋敷を手に入れ、アシュヴァッターマンを招いた事でやっと思いを遂げることが出来たのだろう。
訪れた屋敷では二人は親しく触れ合い、些細な言葉を交わし合っては柔らかく微笑んでいた。
だから。カルデアに帰還してふたりの距離が元に戻っていた事にカルナは唇を噛み締めたのだ。
神霊サーヴァントは数多の世界を俯瞰の視点で眺めている。それは召喚の記憶だったり未来の知識だったりする。カルナは半神でしかないが、その恩恵をかろうじて受けていた。
よって、カルナには『これから起こる夏の休暇とは異なる記憶』がぼんやりと残っている。目の前のふたりは忘れてしまったであろう記憶が。
ドゥリーヨダナが立ちすくむカルナに気づいて顔を上げる。
「かぁるなぁ!おまえはどこに行きたい?わし様に相応しいセレブでプレシャスな土地があるといいのだが」
「旦那。海はどうだ?浜辺で汗を流すのも楽しいぜ」
友として笑い合う二人にカルナは固く決意した。
「どこに行こうと、俺は必ずお前達に贈ろう。屋敷を」
■2024/09/19 No.378
百王子+モブ姫
「姫は苦笑して頷いた」
──私と結婚したければ同じ宝石を百個持ってきてください。
「それってどう考えても断り文句だよ。サーマ兄さん」
末の弟の言葉に押されるように百王子の5番目の兄は大きな宝石箱を抱えて豪華な馬車から降りた。
「その時のためにお前を連れて来たんだろうが。いざという時は
…
分かってるだろうな」
「兄さんから今は揉めるなって言われてるのにー!!」
小声でやり取りする兄弟が訪れたのは、サーマ王子に無理難題を提示した姫の宮殿だ。事前に連絡してあったため彼らはするすると姫の前へと通され、サーマ王子が誇らしげに宝石箱を開く。そこには揃えたような宝石が百個光り輝いていた。姫が微笑む。
「あなたは美しい自分を何故選ばないかと私に問いましたね?その百個の似たような宝石からどれかひとつを選ぶことが出来ますでしょうか?」
その意味に百王子の末弟ヴィカルナは内心舌打ちをする。馬鹿兄は自分の顔の良さを誇ったらしい。
確かに母親似の百王子は誰もが美しいが。それも同じ顔が百個もあればありがたみなど欠片もない。
そんな彼に構わずサーマ王子は百個の宝石の中からためらわずひとつを選んだ。
「これが唯一です。あなたの瞳に一番似ている。──結婚してくれますね?」
■2024/09/19 No.377
アシュくん(犬)+ヨダナさん
「わんっ!!」
車ばかりが通り過ぎる閑静な高級住宅街でドゥリーヨダナは犬の散歩をしていた。
夏の暑さが遠ざかり始めた夕暮れ。片手にはバッグ。もう片手には無駄に長いリードを持ちドゥリーヨダナはよたよたと歩く。なぜなら、その足元には一匹のドーベルマンがじゃれついていたからだ。
「アシュヴァッターマン〜。おまえは本当にわし様が好きだなぁ。ドッグランでも離れないのはどうかと思うぞ」
怒られたと思ったのかアシュヴァッターマンと呼ばれた犬が耳を伏せる。その体をドゥリーヨダナは抱き上げた。
「わし様のアシュヴァッターマン。お出かけのご褒美にコンビニで何か買ってやろう。まあ、わし様が普段から食べさせておる最高級の、うわっ!!」
バイクが後ろから走り去っていく。ドゥリーヨダナのバッグを奪って。
途端、ドゥリーヨダナの腕から重みが消えた。黒い影が跳躍し、遠ざかろうとしたバイクの運転手に飛びかかった。
音を立ててバイクが倒れる。ドゥリーヨダナが駆けつけた時には泥棒は喉仏をアシュヴァッターマンの前足に押さえ込まれて呻いていた。
そいつを踏みつけてドゥリーヨダナは笑う。
「わし様みたいなセレブが無防備に歩いているわけがなかろう。最高のボディガードが見えなかったのか?ん?」
褒められたアシュヴァッターマンの尻尾がピンと立った。
■2024/09/19 No.376
アシュヨダ
「かわいいだろう?」
「旦那、旦那ーっ!!」
やっとカルデアにやってきた二人目のマハーバーラタ系サーヴァント。アシュヴァッターマンは召喚されてからずっとまるで子犬のようにドゥリーヨダナの後を追いかけ回している。
「わんこ系サーヴァントいいね。癒やしだなー」
マスターの呟きにアシュヴァッターマンを侍らせたドゥリーヨダナはふふんと笑った。
「かわいいだろう?」
「かわいいね」
「俺はかわいくなんてねぇよ」
唇を尖らせるアシュヴァッターマンにマスターとドゥリーヨダナは笑みを交わした。
「でも、そろそろ周回に連れて行かないと」
「旦那っ!!俺も戦闘で役に立つぜ!!」
「そうだな。マハーバーラタ随一の知将のお前の勇姿、楽しみにしているぞ」
盛り上がるふたりを連れて出撃したマスターは絶句した。
「戦闘だァ?馬鹿ぬかすな。今からやるのはただの掃除だ」
「ぶっ殺してやらぁあ!!」
「ぶっ潰れて死に晒せゴラァ!!」
ドゥリーヨダナの前のわんこわんこしていた姿とは違いすぎる言動にマスターは思わず無言で振り返る
■2024/09/18 No.375
ホラゲ風 ヨダナさん
「操作キャラクターをチェンジしますか?」
※フォロワー様のホラゲポストに便乗させていただきました
「趣味がわるーい!!」
古びた洋館にドゥリーヨダナの絶叫が響いた。
