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ちよど
2024-11-16 13:40:02
25402文字
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わし様など
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練習1P 7月分まとめ
#練習1P、のタグで書いていたもの。
わし様中心SS。節操なくCP混在。
■2024/07/31
カルジナ、カルヨダ
「まぁ、ワタシは今マスターじゃないし」
※アクスタネタ
「お金の問題じゃないんスよねー」
QPを積み上げられたガネーシャ神は首を振った。その口元はにまにまと笑っている。
そんな彼女にドゥリーヨダナは指を突きつけた。
「ぬぁんで!関係のないおまえの側にカルナが立っておるんだぁ!!」
アクスタの撮影会である。縁のあるサーヴァント達が並ぶはずが、何故かカルナはドゥリーヨダナではなく、ガネーシャ神の隣に立ったのだ。
「許せ。オレはこの生き物を独りにしておいてはいけない気がするのだ」
「わし様だって独りで生きていけないか弱い生き物ですゥー!!」
「一度か弱いの意味を調べた方がいいのでは〜?」
煽るガネーシャ神にドゥリーヨダナは大人気なく地団駄を踏む。
その顔がはっと閃いた。
「
…
カルナ。ビーマのヤツはアルジュナを連れて来たそうだぞ」
ぴこん、とカルナの髪の毛が跳ねた。手応えを感じてドゥリーヨダナは続ける。
「おそらくわし様はビーマの隣に配置される。
…
分かるな」
カルナの様子にガネーシャ神はため息をついた。
「しょうがないっスねー。いってらっしゃい」
■2024/07/30
アシュヨダ
「おまえだったのだな」
花を捧げると、旦那は驚いたように目を見張った。
「やっぱり、花より宝石とかの方がよかったか?」
下げようとした手を旦那が掴む。その意外な強さに引かれて俺は旦那の腕の中へと飛び込んだ。
間に挟まれた花の香りが強くなる。
旦那の手が俺の髪をかきまわした。
「アシュヴァッターマン。アシュヴァッターマン。おまえはわし様の座を見たことがないだろう?」
当然だ。基本英霊の座は相互不干渉に出来ている。旦那の座に行けるなら『俺』が駆けつけていないはずはない。
それを知っているはずの旦那はくすくすと笑った。
「わし様の座にはな。常に花が降っておる。そうこの花だ」
この花はそう珍しくない花だ。ただ、俺が旦那に似合うと思っただけで。
「おまえは人理が焼却されるまで生きていたらしいな?」
旦那の質問に俺は身体を強張らせた。
クリシュナに呪われて放浪した三千年の記憶は旦那には語りにくい。
それに構わず旦那は俺に頬を寄せた。
歌うように囁かれる。
「マスターの故郷の言い伝えを知っているか?」
甘やかな、声。
「『死者を思うと、あの世にいるその人の周りに花が降る』」
旦那の腕が不死者だった俺を抱きしめる。
■2024/07/30
ヨダナさん+マスター
「なんでわし様が怒られるのだ!?」
ドゥリーヨダナの99人の弟は外に出てくる時がある。
ストームボーダーの駆動音が聞こえそうな深夜。真夜中ラーメンの帰りのマスターは廊下の先に見慣れた背中を見かけた。
「おーい!ドゥフシャーサナさん?」
静かに振り返った仮面の男は答えない。
「ヴィカルナさん?チトラセーナさん?」
よく出てくる弟の名前を上げると男の口元が笑った。
答える気がなさそうな様子にマスターは唇を尖らせる。さすがに百人全部の名前は覚えていない。
「誰でもいいよ。後でドゥリーヨダナに聞くから」
仮面の男は何も言わない。
てっきり兄を呼び捨てにするなと言われるかと思ったマスターは首を傾げた。何か、おかしい。
そんなマスターを仮面の男は指差す。
まるで名前を聞くかのような仕草にマスターは強いて笑みを浮かべた。
「名前、知ってるよね?」
答えはない。
ドゥリーヨダナの弟たちは彼の中に存在している。ドゥリーヨダナが知っている事は知っているはずなのだ。
「ねぇ、あなた。本当に百王子?」
マスターの質問にソレは答えず。
突然のジャイ・カウラヴァに轢かれ飛んだ。
■2024/07/30
ビマヨダ+カルナ
「
…
どういう意味だ?」
「かわいい、かわいい、わし様のぽめぽめ。おまえはわし様のために生まれてきたのだな」
膝の上のポメラニアンを撫でながらそう歌うと隣に立つカルナが首を振った。
「ドゥリーヨダナ。拾ったものは元に戻すべきだ」
「ここ最近、犬を探しているなどという話は聞いた事がない。捨てたものをもらって何が悪い?」
きゃわん、とかわいい鳴き声がしてわし様はぽめぽめの顔を覗き込んだ。
「おまえも前の飼い主の元に戻りたくなどないだろう?」
顔をくすぐってやると、小さな舌が指を舐める。
その可愛さにうっとりとため息をついた。
あまりの好みの外見に拾ったはいいが、当初はあまり懐かなかったぽめぽめも今ではわし様の魅力にめろめろだ。
呼べば来るし、取ってこいは出来るし、腹も撫でさせてくれる。数字も時間も分かるようだ。
最近は一緒のベッドで眠るが、夜中顔を触られて目が覚める時がある。
撫でてやると顔を舐めるので寂しがりなのだろう。
「かわいい、かわいい、わし様のぽめぽめ」
キスしてやると嬉しそうに尻尾が振られる。
それを見てカルナが何故かため息をついた。
「知っているか。ビーマセーナが行方不明だそうだ」
■2024/07/28
アシュヨダ
「馬鹿ねぇ。妬かせるのよ」
沈黙が落ちた。
出撃要請に向かうマスターの後をついて来たドゥリーヨダナ。
出撃予定だったメイヴの部屋で、彼女の手を握っていたアシュヴァッターマン。
修羅場である。
固まって動けないマスターの背後でアシュヴァッターマンの恋人は肩をすくめた。
「女の部屋にひとりで入り込むのは感心せんぞ」
それに眉を上げたのはメイヴだった。
「あら、貴方。もう一人の友達は奥さんとふたりきりにしたそうじゃない?えこひいきは感心しないわよ」
視線が交わる。
「わし様はアシュヴァッターマンを信用しておる」
「男として信用しているのと、恋人として信用しているのは違うでしょ?」
「何が言いたい?」
「やめてくれ」
ふたりが言い合う間ずっと黙り込んでいたアシュヴァッターマンが声を上げた。
「彼女にはハンドケアを教わっていただけだ。
…
あんたを傷つけたくねぇから」
説明するアシュヴァッターマンに恋多き女王は幼子を見るように微笑んだ。
■2024/07/27
カウラヴァ
「嫁取りにも行った」
特異点の都市は目の前だった。マスターは目を凝らす。
「城門に見張りがいる」
「見張りだけだろ?なら通れるな」
アシュヴァッターマンの言葉にカルナが頷いた。
今回の適性サーヴァントはこのふたりたけだった。
「俺たちの外見は偽装されてるな」
そう確認してふたりはくすくすと笑い合う。
「行くぞ、マスター」
連れられてマスターはふたりと城門に向かう。笑いながらおしゃべりしているふたりの後を追い。──するりと城門を通り過ぎた。
思わず振り返ったマスターにアシュヴァッターマンが声を掛ける。
「どうした?」
「
…
なんでもない」
そのやり取りに、珍しくカルナが笑みを浮かべた。
「思い出すな。よくこうやってお前達とクシャトリヤの集まりに参加したものだ」
カルナもアシュヴァッターマンもクシャトリヤではない。
「似た外見にさえなっていれば下手に気負わない限りバレねぇ、って旦那に教わったよなァ」
「え?顔見知りにバレなかったの?」
マスターの問いかけにアシュヴァッターマンは苦笑した。
「なおさら王子の連れに文句言えねぇだろ?」
■2024/07/27
現パロ カルヨダ+次男
「おまえで充分ってことだろ」
「かぁるなぁ。スマホ貸して」
「分かった」
学生服のままのドゥフシャーサナにしなだれかかられて、カルナはポケットから出したスマホを覗き込んだ。ロックが解除される。
カルナの部屋は4LDKのマンションだ。ファミリータイプの広々とした空間は当初用意された家具の他はほとんど荷物がない。ところどころ山になっているドゥフシャーサナやその兄弟たちが持ち込んだ物以外は。
「
…
カルナ。分かっているとは思うけどさぁ。俺たち以外にスマホ貸すなよ」
