フレーメンちう
2024-06-04 20:41:42
1607文字
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コーヒー『ドゥリビマ版ワンドロワンライ企画』

ドゥリビマ版ワンドロワンライ企画「コーヒー」のお題を借りました。弊デアのジャンヌオルタ(水着)ちゃんは修羅場のお供にコーヒーを飲むので、コーヒーについて一番詳しい状態です…!

 ザラザラと聞き慣れない音が食堂から響く。既に夕食の時間は過ぎ、キッチン組の片付けも終わっている時間の筈だ。
 コーヒーを淹れようと、自分のカップを手にしていたドゥリーヨダナは不思議そうにキッチンを覗き込む。コンロの前にはビーマが居り、小ぶりなフライパン程度の物を手にしながらゆっくりと揺らしながらそれを炙っていた。
「ビーマよ、こんな時間に何をしておる? また夜食でも作っておるのか?」
「ん? 俺もジャンヌにコーヒーの事を聞いてな、試しに自分で豆を煎ってみようと思ってな」
 中身をドゥリーヨダナに見せようと、手にしていた物を傾ける。全体が網状になっており、中にはチョコレート位に色付いたコーヒー豆が入っていた。
――ビーマが焙煎に興味を持ったか――
 普段はドゥリーヨダナの方がコーヒーに詳しいのにビーマも興味を持ち、あまつさえドゥリーヨダナは行わない焙煎までもやり始めた事が気に入らない。自分の領分を侵された気持ちを抱く。
 だが、ビーマはどの様な味のコーヒーを仕上げてくるのか興味が湧いてきた。
 ドゥリーヨダナが大人しくなった事を特に気にせず、ビーマは再び豆を焙煎し始めた。普段行っている料理の腕が生かされているのだろう。流れるような手捌きに見惚れているといつの間にかドリップまで差し掛かっていた。コーヒーポットに落ちていった淹れたてのコーヒーから立ち上る香りは、ドゥリーヨダナが普段飲んでいるコーヒーよりも強く、爽やかさがほんの少し漂う。
 コーヒーひとつ淹れるだけでこんなにも差が付くものだ、と言わんばかりの香りに、初めて行う料理でもビーマの方が上手だと思い知らされるよう様で苛立ちを覚える。
「試しに飲んで貰えるか」
 ビーマの言葉にドゥリーヨダナは黙って手にしていたカップを差し出す。ビーマは嬉しそうにカップを受け取り、コーヒーポットから丁寧に注ぐ。
「どんな感想でも良いから言ってくれ」
 処女作だからな。と、ほんの少し気恥ずかしさを含みながらビーマはぽつりと呟き、ドゥリーヨダナにカップを返す。
 湯気が立ち上るカップを手にしたドゥリーヨダナは、ゆっくりと一口啜る。コーヒー特有のほろ苦い香りの後に、フルーティな香りが鼻腔を抜けてふわりと広がる。ドゥリーヨダナ好みの深煎りのしっかりとした香ばしい匂いよりは随分と軽い。その上、口に広がる筈のコーヒーの味わいも随分と薄い。
 コーヒーを好むドゥリーヨダナよりもビーマの方が淹れるのが上手いのも不愉快だが、コーヒーの一つも淹れられないビーマも不愉快だ。
 言葉を発さず眉間に皺を寄せるドゥリーヨダナの姿に、ビーマも一口付ける。ドゥリーヨダナが淹れたてコーヒーと全く違う。極端に言えば、匂いが付いた薄ら苦い湯を飲んでいる様だ。
……コーヒーって難しいな」
「コーヒーは奥深いぞ。わし様もオルタに色々教わってな。しかし、煎り方もきちんと教わったのか?」
 ドゥリーヨダナの言葉に、ビーマは小さく「あっ」と声を零した。
「煎った直後に淹れても美味くないって言われたんだった」
 味が良くなかった意外な理由にドゥリーヨダナは目をぱちくりとさせた。だが、ビーマの凡ミスだった事に胸をなで下ろすと、満面の笑みを浮かべる。
「そんな大事な事を忘れるとは! 仕方ない、残りは後日飲むとするか。お前好みのコーヒーをわし様が見繕ってやろう。どうしても煎りたい言うならば、その要望を尊重してやっても良いが?」
 その言葉にビーマは驚きつつも、嬉しそうに微笑む。
「いや、コーヒーはお前に任せる。その方が豆も無駄になんねぇだろうし、俺はコーヒー似合う飯や菓子を用意した方がお互いに良いだろう?」
「ふん、よく解ってるではないか」
 憩いの時間がますます楽しみだ。ビーマの提案に対して満足そうに目を細めるドゥリーヨダナは、カップに残っていたコーヒーを飲み干した。