「廊下に彫刻を置くのはいい。しかし、こんな顔だけ男を置いてどうする。どうせなら武も美も教養も備えたわし様の彫像を置くべきではない、かっ!」
ガツリと蹴りつけた台座はゴトリと動いた。
「カルナー!!アシュヴァッターマンー!! ──やはり近くにおらんのか。仕方ない」
ドゥリーヨダナはため息をつく。
しばらく前、よく分からない生き物に追われてふたりとは散り散りになってしまったのだ。こういう状況はろくなことにならない予感がする。
しかしここまで探索しても洋館からの出口が見つからないのだ。ドゥリーヨダナは顔をしかめて彫刻の台座を押した。ズルズルと重い音が響き、床に扉が現れる。
ドゥリーヨダナは知らなかったが、それは先に探索していたカルナもアシュヴァッターマンも見つけ出せなかったギミックだった。
鍵を掛けられていたうえに錆びついていたその扉をドゥリーヨダナは力任せにこじ開ける。破壊音と共に千切れた扉を放りだして、ドゥリーヨダナは中を覗き込んだ。
成人男性がやっと入れる程度の通路は階段だろうか。明かりはなく遠くから水が滴る音が聞こえる。
「うむ。君子危うきに近寄らずというものだ」
■2024/09/18 No.374
アシュヨダ+カルヨダ
「わし様がそんな酷い男だと思ったのか?ん?」
アシュヴァッターマンは夜着を纏ったドゥリーヨダナの髪を梳いていた。
傍らには寝具が整えられた天蓋付きのベッド。アシュヴァッターマンが炊いた香は灯りを落としたドゥリーヨダナの寝室に柔らかく漂っている。
アシュヴァッターマンは唇を噛み締めた。
彼はドゥリーヨダナを愛している。主というだけでなく肉欲を伴った対象として。だから。
突然、ドアが開き。鎧を外したカルナが入ってくる。
「
…
待たせたのか?」
「まったく、遅いではないか」
拗ねたように答えるドゥリーヨダナにアシュヴァッターマンの胸が痛んだ。
ドゥリーヨダナに閨の準備をしろと言われたのだから、それに全力で応えた。だけど、想い人が他の男と寝る場を整える事に痛みを覚えないはずがない。
「
…
カルナが来たなら俺は行くぜ」
これ以上この場に居ることに耐えられず、手早く道具を片付けてそう言ったアシュヴァッターマンに、何故かふたりは驚いたように振り返った。
「短絡が過ぎる」
「あ゛?」
「
…
わし様言って無かったか?お前も一緒だ。アシュヴァッターマン」
■2024/09/18 No.373
アシュ+ジュナオ
「これはFDGⅢと言えるでしょう」
「これがファイナルダークゴッドⅠだ」
ドバイの屋敷でカルナが差し出したサングラスにサーヴァント達は驚嘆の声を上げた。そこには戦闘に召喚された委員長スタイルのアルジュナ・オルタの姿もある。
名前の謂れに気づき視線を落とした彼に構わず、宿敵の友がそれを手に取った。慣れた仕草で掛ける。
「似合うか?」
ギラギラと輝く虹色のサングラスを掛けたドゥリーヨダナは、端的に言ってガラが悪い。だが、彼の好意で屋敷を提供してもらっている彼らはそうは言わなかった。
ただ一人を除いては。
「まるで羅刹の主のようだ」
「ではお前は羅刹ということになるぞ。カルナ」
「お前が望むならオレも羅刹になろう。──ふ、お揃いだ」
彼がファイナルダークゴッドⅡと名付けた青い偏光グラスを掛けて微笑むと、ドゥリーヨダナの横に座っていたアシュヴァッターマンがわずかに唇を尖らせたのをアルジュナ・オルタは見た。
生前いろいろとあったが彼にはそれは遠い出来事だ。それよりもサーヴァントとなってからサポートしてもらった記憶の方が強い。
そっと近づいたアルジュナ・オルタにアシュヴァッターマンが驚いたように顔を向ける。アルジュナ・オルタはその手にメガネを握らせた。
■2024/09/18 No.372
アシュヨダ+ぐだマシュ
「マシュと一緒ならいいよ」
「マスター。魔法の呪文を教えてやろう」
にまりと笑ったドゥリーヨダナにマスターの少年は警戒の眼差しを向けた。
「
…
ドゥリーヨダナはもてた逸話なんかないじゃないか」
「なんだとぅ!完璧で富豪王族のわし様の寝所にはあらゆる美女が列を成しておったのだぞ!!」
ぷんすこ怒ってみせる男に少年はため息をついた。
マスターである彼は一部女性サーヴァントに好意を寄せられている。──寄せられすぎていて部屋にまで潜んでいる時があるのだ。どこに行くにもついてこられて少年は気の休まる暇もない。
「一応聞くけど、魔法の言葉って?」
──数日後、晴れやかな表情でマシュを連れた少年にドゥリーヨダナは声を掛けられた。
「すごいや、ドゥリーヨダナ!魔法みたいだ!」
「そうだろうそうだろう」
うむうむと頷くドゥリーヨダナに頭を下げて少年は軽やかに去っていく。残ったマシュが男を見上げた。
「あの。私を選んだ理由はなんですか?」
「おまえは退去せんからだが?」
その言葉にデザイナーズチャイルドは顔を歪めた。
「でも、私は──」
「知っておる。だが看取らせてやれ。それくらいしか残してやれぬだろう?」
■2024/09/16 No.371
アシュ+ヨダ+マスター
「宝具6連射を受けてみろ!」
※2部4章のネタバレを含みます
轟轟と聳え立つ空想樹スパイラル。立ち塞がるアシュヴァッターマンに藤丸立香は令呪を掲げた。
