フレーメンちう
2024-08-25 22:13:12
1428文字
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カメラ『ドゥリビマ版ワンドロワンライ企画』

ドゥリビマ版ワンドロワンライ企画「カメラ」のお題をお借りしました。+15分。初めて書いた現パロでした…!

 名を呼ばれ、ドゥリーヨダナは不意に振り向く。
 それと同時に軽いシャッター音が聞こえ、カメラをこちらへと構えるビーマがいた。
「なかなか良い写真が撮れたぜ?」
「勝手に撮るな馬鹿者。盗撮だと訴えられたいか?」
 幼馴染みのドゥリーヨダナとビーマは、大学は違えど時折顔を合わせていた。

 ビーマが勧めるカフェへ行く道すがら。いつの間に買ったのか、ビーマの趣味には似つかわしくない一眼レフのカメラを構えていた。ビーマの大きな手のひら程のカメラは随分と古く使い込まれているようで、今時のカメラでは見ない形だ。
「しかし、お前にカメラの趣味があったとはな」
「趣味って程ではないけど、この前行ったフリマで見つけたんだ。レトロで面白いだろ?」
 満面の笑みを見せるビーマは、ドゥリーヨダナがカメラを見やすいようにネックストラップを外す。ビーマの手から取り上げ、まじまじと眺めてみればフィルムタイプの様だ。「今時、デジタルカメラじゃないとは……レトロを通り過ぎて骨董品だろう。扱い方を聞いたのか?」
 ますますビーマが扱いきれなさそうな代物に、ドゥリーヨダナはほんの少しだけ呆れを見せる。そんな様子にビーマは気にも留めずに胸を張る。
「買うときに使い方を聞いたからな。写真を一枚撮る度にフイルムを巻かなきゃいけない事と、レンズの所を回してピントを合わせなきゃならないのと……
 そこまで言ったところで「後は何だったか……」とビーマは小首を傾げる。他にも重要な事を説明されただろうに忘れているビーマに不安を抱く。
「途中でフィルムカバーを開けるな。と、言われなかったか?」
「そうだ、それを言われたな。ドゥリーヨダナもカメラに詳しいのか?」
「以前、チトラがカメラを弄っていた時があったからな。その時に借りて遊んだものだ」
 ドゥリーヨダナはファインダーを覗き込み、ビーマへピントを合わせる。
 撮られるとは思っていないのだろう。いつもの人懐っこく、それなのにどこか凜々しさを纏う。
 大食らいで、腐れ縁で、時折無作法で、誰にも優しくて――
 ファインダー越しに視線が合う。柔らかな笑みの中に、ほんの少しだけ熱を帯びた瞳。ドゥリーヨダナにしか見せないビーマの表情。
 カシャリ、とシャッターを切れば、ビーマの目が丸くなる。本当に撮られるとは思っていなかったのだろう。
「撮るなら言えよ」
「お前の阿呆面を撮ってやったぞ。有難く思え……ん?」
 巻き上げレバーを引くが手応えが固い。ドゥリーヨダナの様子にビーマも駆け寄る。
「最後の一枚だった様だな。早速開けてみるか」
「やめんか! 今まで撮ったのが全部ダメになるわ!」
 ビーマの手から逃れるように腕を引くと、急いで巻き戻りクランクを回してフイルムを本体に収める。
「そういえば、これを写真に出来る店は知っているのか?」
「いや、ネットで調べようかと思ってたけど……
「ならこちらでやっておこう。下手な店に持っていって、撮った物を全部ダメにされても困るから」
 呆れたように言うドゥリーヨダナに「何でお前が困るんだ」と言いかけたが、確かに折角撮った写真が見られなくなるのも悔しい。
「じゃあよろしくな。後で印刷代を教えてくれ」
「そんなはした金、払わんでも良い」
 ドゥリーヨダナはカメラをビーマへ返すと、フィルムを大事そうに鞄へしまった。

 最後に取れたビーマの写真。あの写真だけは手元に置いていたい。