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フレーメンちう
2024-09-03 22:05:13
2402文字
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思い出と、初めてと
ボイジャー君と一緒にハンバーガーを食べる話です。ほんの少しだけヨダビマ風味です…!
「まーたお前は隠れて食っとるのか?」
食堂の明かりは落ちているにも関わらず、厨房だけは明かりが点っていた。原因の九割九分はビーマなのは見当が付いている。ドゥリーヨダナは呆れながらドスドスと厨房へ向かうと、カウンターからふわふわとした金色の髪が現れた。
「みつかっちゃった?」
ボイジャーだ。珍しい事もあるものだ。額に付けたゴーグルが明かりを反射し、目をぱちくりとさせながら、ドゥリーヨダナの声がする方へと顔を覗かせる。
「何だ、お前だったか」
「僕だけじゃないよ」
そう言われ、厨房を覗けば見慣れた紫色の髪が一束揺れていた。
「やはり、お前もいたか」
呆れたように溜息を吐きながら言うドゥリーヨダナだが、先程よりも声が弾む。
「うるせぇな。そう言うお前は何でここに来たんだよ」
不機嫌を滲ませるビーマに、ドゥリーヨダナはほんの少しだけ動揺を見せる。
レイシフトしていたとはいえ、珍しく中々帰ってこないビーマを探しに来たなどとは口が裂けても言えやしない。
ドゥリーヨダナは先程よりも大きな溜息を見せつけるように吐くと、ビーマを指差す。
「お前が戦いに出た対価だとか言って、食材を全部食い尽くさないか確認しに来たに決まっているだろう! サーヴァント達は食わなくても死なぬが、マスターを始めとした人間達は飯を食わねば死んでしまうからな。
……
もしや、ボイジャーから強請られたとか言って食い尽くす算段か?」
「僕がお願いしたから作って貰っているけど、食べつくしはしないから安心して」
純朴な瞳で見つめてくるボイジャーに、ドゥリーヨダナはぐぅ、と小さく呻く。ビーマに罪悪感を抱かせるために適当に言ったのに、まさか当たっていたとは。
渋い顔をするドゥリーヨダナへ、ビーマは呆れた顔を向ける。
「大食漢とは言え、分別はある。くだらねぇ事を言ってる暇があるならお前も食え。ハンバーガーは熱々なうちに食うのが一番旨いんだからよ」
ごとり、とカウンターに置かれた配膳用の盆には十数個のハンバーガーが並べられている。取れと言わんばかりに置かれたハンバーガーを、ドゥリーヨダナはひとつ手に取った。
焼きたてのバンズの熱が指先に伝わり、酸味のあるトマトソースの香りと焼きたてパティの香りが食欲をそそる。
ビーマはドゥリーヨダナが取ったのを確認すると、盆の端に乗せていた白い包装紙に包まれたハンバーガーをボイジャーに差し出した。
「熱いから気を付けてな。俺もハンバーガーを食いたかったし、ボイジャーからリクエストされたのは有り難かったぜ。それと、パティは羊肉で作ったから、普通のハンバーガーとは少し味が違うかも知れないが、俺の味って事で勘弁してくれ」
申し訳なさそうに眉を下げるビーマだが、ボイジャーは嬉しそうに受け取った。
「牛肉じゃなくても大丈夫。君が作る料理は何でも美味しいから」
「ありがとな。素直なボイジャーを見習ったらどうだ? ドゥリーヨダナ」
「やかましい。お前の料理を飽きずに食っている事が最大の賛辞と思え」
ビーマは無垢なボイジャーに微笑みを向けた後にドゥリーヨダナに釘を刺すが、当のドゥリーヨダナには一つも響かない。
「ビーマ、そんな事言っている暇があるならお前も早く食え。熱くて美味い内に食うのが醍醐味なのだろう?」
小さな意趣返しをしてニヤリと笑うドゥリーヨダナに、ビーマ少しだけむくれる。だが、一番優先すべき事は、出来たてのハンバーガーを食べる事だ。ビーマはひとつ掴むと早速齧り付いた。
「いただきます」
包装紙を開いたボイジャーはふと手を止めた。素手で食べるのは少し行儀が悪いと思ったのだろう。ボイジャーはフライトジャケットと手袋と一体化した宇宙服の上を脱ぐと、再びハンバーガーを両手で掴む。目を輝かせたボイジャーは愛おしそうにハンバーガーを見つめた。
「宇宙局の技師さんがハンバーガーを食べていたんだ。冷えてしまったハンバーガーとぬるいコーラを片手に残業していてね。あの頃の僕はまだ完成していなかったのに。こんな記憶があるのは、きっとみんなの想いも積んで宇宙にいったからなのかな」
満面の笑みを浮かべるボイジャーは、大きく口を開けて大きなハンバーガーに齧り付く。ハンバーガーからはみ出したケチャップソースが口の端を汚すが、ボイジャーは気にも留めずに咀嚼する。
「おいしい!」
「綺麗に食え」
ドゥリーヨダナはカウンターに備え付けられていた紙ナプキンを取ると、ボイジャーの口の端を拭う。随分と美味そうに食べるボイジャーだが、あまりにもなりふり構わず食べる姿に少々驚かされた。ロクデナシと言われた自身の弟達ですら、もう少し丁寧に食事をしたのに。そう思うと同時に、元々は探査機なのだから仕方ないだろうと思う。
ボイジャーの食べ方が少しだけ様になりはじめたのを確認し、世話を焼くのを止める。ドゥリーヨダナはまだ温かいバンズを掴みなおすと、大きな口を開けてハンバーガーに齧り付く。
ふかふかのバンズ、濃厚なチーズ、瑞々しいトマト、肉汁たっぷりのパティ、シャキっとしたレタス。たった一口で、それらが口の中に広がる。噛みしめればスパイスが利いたトマトソースが具材に絡み、弾力が強いラム肉のパティの旨味と良く馴染み、トマトとレタスの酸味と水分でさっぱりとした味わいになって喉へと流れていく。
「なかなかだな」
「褒めてんのかそれ?」
二個目のハンバーガーを食べ終わったビーマは尋ねるが、特に表情を出さないドゥリーヨダナは、もう一口、もう一口と黙黙と食べ続ける。
ボイジャーの様に素直な感想をひとつでも言えと思うが、ドゥリーヨダナに関しては賛辞の言葉よりも態度で示す方が本心に近いのだろう。気持ちの良い食べっぷりに、ビーマの口元が緩む。
「おかわりするなら、早めに言えよ」
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