「ハッ、あんたの手の内はもう見せてもらったぜ」
簡易召喚の仕草にアシュヴァッターマンは笑った。駆け足で人理修復を成し遂げてきた藤丸立香のサーヴァント数は少なく。育成も行き渡っていない。今までの戦いも令呪や聖晶石を砕いてなんとか進めてきたのだ。
そんな未熟な藤丸立香が、彼と彼のマスターに敵うはずがない。カルナには悪いが勝負は見えている。
「だが、手加減はしねぇぜ。全力で叩き潰す!!」
アシュヴァッターマンが吠えるとそれに呼応するかのように英霊が召喚される。1騎、2騎
…
そして
「フレンドさん!お願いします!!」
「おうとも。わし様の力見せつけてやろう」
3騎めに召喚されたサポートサーヴァントが棍棒を回す。
「だっ!旦那っ!!」
「ん?アシュヴァッターマンではないかぁ!!」
ドゥリーヨダナの姿に思わずたじろいだアシュヴァッターマンに、彼の主は大げさに眉を寄せた。
「おまえ、不運だなぁ。よりによってわし様相手とは」
「──旦那が相手でも俺は戦えるぜ」
「分かっておらんな。わし様はレベル120。アペンドスキルマ。ついでに無敵貫通礼装もつけておるし。──今は23時55分だ」
■2024/09/15 No.370
生前アシュヨダ
「そう、誓ってくれたのに」
「なんで連れて行ってくれなかったんだよ!!」
アシュヴァッターマンの叫びにドゥリーヨダナは窓の外を見た。
晴れた空の下、民衆達が嘆き悲しむ声が木霊のように響いている。人望厚いパーンダヴァ五兄弟とその妻がハスティナープルから追放されるのだ。
ドゥリーヨダナとその叔父のシャクニが仕掛けたイカサマのせいで。
その場に同席していたカルナはこの結末に呆れたのか姿をくらませている。
「旦那っ!!」
気を逸らせていたドゥリーヨダナはしぶしぶ顔を戻した。そこには、怒るというよりは拗ねている至尊の戦士がいる。
「だって、おまえ。イカサマで奴らの領土を取り上げると言ったら反対するだろう?」
「戦士のやることじゃねぇよ。──でも、旦那はそうしなければならないと思ったんだろう?」
「うむ。うるさい大伯父達は分かってないのだ。あやつらの危険性を」
「そんなに危険なら尚の事、今度は俺を連れて行くよな?そう誓ってくれるだろ?旦那」
年下の青年にねだられてにドゥリーヨダナは頷いた。
「分かった分かった。わし様の名に誓って。──おまえを地獄の底まで連れていこう。アシュヴァッターマン」
■2024/09/14 No.369
生前アシュヨダ
「あんたに貰ったものだ。あんたに返すのが道理だろう?」
「おまえにプレゼントだ!」
そう笑うドゥリーヨダナに手を引かれて鍛錬場の外に出た俺は立ちすくんだ。
馬がいる。それくらいならまだいい。その馬から伸びた馬具が繋がっている先。
「──旦那、俺はバラモンだ」
「知っておる。おまえに相応しいとわし様が思ったのだ」
旦那が示すその先には美しい戦車が佇んでいた。
戦車を得る事はクシャトリヤの名誉。これは本来戦うことはないバラモンが手に入れてはいけないものだ。
そう思って、俺は今まで戦車を駆る王子達をずっと眺めていた。
「俺に、相応しい?」
震えを抑えた声に旦那は誇らしげに俺の頬を撫でた。
「おまえ以上の勇士はおらん。──御者も用意したぞ」
馬を引く小男が頭を俺に下げる。それにやっとこの戦車が自分のものだと実感して俺は思わず旦那に抱きついた。
「旦那!ありがとう!!」
「──今まで、ありがとう」
夜襲の返り血で汚れた馬車を撫でて俺は呟いた。ここまで付き合ってくれた御者ももう去った。旦那の遺体も獣やパーンダヴァに見つからないだろうところに隠した。
後を頼むと言われたから生きて逃亡しなくてはならない。目立つ戦車には乗るべきではないだろう。それに。
■2024/09/13 No.368
アシュヨダ(ダイス)
「生きていると教えてやろう」
金鎖のアンクレットはアシュヴァッターマンが持ち上げるとシャラシャラと涼し気な音を立てた。
「どうした?早くせんか」
ソファーに横たわり行儀悪く片足を上げたドゥリーヨダナに促され、彼は膝をつく。
浅黒い足首に金鎖を巻こうとしたアシュヴァッターマンの手は震えていた。シャラシャラと鳴り続ける音にドゥリーヨダナが眉を上げる。
「んん?んんんんん〜??」
アシュヴァッターマンの不審な様子に聖杯知識を検索したドゥリーヨダナはややあって苦笑した。
「わし様はこの通り生きているぞ」
くきくきと足首を動かすドゥリーヨダナに、アシュヴァッターマンは掠れた声を吐き出した。
「それは、分かっているけどよぉ」
ドゥリーヨダナの死後。アシュヴァッターマンはその体をアクセサリーで飾り森に隠した。
頭ではその時とは違うと分かってはいるのだろう。震えながら金鎖を足首に巻こうとするアシュヴァッターマンのおぼつかない手つきにドゥリーヨダナはにやりと笑った。
「わし様は寛大だからな。上手く出来たらご褒美をやろう」
アシュヴァッターマンに向けて両腕を広げたドゥリーヨダナに、ご褒美の内容を察した恋人は泣きそうな顔で微笑んだ。
■2024/09/12 No.367
ビマさん
「食べるの大好きビマセナさん」
風神の子ビーマセーナの食事はテーブルのセッティングから始まる。
