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chuahaaan
2024-11-17 01:30:19
3490文字
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AC6
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第二世代型の性能
解放者√で生き延びる可能性があるオキーフとアーキバス陣営がルビコンを脱出するお話
ほぼモブ。書きたいところだけ書いた。
アイビスの火で焼き払われた地上は独立傭兵レイヴンの名の下に蜂起したルビコン解放戦線の猛攻で燃え上がり始めた。
攻撃が届かぬ高度の雲の下、ヴェスパー第3部隊の隊長艦の一室にオキーフは部下と共にいた。モニターに表示される戦況とそれを報告する声がひっきりなしに飛び交う。
「V.Ⅱ スネイルの生体反応が消えました!」
「元V.Ⅳ ラスティの機体反応消失」
「V.Ⅱ連絡途絶に伴い、ヴェスパー全部隊指揮権限がV.Ⅲ オキーフへ譲渡、拒否される場合は人事システムが生存者より選抜します」
「スネイル閣下配下の艦隊が解放戦線と交戦中、第三部隊へ支援要請が来ています。いかがいたしますか」
「ザイレムからのエネルギー反応低下、衝突軌道が変化しましたが、なおもバスキュラープラントへ向かって航行中。自動制御のようです。我々で制御を奪いますか?」
「解放戦線に降伏する地上部隊が出ました。全部隊撤退させて立て直しをさせましょうか」
「そうか
……
」
「オキーフ長官」
壮年の部下が隣で指示を待つ。戦闘中の安全のためにフルフェイスヘルメット型の通信装置をかぶっているせいで見えにくい表情が指揮を執るように促す。
手の中のコップに残ったフィーカを飲み干す。口の中が乾いた泥を詰め込まれたようにざらりとするほど渋味が強い、いつもの味だ。
コップを置いて立ち上がり、ヴェスパーの新たな指揮官が名乗りを上げた。
「ヴェスパー全部隊指揮代理、V.Ⅲオキーフより全艦へ通達、総員撤退!生きてその経験を、一つでも多くの情報を持ち帰れ!」
隊員たちはヴェスパーを導く新たな指導者に敬礼をした。
「艦長、これより本艦は指揮艦になる。バックアップ艦と分散処理を行え」
「了解」
艦長は第三部隊艦隊を再配置し、隊長艦を二重に取り囲む輪形陣になった。彼らで指揮艦を守りながらルビコン3全体から集まるヴェスパー部隊の通信を中継し処理するのだ。
「報告と観測結果を基に航行安全エリアマップ作製、断片でもいい、今すぐ送れ!」
「了解艦長!交戦区域、ザイレム航行起動、落下物予想も送りますか」
「もちろんだ!分割を忘れるなよ」
「了解」
「艦長、地上部隊撤収時、再教育した土着民などはどうしますか?」
「地上にいるものは捨て置け!乗船している者は使え!わざわざ下ろす時間も人手も惜しい」
わざわざヘルメットのシールドを上げてオキーフの方をちらりと見て「そうでしょう」と言わんばかりの目を向けてくる。私の下で部隊を動かすようになり、年齢と共に深くなったしわがより深くなっている。童顔だからと生やした髭が似合うようになった。
うなづき返せばうれしそうな顔をシールドで隠して指揮に戻る。
しばらくすると撤収が完了した部隊がルビコン大気圏外離脱航行に移り始めた。推進力が小さいエンジンではルビコンを周回しつつ得た遠心力で飛び出すしかない。少ない周回数で飛び出すならば重力が弱い赤道上を使いたいが、監視衛星の包囲が厚くて使えない。
「艦長!どうしましょう地上部隊が合流しますが、拿捕艦達が
……
」
「訓練が不十分だったか」
上がって来た報告に艦長の顔が曇る。惑星封鎖機構から拿捕した艦に乗った部隊が航行中のリスク分散に隊員を移したいと打診してきた。訓練も不十分な彼らが拿捕した艦を今まで乗ってきたアーキバスの艦のように操縦できるかと言えば、否である。全艦隊の動きを見ていたが、損耗が妙に激しい拿捕艦の動きが気になっていた。
とりわけ今回の離脱は長時間にわたってエンジンを全開で吹かし、ザイレムのような障害物回避に自動操舵機能が間に合わなければ手動で修正しなくてはならない。操舵と機関双方にとって負荷が大きい。
確実な死を覚悟してルビコンに残るか、可能性に賭けて宇宙に逃げるか。
「わかった」
「オキーフ長官?」
肩口まで伸びた焦げ茶色の髪を結びながら艦長に歩み寄る。