自分の所業を棚に上げてドゥフシャーサナはカルナのスマホで通販サイトにアクセスする。画面に映った商品を見てカルナが僅かに眉を動かした。
「
…
18歳以下は購入出来ないとあるが?」
「これはおまえのスマホでおまえはとっくに成人してる。送り先もここ。問題ねぇよ」
「問題ないのか? 無いのか?」
考え込むカルナの横でアダルトなグッズがどんどんとカートに放り込まれていく。
「うちに置いておくとお袋とドゥフシャラーがうるせぇんだよ。おまえも使っていいぜ。
…
兄貴に使ったら殺す」
殺意をみなぎらせた恋人の弟にカルナは首を振った。
「ドゥリーヨダナはこういったものは好まない」
■2024/07/27
現パロ アシュヨダ+次男
「愛しているぞ、アシュヴァッターマン」
連れてこられた怪しげな会場にアシュヴァッターマンは眉を寄せた。
コロシアムのように円形に並ぶ座席には百王子達がひしめいている。中央のステージにドゥリーヨダナが立つ。
「我が弟たちよ!わし様オークションの開催である!!おっ、最初の入金はドゥフシャーサナか。うむうむ」
手元の端末から顔を上げてドゥリーヨダナが豪快に笑う。
「さすがわし様の弟!おまえの素早さにわし様はいつも助けられておーる!」
いゃったぁ!!と隣の男がガッツポーズを上げる。
その肩をアシュヴァッターマンは叩いた。
「なぁ、もしかして、このオークションってのは?」
「金額が多いほどたくさん兄貴に褒めてもらえるやつに決まってんだろ。特別に連れてきてやったんだから、おまえもやってみろよ。金貸してやる」
渡された端末がクルクルと鳴ってアシュヴァッターマンは画面を見た。
「
…
10円でどうしろと」
「練習には十分だろ。ほら、こうやってこう」
言われた通りに操作すると、鳴りっぱなしのドゥリーヨダナの端末がクルクルと鳴る。画面を見て彼は微笑んだ。
「本日最高の入金があった」
百王子達がざわめく。ドゥリーヨダナはぐるりと視線を巡らせるとぴたりと止めた。
■2024/07/25
現パロ アシュヨダ+次男
「おまえ、本当にわかんねぇの?」
「おまえ、それ詐欺だろ。──あ、ちがったわ」
手元の封筒を覗き込んでいたドゥフシャーサナの言葉に俺は顔をあげた。ワンルームの狭いアパートではリビングから玄関のポストがよく見える。
届いた郵便物の中身を確認していると、古いマンガを読んでいたはずのドゥフシャーサナが寄ってきたのだ。
「詐欺じゃねぇよ。
…
使えたし」
「兄貴とだよな。知ってる」
「なんで知ってんだよ!!」
怒鳴りつけるとドゥフシャーサナは笑いながらリビングへと戻っていく。俺も本気で怒ったわけではない。ラブホテルの無料券など他に使い道はないからだ。
実際、これが届いた当初は詐欺か何かだと思ったが。確認してみたら本物のようだったし。貧乏学生にはホテル代の出費も痛いし。カルナに相談したら害はないとの事だったのでついつい使ってしまっている。
ホテル代は、毎回払おうとする旦那と払わせて欲しい俺との間で言い合いになってしまい事後の余韻もへったくれもなくなってしまうのだ。無料券なら旦那も文句は言わねぇ。
何故か必要になった頃に届くこの封筒はいろいろなホテルの無料券が入っていて旦那は毎回楽しみにしている。
今回も届いた封筒に安堵の息をついている俺に恋人の弟は笑った。
■2024/07/25
現パロ アシュくん+次男
「兄貴は褒めてくれるかな」
駅で子供が泣いていた。
迷子だろう。くるくるとした金髪の女の子に視線が集まっているが誰も近寄ろうとはしない。その子が呼んでいる言葉は明らかに英語ではなかったからだ。
だからと言って放置するわけにもいかない。見かねて踏み込もうとすると隣にいたドゥフシャーサナが俺を止めた。
「ばーか。お前じゃ話になんねぇだろうが」
すたすたと近寄る大柄なドゥフシャーサナに女の子が怯えたように顔を上げる。それに、奴はその場でしゃがみこんで女の子が呼んでいたそっと名前を繰り返す。
その後に続けられた言葉に女の子の表情が輝いた。
あれでドゥフシャーサナたちは英才教育を受けている。俺が理解出来なかった言語も話せるのだ。
笑顔になった女の子とおしゃべりしながら連れて行った先では、両親だろうふたりが駅員に訴えている最中だった。
叫んで駆け寄る女の子に母親が涙を浮かべる。抱き合った親子に俺は胸をなでおろした。
その後。念の為に連絡先を交換して彼らと別れたドゥフシャーサナを俺は軽く小突いた。
「おまえが人助けするなんてな」
俺の言葉に奴が目を丸くして見せる。
「するわけねぇだろ。──あの子の服。ドゥフシャラーが欲しがっていたブランドだ。これでコネが出来た」
交換した連絡先をドゥフシャーサナはうっとりと眺めた。
■2024/07/25
現パロアシュヨダ
「さあ、とりに来い」
旦那の家はホテルのようにいくつかの棟が連なっている。
その中でも旦那や数え切れない程に多い兄弟たちの住む棟が一番大きく、俺のような来客が泊まる棟からは従業員に案内してもらうか。
「指紋認証?」
棟を繋ぐエレベータのパネルの前で旦那に説明されて俺は首を捻った。
「俺はこの前登録してもらったぜ」
自由に旦那たちの棟へ行けるようになったのはもちろん。そこまで旦那に気を許してもらえているのだと誇らしい気持ちになったのはつい先日のことだ。
「あの時は他の連中がおっただろう?今はふたりきりだ」
「だから?」
俺の問いかけに旦那は悪い笑みを浮かべた。
「通常通りに登録された指紋は使用履歴が残る。まあ、セキュリティ上当然だ。が、」
嫌な予感がした。この男は本当にろくでなしなのだ。
「このスペシャルな権限で登録した指紋はなんと!!」
「使用履歴が残らない」
「分かっておるではないかー!」
「あそこは高価なモノがゴロゴロしてんじゃねぇか!!」
そこに旦那は決して裕福ではない俺に記録を残さず入って来いと言っているのだ。旦那がにんまりと笑った。
「最も高価なものが何か、お前は分かっているだろう?」
■2024/07/24
カウラヴァ
「3人は消滅した」
※消滅ネタです
カウラヴァ3騎は閉じ込められていた。
サーヴァントを捕らえた結界は強固で3騎の宝具をぶつけてもびくともしない。マスターからのパスも断たれている。ドゥリーヨダナが脱出方法を考えていると突然アシュヴァッターマンが頭を下げた。
「旦那!俺を喰ってくれ!!」
「そうだな。ドゥリーヨダナ。オレも喰うがいい。そうすればおまえの霊基でも天に手が届こう」
言われたドゥリーヨダナは苦く顔を歪めた。
「
…
確かにサーヴァントは魔力の塊だ。おまえたちふたりの分の魔力を取り込めばこの結界をぶち破れるだろうな」
そう言いながらカウラヴァの旗頭は首を振った。
「だがおまえたちふたりを失って脱出したところで何になる?わし様はそれほど薄情ではないぞ」
ドゥリーヨダナの言葉にふたりは何も言わず、3騎は身を寄せ合った。
どんなモノでも供給が無ければ尽きていく。
魔力が枯渇して消えかかっているドゥリーヨダナの手をふたりは取った。
「旦那、本当にいいのか?」
「
…
わし様が単独でこんな結界を張る奴に敵うわけなかろう」
「おまえの偽りには慣れている」
笑い声が響いた。そして、
■2024/07/23
ビマヨダ
「そして蕎麦打ちの音が響き渡った」
その部屋には蕎麦を打つ音と罵声が響いていた。
「ビーマ、貴様!わし様を肉団子にする気だろう!キーチャカみたいに!キーチャカみたいに!!」
荒縄で縛られたドゥリーヨダナがびったんびったん暴れるのに構わず、ビーマは床に置いたのし板に蕎麦を打ち付けた。大きな音が響き渡りドゥリーヨダナが体を縮める。
「黙ってろ。今美味しくしてやるからな」
「ぴぎゃー!!カルナァ!!アシュヴァッターマンっ!!」
助けを呼ぶ声にビーマのこめかみが痙攣した。
「うるせぇぞ、トンチキ!いや、そうだな。料理は自分で手をかけたからこそ美味いものが出来る。よし!」
突然、縛っていた荒縄が解かれてドゥリーヨダナは目を丸くした。そんな彼の手をビーマが引き寄せる。
「おまえも打つんだ。蕎麦を」
「嫌だが。──いや、してもいいが条件がある」
ドゥリーヨダナは即断ったが、すぐに手のひらを返した。
「美味い料理というものは手順が肝心なのだろう?同じ条件で作らないと意味がないのではないか?」