4人用の小さなテーブルに清潔なクロスを掛け、カトラリーを一組。特別な日には口休めの砂糖菓子の花を飾ったりするが、今日はいつもの夕食だ。
キッチンではオーブンが唸る音が響いている。心躍らせながらビーマはオーブンの出来上がりの時刻に合わせて冷めても美味しい料理からテーブルに並べていく。
飲み物は先にボトルをいくつか用意しておけば、食事の途中に中座しなくてもいい。
昔は料理が出来た後には洗い物の山が残っていたが、手際が良くなった今はすでに台所は片付いている。これで心置きなく食事に専念出来るというものだ。
テーブルの隅々まで料理を並べていると、オーブンが出来上がりを告げた。
鍋つかみを使う間も惜しんで、唯一平たかった場所に熱々の料理を載せる。
今日もテーブルの上はいっぱいでビーマは思わず笑みを浮かべた。
どれもこれも自分が食べたい物で自分が好きな味付けだ。
これより幸せなことがあるだろうか。
料理が出来てよかった。そう幸福を噛み締めてビーマはカトラリーを手に取った。
「いただきます」
■2024/09/12 No.366
カルジナ+マスター
「見てもらえなかったな、」
※奏章Ⅲ中編のネタバレを含みます
「ジナコさん、いるー?」
オールド・ドバイの住処に入ってきたマスターにジナコはモニターから顔を上げた。
「え?差し入れっスか!?」
「料理の話をしたらチャッカリムさんが張り切っちゃって」
具材が山のように積まれたピザを持ったマスターの後ろから、コーラを何本も抱えたマシュが顔を出した。
「ビザパーティーはいかがでしょうか?」
「大歓迎!!」
笑顔でテーブルを空けるジナコにマスターは笑いかける。
「それにしても、美味しいものがいっぱいだね。AIは食べない人が多いって聞いたけど?」
「味覚がないタイプがほとんどだよ。ハサラさんとか」
言いながらピザを頬張りジナコは顔を蕩けさせた。つられてマスターもピザを口にする。
「美味しぃ!!──カルナさんに食べさせてあげたいね」
「えっ!?そ、そんなんじゃないし!!」
勢いよく首を振るジナコの、よく側にいるカルナかレイシフト先で食べ歩きをしていたことは一度や二度ではない。
「
…
まぁ、食べさせてあげてもいいとは思うけど、」
ごにょごにょと呟くジナコにマスターとマシュは顔を見合わせて微笑んだ。
──瓦礫と共に持ち上げられながらジナコはそんな光景を思い出していた。
■2024/09/11 No.365
現パロ ビマ+ヨダ
「邪魔してくれるなよ」
転生してやっと見つけたドゥリーヨダナはひとりだった。
「どんなペテンを働いたんだ?『天才少年』」
公開されている情報をたどって会いに来た俺を部屋に通して、ヤツは手を広げた。
「これを見ても分からんのか?薄情な男だ」
ドゥリーヨダナの部屋は雑多な物で溢れかえっていた。本もあれば模型もある、スポーツ用品、写真、編み物などなど。なんの関連性も見えない物ばかり。
「飽きっぽいにもほどがあるだろう」
呆れるとドゥリーヨダナは柔らかく微笑んだ。
「本当に分からないの?ビーマお兄ちゃん」
その声色は、
「──ドゥフシャラー」
101番めの従姉妹はその兄の姿で笑みを深くした。
彼女がいるということは他の100人がいないわけがない。
再び部屋に視線を巡らせれば各々の嗜好が透けて見える。本はヴィカルナだろう、模型はチトラーンガダが好きそうだ。ドゥリーヨダナばかり写っている写真はドゥフシャーサナか。編みかけのセーターを手に取れば、ドゥリーヨダナの雰囲気がまた変わった。
「という事だ。わし様は賢く最高の王子だが、弟達と知恵を合わせれば『稀代の天才』と呼ばれるのも当然だろう。──わし様達は今度こそ最後まで一緒にいる。だから」
■2024/09/10 No.364
わし様+ユディ兄
「いつでも遊びにおいでよ」
「ユディシュティラ、わし様達と遊ばないか?」
従兄弟の誘いに青年になりかけの子供は侍従を見上げた。
「いけません。この後は王としての心構えを学ぶお時間です」
「その王の遊びだ。──賭博は王の嗜みだろう?」
ドゥリーヨダナの小さな手がサイコロを投げる。それを受け取ってユディシュティラは表情を綻ばせた。
「王としての責務の一環ならいいですよね?」
「それ、ならば」
渋々と頷く侍従達と顔を輝かせたユディシュティラをドゥリーヨダナは賭博場に連れていく。そこではシャクニが菓子と果実酒をたっぷり用意して待っていた。
「ドゥリーヨダナのわがままにつきあわせてしまって申し訳ない」
「いえ、これも勉強ですから」
真面目な顔で返答するユディシュティラを上座に座らせて、シャクニは侍従達にも果実酒などを振る舞った。
その果実酒や菓子を最初に口にしてシャクニは笑う。
「これが本番というわけではないのだから、どうぞ楽に。菓子でも賭けて楽しむといい」
笑顔でサイコロを振るユディシュティラを見届けて、シャクニはドゥリーヨダナに囁いた。
「適度に負けてやれ」
笑って頷いて子供はユディシュティラに声をかける。
■2024/09/09 No.363
ビマヨダ
「微力を尽くそう」
「ひとりの男として頼む!この通りだ!」
厨房仲間のビーマに頭を下げられてアーチャーのエミヤは箸を止めた。
