ちよど
2024-11-18 19:56:46
23249文字
Public わし様など
 

練習1P 8月分まとめ

#練習1P、のタグで書いていたもの。
わし様中心SS。節操なくCP混在。

■2024/08/31 No.347
生前カウラヴァ
「お前たちがいるだろう?」

「お前たちは見る目がある!!」
 いくつもの荷馬車を連れた裕福そうな隊商を襲った盗賊達は紫の髪の男の言葉に顔を見合わせた。
「わし様の言う事を聞かなかったあんぽんたんな隊商がいくつかある中で、よくぞわし様の一行を襲ってくれた。わし様の高貴なスメルは商人に身をやつしていても隠しようもないということだ」
「囮かっ!!」
 ふふん、と自慢げに顎を上げる男に盗賊の頭は飛びかかる。
 と、同時に商人に偽装していた戦士たちが武器を構える。
「動くな!こいつがどうなってもいいのか?」
 責任者であろう紫の髪の男を捉え、刃を突きつけた盗賊の頭に視線が集まった。その中で頭に布を巻いた赤髪の男が黙って武器を置く。他の戦士たちもそれに倣った。
「話が早いじゃねぇか。おい!お前たち──ぎゃっ!!」
 頭を射抜かれて倒れる男にドゥリーヨダナは笑った。
「わし様の友のひとりは弓の名手で、──もうひとりは」
 赤髪の男が号令を掛けると荷馬車から武装した男達が飛び出してきた。あっという間に盗賊達が制圧される。
「この通り知略に優れておる。──あいたぁ!」
「どんだけ策を練ってもアンタが捕まってたら意味ねぇんだよ!!」
 怒れるバラモンの鉄拳制裁に王子は首を傾げた。


■2024/08/30 No.346
カルヨダ+ビマさん
「感謝する」

「なんで!それを俺に言う!!」
 ビーマの手の中で泡だらけのお玉がひしゃげた。
 ふたりきりのカルデア食堂。カウンターキッチンを挟んで座るカルナの表情は微動だにしない。
「おまえは一晩で千人の女を満足させたと聞く」
「千人ってほどじゃねぇよ」
 顔を赤らめて言葉を濁すビーマにカルナは言葉を続けた。
「ならば恋人を寝所に誘う方法など星の数ほど知っているだろう?」
「女を寝所に連れ込むのと!あのトンチキを口説くのとは話がちがうだろ!!自分でやれ!!」
 泡が残る両手をキッチンに叩きつけて主張するビーマにカルナはため息をついた。
「『子供も出来ないのにあんな面倒なことやらんでもよかろう』」
「──あの馬鹿がそう言ったのか?」
 頷いたカルナにビーマはさすがに同情の視線を向けた。
「まあ、子孫をつくるのはクシャトリヤの義務だからな」
「オレとの関係は義務ではない」
 珍しく不満を滲ませたカルナに、ドゥリーヨダナの従兄弟は肩をすくめた。
「だったらそう言ってやれ。惚れてるから抱きてぇってな」
 直截的な言葉にネオンブルーの瞳に光が灯る。カルナはゆっくりと微笑んだ。


■2024/08/30 No.345
アシュヨダ
「何も聞こえねぇよ」

「なら、楽団でも呼ぶか?」
 ドゥリーヨダナのわがままにスマホを取り出したアシュヴァッターマンは、恋人が満足げに目を細めたのを見て手を止めた。
 彼らがドバイの屋敷で過ごして数日目。
「わし様が寛ぐに相応しい音楽が聞きたーい!!」
 とわがまま王子が言い出したのだ。
 ドゥリーヨダナが望むならアシュヴァッターマンに否やはない。知り合いの音楽家を呼ぼうとした彼は、ソファーに体を預けているドゥリーヨダナに手招きされて彼の傍らに腰を降ろした。
「これなぁんだ?」
「イヤホンだろ?」
 アシュヴァッターマンに差し出されたのは白いコードが2つに分かれているレトロな有線イヤホンだ。
「おまえのおすすめを聞かせてくれ」
 ねだられてアシュヴァッターマンはスマホにイヤホンを差し込む。ドゥリーヨダナの両耳にセットして音楽アプリを起動する。
 と同時にドゥリーヨダナの手がアシュヴァッターマンの片耳にイヤホンを差し込んだ。
「これはこうしながら聞くのがマナーだそうだ」
 コードで繋がれたふたりの唇が触れて、離れる。軽快な音楽が流れ出した。


■2024/08/30 No.344
カルジナ
「心配はしていないッス」
※奏章Ⅲのネタバレを含みます

「何者!」
 突然、頭に突き刺さったカニにエネミーはそれが投げつけられた方角に振り向いた。
 オールド・ドバイの風情あふれる建物の屋上。きらめく槍を持つ男が月光を受けて立っている。
「月よりの使者。ムーンキャンサー仮面。見参」
 夜だというのにそのサングラスがきらりと光る。
「──カルナさん何やっているんスか?」
 エネミーに襲われていたジナコが思わず声をあげるとムーンキャンサー仮面は首を振った。
「オレは通りすがりのムーンキャンサー仮面。人違いだ」
「夏コーデで槍を持ってカニを投げておいて何言っているんですかね?この人」
 ジナコのツッコミに自称ムーンキャンサー仮面は白いフードを目深に被り直した。
「今更顔隠しても意味ないッスから!!」
 彼らがそんなのんきなやり取りをしている間に、頭に刺さったカニを振り払ったエネミーが咆哮を上げる。
「細かい事は後で。とりあえずはお約束の共闘ッスね」
「承知した」
 ──ふぉんふぉんジナジナ~♪
「という感じで現れると思うんスよね!」
 行方不明のカルナの事について聞かれたジナコはトンチキな予想をして笑った。だから。


■2024/08/28 No.343
わし様+マスター
「まあ、そうとも言う」

 サーヴァントには個室はない。
 常時現界しているわけではない彼らには個室は必要ない。私物を置くなど必要な場合は数人で個室をシェアする場合はある。
 そんな個室のひとつをマスターは訪ねていた。運悪く誰も現界しておらず、メモだけ置いて帰ろうとしたテーブルに。
「日記帳?」
 この部屋の持ち主はカルナ、アシュヴァッターマン、ドゥリーヨダナである。彼らは誰一人日記を書くなんて繊細な事をしそうになかった。
 好奇心に囚われてマスターはついそのページをめくってしまう。
 1枚めはグルメレポートだった。2枚めは戦闘記録だった。3枚めは
「こらこら、人のプライベートを覗くとは関心せんぞ」
わし様によるわし様のためのわし様の建国計画」
 3枚めの内容に言及するとドゥリーヨダナはうんうんと頷いた。
「このカルデアにわし様の国を作るのだ。それはその打ち合わせだな」
 彼の言い分では1枚めと2枚めの説明がつかない。マスターはひらめいた。
「つまり、これって──交換日記!!」