「電子整備部隊をバレンフラワーのガレージに集めてくれ、ACと艦のアンテナを接続し、私が彼らの艦を誘導する」
「長官、あなたにそのような負荷をかけるわけには」
「大丈夫だ、この程度の操舵なら問題ない。私を“何”だと思っている?」
オキーフが羽織っていたジャケットを艦長に押し付ける。
「
……
ご無事を祈ります」
「何かあったらあとは君に任せるよ」
ヘルメットをかぶってパイロットスーツで立ち去るオキーフを見送る艦長の手の中には襟のヴェスパー部隊の徽章が金色に輝くオキーフのジャケットが残っていた。
--・-- ・- -・ ・・
艦内のガレージの外から中へ幾本ものケーブルが床を伝い、ACバレンフラワーのコアに向かって伸びている。
パイロット搭乗リフトに続く通路にはDJブースの様相を呈した機械の山を操作する整備員がいた。機内のパイロットの緊急事態への対応と補佐の名目でいるのだが、実質ただの見守りだ。
モニターからはリアルタイムで高めの心拍数と安定した体温と酸素濃度のデータが送られてくる。中にいる強化人間、オキーフはゆったりとコックピットの座席に腰かけ、物理キーボードを叩いている。
見上げるバレンフラワーはビルのように巨大で、腕の一振りでもすれば自分はケチャップのシミのように壁にこびりつき、埋葬のついでの掃除で下水と共に流されてしまうだろう。
そんな殺戮と破壊のための存在が今、人を助けるために動いている。
「おーい」
交代要員が来た。
「ねえ、今、いくつ?」
モニターに並んだ点につけられたラベルの数字を探す。
「10。一つの軌道を飛ばしているけどよくやるよ」
「本当に舵も遠隔で操作してるの?」
うなづくと疑わしそうに体をのけぞらされた。動きがオーバーだが、ヘルメットを被った生活に慣れるとこうなってしまう。
「送受信圏外の制御はほとんど向こう任せだけど、圏内は制御しながら操舵の指導してる」
未だに覗き見をさせてもらっている通信内容を何度見ても信じられない。
艦の制御と通信は強化人間からACを介して伝えられる。ほんの数十分の通信時間で軌道のずれを修正し、次に来るまでの操舵と修理の指示をしていた。時には3台同時に通信していることもあった。
ひっきりなしにキーボードを叩いて艦内サーバと送受信する内容は惑星封鎖機構のマニュアルや図面だった。この人にとって「知る」と「知っている」の境界線はどこなのだろうか。
「
……
強化人間って言うけどさ、人間やめてるよな」
バレンフラワーの頭部は他愛もない内容に興味をなくしてカメラの制御をやめた。
--・-- ・- -・ ・・
惑星封鎖機構の艦とはいえ基本は変わらない、操作方法が“少し”違うだけだからマニュアルを見れば操作ができる。若いからすぐ慣れるとかなんとか第五隊長に言われたけど、そんなわけあるか!!
衝撃対策器具のフルフェイスヘルメットのHUDに操縦支援AIが表示する情報を見てもすぐに体が動かない。機関部員から上がってくる情報の分析結果から指示を飛ばそうにも構造を把握してから指示を出さなくてはならない。そもそもマニュアルのどこに書いてあるのかすら知らない。
三等機関士だった先月に戻りたいと嘆く暇もなかった。
本隊から機関部修理とチューニングの情報が来なければこの艦は空中分解していただろう。
今は低重力の艦内で揺られながら失った水分と喉のうるおいを求めて給水所のメニューを眺めている。
「ごめんなさい、私にもなにか、飲み物をいただける?」
老齢の一等機関士には彼女が好きな砂糖たっぷりのレモンアイスティーを飲料ボトルに詰めて渡す。惑星封鎖機構はパウチではなくポンプを取り付けたボトルを再利用して使う方針らしい。
一等機関士長がレモンアイスティーを口の中で転がして少しずつ飲みこんでいく。この部屋で一番経験があり、アンチエイジング術や身体強化サポーターを使っているとはいえ、疲れるらしい。
「はぁ
……
まったく、大戦を経験している方は違いますね」
安堵のため息に続いて出て来たオキーフ長官への感想がなぜか気になった。
「先の、アイランドフォーの前ですか?」
「いいえ、そのはるか前
――
60年ほど前の戦争です」
見た目が40代くらいのあの方がその年齢の時に強化人間手術をしたとすると100歳を超えていることになる。
「あの方、おいくつなんですか?」
「さあ?情報部の秘密を知って幸せになることはありません。お仕事に戻りましょう」
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