話があるとビーマの部屋に招かれ、心尽くしの料理を振る舞われたあたりから一筋縄ではいかない気はしていたが、これはなかなか難しい依頼のようだ。
「まずは話を聞こうか」
促すと名高い英雄は気まずそうに顔をあげた。
「その、貴殿は強化魔術が使えるのだろう?」
「いつもと同じでいい。本領ではないがそれなりには」
エミヤの返答にビーマの視線が泳いだ。
「
…
強化して欲しいモノがあるんだ」
「あまり複雑な物は難しいが」
「ただの家具だ。その──ベッドを」
「それはおめでとう」
エミヤの祝福にビーマは少年のように顔を赤らめた。
彼が宿敵であるドゥリーヨダナに猛アタックを繰り返した末やっと恋人になった事をエミヤは知っていた。素直ではない恋人をやっとベッドに誘える算段がついたのだろう。
「俺もあいつも体格がいいし、力もあるだろう? ──万が一の事があったら嫌がるんじゃねぇかって」
行為の最中にベッドが壊れた場合、ドゥリーヨダナは嫌がるどころか恥をかかされたと激怒するだろう。なるほど、恋人たちの行く末はエミヤの魔術にかかっているようだ。
■2024/09/08 No.362
生前カルヨダ
「誰にも見せない」
「今からオレとドゥリーヨダナは性交する」
大きな布を抱えて登場するなり言い放ったカルナにドゥリーヨダナを含め百王子達は戦慄した。
報告を上げていた家臣たちも目を丸くして一番奥のドゥリーヨダナと入口のカルナを交互に見ている。
そんな彼らの間を神の息子は堂々と通り過ぎ、一際高い椅子に座るドゥリーヨダナに持っていた布を被せた。
「人払いを。」
カルナの意味が分からない言動に立ち上がりかけたドゥフシャーサナは、布から見えている兄の指先が微かに震えているのに気づく。
ドゥリーヨダナにとある知らせが届いたのは朝方の事だ。この男はそれを聞きつけて泥を被りに来たのだろう。
「
…
兄貴の恋人はわがままだなァ。しゃーねぇ。今日の政務はここで終わり!!解散!!」
長兄の反論は無く、百王子達は躊躇っていた家臣達や護衛、奴隷までも部屋から追い出した。そして自分たちも思い思いの場所に散らばっていく。
本当にふたりきりになる部屋に最後のドゥフシャーサナが振り返る。
頭から布を被った誇り高い長兄をその恋人が抱き寄せていた。
扉を閉める。
あれならば誰も兄の涙を見ることは出来ないだろう。
■2024/09/07
#練習1P FGO二次創作No.361
わし様+マスター
「その必要はないよ」
「それで、ドゥリーヨダナは何が欲しいの?」
唐突なプレゼントの山を受け取ったマスターの質問にドゥリーヨダナはにんまりと笑った。
マイルームにはマスターとドゥリーヨダナのふたりきりだ。見える範囲では。
ドゥリーヨダナはちらりと床を見て、マスターに笑いかけた。マスターは無理難題の予感に気を引き締める。
「なぁに。ちょっとしたコツを伝授して欲しいのだ。マスターの影の中にいる御仁に」
呼ばれて恩讐の炎が揺らぐ。現れた巌窟王にマハーバーラタの英雄はにこやかに腕を広げた。
「まずは貴殿が影になりマスターを守っていることに敬意を示そう。
…
その上で、だ。サーヴァントを影に入れる方法を教えて欲しい」
巌窟王の視線がマスターの手の中を見る。どれもマスターが欲していて我慢していた物だ。
しかし、当のマスターが首を振った。
「だったら何のためにそんなことをしたいのか説明して」
正当な要求にドゥリーヨダナは視線を反らせた。
「カルナがな。アルジュナに突っかかっていくのだ」
「カルナさんを影から守りたいの?」
「いや?カルナをわし様の影に仕舞って、わし様がアルジュナから逃げる。これもカルデアの平和を守るためだ」
アルジュナの人柄を知ったマスターは断言した。
■2024/09/06 No.360
カルヨダ
「なんでそうなるの!?」
※奏章Ⅲのネタバレを含みます
「オルタになる方法?」
カルナに問われてダ・ヴィンチちゃんは視線を巡らせた。
「水着になる方法じゃなく?──理由を聞こうか?」
ふたりきりの部屋でカルナはゆっくりと口を開く。
「ムーンドバイではエジソンがオルタになり数々の悪行を成したと聞く」
「大暴れしていたらしいね」
「オレは良く似た性格の男を知っているが、あれがオルタになった時も側にいてやりたいのだ」
常の分かりづらい語り口ではなく、平易な言葉を選んでいるカルナにダ・ヴィンチちゃんは目を細めた。
「今の自分では肯定出来ない行為でも、オルタになれば手伝ってあげられる?」
「そうだ」
頷いたカルナにダ・ヴィンチちゃんは杖を揺らした。
「うーん、カマソッソですら令呪なしには出来なかったみたいだし。そもそもドゥリーヨダナ・オルタなんて迷惑な存在が野放しにされるとは思えないなー」
「そのためのオレだ」
「脱獄させる気満々な発言は控えるように。
…
第一、『君』はオルタの予測される行動には同意出来ないのだろう?」
「ああ、だからオレをオレが止める」
「ドゥリーヨダナ・オルタを止められないから、彼に従うオルタの自分を止める?」
■2024/09/05 No.359
生前アシュヨダ
「
…
あまい」
「あーん」
そう言って大きく口を開けた青年に、幼いアシュヴァッターマンは震える指で林檎を一切れつまみ上げた。