その言い分にビーマはふむ、と頷いた。一理ある。
と、いうことでポジション交代である。荒縄で縛られたビーマが横たわったのを確認してドゥリーヨダナはそっと立ち上がった。
「
…
逃げたら分かってんだろうな」
ぽつりと呟かれた言葉にドゥリーヨダナは着席する。
■2024/07/22
ビマヨダ
「当然負けた」
「
…
なんでこんなに負けてんだ?おまえ」
「うるさい!黙って酒を置いていけ!馬鹿ビーマ!!」
食堂の片隅で行われているボードゲームでドゥリーヨダナと若い武田信玄が対戦していた。名を残した知将相手にドゥリーヨダナが負けるのはある意味当たり前だが。
「ボロ負けじゃねぇか」
「うるさい!!駒が勝手に動いてくれないのだ!!」
宿敵の指摘に癇癪を起こしたドゥリーヨダナの言葉に、それまで余裕を見せていた信玄の顔色が変わる。
「
…
待て、お前の軍では将が勝手に動いていたのか?」
「普通そうだろう?わし様が命じれば、弟たちや友がいいようにしてくれたが?」
その返答に、ビーマと信玄はそろって頭を抱えた。
信玄が気の毒そうにビーマを見る。
「カウラヴァ軍の将は、この男の宝具に出てくる弟達とカルナやアシュヴァッターマンだな?」
「他にもいたがまあそんな感じだ。──こんな感じだった」
ビーマのため息に信玄は今度はドゥリーヨダナを見た。手元の駒を摘む。
「人は生け垣、人は城。裏切りの心配がない有能な将は百の城に値する。──なるほど半神の軍と戦えたわけだ」
「
…
本人はこの程度だけどな」
盤面を評するビーマにドゥリーヨダナが立ち上がった。
「そんなに言うなら、次はおまえがやってみろ!!」
■2024/07/21
カルヨダ
「わし様たちはふたりでひとつだからな!」
「ここから先は君は入れないよ。ドゥリーヨダナ」
ダ・ヴィンチちゃんに道を塞がれてドゥリーヨダナは赤く濡れた髪を振り乱した。
「わし様はカルナの父だぞ!」
「でも霊基パターンが明らかに異なるよね。今行われている手術はサーヴァント間の輸血のようなもの。君がこれ以上近づくのは許可出来ない」
彼らが問答するしている先の医務室では、ドゥリーヨダナを庇って霊基を損傷したカルナがふたりのサーヴァントから魔力などを与えられていた。
「ビーマとアルジュナが良くて、なぜわし様が」
「──霊基パターンばかりはどうしようもない。君が出来ることは祈ることだけだよ」
その言葉に視線を落としたドゥリーヨダナは呟いた。
「わし様の祈りなど、届いたためしはない」
「──という夢をみたのだ、かるなぁ!!」
抱きついてきた恋人にカルナはため息をついた。サーヴァントは夢を見ない。だからこれは彼の不安なのだろう。
だからカルナはドゥリーヨダナの体に腕をまわした。
「安心するがいい。オレは負けることはないし。それに──普段からオレ達は魔力供給をしている。そのような事態になれば真っ先に呼ばれるのはおまえだろう」
カルナの言葉にドゥリーヨダナは目を輝かした。
■2024/07/19
#練習1P FGO二次創作No.290
ビマヨダ+モブ
「だから俺は奏でたんだ」
俺たちの間では女神が作った花の下半身を持つニンゲンってのは前から割と注目されてた。
ニンゲンはガンダルヴァと呼ぶ俺たちは女好きで音楽好き。騒ぐことが大好きな連中ばかりだが花の香がなくては生きてはいけない。
そんな俺たちの住処の近くに、話題の女神が作った花の香りを持つニンゲンが来たらそりゃ捕まえるに決まってる。
ぎゃあぎゃあ喚いていたがニンゲンの言葉も力も俺たちには及ばない。暴れるニンゲンをそのまま香立てに入れて、風で煽った。
いくらニンゲン相手だって直接嗅いだりするなんて下品な事しねぇよ。そんなことしたら皆に行き渡らないしな。
そりゃあいい匂いだった。
皆で香りを称える歌とか作って、いろんな花を重ねて匂いを整えてたりしたんだ。まあ、最終的にはニンゲンは花に埋もれてたが。
そんな時に半神の子がやってきて、女神の花を持っていっちまった。
まあ、だいぶ堪能したし逃がしてもいいかとは思ったけど、俺は気になってたまに様子を観に行ってたんだよな。
そうしたらなんかニンゲン同士で殺し合って。あの半神の子が助けたはずの女神の花を潰していた。
ニンゲンって分からない。女神の花はあいつが来た時だけ泣いたのに。
■2024/07/19
ビマヨダ+カルナ
「なるほど。対処しよう」
「ビーマの料理を食べるのはやめろ?お前が言うとは思わなかったぞ、カルナ」
シミュレーターでのふたりきりでの鍛錬の後、レジャーシートに座り、大きな重箱のお弁当を取り出したドゥリーヨダナにカルナは眼差しを強くした。
「分かっているだろう。ドゥリーヨダナ。おまえの強みは技術。それには自身の肉体の把握が不可欠なはず。──肥え太ってはその棍棒の冴えも失われる」
カルナの指摘にドゥリーヨダナは重箱の風呂敷を広げた。お重を並べると顔をあげる。
「ビーマがわし様の無力化を狙っていると?サーヴァント相手にこんな方法で?」
「パールヴァティが言っていた。サーヴァントでも魔力を帯びたカロリーを大量に摂取すれば太るのだと」
「遠回りすぎる方法だな。奴らしくない」
形が良い卵巻きを摘み上げたドゥリーヨダナにカルナは視線を伏せた。
「──無意識なのだろう。おまえが戦えなくなれば、おまえは敵ではなくなる」
「あの単純馬鹿が考えそうなことだ」
卵巻きを口に放り込んだドゥリーヨダナはもぐもぐと咀嚼する。文句のつけようが無いほど美味い。
「ところでわし様は鍛錬で体を動かした後、この弁当をおまえと分け合うつもりなのだが。──協力してくれるな?」
■2024/07/19
カウラヴァ
「縁がなくてよかったということか」
「マスターの故郷では酒は百薬の長と言うらしいが、飲むと寿命が縮む酒もあったよなぁ」
酒杯を片手にぼやくドゥリーヨダナにアシュヴァッターマンが顔をしかめた。
ドゥリーヨダナの部屋でカウラヴァ3人は宴会をしていた。持ち寄った酒と肴、生前と今とで話題は尽きない。そして酒は彼らには身近なものだった。
「ああ、あれか。あれはなぁ」
遠い目をするアシュヴァッターマンにドゥリーヨダナがうんうんと頷く。通じ合うふたりにカルナが首を傾けた。
「酒とは概ねそのようなものだろう?」
その言葉にふたりは揃って首を振る。
「おまえは飲んだことがないから、そんな気楽な事が言えるのだ。あれは、まずい!気持ち悪い!頭痛い!!の最悪な酒だぞ」
「旦那はまだいいじゃねぇか。俺はあれに酔えねぇんだぜ」
「え、おま。あの中で正気だったの?引くわぁ」
ふたりだけの会話にカルナが口を挟む。
「どの酒のことだ?」
問いかけにアシュヴァッターマンが視線を逸らせた。
「あー。儀式でバラモンが振る舞う酒だ。その
…
ロクスタが好きそうなもんがたっぷり入っているんだよ」
アサシンのサーヴァント、ロクスタは毒キノコを偏愛している。つまりはマジックでマッシュルームなアレだった。
■2024/07/18
現パロアシュヨダ
「もう二度と、」
※フォロワーさまのポストを拝見し、フリー素材とのお言葉に甘えて書いたもの。
紳士の格はその靴を見れば分かると聞く。
「わし様、ちょっとコンビニ〜」
パタパタと似つかわしくない古びたクロックスを履いて、旦那がボロアパートの玄関から出ていく。
カンカンと錆びかけの階段を降りていく音が終わったのを確認して俺は申し訳程度のシューズボックスに飛びついた。
厚みのある箱を開ければ、そこにはクリームとウェス、そしてブラシがある。
意外と行儀よく揃えられている旦那の靴をそっと持ち上げる。
汚れを嫌う白は旦那の使用人が管理しているので曇りひとつない。その職分を侵すことになると分かっていながら、俺はそっと旦那の靴を磨き始めた。
俺と旦那が再会したのはまだ俺が子供だった時だ。思わず泣き出した俺にすでにスーツを着ていた旦那は膝をついて抱きしめてくれた。
紳士の格は靴を見れば分かる。
何故なら一度でも膝をつけば靴に不可逆のしわが刻まれるからだ。
あの時。俺と別れた時旦那はどうしても外せない用事があった。時間がないとも言っていた。
俺のせいでしわの刻まれた靴であの人が人前に出た事を思うと舌を噛みちぎりたくなる。だからこれは決意なのだ。
■2024/07/17
カルヨダ
「それでは、焼肉を始めよう!!」
夏だ!浜辺だ!!日光浴だ!!