■2024/08/27 No.342
わし様+百王子
「兄貴と違うって分かるだろ?」

 ところで百王子の服は全員一緒に購入される。
 容姿がよく似た百人が同じ衣装にならないように、かつ長兄、次兄などの序列も表さなければならないからだ。
 王子の衣装ともなれば国の威信が掛かっているので適当なものは選べない。なので、出入りの商人達はこれと言うものを厳選して王宮に持ち込むのだ。
 だというのに。
お前たちはどうしてそうなのだ?」
 止める侍従達を振り切って『俺が考えた最強の組み合わせ』を持ってきた次男と三男にドゥリーヨダナはため息をついた。
 大きな広間は開け放たれて、色とりどりの布や宝石、紐などが所狭しと広げられている。商人達の説明にそれぞれの王子達付きの衣装係が耳を傾け、やる気のない主人にあれやこれやと見繕っていた。
 ドゥリーヨダナは価値を認めれば金払いがいい。それを知っている商人達が並べた品々はどれもこれも最高級でセンスのあるものばかり。
「「兄貴ー!俺これが着たいー!!」」
「ダメに決まっておる」
 だというのに、最悪の組み合わせを選んで来たふたりはおねだりを却下されて子供のように頬を膨らませた。
「兄さん達はどうしてそうダサい服を着たがるわけ?」
 末っ子の言葉に次男と三男は笑う。


■2024/08/26 番外
幻覚印度普及協会様の「百王子投稿コーナー」に投稿させていただいたもの

「兄貴と同じだと! ふざけるなっ!!」
 ドゥフシャーサナの叫びに広間にいた百王子達は空を仰いだ。天井から星でも落ちてくるのではと思ったのだ。
 開け放たれた大きな広間では出入りの商人と侍従らがやる気のない王子達にきらびやかな宝石を見繕っている。長兄はおらず、次兄のドゥフシャーサナがこの場で最も高位だった。
「サナ兄はいつも兄さんとお揃いを欲しがるじゃん」
 呆れたようなドゥフサハに次兄は大きな宝石を勧めた商人を見下ろした。
「おまえは俺に兄貴と同等の地位につけと示唆するのか? 違うよな? ──だったらソレよりちょっとだけ、ほんのちょっとだけ小さなヤツを譲ってくれるよな?」


■2024/08/26 No.341
アシュヨダ
「おまえだから、きもちいい」

「なーなー、次からはゴムつけようぜ、旦那」
 アシュヴァッターマンがねだると彼の腕の中で横になっていたドゥリーヨダナがくすくすと笑いながら身動ぎした。
 濃厚な汗と花の香りがアシュヴァッターマンを包む。
 落ち着かない気持ちになって犬のように頭をこすりつけると、大きな手が彼の赤い髪をかきまわした。
「ぁー、あしゅ、あっ、た
 呂律がまわってない様子の恋人にアシュヴァッターマンはその顔を覗き込み、とろりと溶けた表情と定まらない視線にため息をついた。
「こうなるから、やだって言ったじゃねぇか」
 生前と違い、サーヴァントにとってセックスは魔力の交換だ。ろくな補正のないドゥリーヨダナがアシュヴァッターマンの神性に酩酊するのは今に始まったことではない。
「前はいろいろ話してくれたりしたのに」
 ドゥリーヨダナが生きていた頃は終わった後もなんてことはないおしゃべりをしたり、触り合ったりして楽しかったのだが。今はドゥリーヨダナだけが楽しそうだ。
 アシュヴァッターマンは子供のように唇を尖らせた。
 自分が成した事で恋人が気持ち良くなっているなら、それは至高の喜びだろう。だが。
「──神性の魔力なんて、俺以外でも」
 言いかけた唇が塞がれる。
 蕩けた紫の瞳がうっとりと微笑んだ。


■2024/08/26 No.340
生前アシュヨダ
「かわイくなくても?」

「おーい、わし様のかわいいかわいいアシュヴァッターマン。かくれんぼかぁ?」
 ひと季節ぶりに聞くドゥリーヨダナの声に幼いアシュヴァッターマンは掛布を被って縮こまった。わがまま王子がどたどたとアシュヴァッターマンの部屋に入ってくる。
アシュヴァッターマン?」
 いつもなら笑顔で飛びついてくる子供の奇行に戸惑った声がする。それに返事もせずアシュヴァッターマンは掛布に隠れ続けた。突然、ドゥリーヨダナがしゃがみ込む。
「いたたたっ!!持病の腹痛が!!」
「だンなっ!!」
 素直な子供が掛布から飛び出してきたのを見てドゥリーヨダナは目を丸くする。
 その視線に気づいて子供だった青年は体を縮こませた。
 ドゥリーヨダナの腰ほどだった背は伸びて、細かった四肢は逞しさを獲得しつつある、声も子供特有の甲高さから変わりつつあった。その枯れた声が呟く。
「──もウ、かわいクないよな?」
「アシュヴァッターマン!!」
 かわいいかわいいと可愛がられていた姿を失い、うなだれた青年をドゥリーヨダナは満面の笑顔で抱きしめた。
「素晴らしい!ドローナ師のように勇猛な戦士ではないか」
 顔を上げたアシュヴァッターマンに紫の瞳が輝く。
「わし様のために働いてくれるな?」


■2024/08/25 No.339
アシュヨダ
他の案を考える」
※夏イベのネタバレを含みます

「黄金が欲しい。インドラの都を超えるような程の」
 スークから帰った後。ソファーに座ったドゥリーヨダナはそう呟いて自分の両手を見つめている。
 アシュヴァッターマンはチャイが乗ったトレイを片手にその背中を見つめた。
 マスターは気づかなかったようだが、彼らがインドラの都といえば真っ先に思い浮かぶのは五王子が建てたインドラプラスタだ。
 客人が帰った後の屋敷は天窓から降り注いでいた陽の光も絶え、人工の明かりの下で燭台の火が細々と揺れている。
 その僅かな陰影に照らされていた背中が突然伸びた。
「閃いた!!」
 マスターが居れば即座に却下!と叫んだであろうドゥリーヨダナの声色が続く。
「ミダス王だ!わし様がミダス王になれば黄金など思いのまま!!さっそく貸しがあるキャスターを見繕って」
「旦那。旦那。そのミダス王ってのは触った物を黄金に変えるやつだろう?」
 アシュヴァッターマンはテーブルにトレイを置いた。
 ドゥリーヨダナが座っているソファーに手をかけて覆いかぶさる。
「なあなあ、旦那。俺を黄金に変えたいなら。俺はそれでもいいぜ。あんたが望むなら」
 偽りのない金の瞳に強欲な王子は唇を尖らせた。


■2024/08/24 No.338
カルヨダ+徐福ちゃん
「よ~し、やったるぞ~!さ~、かかってこーい!!」
※夏イベのネタバレを含みます

 「顔を拭え」
 戦闘中。投げかけられた白い布にうずくまっていた徐福は顔をあげた。
「大切な人からもらったんじゃないの?」
 繰り返される敵の攻撃を槍で防いでいるカルナの背中に血と汗で顔を汚した徐福は問いを投げる。
 あの時、徐福はドゥリーヨダナの拠点で留守番をしていたが後にマスターが説明してくれたのだ。
 大切な人からのプレゼント。徐福だったら誰にも触らせない。ましてや汚れを拭わせたりなんて何があっても嫌だ。
 視界の端でパーシヴァルが血飛沫を飛ばす。バーソロミューだって傷だらけだ。マシュはマスターを守って動けない。大切な夏の衣装を誰もが汚している。
 敵の攻撃を払ってカルナが一瞬振り向いた。その場違いな微笑に徐福は目を瞠る。
「あれは怒るまい。──おまえはもうカウラヴァの一員だ」
「そんなものになった覚えはないですがーっ!?」
 抗議にカルナは珍しく声を上げて笑った。
「ドゥリーヨダナは疑り深く小心だ。そんな男がおまえに拠点を預けた。おまえを仲間だと認めたのだ」
 徐福は手の中の白い布をじっと見つめてからポケットにねじ込んだ。シャツの裾で顔を拭って立ち上がる。
 疑い深い男なら徐福が始皇帝を騙した事も知っているだろう。それでも、と信頼されたのなら。