鍛錬場の片隅。低木と茂みの影になっているここは誰の目も届かない。よくここで休んでいる王子に、アシュヴァッターマンはこっそり林檎を持って行っただけなのだ。
クシャトリヤはバラモンの食事に触れることは出来ない。
それを知ってはいたが、どうして自分が年上の王子に食べさせる事になってしまったのかアシュヴァッターマンには分からない。
ただ無防備に赤く広がった口の中で誘うように丸まっている舌に促されて、子供は青年の口に果実を運ぶ。
しゃくり、と白い歯が果実を喰らう。しゃりしゃりとそれはあっという間にアシュヴァッターマンの指に到達して、小さな指をぺろりと舐めた。
ぞくり、と初めての感触が背中を奔りアシュヴァッターマンは身動ぎをする。
それに気づかなかったのか王子は濡れた舌で自身の唇を舐めた。
「まあまあだな。──残りは食べていいぞ」
促されてアシュヴァッターマンはまた一切れ林檎を摘む。その指先が濡れているのに気づきながらも精一杯気にしない振りをして果実を喰む。そうして自分の指先が唇に触れ、アシュヴァッターマンは息を吐いた。
■2024/09/05 No.358
マスター+ジュナさん
「愚かな選択だ。だが、オレは全力を尽くそう」
「嫌いなこと
…
ですか」
マイルームでマスターにそう問われて召喚されたばかりのアルジュナは口ごもった。戸惑ったような視線がマスターの背後に向かう。
「──兄様が何故いるのでしょうか?」
「おう!やっとおまえが召喚されたと聞いて迎えに来たんだ。美味い飯をたらふく用意してあるぜ」
邪気のない笑顔に口元を引きつらせるアルジュナにマスターは質問を重ねる。
「聖杯にかける望みは?」
「マスターについてどう思う?」
何故か答えないアルジュナにビーマが首を傾げた。
「召喚されたてで疲れてんのか?マスター。先に食堂につれていっていいか?」
「その前に種火を食べさせてあげたいな。ビーマ、弟さんがかっこよく最終再臨するの見たいでしょ?」
「もちろんだ!!」
笑顔で頷いた兄に弟は顔色を変える。それに気づいたマスターが問いかけるより早くマイルームのドアが開かれた。
「アルジュナが召喚されたそうだな」
「「「カルナっ!!」」」
宿敵の登場にレベル1のアルジュナはその腕を掴んだ。
「おまえとの決着をつけよう!!今すぐに!!!」
その叫びにカルナは目を丸くし、ややあって頷いた。
■2024/09/05 No.357
わし様+マスター
「もう生前じゃねぇだろ」
最近ドゥリーヨダナのわがままがひどい。
シュメル熱が流行ったせいで多くのサーヴァントが出撃出来なくなっている中、「周回は嫌だ」「食事は部屋でなければ食べない」「用事があるなら部屋まで来い」とカルナさんとアシュヴァッターマンを引き連れて自室に引きこもってゲーム三昧をしているらしい。
「わがままは時と場合を選んで欲しい!!」
マスターの絶叫にビーマは眉を寄せた。
こちらは律儀に毎日周回に参加している。毒無効はウィルスにも効くようだ。
「アシュヴァッターマンもカルナもあいつの部屋からほとんど出てこねぇな」
「どうせ、ドゥリーヨダナに付き合っているんだよ!!」
稼働出来るサーヴァントが少なくなったしわ寄せが全て来ているマスターは叫んだ。
「もうだめ!そろそろ限界!行くよ!ビーマ!!」
ドゥリーヨダナのわがままに耐えきれなくなったマスターはビーマを引き連れてドゥリーヨダナの部屋に突撃し、絶句した。
「どうして言わなかったの?」
寝込んでいるドゥリーヨダナと、彼にすがりついているアシュヴァッターマンを庇うように立つカルナは答えた。
「不調を知られるな、と言われた」
ビーマが首を振る。
■2024/09/04 No.356
生前アシュヨダ(先天性女体化)
「出来レースだったってことか」
凶兆の子である王女ドゥリーヨダナを他国に嫁がせてしまえ。
重臣達の決定に長男ドゥフシャーサナは猛反対したが、当の本人が了承したため渋々この婿選びに同席している。
彼の目の前では姉の美貌と持参金目当てにクシャトリヤ達が武芸を競っていた。忌々しいパーンダヴァ達が参加しないため、どいつもこいつもパッとしない者ばかりだ。
姉も退屈そうに果物を摘んでいたが、ふと悪戯っぽく笑って小さな果実を掲げた。
「この果実を射抜けた者にわし様は妻となろう!」
同時に宙に投げられた果実をいくつかの矢が追いかける。だが、射抜いたのは一矢のみ。
注目を浴びて弓を降ろしたのは全身を布で覆った男だ。
「その言葉に相違ないな?」
確認する声は姉ではなく同席した人々に投げかけられている。ドゥフシャーサナは勢いよく立ち上がった。
「神に誓って!!我が姉ドゥリーヨダナをそなたの妻としよう!!」
世継ぎの王子の宣誓に姉がにんまりと笑う。
聞き覚えのある声の男は反論がないのを確認して、身体を覆っていた布を剥いだ。赤い髪に褐色の肌。額の宝珠が明らかになる。
「──アシュヴァッターマン」
身分が異なる姉の恋人の登場に弟は肩をすくめた。
■2024/09/04 No.355
サナくんと牛若ちゃん
「ちゃんと人に成れたのだな」
「兄貴に死ねと言われて逃げた?なんで??」
ドゥフシャーサナの言葉に牛若丸は言葉を失った。