どこまでも広がる白い浜辺にサーヴァント達が思い思いに寝そべっている。
「マスター、除菌シートはあるか?」
日焼けするからと生身の人間たちが過ごしている大きなビーチパラソルに、ドゥリーヨダナが顔を出した。
「それと、バーベキュー用のうっすい肉とトングもくれ」
「好きに持っていっていいよー」
ちょうどゲームで盛り上がっていたマスターは上の空で応えた後に正気に返った。
「え!?何に使うの?」
ドゥリーヨダナが向かう先は砂浜だ。鉄板などはない。
「他の連中に内緒に出来るならついて来い」
楽しそうな出来事の予感にマスターはドゥリーヨダナの後を追った。そこには
「
…
カルナさんって日焼けするんですか?」
一臨姿のカルナが砂浜に仰向けになっていた。
「こちらの準備は万端だ。ドゥリーヨダナ」
「わし様もちゃあんと調達してきたぞ。カルナ」
友人たちは笑みを交わし。そうしてドゥリーヨダナはおもむろにカルナの鎧を除菌シートで拭き始めた。
「まさか、」
この先を予測しておののくマスターの目の前で、薄い肉がカルナのスーリヤから賜った黄金の鎧に乗せられていく。
■2024/07/16
現パロアシュヨダ(先天性女子)
「それだけで満足なのか?」
「あの女は他に付き合っている男がたくさんいるのよ!」
いつものように校門で待っているドゥリーヨダナを迎えに行こうとしたアシュヴァッターマンは、同級生にそう叫ばれて足を止めた。
「あ゛?」
「だって見たもの。あの女、何人もの違う男と親しげに歩いてた!!」
振り返った彼の表情に怯えながらも言葉を続ける女に、アシュヴァッターマンは無意識に自分の額を撫でた。
「例えば?どんな男と歩いてた?」
「え?白髪の細身の男とか、紫の髪のゴツい男とか
…
」
「そいつらはみんなあの人の従兄弟だ。──事情も分からねぇのに口を出すのは良くないぜ」
諭されて女は首を振った。
「そんなはずはない!だってあんなにベタベタしてて、それに──」
「黙れ」
その一言で女の口を縫い付けてアシュヴァッターマンは校門に向かう。彼の大切な人はいつも通りそこで待っていてくれた。
「アシュヴァッターマン!遅い!」
「悪ぃ」
そう応えたアシュヴァッターマンの瞳が揺らぐ。
「その、今日は手をつないでも、いい、か?」
■2024/07/16
ヨダナさん+マスター
「もうそんな時代じゃないよ」
「幸せな結婚の条件って何かな?」
マスターの少女の疑問にドゥリーヨダナは自信満々に答えた。
「家系だ!」
「それはどうかな。家柄はどうにでも出来るぞ」
食堂でその会話を聞いていたサーヴァントのうちのひとり。アーチャーの織田信長がそう混ぜ返すとドゥリーヨダナは得意げに人差し指を振った。
「家柄など今更必要ない。肝心なのはその家系にどのくらい男子が生まれているか、だ」
「跡継ぎ争いになるから?」
マスターが首を傾げると、日本を平定しかけた武将は口の端を吊り上げた。
「おまえの妹は上に百人の兄がいるそうではないか。なら──女腹の家系では重宝されるであろうな」
「おまえ、そんな理由であの子の嫁ぎ先を決めたのかっ!!」
厨房からすっ飛んできたビーマの拳をドゥリーヨダナは避ける。ビーマが叫んだ。
「あんなクズに嫁がせやがって!!!」
「夫ならどうとでも出来るわ!馬鹿ビーマ!」
言い返しつつも逃げ出したドゥリーヨダナを追ってビーマも去っていく。その喧騒を見送ってマスターはため息をついた。
■2024/07/16
アシュヨダ
「そんな貴方だから」
ストームボーダーには大浴場がある。
泳げるとまではいかないが大きな浴槽、広々とした洗い場はサーヴァント達に好評だ。今も、洗い場で体を伸ばしているドゥリーヨダナが気の抜けた声をあげた。
「はぁ、極楽極楽」
「そんな単語どこで覚えてきたんだ?ほら腕をあげてくれ」
風呂椅子に座っているドゥリーヨダナの背後に立っているアシュヴァッターマンがボディスポンジに泡立ったソープを足した。鍛えられた腕を洗い始める。
「おーい、ギルガメッシュでも自分の体は自分で洗うぞ」
浴槽からランサーのクー・フーリンが野次を飛ばす。
「あの男と違って生粋の宮廷育ちのわし様は放浪の旅などに出る必要はなかったのだ。
…
友を蘇らせる薬があるとは知らなかったからな」
視線を落としたドゥリーヨダナに背中を洗い始めたアシュヴァッターマンが答えた。
「そんなモンがあれば俺が見つけてる。時間だけはあった」
アシュヴァッターマンが呪いをかけられて三千年放浪していたのはよく知られた話だ。掛ける言葉もない周囲に気づかなかったのかドゥリーヨダナが口を開く。
「わし様を蘇らせる薬よりおまえの呪いを解呪する方が先だろうが。わし様蘇った後冒険とか放浪とかしたくないぞ」
わがまま王子の言葉にアシュヴァッターマンは眉間に力を入れた。泡のついた両手では涙を拭えないので。
■2024/07/15
ヨダナさん+YARIO
「それには豊穣の効果があったので」
「わし様が女子供に手を上げないと思ったら大間違いだ!泣いて謝るなら今のうちだぞ!!」
棍棒を振り回して威嚇するドゥリーヨダナに、彼女は黒い指無し手袋をはめ直した。
「残念ですが。降伏の2文字は私の辞書に存在しません。ランサー、審判を」
決闘である。
賭けられているのは両者の脇に置かれたヨダぬいである。カルナの要請を受けウラドⅢ世が製作したそれはふわふわと可愛らしく、モデルと異なり見る者に笑顔をもたらしている。
その所有権を彼女達とドゥリーヨダナは争っていた。
ランサーのクー・フーリンがおかしそうに眉を上げる。
「ルールを確認するぜ。互いの宝具の撃ち合い。助太刀は無し。いいな。──では、」
開始、の言葉を待たずにドゥリーヨダナが宝具を発動する。それが分かりきっていた彼女はスキルで回避するがドゥリーヨダナの攻撃はやすやすとそれを貫いた。
無敵貫通礼装。彼女はなすすべもなく敗北する、はずが。
「『フラガラックーっ!!』」
ガッツ礼装で復活したバゼットの宝具が直撃し、ドゥリーヨダナは地に転がった。
そこに今まで見守っていたカルナが歩み寄る。
「おまえの負けだ。収穫量の上前をはねるのは諦めろ」
■2024/07/14
アシュヨダ
「鍵がかかるだろう?」
ステージに不協和音が響いた。
大学の学園祭。学生たちで組んだバンドのひとりがエレキギターを床に落としたのだ。
スピーカーが反響するよりも大きな声が響く。
「旦那ァあああ!なんでいるんだ仕事じゃねぇのかよ!!」
アシュヴァッターマンの叫びに群衆の中にいたドゥリーヨダナはサングラスを外した。
目端の利く学生の何人かが彼の全身の総額を推測して慌てて距離を取る。そうでなくても白いスーツの上からでも分かる鍛えられた体にごついサングラスの男に近づきたい者はいなかった。
絵本のスイミーのようにステージの下に大きな目が出来る。その中心でドゥリーヨダナは両腕を広げた。
「来い!アシュヴァッターマン!!」
アシュヴァッターマンは床を蹴った。
ドゥリーヨダナに呼ばれれば他に選択肢などあるわけがない。演奏の途中だとか、明日からの学園生活だとか、もうそれは些細な事。
