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早瀬はやお
2024-11-16 19:59:24
3072文字
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お題【おめでとう】
ワンライのお題【おめでとう】をお借りしました。付き合ってない上中。🍆→🐬な感じです。🍆さんの誕生日🎂も兼ねてます!
ワンライのお題【この後どうする?】【おめでとう】【チェリー】の順に繋がっています。
「九月十五日、もし予定がなかったら。一緒に飲みに行きませんか?」
任務受付所で任務報告書を差し出された時、突然カカシにそう誘われて、イルカは報告書を受け取る手が止まった。
随分具体的な日付を指定した飲みの誘いだなと、不思議に思う。
飲みに行きたいなら、今夜でも良い筈なのに。
忍びにとって未来の話は常に不確定で、今はあっても明日の命すら分からないのだ。
それはカカシ程の実力者であっても。
いや、カカシだからこそ、出来る約束なのかもしれない。
「良いですよ。是非ご一緒させて下さい」
イルカはそれ以上深く考えるのを止めて、素直に了承した。
(カカシ先生には、先日お世話になってるし)
そう、イルカは先日。
火影のお使いの付き添いを頼み、カカシには大変お世話になっていた。
火影のお使いである新書の届け先は、セクシーで胸の大きなお姉様方が接客をしてくれる夜のお店だったのだ。
玄人であるお姉様方は、イケメンのカカシよりも、平凡な素人のイルカを落とすことの方が俄然燃えるようで、危うくイルカは貞操の危機だった。
それを救ってくれたカカシには恩があった。
お姉様方を撃退する為に、イルカとキスまでして。
(カカシ先生は演技とはいえ、あれはやり過ぎだったと思うけど
……
)
お陰で助かったのだから、結果オーライではあるけれど。
イルカとしてはカカシに申し訳ない気持ちもあったのだ。
九月十五日当日。
カカシは約束通り夕刻には任務受付所に現れて、イルカの受付業務が終わるのを待っていた。
カカシは幾分ホコリまみれで、草臥れた様子なのがイルカには気にかかった。
(カカシ先生、無理して任務を早く終わらせて来たんじゃ
……
)
そんな不安も感じたが、イルカの仕事が終わると、カカシは嬉しそうに微笑んだので、イルカは内心ほっと安堵していた。
「お待たせしました」
荷物を纏め、イルカが小走りにカカシの元へと急いだ時。
突然イルカを遮るようにして、一人のくノ一がカカシに近付く。
「カカシ。お誕生日おめでとう。今夜は私がお祝いしてあげるから、一緒に飲みに行きましょうよ」
(カカシ先生。今日誕生日だったのか!)
全く知らなかったイルカは驚く。
そんな大切な日に、イルカを誘うなんて。
「ごめーんね。今夜はイルカ先生と飲みに行くの」
カカシはイルカを見詰めながら、笑みを浮かべる。
振り返ったくノ一はイルカの姿を見付けると、ムッとした顔を浮かべ、キッとイルカを睨み付けながらその場を去って行った。
「それじゃ行きましょうか」
カカシは飄々としながら歩き出す。
「カカシ先生。あの
……
」
カカシにとって誕生日という大事な日を過ごす相手は、イルカで良いはずがない。
そう口に出しかけて、イルカは思い付く。
「もしかして、俺は虫除けですね?」
「え?」
カカシは意味が分からないのか、ポカンとしていたが。
(そうだ。それなら分かる)
先程のくノ一のように、誕生日に託つけて言い寄ってくる者たちを追い払う為のカモフラージュ。
今夜のイルカの役目は、害虫避けなのだ。
その証拠に、繁華街にある居酒屋迄の道中、カカシに声を掛けて来るくノ一は途切れなかった。
中にはカカシにプレゼントを押し付けてくる者もいて、カカシは丁重に断っていたのだが。
強引に、プレゼントを一方的に押し付けていく者もいた。
カカシは忍犬を呼び出すと、押し付けられたプレゼントを送り主に返しに行くよう命じた。