賑やかだった食堂に沈黙が落ちた事に構わず、兄に半神と戦えと命じられた弟は言葉を重ねる。
「大好きな兄貴なんだろ?なんでもしてやりたかったんだろ?死んでやるくらいいーじゃん」
「そ、れは、」
「拙僧達が逃げろと進言したのです」
錫杖の音に振り向いたドゥフシャーサナに弁慶の名を背負っている男は眉を寄せた。
「人の形をすれども人ではない、か」
そのまま真言を唱え始めた弁慶にドゥフシャーサナは腰を浮かした。
「人をモノノケみたいに言うなよ!ちょっとからかっただけじゃねーかっ!」
「ほう?本気ではなかったと?」
割って入った女の声にドゥフシャーサナはとうとう立ち上がった。
「兄貴に言いつけてやるー!!」
逃げ出した彼に弁慶は口を閉ざす。その視線が座ったままの牛若丸を包んだ。幼い頭に細い手が乗る。
牛若丸を育てた天狗は困ったように微笑んだ。
「僕はおまえをなんとか人の子に育てようとしていたが」
一族の再興しか語らなかった子供は彼女を見上げる。
■2024/09/04 No.354
生前アシュくんとサナくん
「タイミングは最悪だったけどな」
「なんで兄貴を敬うのかって?」
幼いアシュヴァッターマンの質問にドゥフシャーサナは片眉を上げた。
ふたりがいる木陰は涼しいが、鍛錬場からはドゥリーヨダナとビーマの声が響いてくる。
ふたりの試合にかかりきりのドローナ師の目が届かない事をいいことに他の百王子達は思い思いにサボっていた。
「あー、おまえ、俺達がどうやって生まれたか知ってるか?」
子供がこくりと頷いたのを確認して次兄は口を開いた。
「ギーの中ってそりゃいい匂いがしてとろとろして気持ちいいんだわ。正直言って出たくなかったな。いろいろ聞こえてたしさー」
ドゥフシャーサナは兄弟達と同じ色の髪をかく。
「このままでいっか、とみんな思ってた。その時壺が割れる音がして怒鳴られたんだ。出てこい!馬鹿者共!ってな」
困ったように笑うドゥフシャーサナにアシュヴァッターマンは首を傾げた。
「怒られたから従うのか?」
「あー。おまえ兄弟いねぇもんなぁ。違う違う」
ドゥフシャーサナは鍛錬場を指差した。そこではドゥリーヨダナが怪力無双のビーマに立ち向かっている。
「最初に壺から出て世界に立ち向かった兄貴を尊敬するのは当たり前だろ、ま」
■2024/09/04 No.353
わし様+マスター
「私を存分にお使い下さい」
「喚ぶのか、マスター。わし様以外の男を」
「喚ぶよ。アルジュナ」
悲壮感に満ちたドゥリーヨダナの訴えをスルーしてマスターは聖晶石を召喚陣に焚べた。
「やだー!!やだやだやだー!!!」
子供のように地団駄を踏む自称最強王子の横で召喚陣が廻り始める。きらきらと光の筋が奔った。
「アーチャーならアシュヴァッターマンがおるではないかーっ!!宝具5だぞ!!つよいぞ!!無敵もあるぞ!!」
「単体宝具だよね?
…
それにアルジュナさんには初心者だった頃お世話になったし」
「とりあえずバーサーカーで殴れ、のおまえがかぁ?」
「クラスの意味が分からなかったんだよねぇ。それでフレンドさんのおすすめを使ってた。強かったよー!」
キュルキュルまわる召喚陣からはお弁当やら麻婆豆腐やらは排出されていく。特に空腹ではなかったがマスターだがこれが終わったら食堂に行こうと思った。
「わし様の方が強いもん。カルナの方が強いもん」
ぶちぶちと駄々をこねている成人男性にマスターはため息をついた。
「しょうがないなぁ。石を使い切ったら食堂でビーマさんのカレーを食べよう?」
「えー」
不満そうなドゥリーヨダナの横で突然召喚陣が光り輝く。
■2024/09/03 No.352
わし様+マスター
「初心者講習」
「もうがまんならん!そこに座れ!マスター!!最強王子たるわし様が戦闘の極意を教えてやろう!!」
度重なる敗北に青筋を立てたドゥリーヨダナにマスターは縮こまった。眼の前にはカウラヴァ4人、サンタカルナ、カルナ、アシュヴァッターマン、ドゥリーヨダナが勢揃いしている。
「マスター。まずは質問だ。このメンバーでスターを集めたい時どう並べる?」
「アシュヴァッターマン、ドゥリーヨダナ、サンタカルナ?」
「そうとも。カルナを最後に持ってくればこやつは星を集めてくる。星といえばカルナ。カルナといえばスターだ」
褒められて満足そうに口元を上げるカルナふたりにドゥリーヨダナは頷いた。そしてマスターに向き直る。
「では、わし様達で戦った場合誰が一番強い?」
「えっと、セイバー、ランサー、アーチャーで三竦みだから
…
」
マスターはそこでドゥリーヨダナの視線に気がついた。
「もしかして、バーサーカーが一番強いって言いたい?」
「そうとも!!どのクラスにもダメージを与えられる。これすなわち最強!!さいつよ!!というものだろう!!」
その反面バーサーカーはどのクラスからもダメージを受ける。口を開きかけたマスターにアシュヴァッターマンが人差し指を立てた。
■2024/09/03 No.351
カルナさん+父親
「武勲では決して手に入らぬモノを」
「おまえはその鎧だけは施せまい。屋敷や金歯と違って強欲な王子が代わりのものを用意してくれぬのだから」
バラモンに化けたインドラが嘲笑うとガンガー川の水面に日が陰った。それが父が心配しているように見えてカルナは口元を綻ばせる。
