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バラ肉
2024-11-17 18:43:00
4165文字
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一番になる条件【ペイジャン】
🦋移住決意により募集した『リプ来たセリフで小説を書く』タグにて、
きつねまどさんより「やるよ、それ。あんたに」でペイジャン。
仲良し悪魔超人の写真を見せるジャンクマンと見せられるペインマンの話。
(例の集合写真をご想像ください)
普通に仲良く過ごしてます。
ペイジャン2作目ですが楽しく書かせていただきました!!!
その日、日課となったペインマンとのスパーリング後。
ジャンクマンは、いつものように練習相手である完璧超人の部屋で、クールダウンがてら休憩を取っていた。
殺伐としたリングを得意とする割に、ペインマンの自室は彼の緩衝材ボディ同様に柔らかな色合いの調度品と、手触り重視の小物でまとめられている。
中でもペインマンが自分の体を参考に作ったソファは一際柔らかく、肌を包むカバーはシルクのように滑らかだ。ちなみに、ジャンクマンが誤ってジャンクハンドをその表面に突き刺した時も、何故か跳ね返って無傷だった
……
という謎材質である。
ともあれ、そんな疲労後の体には大歓迎な最高ボディのソファで寛ぎながら、ジャンクマンはペインマンが差し出すプロテインをストローで勢いよく啜る。
ズズッ! 音を立てて吸えば、さも楽しげに相手の唇が綻ぶ。
「テハテハ!私特製のプロテインはさぞかし下等超人には美味かろう!」
ご機嫌に尋ねてくる顔はそれはそれは自信に満ちていた。ジャンクマンの肩を軽く小突きながら語る口振りは、相変わらず勝手で尊大だ。
そんな相手に、ジャンクマンはプハッと口を離すと、やや眉間にシワを寄せた。
「
…
.まあ、悪くはねぇな」
本当は、調子に乗るな、と反論したいものの、どうせ言ったところで暖簾に腕押しなのは分かりきっている。ならばつまらない労力はナンセンス。
彼は文句を吐く代わりにストローの先をつまらなさそうにガジガジ噛んだ。
対してペインマンは想像通りの肯定を得たのが嬉しかったのか。
「テハハッ!そうだろう、そうだろう!」
今度は背中をバンバン叩きながら、高らかな笑い声を上げる。
普段は滅多に褒めない無骨な男が、こちらの技量を認める。それは昔から彼にとって大好物な状況だ。
「この配合はゴールドマンも気に入っていたからな! あの男と同じ味を堪能できること、誇って良いんだぞ。いや、むしろゴールドマン自身にも自慢してやるといい!
テハテハ〜ッ!
鼻高々に語る口調はあまりに傲慢で、ジャンクマンがどんな顔をしているかなど気にも止めていないだろう。勿論、未だにバンバンッと勢いよく打つ掌に、その晒された背中が赤くなっていることも、しかり。
(この野郎
……
)
痛みに、そろそろこめかみの血管が浮き出そうになろうか
——
と思った矢先。ジャンクマンはペインマンの言葉を無意識に頭の中で反唱して、ふとある事を思い出した。
「あ、そういや
……
テメェに渡すモンがあったんだ」
「テハ???」
そしてジャンクハンドをゴソゴソと動かすと、一体どういう構造なのか。プレス機のすきまから、何故か一枚の紙切れをするりと出てくるではないか。
「ん?」
そのまま器用にペインマンの膝の上に落ちたそれに、彼は不思議そうに視線を向ける。
「なんだ?」
ジャンクマンに飲ませていたカップをサイドテーブルに置き手に取って見てみる。するとその紙には、目の前の男とかつての同胞を真ん中に置いて、見慣れぬ超人達がずらりと並んでいた。
「おい、ジャンクマン。これは
……
」
「やるよ、それ。あんたに」
一体何だ? そう問いかけるより先に、自分にくれてやると言われてしまい、思わず訝しげに顔を歪めた。
「いや、だから」
「ああ? それは悪魔超人軍の集合写真だよ。ちなみに最新版だぜ? 手前ェ、将軍様が俺らと仲良くしてるかよく聞くだろ。だから、それ見たら安心するかと思ってよ」
尚も言いすがる声に、ジャンクマンは何事もないように答えを述べる。
まさか相手が“写真なるもの”を初めて見たとは思ってもいないのだろう。
「ほう、これが写真というやつか
……
」
しげしげと写真を見つめる目はどこか物珍しらげだ。
何より、映っているものも興味深かったらしく。
「テハテハ! あの男にこんな趣味があるとはな!それに、ジャンクマン。貴様もゴールドマンの真後ろとは良い位置を陣取ったな!」
子供のようにはしゃぐ声はいつもよりも明るい。
たからか、ジャンクマンもついつい得意げに胸を張る。
「当たり前だろ?オレは将軍様の愛弟子だぜ?」
にんまりと上がった口角は、本人としても特等席を取った自覚があるらしい。
撮影時、悪魔騎士はもちろん、七人の悪魔超人達からもブーイングを受けたことは今思い出して笑える。
そしてジッと食い入るように見つめるペインマンに、彼はそっと頭を寄せた。
「ほら、俺達の後ろのデカくて角張ってるのが今の悪魔超人の首領格のサンシャイン。んで、将軍様の隣の変な冠被ってるのが魔界の王子のアシュラマン。あ、ちなみにサンシャインの隣に立ってる丸いのがくっついてるのがプラネットマンで、その正反対のとこにいるスニーカーみたいなワニがスニゲーター。で、見るからに忍者してる野郎がザ・ニンジャだ。これに俺を合わせて