■2024/08/23 No.337
アシュヨダ
「擦り切れるほど思い出していた証なのだから」
※夏イベのネタバレを含みます

「何か三人で並んで外を歩くのは久しぶりな気がするなぁ、オイ?」
 アシュヴァッターマンのその言葉にわし様は強ばろうとした体から力を抜いた。アシュヴァッターマンはこちらに気づかずマスター達と話をしている。
 あえて視線を動かさず視界の端でカルナを見ると。カルナもよく見れば分かる程度に自然体を装っている。
 わし様の思い違いではなかったらしい。
 あれはまだわし様が死ぬ20日前程の事。
 ──旦那、根をつめてねぇで外にでも出ようぜ。
 戦支度に追われていたわし様とカルナを宮殿の外に誘ったのはアシュヴァッターマン本人だったというのに。
 星空の下、三人で語り合った記憶はまだ新しい。──だが、アシュヴァッターマンは異なるのだろう。
 アシュヴァッターマンは懐かしそうに繰り返す。
 上着をぼったくられそうになったのはドゥフシャーサナではない。ドゥフサハの帯は模様が違う。
 明らかな勘違いにわし様もカルナも話を合わせる。
 訂正出来るはずがない。
 三千年も経てば記憶違いが起こるのは当たり前だからだ。
 わし様やカルナが昔話をしない理由に気づかず、アシュヴァッターマンは笑う。懐かしいと昔の記憶に思いを馳せる。
 わし様達はそれを咎めない。なぜならそれは、


■2024/08/21 No.336
カルジナ+ヨダナさん
「これほど興味深いものだとは」

「略奪婚ではダメなのか?」
 ソファーに座ったままのドゥリーヨダナの言葉にカルナは首を振った。
「オレが現代の風習に合わせるべきだろう」
「ガネーシャ神はそんなに新しい神ではないと思うが?まあ、おまえが言うなら口説き文句のひとつやふたつ見繕ってやらんでもない」
 促されて彼の隣に座ったカルナにドゥリーヨダナは画面を指した。止められた動画では男女が向き合っている。
「古来から演劇は人の心を動かす技術が詰まっているものだ。そして有名な映画ともなれば誰もが知っているだろう」
「なるほど。ミームというものか」
「みーむ?」
 見知らぬ単語をドゥリーヨダナはスルーすることにした。要はカルナが納得していればいいのだ。
「というわけで、いい雰囲気の映画から口説き文句を引用すれば。『きゃーっ!カルナさん素敵ーっ!!』とあの食っちゃ寝でもメロメロになるワケだ」
「素晴らしいなドゥリーヨダナ。さすが俺の父だ」
 手放しの称賛にお調子者はカルナの肩を抱く。
「上手くいったらわし様を紹介するのだぞ。──さあ、一緒に良い感じの映画を探そうではないか!」
 映画が再生される。そしてその数時間後。
「これは失策だ。オレには覚えられん」


■2024/08/21 No.335
わし様+異母兄
「人の居場所はなかったのだ」

「何してんだよ。それ、兄貴が持って来いって言ってるヤツだろ!!」
 異母弟のドゥフシャーサナの言葉に私は眺めていた宝石から顔を上げた。妾腹の私には触れることも許されないそれを異母弟は鷲掴みする。
「ユユツだから仕方ねぇよな。おまえ『分かんねぇ』から」
 百人いる異母弟達はひとつの肉より分かたれた魔の者だ。そのせいかその場にいなくても、言葉にしなくてもお互いにわかりあえる。──腹違いの私以外は。
 彼らがいるこの宮殿のどこにいても私は異物だった。
 だから、私は味方する陣営を選べると分かった時、迷いなくパーンダヴァを選んだのだ。
 去りゆく私に百王子の長兄がにやにやと笑う。
「あにうえ。そう呼ぶのも今日が最後だが。そちらに行っても貴殿の望む場所は手に入らんぞ」
 私は答えずにユディシュティラの手を取った。
 そうしてパーンダヴァは勝利し半神達の統治が始まった。正しく透明で揺るぎない。
「ユユツ様、こちらの宝石は貴方様によくお似合いです」
 下心ある商人の誘惑に私は首を振る。
「残念ながら受け取れない。私が罰せられてしまうのだ」
「貴方様は先の戦で貢献したではないですか!」
 そんな情は彼らには意味がない。私が法を犯せば神のように正しく裁くだろう。そう魔の陣営にも神の陣営にも。


■2024/08/21 No.334
アシュヨダ
「あの人には耐えられなかっただろうから」

「あまりドゥリーヨダナを甘やかしてはいけませんよ」
 パールバディの言葉にアシュヴァッターマンは反論できずに頭を下げた。その手にはいろいろなお菓子が山になった籠がある。
「ガネーシャ神にはいつも我が王がご迷惑をおかけして」
「遊び相手が増えるのはいいことですが、際限なくお菓子を貢がれてはあの子も太ってしまいます。──そうね。ドゥリーヨダナは優れた戦士と聞きます。あの子を鍛錬に誘うように進言してみるのはどうでしょう?」
 その言葉に主の鍛錬嫌いをよく知るアシュヴァッターマンは体を縮こませた。
 至尊の戦士とまで言われた男のその様子にパールバディはため息を零す。
「──なるほど。難しいのですね。あなたともあろう人がどうしてそんなに甘やかすのですか?」
 気が弱いわけでもないアシュヴァッターマンがわがままなドゥリーヨダナを言うがままにさせているのを指摘すると、金色の瞳が神を見つめた。
「──神々はいつでも呪いをかけることが出来るのでしょうか?」
「その程度の事に条件が必要な者を神とは言いません」
「では、やはり邪魔な政敵にいつでも呪いをかけられたのですね。──俺でよかった」
 三千年の呪いに蝕まれていた男は安堵の息をついた。


■2024/08/20 No.333
カルヨダ+マスター
「そうとも!スケールが大きいということだ!」

「ねぇ、もしかしてカルナさんって地図が読めないの?」
 ドバイの町中を散策中。マスターの少女にそっと囁かれてドゥリーヨダナは片眉を上げた。
 夏コーデのカルナが地図を持っているにも関わらず目的地までマスターに案内させたのは彼も聞いていたのだ。
 息を吐いてドゥリーヨダナはサングラスを掛け直す。
「マスター、今何時だ?」
 関係のない質問にマスターはスマホを取り出そうとする、その手をドゥリーヨダナは抑えた。
「時計を見ずに答えてみろ」
「えっと太陽があそこで私の影がこの長さだから」
 レイシフトをよくするマスターが大体の時間を算出し始めたのに、ドゥリーヨダナは問いを重ねた。
「では、わし様達が向かっている方角はどっちだ?」
「え?朝日はあっちから昇っていたからあっ!!太陽!」
 彼らが話題にしていたカルナは太陽神の息子である。
「じゃあ、カルナさん。方角は分かるんだ」
「かなり正確にな」
「じゃあなんで?」
 マスターの疑問にカルナの友は並び立つ建物を見回した。
「クル国は大部分が平地でな。だいたい近くに行けば街なり村なりはすぐ見つかる」
 その説明にマスターは地図アプリを思い浮かべた。
「だから細かい店とか分からないんだ。縮尺が違うんだね」