ステージから飛び降りて一直線に駆け寄ってきたアシュヴァッターマンにドゥリーヨダナは満足げに微笑む。
「帰るぞ!ここからだとお前の家の方が近いな」
「俺の家?」
不思議そうにしつつも足早なドゥリーヨダナについてくるアシュヴァッターマンに彼は唇を舐めた。
■2024/07/14
カルヨダ
「対等な、友達だから」
「カルナはおらんのか?」
マイルームに顔を出したドゥリーヨダナにマスターとマシュは首を振った。マスターが答える。
「カルナさんは来ていないよ。──伝言しようか?」
今度はドゥリーヨダナが首を振った。
「いや、いい。わし様が探す」
そうして去っていったドゥリーヨダナにマスターは首を傾げた。意外と合理的なドゥリーヨダナが人を頼らないのは珍しい。マスターはマシュに笑いかけた。
「もしかして秘密の用事なのかな?」
「かもしれませんね」
何か楽しそうだとふたりが微笑み合っていると、カルナがマイルームにやってきた。マスターが声を掛ける。
「ドゥリーヨダナが探していたよ。伝言を聞こうとしたら、断られちゃった」
その言葉に何故かカルナは微笑んだ。
「そうか。それはあの男の誠意だろう」
そう言ってドゥリーヨダナを探すと去っていったカルナにマシュが考え込む。
「ああ、そうなんですね。元は身分差があったから」
「マシュ?」
マスターの問いかけに歴史を良く学んだ少女は答えた。
「古代の貴人は身分の下の者とは直接会話をせず、必ず間に人を挟んだそうです。でもあのふたりは」
■2024/07/12
現パロアシュヨダ
「ものすごーく急がせた」
アシュヴァッターマンは豪華なマンションの出口で荷物を抱え直した。
「三ヶ月世話になったな。旦那」
「アパートの建て替えの間だけではなく、ずっとわし様のマンションに住んでいてもいいのだぞ」
また繰り返されたドゥリーヨダナの言葉にアシュヴァッターマンは首を振った。
アシュヴァッターマンがあのボロアパートに住むようになってからドゥリーヨダナは自分の豪華なマンションに同居するよう何度も誘ってきたのだ。
もちろん、アシュヴァッターマンはそんなつもりはない。
この三ヶ月の同居は一時期の間だけだったから自分に許したが、好きな男に甘えるような真似はしたくなかった。
その決意の固さが顔に出ていたのだろう、ドゥリーヨダナは諦めたようにため息をつく。
「じゃあせめて家まで送らせろ。いいな」
問答無用で運転手付きの車の後部座席に乗せられてアシュヴァッターマンは自分のアパートに到着し、絶句した。
木造二階建てのボロアパートがあった場所にはスタイリッシュな新しい一軒家が建てられていた。
「どうした、入らないのか?」
ドゥリーヨダナが指に掛けた鍵をこれみよがしにまわし、アシュヴァッターマンに悪戯が成功した子供の顔で笑った。
「わし様たちの愛の巣だぞ」
■2024/07/12
カウラヴァ
「魔性センサー発動!!」
「ドゥリーヨダナが沖に流された!?」
マスターの叫びに砂浜でパラソル周りを整えていたカウラヴァ二人組が駆けつけてきた。
夏の特異点といえば海。どこまでも続く砂浜でカルデアの一行はバカンスを楽しんでいた。はしゃぐ声が聞こえる中カルナが顎に手をあてる。
「浮き輪は持たせてある。溺れることはないだろう」
「逆に、お気に入りの浮き輪があるから霊体化して戻ってこねぇんじゃないか」
アシュヴァッターマンの指摘にカルナは考え込んだ。ドゥリーヨダナの強欲さを考えればあり得る話だった。
「
…
それって必ず助けがくると分かっているからだよね」
マスターの言葉にふたりは顔を見合わせ。笑い出す。
「
…
まったく旦那はしょうがねぇなァ」
「度し難い慢心だ。だが事実ではある」
カルナがアシュヴァッターマンの宝珠を注視する。
「アレはまだ使えるのか?」
「沖まで行っているサーヴァントは少ねぇだろ。問題ない」
「ではオレが運ぼう。捕まるがいい」
背中を向けたカルナにアシュヴァッターマンはしがみついた。カルナの魔力炎が揺らめく。
アシュヴァッターマンをおんぶして飛び出したカルナを見送ってマスターは首を傾げた。
「どうやってドゥリーヨダナを見つけるんだろう?」
■2024/07/11
アシュヨダ
「全裸に」
※セクハラ注意
「アシュヴァッターマンに怒られたことがあるか?だと。あるとも!一度こっぴどく怒られた」
「怒られたことがあるの!?」
ドゥリーヨダナの回答にマスターは声を上げた。
アシュヴァッターマンがドゥリーヨダナに甘いのは有名だ。ろくでなしの彼が何をしでかしても結局は許して後始末をしている。反省してないドゥリーヨダナの横で頭を下げているアシュヴァッターマンの姿はこのカルデアではよくある光景だった。
「一体何をして
…
」
マスターの呟きにドゥリーヨダナは視線を遠くに投げた。
「
…
あれは暑い日のことだった。わし様たち百王子はヒマラヤから取り寄せた氷柱を飾って涼んでいたのだ」
冷凍庫のない古代。柱になるほどの大きな氷は貴重だっただろう。
「そこにアシュヴァッターマンが来てな。わし様たちは『アシュヴァッターマンがふたりになった』と囃し立てただけなのだ」
「ふたり?」
「──ドローナ師も喜んでくれたというのに」
マスターは嫌な予感がした。ドゥリーヨダナはにやりと唇を歪める。
「もちろん見せたのは服を着た状態でな。師が帰った後削り直させた。アシュヴァッターマンの氷の彫像を」
■2024/07/11
アシュヨダ
「それはそれ、これはこれ」
ドゥリーヨダナは困惑していた。
恋人たちが深夜ベッドの上。お互い裸でやることは決して泣き出すことではないはずだ。ため息をつく。
「アシュヴァッターマン。そんなにわし様の裸は見苦しいか?」
問いかけに延々と涙を流していたアシュヴァッターマンは金色の瞳をさらに潤ませた。
「そんなことねぇ!あんたの体は、どこも、どこも
…
っ!」
咽び泣くアシュヴァッターマンにドゥリーヨダナは眉を寄せた。そんなことだろうと思ったのだ。
「そうだな。わし様はおまえに礼を言わればならなかった」
ドゥリーヨダナは額を触れ合わせた。宝珠がちりりと鳴る。
魔性を排するこの宝珠は死した者には反応しなかっただろう。
「わし様の死体を清めてくれたのはおまえだったな。ありがとう」
アシュヴァッターマンの目から新たな涙が溢れた。
「だんな、だんな、
…
ドゥリーヨダナっ!」
再び泣き出したアシュヴァッターマンをドゥリーヨダナは抱きしめて、そのままベッドに倒れ込んだ。
その手が動く。
「
……
旦那?」
アシュヴァッターマンの問いかけに彼はにやりと笑った。
■2024/07/10
カルヨダ
「壊れるとは思わなかった」
「ドゥリーヨダナ、インドラを見に行くぞ」
「アルジュナは召喚されておらんだろう?」
夜のカルデアは静まり返っている。新しいサーヴァントが召喚されたとは思えなかった。
そうドゥリーヨダナが聞き返すとカルナは深く頷いた。
「アルジュナではない。インドラだ。
…
早く行こう。ニコラ・テスラに気づかれると面倒だ」