「安い挑発だ。程度が知れる。──ああ、だが。だからこそ、オレは貴方にこの鎧を譲り渡そう」
笑みを浮かべたままカルナは小刀を脚と黄金の鎧の隙間に差し込んだ。切り裂かれた皮膚から血が迸る。
痛みを伴っているはずなのにカルナの顔には怒りはない。ただ穏やかな笑みだけがあった。
「インドラよ。貴方の挑発に乗らぬよう父は何度もオレに夢で言い聞かせていた。だが、貴方ほど者がそこまで卑小な挑発で口を汚すほどに。──貴方はアルジュナを愛しているのだな」
生まれてからずっとその身を守っていた鎧を引き剥がしながらカルナは空を仰いだ。
「父よ。許し給え。貴方の鎧は今までずっとオレを守ってくれた。この鎧を失っても貴方の愛はここにある」
皮膚から引き剥がした鎧をカルナはインドラに渡す。右足、左足、首、左腕、右腕、そして耳輪に刃を当てたところで、沈黙していたインドラは口を開いた。
「それは要らぬ。鎧は全て受け取った。おまえに代わりなど必要なかろうが称賛の証として我が槍を授けよう」
■2024/09/02 No.350
アシュヨダ
「はやくお話出来るといいね」
「子泣きじじいって知ってる?」
「知らん!が、アシュヴァッターマンはじじいではないぞ」
マスターの質問に召喚されて数日のドゥリーヨダナは首だけ動かして背後を振り返った。その背中には褐色の成人男性がしがみついている。
「アシュヴァッターマン。おまえもなんとか言ってやれ」
背中を揺らしたドゥリーヨダナにアシュヴァッターマンは無言のまま強くしがみついた。
召喚されたドゥリーヨダナが初めて彼に会ってからアシュヴァッターマンはこの有り様だ。数日待っても変わらない様子にマスターは手をかざした。
「令呪を使おうか?霊基異常ではないんだよね?」
「確かにひとっことも口を開かんが、そこまでではない。──わし様の声は聞こえておるようだが」
「でも、編成にふたり分のコストがかかるのはちょっと
…
」
貴重なアーツ全体宝具を早く運用してみたいマスターにドゥリーヨダナは少し考え込んだ。
「先日ビーマと遭遇した時、こやつ、ものすごい目で睨みつけていたらしくてな」
「それでも何も言わなかったんだ
…
」
呆れているマスターにドゥリーヨダナは片目を閉じた。
「どうせこやつの事だ。わし様が本物かどうか実感が持てないのであろう。──と、いうことで『わからせて』くるから。明日の昼までわし様達を呼ぶなよ」
■2024/09/02 No.349
わし様+オルジュナ
「素殴り友の会にようこそ!」
「わし様がバーサーカーの心得を教えてやろう」
レベル120、クラススコア、アペンドスキルも全開放しているドゥリーヨダナが胸を張ると、再臨したてのアルジュナオルタは顎に手を当てた。
マスターの趣味で委員長霊衣である。
そのマスターはミッション報酬目当て出撃中だ。
このカルデアにはカウラヴァしかいないとアルジュナオルタは聞かされていた。その事実にあの戦いの記憶がかすかにある彼は意識を引き締める。
そんなアルジュナの前にドゥリーヨダナは仲間の一覧を広げた。そのうち一騎、白い髪で羽が生えた男を指差す。
「こいつが出てきたらだいたい早く開放される」
予測していた言葉と違うな、とアルジュナオルタは内心首を傾げる。そんな彼に構わずドゥリーヨダナは杖を持つ少女を指した。
「こいつが出てきたら諦めろ。しばらくカルデアに帰れん」
「それは貴方がアーツ宝具だからでは?」
少女のデータを見ての発言にドゥリーヨダナは大げさに顔をしかめた。
「うちのマスターのへっぽこ具合を知らんのか!ああ、まだ知らんな。すぐに分かる。NP貯まればなんでもいいと思っておるぞ。あいつは」
ドゥリーヨダナの嘆きにアルジュナオルタは思い出した。彼が召喚されて初めて言われた言葉を。
■2024/09/01 No.348
わし様+マスター
「それでは永遠にわし様は幸せになれんな」
※奏章Ⅲのネタバレを含みます
「AIが人間を幸福にする、だぁ?そんなもの無理に決まっておる」
マスターの説明を聞いたドゥリーヨダナは大げさに顔を歪めた。
月での一件が片付きレポートを書いているマスターがPCから顔を上げる。
「無理って実際」
言いかけたマスターにドゥリーヨダナは手を振る。
「では、AIにわし様の望みを叶えられるか聞いてみろ」
『聞き捨てならないですね。言ってみてください』
ドゥリーヨダナの挑戦に、マスターがレポートを打ち込んでいた画面に現れた少女がにやりと笑う。それに彼は指を2本立てた。
「わし様の生前の望みはクル国の王になること。パーンダヴァの連中をぶっ殺す事だ。──そして、パーンダヴァの連中の望みも王位とわし様の排除。さて、AIとやらはどうする?」
『クル国を分けます』
「馬鹿め。対等な隣国などありえん。子々孫々の火種を作るだけだ」
『疑り深いですねー。そんなんじゃ幸せになれませんよ』
「話を逸らすな。もうひとつの望みの方はどうする?」
『より正当性の高い方をサポートします』
少女の言葉に凶兆の子は肩をすくめた。
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