■2024/08/20 No.332
ビマヨダ
ごちそうさま、って言うべきかな?」

 四方に壁があった。
 具体的にはビーマとドゥリーヨダナは四方から迫ってきている壁に押しつぶされかけていた。
 ダンジョンのシミュレーターである。攻略に勤しむマスターとマシュから離れ怪しげな部屋に入ったドゥリーヨダナをビーマが追いかけた途端にトラップが発動したのだ。
「少しはその無駄に暑苦しい筋肉を収めようとは思わんのか、この幸運Cがっ!!」
「人の事言えるのか!このトンチキ!!」
 ぎゅうぎゅうとふたりして壁に押さえつけられている状況で交わされる罵詈雑言。部屋の外ではマスター達がトラップの解除方法を探して右往左往しているのが聞こえる。
 ほぼ同じ身長だったのが災いしてふたりの頬はぴったりとくっついている。このまま圧力に押されて少し角度を変えれば唇が触れそうだった。
 互いの筋肉の厚みが身を持って分かる近さに心底不愉快そうな唸り声が響く。
「ビーマっ!!ドゥリーヨダナっ!!すぐに助けるから!」
「「はやくしてくれ!!」」
 不仲なふたりの状況にマスターが叫ぶのに返して、至近距離の瞳が睨み合う。そこにマシュの悲鳴が響いた!
「エネミーの大群です!!」
 マスターの危機に、たやすく壁が吹き飛ばされた。
 あっさりと自由になったふたりにマスターが呟く。


■2024/08/19 No.331
現パロビマヨダ
「わし様はそんな趣味はないっ!!」

 パーティから帰ってきたドゥリーヨダナを迎えたのは恋人の仁王立ちだった。
 ただの仁王立ちではない。褐色の隆々たる筋肉に纏うのは滑らかな黒色のドレス。際どいスリットからはたくましい足が溢れ、開け放たれた胸元では盛り上がった大胸筋が咆哮し、印象的な金の鎖が縮こまっている。
 印象は真逆だが、それはドゥリーヨダナがさっきまで見ていたドレスだった。
「し、仕方がなかろう!業務提携した相手先の重役と親しくするのは経営者の義務だ!!」
 その言い訳にドレスを纏ったビーマは眉を上げた。
「おまえのパートナーは俺だ」
「あんな保守的な集まりに男のおまえを連れていけるかっ!!」
 言い訳にビーマが獰猛に笑う。ドゥリーヨダナが一歩下がった。
「そ、そもそも。女のドレスのデザインは企業秘密の最たるものだ。よく調べたな」
「俺にも伝手はある」
 話を変えようとしたドゥリーヨダナの腕をビーマは掴んだ。
「俺はあんな女よりおまえの役に立つぜ。わかるだろう?」
 ずるずると引きずられていくドゥリーヨダナはその行き先に気づいて叫んだ。


■2024/08/18 No.330
現パロビマヨダ
「そしてムキムキメイドが爆誕した」

「ハウスキーパーを雇った、だァ?」
 不満げな恋人の声色に気づかない振りをしてドゥリーヨダナは食事を再開した。ビーマの作った料理は美味いことは美味いが毎回食べられるわけではない。
「普段は実家からケータリングしていたのだがシャクニ叔父に怒られたのだ。カルナとアシュヴァッターマンに掃除させていたのもバレた」
「おまえ、どうやって生活しているのかと思えば、」
 ビーマとドゥリーヨダナは同居しているわけではない。付き合っているし、今日みたいに互いの家に泊まりに行くが。普段の生活にはお互い関与していなかった。
 ドゥリーヨダナのキッチンで作られた料理を平らげて部屋の主は手を横に振る。
「と、いうわけで片付けなくていいぞ。明日から可愛い家政婦が仕事をしてくれるからな」
「──若い、女なのか?」
 低い問いかけにドゥリーヨダナは上機嫌に笑う。
「わし様が直々に面接したのだぞ。制服だって作らせた。目の保養というものだ」
 ビーマが勢いよく立ち上がった。キッチンの片隅にあった見覚えのない包みを開けば。ひらひらのいわゆるメイド服が広がる。その質の良い生地がぎゅっとしわになった。
「今すぐキャンセルしろ!! ──そんなもの俺で充分だっ!!」


■2024/08/18 No.329
生前IFアシュヨダ
アシュヴァッターマン」

 ドゥリーヨダナ王は笑わない。
 俺が拾われる前。従兄弟であったパーンダヴァ達を倒し、この国を正式に継いでからこの人は笑わなくなったらしい。
 それまでは表情がくるくる変わる愛敬のある人だったと言葉少なにカルナ様はおっしゃっていた。
「王よ、食事をお持ちしました」
 いつものように玉座にもたれかかり、輝く王冠に手をやっているドゥリーヨダナ王に俺は果物を運ぶ。
おまえか。なら少しだけ食べるとしよう」
 王の指がほんの一欠片果実を摘む。飢えを感じることのない王は俺が食事を運ぶ時だけ何かを口にする。
 王の霞がかったような紫の瞳が俺を見た。
「だいぶバラモンの格好が似合うようになった」
「王のおかげです」
 親を亡くした俺を王は引き取ってくださった。食事を、衣服を与え、教師までつけてくださった王に俺は深々と頭を下げる。
「この御恩は命に代えても忘れません」
 ダンッ、と音が響き。俺は慌てて顔を上げた。
 玉座を殴りつけ表情を強張らせた王に失言を悟る。
「──末永く、王のお側に仕えさせてください」
 王の指が俺の赤い髪を摘む。王冠の上で俺の目と同じ色の宝玉が輝いた。
 その唇が彼を庇って死んだ戦士の名を紡ぐ。


■2024/08/17 No.328
カルヨダ
「それって匂わせ放題だよね?」
※夏イベの内容を含みます

「カルナさんは王様なのに好きなように買い物をしたことがなかったの?」
 マスターの疑問にアンガ王だった男は胸元の花に触れた。
 ドバイモールは華やかで賑わしい。その中で言葉を探すカルナの肩に手が置かれる。
「マスター。王侯貴族ともなると商人が品々を持ってくるらしい」
「あ、外商っていうやつ!!」
 バーソロミューの言葉に思い至って手を打つマスターにカルナはゆるゆると首を振った。
「オレの所に商人は来たがらなかった」
 カルナの元の身分は商人達より低い。その事に気づいて眉を寄せる彼らの前で、カルナの薄い唇が笑みを浮かべる。
「代わりにドゥリーヨダナが来た。オレに似合うと山のように品々を積んで」
「うわぁ、目に浮かぶ」
 ドゥリーヨダナは金の出し惜しみはしない男だ。友のために張り切って品々を揃えたのだろう。ん?
 マスターはひとつの可能性に気が付いた。
「カルナさん、カルナさん。もしかしてドゥリーヨダナが選んだものをそのまま使ってた?」
「無論だ。あの男が選ぶならオレに否やはない」
「その中に紫色のものとかあった?」
「あったが?」