確かにインドラは雷の神でもある。雷霆を操るニコラ・テスラが興味を持つ事はあり得るだろう。
カルナに促されてドゥリーヨダナは夜の廊下を抜け、食堂を横切り、キッチンへと侵入を果たす。
料理系サーヴァントの聖域に入り込むと後が面倒だと思うドゥリーヨダナをおいて、カルナはごそごそと棚を漁りある物を取り出した。
「
…
アルミホイル?」
「これを、こうする」
どこにでもあるアルミホイルをカルナは軽く丸めた。それを近くの電子レンジに放り込む。
スイッチを入れた。
ライトがつき、アルミホイルを乗せたターンテーブルがゆっくりとまわりだす。
「電子レンジとインドラとどう関係が、」
そう言いかけたドゥリーヨダナの目の前で音を立てて小さな箱の中に雷撃が迸った。
■2024/07/10
ビマヨダ、カルヨダ、アシュヨダ
「我が恋人よ!」
サーヴァントが戦闘に出る時、必ず他のカルデアからのサポートサーヴァントが貸し出される。
ビーマが今回出会ったサポートはドゥリーヨダナだった。彼は同じ編成にいたカルナを見つけて顔を輝かせる。
「かぁるな!!我が恋人よ!!」
えっ?と振り返ったビーマはカルナに抱きついたドゥリーヨダナを見て固まった。
「わし様と仲良くやっておるか?そうか。わし様はこの通りお前と付き合っている」
ビーマのカルデアにもいるドゥリーヨダナとカルナは仲が良い。英霊の写身は多い。その中には付き合う個体もあるだろう。
ビーマはそう納得して前を向いた。
そして次の日。サポートのドゥリーヨダナはアシュヴァッターマンを見て顔を輝かせた。
「アシュヴァッターマン!我が恋人よ!!わし様と仲良くしておるか?」
抱きつかれて顔を真っ赤にしているアシュヴァッターマンに構わずあれこれと聞き出しているドゥリーヨダナ。彼は先日と同じ個体だった。
……
まあ、カウラヴァ連中は仲が良い。そういう事もあるだろう。
無理やり納得した次の日、現れた同じドゥリーヨダナは顔を輝かせてビーマに両腕を広げた。
■2024/07/10
ビマヨダ
「そして、スープだけが残った」(旧・スープだけ残った)
深夜の食堂に先客の姿を見つけてビーマは足を止めた。
その気配にカウンター席に座っていた見慣れた背中が振り返る。
「ビィ
―
マではないかっ!?やらんぞ!!」
ドゥリーヨダナが抱えたのはラーメンどんぶりだ。そこには野菜とチャーシューがふんだんに乗った夜食とは思えない豪華なラーメンが入っていた。
「誰に作ってもらったんだ?」
食堂には他のサーヴァントの姿はない。
ビーマより先に召喚されていたドゥリーヨダナは人脈がある。きっと料理好きの誰かに作ってもらったのだろう。キッチンは綺麗に片付いていた。
「わし様だが」
だからビーマはその回答に瞳を瞬かせた。ドゥリーヨダナがふんぞり返る。
「わし様による、わし様のための、わし様のラーメンだ。泣いて乞うてもやらんぞ」
そう告げてラーメンをすすり始めたドゥリーヨダナにビーマは近づいた。濃厚なスープの匂いがふわりと漂う。
「
……
交換ならどうだ?俺特製のチャーハンはエミヤも絶賛していたぞ」
「余りは作ってないが」
「残りでいい」
むしろその方がいいとビーマは言わず、返答を待った。
■2024/07/09
アシュヨダ+キアラさん
「あいつ程の者はいない」
「使い魔などにやらせた方が早いでしょうに」
周回仲間の尼僧のため息にドゥリーヨダナは片眉を上げた。
森の中での戦いを終え、マスター達は思い思いに休憩をとっていた。その中にアシュヴァッターマンの姿はない。
ドゥリーヨダナが甘い物が食べたいと言い出したため、果実などを探しに出ているのだ。
殺生院キアラは柔らかい頬に手を当てた。
「いくらアーチャーの目が良いといってもこの森の中。目当てのものを探し出すには時間がかかりましょう」
心配そうに小首をかしげる彼女にドゥリーヨダナは笑みを浮かべた。
「確かにこういう時は使い魔の方が勝手が良いかもしれんが
…
必要性を感じんな」
その回答に愛欲のビーストのアルターエゴはとろりと笑った。
「あら、雑事は使い魔に任せて。思うがままに肉欲を貪ればいいではないですか?」
「
…
にくよくをむさぼる」
「ええ。お互いに最盛期の姿。しがらみもないカルデアだからこそ出来るコトもありますでしょう?」
提案にドゥリーヨダナは首を振った。
「尼僧殿は王たる者の生活を知らんようだ。身の回りの雑事こそ、信頼出来る者にしか任せられん。その点」
■2024/07/07
カルヨダ+英雄王
「
…
嫌なのか?」
「いかにも!わし様がカルナの唯一無二の友である!」
胸を張ったドゥリーヨダナは、アーチャーの英雄王の表情を見て口元を拭った。その手元にはナポリタンがある。
「カルナぁ、知り合いを紹介するのはいいが。食事中はどうかとおもうぞ。わし様」
「人脈は後回しにするべきものではない、と他ならぬおまえが言っていた」
「時と場合があるではないか」
ドゥリーヨダナとカルナのやり取りにギルガメッシュは不愉快そうに眉を寄せた。
「これがおまえの友なのか?」
「そうだ。──オレの友だ」
「これがか?」
「これがだ」
カルナとギルガメッシュのやり取りに今度はドゥリーヨダナが眉を寄せた。そしてにやりと笑う。
「わし様とカルナは親友だとも!とある王が森から親友を連れ帰ったように、わし様はカルナを見出したのだからな」
親友エルキドゥを森から連れて帰ったギルガメッシュは赤い瞳を細めた。気づかずドゥリーヨダナは続ける。
「それにしても叙事詩にあるように親友と寝たとは本当なのか?友だぞ?」
あまりの不敬にギルガメッシュが口を開こうとした時。カルナが呟いた。
■2024/07/06
ビマヨダ+モブ
「英雄の話をしよう」
「ヒーローになりたかったんだ」
血だらけの地面に転がった子供の言葉にドゥリーヨダナは片眉を動かした。
怪異がはびこる特異点。怪異の巣にはドゥリーヨダナと行方不明になっていた子供だけが残っていた。
素行が悪くマスター以外は誰も探そうとしなかった子供だった。弱いものをいじめ、強者には嘘をつき、家族の言うことも聞かない子供だった。
「おまえが、ヒーロー?」
ドゥリーヨダナが問いかけると子供は喉をこぽこぽと鳴らした。もう助からないなと彼は子供を見下ろす。
マスターへのごまかしを考え始めた彼に子供は告悔する。
「
…
強くて、正しくて、
…
どうして俺はそんな風になれなかったんだろう?」
ため息をついてドゥリーヨダナはしゃがみこんだ。
「おまえ、馬鹿だろう?強くて正しくてかっこいいヒーローなど、余人が成れるものではなぁい!わし様はたくさんの人を見てきたが、そんな奴はひとりしかいなかった」
「
…
いたんだ?本当にそんな奴、いたんだ!?」
期待の滲む声にドゥリーヨダナは腰をおろした。
「おまえは見本もなくヒーローをやろうとしたのか?馬鹿だろう、わし様が聞かせてやろう。ヒーローというものは」
ドゥリーヨダナが話し始めたエピソードに子供は目を輝かしていた。その目から力が失われるまで。
■2024/07/06
アシュヨダ(彷徨アシュくん+モブ女)