一瞬にして走り去る忍犬の後ろ姿を見送りながら、イルカは口を開く。
「せっかくプレゼントを用意して頂いたんですし、素直に受け取っちゃえば良かったのに」
「ダメダメ、一回受け取ったら、次はプレゼントを倍返しですよ。それに期待させちゃうでしょ? あわよくば、俺と付き合えるんじゃないかって」
「あ
……
」
「イルカ先生も、簡単に受け取っちゃ駄目よ?」
「いや
……
俺は」
「彼女達は、はたけカカシっていうブランドが欲しいんであって、俺が好きなわけじゃないのよ?」
「それは
……
違うと思います。きっと本当にカカシ先生に好意を寄せてくれてる方もいる筈です」
イルカは真剣にそう思うのだ。
だがカカシは、フッと小さく微笑む。
「イルカ先生は優しいな。そういう所」
「え?」
「女の子から貰ったプレゼントの中身。美味しそうなお菓子入ってても、イルカ先生は絶対に食べちゃ駄目よ? 薬が仕込まれてるかもしれないから」
「は?」
まるで子供に言い聞かすような口調に、イルカは呆れてしまう。
「それ言ったら、カカシ先生。おっぱい饅頭! 食べてたじゃないですか!」
先日の夜のお店で、差し出されたおっぱい型の饅頭を、カカシはためらう事なく口にしていたのだ。
「俺は良いんです! 耐毒訓練受けてるから。大抵の薬物には耐性があるんです。イルカ先生は耐性ないでしょ? 何かあったらどうするの? 彼女ら肉食獣の餌食ですよ!」
食い気味に否定されて、イルカは啞然とする。
「まあ、とにかく。入りましょう?」
気が付くといつの間にか店に着いていて、イルカは立ち止まる。
(なんだか高級そうなお店だけど
……
大丈夫かな?)
急に財布の中身が心配になり、回れ右したくなったのだが、カカシに手招きされてしまっては、イルカも逃げられなかった。
高級な店の酒はもちろん上等で、出される小料理も絶品だった。
イルカはほろ酔い加減で、カカシと談笑していた。
酒が良い具合に入っているからか、いつも以上にカカシと打ち解けていた。
だからカカシの手がいつの間にか、イルカの手と重なっていた事も気にならなかった。
カカシも酒が入っているからだろう。
色白な肌がほんのり赤く染まっていた。
「カカシ先生。今日誕生日だったんですね。俺、知らなかったです」
「そ~なのよ。誰に教えたわけでもないのにね。くノ一連中はいつの間にか知ってて、俺の方がビックリよ」
「アハハハ。それだけカカシ先生が人気者って事ですよ。好かれてる証拠です」
「ん~~でも、誰にでも好かれたいわけじゃないの」
ボソリと呟いたカカシは、ほんの少しだけ皮肉な笑みを浮かべた。
それがイルカには、すごく寂しそうに見えてしまったのだ。
「せっかくカカシ先生の誕生日ですからね。何か欲しいものありませんか?」
少しでも元気付けたくて、イルカはそう口にせずにはいられなかった。
「おねだりして良いの? それじゃあ、おめでとうって言って? イルカ先生にお祝いして貰いたい」
「そんな簡単な事で良いんですか?」
「うん」
「お誕生日おめでとうございます。カカシ先生」
イルカは改めて口にすると、何故か気恥ずかしい気持ちになる。
「ありがとう。イルカ先生」
カカシは余程嬉しかったのか、満面の笑みを浮かべた。
(良かった。カカシ先生。元気出たみたいだ)
イルカがホッとした時だった。
「もう一つ、おねだりして良い?」
良いですよと答えようとして、イルカには答えられなかった。
気が付くとカカシの顔面が迫っていて、驚く間もなく唇を塞がれたのだ。
チュッと音を立てて離れたカカシの唇は、とても柔らかくて。
優しいキスの余韻に、イルカは一気に酔いが回った。
「プレゼント、ごちそうさま」
ほんのりと赤く目元を染めたカカシはとても嬉しそうに、極上の笑みを浮かべた。
【完】
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