■2024/08/17 No.327
生前アシュヨダ
「そうすれば、ずっとあんたを守れる」

「おまえにやる」
 押し付けられた拳大のアメジストに俺は飛び上がった。
「旦那っ!これひとつで何年生活出来ると思ってんだっ!」
 軽々しく人に与えるものではない、との言葉に大国クルの世継ぎの王子は唇を尖らせる。
「わし様の懇意にしている商人が持ってきたものだが──傷があるのだ」
「傷?あいつが?」
 その商人なら面識がある。旦那の信者と言ってもいい男だ。それが傷物を献上するはずがない。
 不審に思って手のひらより余る宝石を翳せば、確かに内部で不自然な光の屈折がある、が。
「きれいだ
 傷によって出来た光が内部から宝石を彩っている。
「あやつ、それをわし様のようだと!!」
 不愉快そうな凶兆の王子と美しい傷のある宝石は確かによく似ていた。完璧では成し得ない魅力。
「気に入ったのなら、おまえにやる。どのみち傷がある宝石など身につけられん」
 その言葉にふと思いついて俺は額の宝珠に触れた。
「──傷のない宝石なら、旦那は身につけてくれるのか?」
「おまえがわし様より先に死ぬとでも?」
「もしそうなったら、旦那の王冠にでも飾ってくれ」


■2024/08/17 No.326
ヨダナさん+バーソロミュー
「わし様はこのままで充分だがっ!?」

「王族に招かれるとは光栄だね」
「カルデアでは珍しくもなかろうが、わし様ほどの者からというのは誇ってよいぞ。バーソロミュー・ロバーツ」
 古代インドの王子に促されてカリブの海賊は晩餐の席を見渡した。ふたりだけの宴にはすでに豊かな料理が並べられている。欧米式の堅苦しいコース料理ではなく好きに取っていいとの事だろう。
 バーソロミューの前には磨かれた食器とカトラリー、そして封筒が置かれていた。
「ああ、それか。貴殿はわし様の友に便宜を図ってくれたからなぁ。その報酬だ」
「メカクレ霊基を持つ者に当然のことをしたまでだよ」
 ドバイで英雄カルナのフォローをした事だろう。
 ドゥリーヨダナの言葉に答えながらバーソロミューは封筒を持つ。軽く薄い。
 だが、封を開け中身を取り出したバーソロミューは陶酔の笑みを浮かべた。
「素晴らしい!!」
「ふっふっふっ!瞬間の美というものだ」
 自慢げなドゥリーヨダナにバーソロミューは熱い視線を送った。その手にはとある礼装がある。
「メカクレとニアメカクレを友に持つとは羨ましい。ところで貴方自身は髪型を変えるつもりはないかな?」
 圧力のある要求にドゥリーヨダナは口元を引きつらせた。


■2024/08/16 No.325
カルヨダ
気をつけよう」
※夏イベのネタを含みます

 ドゥリーヨダナはわかりやすく唇を尖らせた。
「カルナの薄情者!浮気者!女たらし!!」
「心当たりがない」
「浮気男はみんなそう言うのだ」
 ドゥリーヨダナはカルナの白い上着を軽く引っ張る。
「おまえの晴れ着はわし様が贈るべきだろう?」
「生前、山をなすほど受け取ったが」
おまえなぁ」
 カルナの夏コーデはBBから贈られたものだ。ドゥリーヨダナは呆れたように指を横に振った。
「おまえには分からんだろうが、理由なき贈り物より恐ろしいものはないぞ」
オレは恐れられていたのか?」
 施しの英雄に悪の王子は説明する。
「普通は、見返りがないということは贈る方も消耗するものだ」
「なるほど。オレはお前がいるから消耗のしようがないな」
 友の言葉にドゥリーヨダナは胸を張った。
「もちろん!わし様はおまえに出し惜しみはしない。だがBBにはわし様がおらんだろう?」
「む」
 カルナの表情に初めて納得が浮かぶ。
「そのあたりの計算が出来ん女ではあるまい。あれは」
 小狡い事では定評のある男の言葉にカルナは頷いた。


■2024/08/15 No.324
アシュヨダ
「唇が重なった」

「暑いな」
 突然のドゥリーヨダナの言葉にサーフボードを背負ったアシュヴァッターマンは目を瞬かせた。
 ドバイの日差しは確かに暑いがインドの夏ほどではない。
 海風が白い砂浜を流れて、オールバックからほつれた紫の髪を揺らす。
 それから目を逸らして、アシュヴァッターマンは海から上がったばかりで水の滴る前髪をかきあげた。
 ドゥリーヨダナが目を細める。
「お揃いだな」
 そんなつもりはなかったアシュヴァッターマンが顔を赤らめるのに、ドゥリーヨダナはくつくつと笑って繰り返した。
「暑いな、そう思わないかアシュヴァッターマン」
 暑いならスーツのジャケットを脱げばいい。だと言うのに、ドゥリーヨダナは目線をアシュヴァッターマンの背後に向ける。
 アシュヴァッターマンが振り返っても浜辺で何人かのサーヴァントがいるだけだ。
 ドゥリーヨダナの視線はそこではなく、サーフボードに向けられていた。
「っ!」
 自分の察しの悪さに苛立ってアシュヴァッターマンがサーフボードを砂に突き立てる。その影に隠れて。


■2024/08/15 No.323
カルヨダ
「メシ取りに行くだけじゃねぇか」
※夏イベのネタを含みます

「オレは知ったのだ。過ぎたるものは恐ろしいものだと。オレはおまえをあのような目には合わせたくない」
 悲壮さすら漂わせたカルナの大仰な返答に、朝食ビュッフェで椅子にふんぞり返っていたドゥリーヨダナは目を丸くした。
 ドゥリーヨダナはただ料理を取りに行くカルナについでを頼んだだけだ。それがちょっと種類が多かったりするくらいは愛嬌というものだろう。
 スーツ姿のドゥリーヨダナをカルナは立たせた。
「行くがいい。目標は八分目だ」
「ちょっ、ちょっと待てカルナっ!!」
 じたばたするドゥリーヨダナをカルナは押し出した。
「トレイと食器類はあそこだ。分からないことがあればスタッフに聞くがいい」
「わし様、料理など運んだことがないのだがーー!!」
 ドゥリーヨダナの必死の訴えにカルナの手が止まった。
 しばし思案する。この王子様を人々で賑わうビュッフェに放っていいものか。
「だが、己の限界は自身にしか分からぬものだ。行くがいい」
 カルナに言い切られてドゥリーヨダナはとぼとぼと料理の置かれているコーナーへと向かう。時折振り向く彼にカルナは助けようとする自分と戦わなくてはいけなかった。
 そんな彼らを見てアシュヴァッターマンが呟く。


■2024/08/15 No.322
ヨダナさん+マスター
「ください!!」

「まぁすたぁ」
「あ、ドゥリーヨダナ!いいところに!!」
 猫なで声のドゥリーヨダナにマスターは笑いかけた。
 夏のイベントでドゥリーヨダナの友であるカルナとアシュヴァッターマンが大抜擢されたのだ。
「カルナさんの新霊衣とアシュヴァッターマンの礼装おめでとう!!かっこよくて最高だよーっ!!」
 満面の笑顔で喜ぶマスターにドゥリーヨダナはうんうんと満足げに頷いた。そして小さなアルバムを取り出す。
「ところで、これを見るがいい」
「はうっ!!」
 それを一目見たマスターは鶴のように鳴いて悶えた。
「カルナの仕立てメイキング画像と、アシュヴァッターマンの没写真だ」
「ください!!」
「ただという訳にはいかんなァ」
 ひらり、とアルバムをマスターの視界から逃がしたドゥリーヨダナがにやりと笑う。
「これくらいでどうだ?」
「高いぃいいい!!ドゥリーヨダナは富豪王族でしょっ!!」
 責められてドゥリーヨダナは肩をすくめた。
「仕方ないであろう。だいぶ使ったので物入りなのだ。──動画もあるぞ」