「もう、あんたはいらねぇ」
「どうしてこんなに私に良くしてくれるの?」
大きなお腹を抱えて言うと、額に大きな傷のある彼ははにかむように笑った。
「大事な人だからだ」
その言葉に嘘はなく。妊娠した途端に彼氏に捨てられて雨の中泣きじゃくっていた私を拾ってくれた彼は献身的だった。
家族に頼れず、お腹が大きくなるにつれて動けなくなった私のために働いて、家事もして、苦しい時はそっと背中を撫でてくれた。私の子供がお腹を蹴るとまるで父親のように喜んでくれた。
そして子供が生まれて。──彼は赤ん坊にかかりっきり。
授乳も夜泣きも着替えも全部彼だけが行っていた。
放り出された私は問いかける。
「どうして私に良くしてくれないの?」
彼ははにかむように赤子を抱き上げた。
「この人が大事だからだ」
赤子が勝ち誇ったように笑った。
深夜。私は子供に忍び寄る。そっとその小さな身体を持ち上げて、手を離そうとした瞬間。後ろから赤子を奪われた。
振り返る。
金色の瞳が炎のように煌めいていた。
優しかったはずの唇が動く。
■2024/07/05
アシュヨダ
「恥をかくのは嫌いだろ」
「これでふたりきりだな」
後ろ手に部屋の鍵を閉めたアシュヴァッターマンにドゥリーヨダナは振り返った。
「そんなにわし様とふたりきりになりたかったのか?」
かわいい恋人の独占欲に表情を崩したドゥリーヨダナだが、無言で距離を詰められ嫌な予感に襲われた。
この部屋には窓はない。出口はアシュヴァッターマンの背後だけだ。そのアシュヴァッターマンが顔をあげた。
「旦那。──カルナにあまり構わないでくれ」
「ぬぁんだ!ただの嫉妬ではないか!?心配しなくてもわし様とカルナはただの
…
」
「嫉妬じゃねぇ!俺はあんたを心配してるんだ!」
大声で遮られてドゥリーヨダナは目を丸くした。そんなドゥリーヨダナにアシュヴァッターマンは続ける。
「カルナはこのカルデア最強のサーヴァントだ。旦那がカルナに何か頼むと、あいつはそれを何よりも優先しちまうんだよ!!」
ふむ、とドゥリーヨダナは考え込んだ。
「カルナがわし様を優先するのは当然の事だろう?」
「ここはクル国じゃねぇし。旦那はただのサーヴァントなんだ。分かってくれ」
言い募られてドゥリーヨダナは眉間にシワを寄せた。
「つまり、おまえがわし様とふたりきりになりたかったのは
…
?」
■2024/07/04
カルジナ+ヨダナさん
「実際、役に立ったッス」
※七夕イベントネタバレ少しあります
「どうしてこんなトンチキなことをしたんですか?」
そうマスターに問い詰められたキングモアイことガネーシャ神は懐から手紙を取り出した。
「随分前にカルナさんが持ってきたんス。『おまえはひとりでは生き延びることすら難しい生き物だ。困った時にコレを読むがいい』って」
今回のようにサーヴァントが単独で特異点に吸い寄せられることは稀によくある。サバイバル能力があるとはお世辞にも言えないガネーシャ神をカルナは心配したのだろう。
「えーっと、なになに?」
手紙を開いてマスターは内容を読み上げる。
思慮深いカルナの事だからおかしな事は書いていないと思ったのだ。
「まずは周りに利用できる者がいないか探すこと。イキっている雑魚の群れとかが最適」
カルナでは決してない内容にマスターは嫌な予感がした。
「見つけたら一番偉そうな奴をサーヴァントパワーでボコります。この時いつでも殺せるのだとアピールしましょう。物騒すぎ!!
…
そして、そいつらでも出来そうな事を次々とさせて優しく褒めてやりましょう。落ち着いて考える隙さえ与えなければそいつらが面倒をみてくれます。──これって書いたのドゥリーヨダナだよね?」
マスターはガネーシャ神を見た。頷きが返る。
■2024/07/04
アシュヨダ
「この後いっぱい責任をとらされた」
「責任取ってくれよぉ、旦那ぁ」
生前ですら見たことないような至尊の戦士の泣き顔にドゥリーヨダナは途方に暮れた。
場所はドゥリーヨダナの寝室。ふたりが付き合ってから一ヶ月。今から恋人たちの楽しい事をしようとドゥリーヨダナが声をかけた途端アシュヴァッターマンが泣き出したのだ。
とりあえずドゥリーヨダナは癇癪を起こした弟たちにそうするように、そっと背中を撫で、額を触れ合わせた。
「わし様に何をして欲しい?何が悲しいのだ?なんでもいい、言ってみろ」
囁かれてアシュヴァッターマンはしゃくりあげた。
「
…
最近、旦那を見るだけで、体が熱くなって」
「ん?」
弟たちでは言わない内容にドゥリーヨダナは首を傾げた。それに構わずアシュヴァッターマンは続ける。
「旦那の声を聞いたら思い出しちまって」
何を、とはドゥリーヨダナは言わなかった。大人なので。
そっと離れそうとするドゥリーヨダナの手を、アシュヴァッターマンは強く掴む。
「鍛錬してる時も、あんたとヤッてることしか考えられねぇ!」
「あー、それは男ならみんな一度は通る道
…
」
逃げ腰の恋人をアシュヴァッターマンは押し倒した。
■2024/07/03
ビマヨダ
「譲渡は禁止されてねぇだろ」
「よだよだ。カーテンコールの花束を作って欲しいのだ」
太歳星君が差し出した紙片の枚数を確認してドゥリーヨダナは頷いた。
「この枚数ならわし様が手ずからスペシャルでゴージャスな花束を作ってやろう。メルト宛でいいな?」
「なになに?お手伝い券か何か?」
マスターは意味深なやりとりをしているふたりの手元を覗き込んだ。彼らが持っているいくつかの紙片。そこには、
「ドゥリーヨダナが描いてある、なにこれ?」
決め顔のカウラヴァ旗頭が印刷された紙片は色違いで3種類あった。ドゥリーヨダナが胸を張る。
「これはカウラヴァ通貨だ!我らがカウラヴァに対して貢献した者にだけ渡される」
「貯めたらよだよだに『お願い』ができるのだ」
「カルナとアシュヴァッターマンにも『お願い』出来るぞ」
解説にマスターは額を押さえた。
「またあのふたりを巻き込んで
…
。人の好意をお金に変えてはいけません!」
「なぜだ?分かりやすくていいではないか?」
心底分からない様子のドゥリーヨダナに絶句したマスターの肩に背後から誰かが手を置いた。
ドゥリーヨダナの表情が歪む。紙幣が舞った。
「ところで俺の手元にカウラヴァ通貨とやらがこんなにもあるんだが、『お願い』をきいてくれるんだよな?」
■2024/07/03
カルヨダ
「綺麗になったな」
※ソフトクリームの日
「ぬぉああああ!!溶けるぅ!!」
夏の路上にドゥリーヨダナの元気な悲鳴が響いた。
反対に隣に立つカルナは静かに首を傾ける。
「分かりきっていた末路だ。──この暑さに10段ソフトクリームに挑戦するとは。蛮勇に値する」
「つべこべ言ってないで手伝え!かるなぁ!!腕にまでクリームが垂れてきたではないかっ!」
見ればドゥリーヨダナの浅黒い腕に白い筋が伸びつつある。カルナは体を屈めて舌を伸ばした。
舐めあげる。
溶けたクリームの甘ったるい味と、微かな汗の味が舌を滑り落ちていく。
腕から手首、手の甲を舐め取り。カルナはコーンを飛ばして形が崩れたソフトクリームにかぶりついた。