……
」
「ちょ、ちょっと待て!」
「悪魔騎士、って、おい! 俺の話を途中で切るなよ」
茶々を入れるなと憤るジャンクマンとは反対に、いきなり写真の中の人物達を説明されたペインマンはらしくなく困惑の顔を見せていた。
「いやいや、そっちそこ突然どういうつもりだ? 私はお前とゴールドマンのことは興味があるが、他の下等超人など塵ほども用はないぞ!」
言葉の通り、元同胞である悪魔将軍と、自分を負かしたことをキッカケに交友を持つこととなったジャンクマンに対して、互いのベクトルは違うもののペインマンは彼ら二人には言い様の無いほどの思いを抱いている。その反面、他の悪魔超人達に関しては何かしらの感情すら無い。
なのに、そんな面々を紹介された所で迷惑に他ならず。
「まったく、どういうつもりだ?」
訝しげに顔を歪めるのもしょうがない。
だが、ジャンクマンは素知らぬ顔でフウっと溜息一つ。
「んなことは知ってるよ」
あっけらかんに彼の主張を一蹴する。
更に、「なら」と言い募る相手に、わざとらしく肩を竦ませる有様だ。
「その上で言ってんだよ。最近、テメェがオレの話を聞きたがる割に、『それは誰だ?』とか茶々入れるから
……
なら、これを機に覚えろってんだよ?」
フンっと鼻を鳴らす姿は余りにも堂々としていて。
「オレのことが知りたいなら、ちゃんと周りも把握しろっての。
……
でなけりゃ、オレの1番にはなれねえぜ?」
「っ!?」
ニヤリと笑うジャンクマンの顔は、リングで敵に見せるのとは違う不敵さを纏っていた。まるで相手の想いを試すような、そんな笑みだ。
だから普段なら何を言われても何倍にして言い返すペインマンも、言葉に詰まる。
「それは、確かに
……
」
実際、ジャンクマンの言っていることには道理がある。
彼との仲を深めるため、スパーリングを重ねるのと共に、彼の人となりも知るべく、スパー後の休憩時間を使って相手を質問攻めしてきたのは紛れもない事実だ。
また、今でこそこうして気を許して寛いでいるものの、最初は心底鬱陶しがる相手にあの手この手を使って何とか引き止めようと策を練ったのは
……
ペインマンにとっては懐かしい過去だ。
結果、具合のいいソファや彼専用のプロテインカップを構えるに辺り、その準備に駆り出された墓守鬼達は数知れず。
そんな涙がましい努力の甲斐あり、ジャンクマンとの練習後の雑談が日常化した
——
までは良かった。
しかし、元来興味のないものは眼中にないこともあり、毎度彼の話に登場する悪魔超人について問いかては渋い顔をされる。を繰り返した自覚はある。
「むむむ」
よって、反論を語れぬ唇が、代わりにへの字に曲がる。
「ニヒヒッ、ほら、観念しやがれ」
そんな相手の沈黙を肯定と受け取ったのか。肩を揺らして満足げに微笑むと、ジャンクマンは再び彼の顔の横に自分の頭をぶつけて写真の説明を続ける。
「んで、このでかい牛男がーーー」
楽しげに語る声を大人しく聞きながら、ペインマンは仕方く手の中の小さな四角を見つめた。
こんな紙切れ一つに感情を突き動かされるなんて、と思う反面。この場にいない相手の状況を目視できる利便性は中々のものだ。
それに何より、大切な存在の時間を切り取ることができる事実が無性に尊く感じた。
もしもあの頃、写真という存在があれば
……
古の仲間を懐かしむ記録媒体があれば、自分たちはここまて拗れなかったかもしれない。
(残さなければいけないのは、憎しみの心ではなかった)
楽しそうに語るジャンクマンの横顔へ視線だけ向けながら、ペインマンは決意するように小さく頷くのたった。
そして、全員分の説明を聞き終えたペインマンは、「終わった終わった」と一仕事終えた風にソファにもたれるジャンクマンへ向けて、ニッと歯を見せた。
「なら今度は、私も、お前の仲間に紹介してもらわないとな!」
「はあ?」
言うなり、くっついたソファと背中の間に腕を伸ばした男は、些か乱暴に彼の腰を持ち上げる。
「ニガッ! ちょ、おいっ」
「写真というもの、気に入ったぞ!私もお前と、今の時を残したくなった!という訳で、善は急げだ!写真を撮るぞ、ジャンクマン!確かカメラ超人が墓地にいた筈だ!」
気付けば両腕で抱え上げられていたジャンクマンは、突然の展開にポカンと口を開けるばかり。
まさか完璧超人が写真なんて儚いものを残そうなんて言い出すなんて想像だにしなかった。
しかし、ズンズンと部屋の出入り口に向かう足に迷いはなく。
「だから、お前の仲間たちに言うといい! これが、『オレの恋人だ』とな!テハハハッ!」
「はぁ
……
なんつー理屈だよ」
ご機嫌に高笑いするペインマンはすっかりその気のようだ。
こうなってはもうどうしようもない。
ジャンクマンは大人しく抱かれながら軽く頭を振るのだった。
(今更止めるなんて、流石に無粋だしな)
そんな言い訳めいた考えと共に、この男と自分のツーショットを想像した彼は、ほんの少し顔を緩めるのだった。
後日。
出来上がった写真を配りまくるペインマンと、それをジャンクハンドで必死に回収するジャンクマン
——
という構図が、魔界とサン・モン・パルフェの至る所で目撃されるのであった。
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