■2024/08/14 No.321
カルヨダ
「浮かれすぎだよ」

「ヒロくんっ!!」
「待て!」
 突然路地裏に向かって駆け出したマスターに交戦中だったカルナの反応は遅れた。
 新宿には敵エネミーが徘徊している。ひとりしかいない護衛サーヴァントから決して離れないようにと物わかりのいいマスターを言い聞かせていたばかりだった。
 人形に似たエネミーを槍で打ち払い、カルナはマスターを追う。エネミーに襲われていたマスターを救出した。
 カルナは何も言わなかったが、マスターはうなだれた。
「友達がいたと思ったんだ。いるわけがないのに」
 人理が焼却されてから何年経っただろう。その間、マスターは友達どころか家族にも会えていない。
オレにも友がいる。友はオレが情けない真似をしても笑って許すだろう。だが、オレはあの男の友と名乗れる男でありたいのだ」
「友達に恥ずかしくない行動をしろってこと?」
「先程のおまえの行動は『ヒロくん』に語れるのか」
 カルナの言葉にマスターは俯いた。自分に置き換えるまでもなく言えることではなかった。
「カルナさんは友達に相応しい行動を心がけているんだね」
 さすがだとカルナを褒め称えたマスターは、カルナがアシュヴァッターマンが来てサンタになり、ドゥリーヨダナが来て夏コーデをゲットした様子にため息をついた。


■2024/08/13 No.320
ビマヨダ
「出撃!!」

 その合唱とリズムにビーマは槍を握りしめた。
 総力戦だった。カルデアの数百騎と比べ相対する敵は千を超える。さすがに顔を強張らせていたマスターをドゥリーヨダナが促して、合唱と足を踏み鳴らし始めたのだ。
「「カールーデーア!!」」ドンドンドン!!
 ふたりが始めたそれに心得た戦闘系サーヴァント達が続き、皮肉げな童話作家が足を踏み鳴らした。
「原始的なトランスだ。だが悪くない」
 子供サーヴァント達がそれに倣う。膨れ上がった狂騒の中、ヘクトールが顎を撫でた。
「なるほど『百王子』。数を使うのはお手の物ということか。──ところで、あんた。せめて顔を隠したらどうかい?」
 指摘にビーマは身体をぶるりと震わせた。
「悪ぃな。このリズムを聞くとどうしても血がたぎる」
 視界の端でカルナがアシュヴァッターマンが笑ってリズムを打ち鳴らしている。
 かって、戦場でこのリズムが聞こえた時は必ずあいつがそこにいた。半神と戦う味方を鼓舞するカウラヴァの合唱とリズム。
 その響きを自陣で受けながら、ビーマはドゥリーヨダナ達を見つめる。
 マスターが顔をあげていた。そこにはもう決意だけがある。
 リズムが最高潮に達し、マスターは腕を振り下ろす。


■2024/08/12 No.319
カルジナ
「カルナは珍しく満面の笑みで頷いた」

「アザラシがアザラシを見ている」
 恋人のカルナの感想にガネーシャ神は激怒した。
 たしかにゲームの合間、だらしなく横になって流行りのライブカメラをスパチャしながら眺めていたのは良くなかったかもしれない。
 だが、年頃の女性に向かってアザラシとはなんだ!!
「と、いうことでカルナさんをぎゃふん!と言わせてやりたいんス」
 相談されたドゥリーヨダナはガネーシャ神の上から下まで視線を走らせた。
「要は、アザラシに見えなければよいのだろう?」
ダイエットはノーセンキュー」
 ガネーシャ神のわがままに、カルナ最大の理解者はおもしろそうに唇の端をつりあげた。
「おまえ、アザラシと人間の最大の違いが分かるか?」
言葉を話すこと??」
「ん~~~?惜しいな。ちょっとこっちに来い。わし様がアザラシから人間にアップグレードしてやろう」
「アザラシだと思ってるんじゃないッスかーっ!!」
 騒ぐガネーシャ神をドゥリーヨダナはとあるところに連れて行った。
 そして数時間後。カルナ好みに着飾られたガネーシャ神は恋人の前で得意げに胸を張った。
「カルナさん、これでアザラシなんて言えないッスよね!」


■2024/08/12 No.318
カルヨダ
「旦那も浮かれてんだよ」

「カルナ!宝具を!!」
「承知した」
 いつもの周回に頼もしい声が響く。カウラヴァ3人の端に立つカルナが槍を引き寄せた。黄金の鎧が剥がれる。
「「うぉぉおおおお!!!」」
 何故か重なった声にマスターは二度見した。
 いつも中空に浮かび上がるカルナは地面に立ったままで、構えた槍には浅黒い手が重ねられている。
 ドゥリーヨダナだ。
 どこかで見たモーションでふたりが槍を振り上げる。
「「ヴァサヴィ・シャクティ!!」」
 いつもより派手に爆煙が響き渡った。
「──うむ。これはこれで「わし様の出撃回数が増えますね」貴重な体験だったなぁ!!かぁるな!!」
 マスターの言葉に手のひらくるんくるんさせたドゥリーヨダナのカルナはわずかに眉尻を下げた。
「もうしないのか?夏の霊衣はこうあるべきだとジークフリートが言っていたが」
「カルナさん、夏コーデはまだ届いてないでしょう?」
 気の早いカルナにマスターは予想される必要な素材に思いを馳せる。これで在庫が足りなかったらドゥリーヨダナに何と言われるか。
 顔色を変えるマスターに黙ってらぶらぶ宝具(仮)を見守っていたアシュヴァッターマンが口を開いた。


■2024/08/11 No.317
わし様+マスター
「アザラシというよりオットセイ」

「大きなビニールプールINわし様。その心は?」
 マスターの問いにビニールプールに座り込んだ水着のドゥリーヨダナはビーチボールを抱えた。
「わし様遊技場だ!わし様の美しくカッコ良い仕草に思うがままスパチャをするがよいぞ!」
 すっと両側から差し出されたQPにマスターはとりあえず笑った。
「アシュヴァッターマンもカルナもトンチキには怒っていいんだよ」
 マスターの両側に立つふたりは苦笑を浮かべる。
「悪ぃ。つきあってやってくれ。しばらくすれば飽きる」
「くだらない遊びだ」
 言葉を交わす3人の前でドゥリーヨダナは『わし様が考えた最強にカッコ良いポーズ』をとっている。
「獣ごときがちやほやされるなら、わし様はもっとちやほやされるべきだろう!!」
 その主張にアシュヴァッターマンとカルナがパラパラとビニールプールにQPを投げ入れる。
「アザラシは獣じゃなくて哺乳類だよ、確か」
 言いつつマスターもQPを投げ入れた。気分はおひねりである。
「よっ!最強のサーヴァント!!アーツ全体宝具!!」
 称賛にドゥリーヨダナが嬉しそうに胸を反らせる。
 その仕草にマスターは見覚えがあった。