反対側を舐めていたドゥリーヨダナの鼻先を掠める。
「
…
持って行き過ぎではないか?」
「緊急事態だ。速やかに平らげるべきだろう」
「まあ、確かに。綺麗に片付けるべきだな」
ドゥリーヨダナの瞳で光が揺らぐ。それに誘われるままにカルナはヒゲまでクリームまみれのその顎を舐め上げた。
お返しにドゥリーヨダナもカルナの唇を舐める。軽い音はすぐに濁り。互いの舌の甘さをふたりは味わう。
そうしてドゥリーヨダナの手の中のソフトクリームは溶け切って、コーンの欠片だけが残っていた。
■2024/07/03
カルヨダ
「これが兄貴の徴だからだ」
「いいなぁ、わし様も金の耳輪が欲しいなぁ」
そうねだるドゥリーヨダナの両耳にはなんの飾りもない。
共になって数年やっと気心が知れてきた友の言葉にカルナはわずかに微笑んだ。
「おまえが望むなら、この耳ごと切り落とそう」
「ひぇ、そんな事せんでいい。普通に職人に作らせるわ。冗談の分からん奴め」
「冗談だ。
…
しかし、これと同じものなら重いぞ」
カルナの忠告にドゥリーヨダナは真顔になった。
そっと手を伸ばして金の耳輪をつまむ。離した。
「
……
わし様はもっと違うものにする」
「妥当だな。だがこれはこれで名乗る必要がない」
「ああ、確かに。そんな耳輪をしているのは『耳(カルナ)』しかおらんからな。それはそれで
…
」
急に黙り込んだドゥリーヨダナをカルナは静かに待った。
しばらくしてドゥリーヨダナが晴れやかに顔をあげる。
「目立つ差異というものは便利な物だ。さすが我が友!おまえのおかげで良いことを思いついたぞ!」
ろくでもない顔をした友と別れてから数日後、カルナに華やかな赤いタッセルを耳に飾った『ドゥリーヨダナ』が会いに来た。
「どうだ似合うだろう?」
自慢げな青年にカルナは眉を寄せる。
「何故、ドゥリーヨダナを名乗る?」
■2024/07/02
アシュヨダ
「こちらの方が叶いそうだな」
※七夕
星の河の長さを測るには光年という尺度が用いられる。三千年光が旅してやっと俺はこの河を越えられた。
「アシュヴァッターマン!!しっかりとわし様を支えるのだぞ!もう少しで一番高いところに届くっ!」
肩にずっしりとかかる旦那の重さに俺は笑った。
七夕の短冊は高い所に飾るほど願いが叶いやすくなるそうだ。それを聞いた旦那を俺は肩車している。
「アシュヴァッターマン!ちょっと前に進め!よし!」
満足出来る場所に手が届いたのか旦那はゴソゴソを短冊を笹に結びつけている。その手が俺に差し出された。
「わし様は優しいからな、おまえの分も結んでやるぞ。わし様の短冊の下にだが」
「俺は書いてねぇからいい」
旦那が俺の顔を覗き込んだ。
「年に一度のらぶらぶパワーだぞ。やっと天の川を渡った恋人同士の無礼講だ。便乗しないでどうする?」
「願いはもうねぇ。二度と叶わないと思っていた事が叶ったからな」
旦那が死んだ時もう二度と会えないと思った。それが当然の摂理だと言うのに俺は今、旦那の重さを味わっている。
これより願うことが他にあるだろうか。
「俺の方が願いを叶えてまわりてぇぐらいだ」
俺の言葉に旦那は自分の短冊を笹から引き抜くと俺の髪に結んだ。
■2024/07/02
現パロビマヨダ
「それは楽しみだ」
桜の蕾が名残り雪に濡れている。夜明け前の暗い空に視線を流してドゥリーヨダナはカルナを連れて無骨な建物へと入って行った。
途端に喧騒が耳を打つ。店舗の間の狭いコンクリートの道を抜け、ドゥリーヨダナは目当ての区画にたどり着いた。
「ビーマ!!今日のおすすめはどれだ!」
「待ってたぜ、オーナー。このインド鮪はどうだ?」
そう作業台に横たわる四百キロほどの鮪を指すビーマは厚いビニールエプロンに長靴を履いて。どこからどう見ても魚市場の卸売業者だ。
「
……
いつも思うんだが。なんでそんなに妙に似合うんだ?元はわし様達と同じ王子だろう?」
「だからこそ目利きの仕事に向いてるんだ。力仕事だしな。
…
で、何キロいる?」
「やめろ、言う前からそんなに大きく切るな!わし様の店は高級志向なのだぞ!おまえみたいな大食漢は来ない!」
「後ろのカルナを見て言えるのか?それ」
「
…
五十キロください」
「よっしゃっあ!一番美味いとこだ!持ってけ!」
「ビーマ。養殖のブリのおすすめはあるか?」
カルナの質問にビーマは破顔した。
「まかせとけ!
…
そうだ!仕事が終わったらカルパッチョでも持っていってやるよ」
ビーマの提案にふたりは笑った。
■2024/07/01
ビマヨダ
「夏の怪談」
暗い夏の夜の廊下にドゥリーヨダナが落ちていた。
水着だ何だと消耗しているマスターに明日は精のあるもの食わせてやろうと考えながら歩いていた途中だった。
廊下の曲がり角から遠く明かりが見える。喧騒は遠く。カウラヴァの連中の姿はない。ぐったりと座り込んで眠っている奴はひとりきりだった。
遭遇してしまったものを見捨てるのも後味が悪い。
「おい、トンチキ起きろ」
揺さぶろうとした手は
「汚れた手で兄貴に触んじゃねぇよ!!」
どこかで聞いた罵声と共に振り払われる。
その手の持ち主。ドゥリーヨダナが目を開けて俺を見ていた。その瞳は何の感情も浮かんでおらず口だけが動く。
「ビーマさん久しぶり」「挨拶なんてコイツに必要ねぇだろ」「あの時はひどい目にあったし」「痛かったよなぁ」「いくらなんでもあそこまでやることねぇよ」「そうだそうだ」「兄ちゃんに言いつけてやるー!」
異なる口調が次々とドゥリーヨダナの口から零れだす。そのどれもが覚えのあるもので俺は息を呑んだ。
「おまえらは
…
」
ぐるりとドゥリーヨダナの瞳がまわる。
「「「「おまえが殺した従兄弟だよ」」」」
瞬間世界が明るくなる。電灯に照らされた廊下には俺の他は誰もいなかった。
■2024/07/01
ビマヨダ
「自分には勝てない」
ドゥリーヨダナと恋人になった。
意を決した俺の告白に、あいつは最初は笑い、それでも言い募ると次に疑い、諦めずに繰り返すと最後には頷いた。
「おまえがそんなことを言うとはな」
そう呟いたドゥリーヨダナは俺の口づけを受け入れ、ベッドに押し倒しても抵抗のひとつもしなかった。
だから受け入れられていると思っていたのだ。
「
…
ビーマ、」
俺の名前を呼ぶ一瞬のためらい。俺の顔を見る時の視線のブレ。俺と共にいても時折ぼんやりと遠くを見ている。
「ドゥリーヨダナ」
「ん?ああ」
「──おまえ、笑わなくなったな」
「笑っておるが?」
そうドゥリーヨダナは笑顔を作るが俺は数え切れないほど眺めていたその顔を見つめた。
「おまえ、俺の他に好きな奴でもいるのか?」
「──わし様が好きなのはビーマだが」
ぎこちなく笑って答えるドゥリーヨダナに俺は首を振った。
「それは俺か?」
サポートにでも来た他の『ビーマ』ではないのか?
「ああ、そうなのだろうな。──別れよう。わし様が好きなのは『わし様の事を好きだと言わない正しいビーマ』だ」
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