■2024/08/11 No.316
カルヨダ
「特異点のオレの話だ」

 召喚サークルから出てくるものは多種多彩だ。サーヴァントだけではなく、麻婆豆腐やお弁当、ぬいぐるみまで顕現する。
 ドゥリーヨダナはそのひとつをマスターから押し付けられて、わかりやすく頬を膨らませていた。
「気に入らぬなら取り替えればいい」
「誰のせいだと思っている」
 ドゥリーヨダナの返答にカルナはわずかに目を丸くした。
 棍棒を握る硬い手が柔らかいたてがみをひっぱる。
「よりによって獅子! わし様ライオンきらーい!!」
 ライオンのぬいぐるみを揉みくちゃにするドゥリーヨダナだが、壊れない程度に力を加減しているので本気ではないのだろう。だが、カルナは首を傾けた。
「生前は良く獅子と遊んでいたが?」
「そうそう。気に入らない奴にけしかけたりしたなー。ビーマのヤツはあっという間に二つ折りにしてしまいおったが」
 思い出して唇を尖らせるドゥリーヨダナにカルナは視線を向けた。それにドゥリーヨダナは視線をそらせる。
「オレには言えないことなのか?」
 問われてドゥリーヨダナの唇がむにょむにょと動く。
ほら、おるだろう?獅子頭のサーヴァントが」
「エジソンか。悪い男ではないが」
「──おまえ、あいつに従っておったそうではないか」


■2024/08/10 No.315
カルナ+ジークフリート夫妻
「初めて聞く言葉だな」

「触らないで!!」
 山間に女の声が響く。
 その山は険しく、崖のように切り立っていた。そこを登るサーヴァントが3騎。
 先に進むのはランサーのカルナ、次にバーサーカーのクリームヒルト、最後にセイバーのジークフリートである。
 山の反対側では敵勢力がマスター達と相対しているはずであり、彼らは敵の背面を突く奇襲を担っていた。
 故に魔力は使えず、クリームヒルトは斜面から何度も落ちかけてジークフリートに受け止められていたのだ。
今からでも戻るべきだ」
 ジークフリートの言葉を振り切ってクリームヒルトは険しい山肌に細い指を立てる。噛み締めた唇に、一部の女性サーヴァントならこう言っただろう。
『危険だと分かっている戦場に愛しい男を黙って送り出せるはずがないでしょ』と。
 そんな彼らに先に行くカルナが手を伸ばした。無造作にクリームヒルトの細い腕を掴む。
 目を見開くジークフリートの前から彼の最愛の妻を自分の元へとひっぱり上げる。
「こうすれば早い」
 言い放ったカルナにジークフリートが強く目を光らせた。
「貴殿は人の妻への接し方を知らぬようだ」
 カルナは不思議そうに首を傾げる。


■2024/08/08 No.314
生前ビマヨダ
「見えているのは月の表」

 月は移り気だ。
 星々に囲まれてくるくると姿を変えるのに、地上を見もしないろくでなし。
 ビーマは空から焚き火へと視線を落とした。
 兄弟たちや母は疲れ切って地べたに眠っている。燃え落ちる家から彼らを抱えてここまで走ってきたビーマも疲れてはいたが、彼は体力に自信があったし。──眠れそうになかった。
 あの従兄弟に憎まれているのは知っていた。
 毒を飲まされて川に沈められたのは忘れようと思っても忘れられない。それでも、家族にまで危害を加えられるとは思っていなかったのだ。
 ビーマは集めた枯れ枝を焚き火に放り込む。パチパチと音がして炎が揺れた。
 泣き声が聞こえる。
 まだ幼い弟が眠りながら涙を流しているのだ。
 ビーマは目を伏せる。
 まだ彼が弟と同じくらいの年だった頃、彼は従兄弟たちを何度も泣かせた。
 木から落とし、川に引きずり込み、骨を折った。でもそれは半身の力を加減出来なかっただけで悪気はなかったのだ。
 空を見上げる。いくら手を伸ばしても、どうしてという問いは届かなかった。


■2024/08/07 No.313
わし様+カルナ
「それは彼が得難い君主だからです」
(旧・それは彼が優れた君主だからです)

 その時、ドゥリーヨダナを庇ったのはランサーのディルムッドとセイバーの蘭陵王だった。
 ただの微小特異点だと侮ってマスターの側から離れ、結果的に危機を招いたドゥリーヨダナに懲罰が必要だとカルデア上層部が判断したのだ。
 治療すれば治るとはいえ大きな怪我を負ったマスターに多くのサーヴァントはその判決を支持し。
 離れた理由がただのわがままだったと知ったカウラヴァメンバーは口を閉ざすしかなかった。
「では、ドゥリーヨダナは騒ぎが落ち着くまで霊基保管庫に格納する」
 温厚なゴルドルフの実質退去命令に蘭陵王が声を上げた。
「有能なサーヴァント4騎を失うというのですか?」
 主に疑われて自害した男の指摘にゴルドルフはカウラヴァの3騎を見る。
「旦那が霊基保管庫に入るというなら俺達も一緒に行く。サーヴァントの退去は自由意志のはずだ」
 アシュヴァッターマンの決意にふたりのカルナも頷いた。
「せめて、自室での無期限謹慎処分が妥当では?」
 結果的に主の妻を奪ってしまった男の提案にゴルドルフは唸った。
「なぜ、ドゥリーヨダナを庇うのかね?」
 質問にふたりはカルナを見た。
 主より優れ、主の妻との同席を許された男を。


■2024/08/06 No.312
ヨダナさん+マスター
「先に説明しなさい!!」

「マスター、待たせたな」
 声と同時にまっぷたつに割れた人混みの向こうに、スーツ、オールバック、サングラスのドゥリーヨダナを見つけてマスターは顔を引きつらせた。
 聖杯戦争の最中でも駅前の広場では噴水が冷気を吹き上げている。涼を求めて集まった人々が遠巻きにしているのは、どう見てもカタギには見えないドゥリーヨダナと。
 そんな彼に『マスター』なんていう怪しげな単語で呼ばれた人物である。
 割れた人混みを預言者のように堂々と渡ってきたドゥリーヨダナは悪巧みをする顔でマスターの肩に腕をまわした。
「見つけたか?」
「おう。よう逃げちゅう。──後は任せたぞ」
 囁きを交わして、霊体化してマスターの護衛についていた岡田以蔵が離れていく。
 状況が分からずマスターはドゥリーヨダナを見上げた。
 にやり、と悪い笑みが返ってくる。
「愚かにも単独行動をしていた敵のマスターを狙っていると、ひと目見て分かるつよつよのサーヴァントが現れた。おまえならどうする?」
「マスターに指示をあおぐか。──逃げる」
 人混みとは川の流れのごとくバラバラのようでいて纏まっている。そこから離れる者は目立つだろう。でも。
 マスターはドゥリーヨダナの胸に軽く肘を打ち込んだ。


■2024/08/05 No.311
カルヨダ
「つまり、太陽電池のようなものだな」

「カルナァァァ、こぼれてるじゃねぇか!!」
 アシュヴァッターマンの大声が食堂に響き渡り、カルナはかぶりついていた特大ハンバーガーから目線を上げた。
 その胸元にソースと具がついている。大きな宝石にも汚れがついていてアシュヴァッターマンは顔を覆った。
「すまない、気が付かなかった」
 現れた厨房のエミヤの手には大きなスタイがある。気遣いの出来る男はそれをさっとカルナの胸元に掛けた。
「待てっ!!」
 それを見て、カルナの向かいでサモサを食べていたドゥリーヨダナが叫ぶ。
 しかし、それは時すでに遅く。
 ゴンッ!!
 鈍い音を立ててカルナの頭がテーブルに激突した。
 突然気を失ったカルナからドゥリーヨダナがスタイを剥ぎ取る。カルナが顔を上げた。
「──落としてしまった」
「3秒ルールとやらでいけるだろ」
「なるほど」
 取り落としてしまったハンバーガーをテーブルから拾ってカルナは食事を再開する。
 その様子に絶句していた人々に自称カルナの最大の理解者は肩をすくめた。
「いつも胸元を開けているのはこういうわけだ」


■2024/08/04 No.310
カウラヴァ
「そしてああなった」
※カルナさんの夏のコーデネタ

「ドゥリーヨダナ、頼みがある」
 部屋にひとりで訪れたカルナにドゥリーヨダナは目を丸くした。
「夏のコーデとやらが決まって忙しいのではなかったか?」
「その話だ。──新しい霊衣にアシュヴァッターマンの要素を入れたい」
「ほう?」
 カルナの頼みにドゥリーヨダナの眉があがる。
「なるほどなるほど。驚かしてやろうというわけか。なら、派手に入れんとな!!」
 白い髪を摘んだドゥリーヨダナにカルナは微笑んだ。



「アシュヴァッターマン、頼みがある」
「あ゛?夏のコーデで忙しいんじゃなかったのか?カルナ」
 部屋にひとりで訪れたカルナにアシュヴァッターマンは片眉を上げた。
「その話だ。──新しい霊衣にドゥリーヨダナの要素を入れたい」
「そりゃあいい!旦那が喜ぶ!!」
 顔を輝かせて笑うアシュヴァッターマンは指折り数え始めた。
「たくさんあればあるほど旦那は喜ぶだろうからな」


■2024/08/03 No.309
わし様+マスター
「マスターは笑いながら部屋を飛び出した」
※Fesネタ

「わし様の宮殿によく来たな」
 キメキメのポーズで話しかけられてマスターは辺りを見回した。
 呼ばれて来た見慣れているはずのドゥリーヨダナの部屋は豪華な布がいたるところに掛けられて、確かに宮殿の一室のようだった。
 微動だにしないままドゥリーヨダナが言葉を続ける。
「わし様の故郷の宮殿に比べて、狭くて貧相な事この上ないが。まあ、これもサーヴァントの身では仕方ない。心のひろ〜いわし様はマスターの顔を立てて我慢してやっているというわけだ」
 そう言いつつもドゥリーヨダナは動かない。書き割りのような仕草にマスターは顔を綻ばせた。
 あえて返事をせず、次のセリフを待つ。果たしてドゥリーヨダナは動かないまま先程とは違う言葉を発した。
「カルナとアシュヴァッターマンにはもう会ったか?あの二人も祭りには参加しているはずだ。わし様ほどではないが、おまえを楽しませてくれるだろう。探すといいぞ」
「カルナとアシュヴァッターマンもお祭りの真似をしてくれてるの!?」
 祭りに参加できなくて落ち込んでいたマスターは顔を輝かせた。
 書き割りの真似をしているドゥリーヨダナは応えない。ただ、ぱちりとウィンクした。


■2024/08/02 No.308
ヨダナさん+C
「弟達を全て犠牲にした長兄が立っていた」

「アシュヴァッターマンはどこ!?」
「マスター!!顔を上げるな!!」
 精神異常耐性を持つ男を探そうとしたマスターにビーマは覆いかぶさった。そして自身も目を閉じて耳をふさぐ。
 それでも全身が総毛立つような悪寒と精神に直接響くような悍ましい声は防げない。
 特異点に喚び出された不定形のソレを見ただけでほとんどのサーヴァントは発狂した。俺は偶然発狂こそ免れたが、それだけだ。舌打ちしたその時、俺の横をよく知った気配が駆け抜けて行った。思わず耳から手を離す。
「旦那っ!やめてくれ!!」
 ぎちぎちという音とともにアシュヴァッターマンが叫んでいる。そして、
「32.33.34
 カウントしながら走っていくのは
 奴が何をしているのか分かった俺は顔をあげた。
「やめろ馬鹿野郎っ!!」
 触手に囚われたアシュヴァッターマンとマスターをかばって動けない俺を置いて、ドゥリーヨダナはソレに肉迫する。
 跳躍し、触手をくぐり抜け、咆哮に耐え、棍棒を振り上げた!
「97.98.99!!」
 急所を潰されたそれが絶叫と共に消え去る。後には、


■2024/08/01 No.307
マハバシャーク
「そうしてサメとの戦いが幕を上げた」

「ドゥリーヨダナ。オレは知らなかったがサメとは川を遡るものなのか?」
 アンガ国から川沿いにやってきたカルナの冗談にドゥリーヨダナとアシュヴァッターマンは顔を見合わせた。
「返り血まみれで何をいうかと思えば。サメとは海にいる化け物のことだろう?川にいたら困るではないか」
「そんな話口伝でも聞いたことねぇ。人を襲うって話だろ?川に迷い込んでいるなら駆除した方がよくねぇか?」
 ふたりの言葉にカルナは息を吐いた。
「もう遅いようだ」
 王宮に悲鳴が響き渡る。そして、シャー!シャシャシャ!という謎の鳴き声が!!
 駆けつけた三人が見たものは宙を泳ぎ人を襲う無数のサメたちだった。
「なんだこれはぁあああ!!」
「叫んでねぇで!手伝え!!このトンチキ!!」
 ドゥリーヨダナの叫びにサメに応戦していたビーマが吠える。襲い来るサメたちを掴んでは叩きつけ、時にはサメなのにサバ折りにし、凶悪な口を掴んでは引き裂いていたビーマに、ドゥリーヨダナは顔を引きつらせた。
「なぁ、カルナ。こいつの方が化け物じゃないか?」
「無用な心配だ。加勢する」
 弓を取り出したカルナの横を矢の雨が通り過ぎる。サメたちを射抜いたアルジュナの技にカルナが目の色を変えた。


■2024/08/01 No.306
ヨダナさん+アルジュナオルタ
「もう絆がいっぱいだから」

「このカルデアに来たからには、お前もわし様を敬い尊ぶように!」
 ドゥリーヨダナの宣言に召喚されたばかりのアルジュナオルタはゆっくりと瞬きした。
「──理由を聞きましょう」
 同じバーサーカーの先輩だからと、マスターはドゥリーヨダナにカルデアの案内を任せたが。そこにそれ以上の意味があるのだろうか?
 アルジュナオルタの疑問にドゥリーヨダナは得意げに目を細めた。
「おまえもバーサーカーなら感じているだろう?この霊基に付与されている力」
「クラススコアというものですね」
「うむ。バーサーカーのクラススコアは全開放されておる。それは誰のためかというと!!」
「──あなたのため、と言いたいのですか?」
 その言葉にドゥリーヨダナは胸を張った。
「もちろん!この最優にして最強!多段アーツ全体宝具のわし様のためである!!他のバーサーカーはわし様のおこぼれを
「アルジュナオルタ!!周回に行くので付いてきて!」
 マスターに呼ばれてアルジュナオルタが向きを変える。
 反対に、いつも呼ばれていたドゥリーヨダナは首を傾げた。
「わし様は?」



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