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ちよど
2024-11-16 13:22:32
15911文字
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わし様など
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練習1P 1月分まとめ
#練習1P、のタグで書いていたもの。
わし様中心SS。節操なくCP混在。
■2024/01/31
アシュヨダ
「幸せ、だ」
クリシュナの呪いに侵されていた間、出られない森からはヒマラヤの山々が常に見えていた。あの山には天の国の入り口があるという。
呪いで霞む目にすら天の国に続く山々は圧倒的で、望んで背を向けたモノの大きさをずっと俺に突きつけていた。
そんな雄大な山々すらも白紙化された地表にはすでに存在しない。
代わりに、地獄に堕ちていただろうドゥリーヨダナの旦那が俺を振り返る。
「なぁんにもないではないかーっ!!」
「だから言っただろうが」
俺の声に、徹底的に均された地表の上で旦那がじたばたと足踏みする。
「わし様、シミュレーションでも特異点でもない観光がしたーい!! せっかく召喚に応じたのに、これでは意味がないではないか!」
「そこは嘘でもいいから人理を守るためって言うところだろ。
…
本当にろくでなしだなァ、あんたは」
間違っても天の国にはいけないだろう旦那に俺は安堵する。
もし旦那が天の国に行っていたなら、俺はどんな手段を使ってもあの森から出て旦那に会おうとしていただろう。
天の国へと続く山々は綺麗に消え去って、ろくでなしの旦那が笑っている。
■2024/01/31
アシュヨダ
「この秘密を知られるわけにはいかなかった」
実際の病気の方を揶揄する意図はありません。
「ドゥリーヨダナって赤紫色が好きだよね」
マスターの言葉にドゥリーヨダナは片眉を上げた。しかし、すぐにいつもの不敵な笑みを浮かべる。
霊衣縫製室には色とりどりの布が溢れている。
「わし様は何を着ても似合うだろう? 生前はわし様の服を作る専属がいたものだ」
「参考に聞くけど、どんなオーダーをしてたんだい?」
ハベトロットの質問にドゥリーヨダナは胸を張った。
「わし様の素晴らしさを最大限に活かす最高の服、だ」
傍で布を眺めていたアシュヴァッターマンがフォローを入れる。
「無茶なオーダーだが、出来上がったモンにはそう文句をつけねぇから安心してくれ」
「わし様はわし様の部下を信頼しておる」
そう言いながらドゥリーヨダナは一枚の布を手に取った。彼にはまったく似合わないベージュ色の布を。
「あれ? ドゥリーヨダナ?」
マスターが疑問の声をあげるより早く、さっとアシュヴァッターマンが違う布を差し出した。
「旦那にはこっちの色の方が似合うぜ」
「あ、ああ。そうか」
赤紫色の布を受け取ったドゥリーヨダナはすぐに表情を戻す。
「さすがは我が戦士。おまえのセンスに間違いはなぁい!」
■2024/01/31
わし様+帝都騎殺
「債権者は怖いんじゃあ!!」
馬鹿勝ちした賭場明けの周回でドゥリーヨダナが見たのは、編笠を被った赤いサーヴァントだった。
「誰だ? お前」
周回のメンバーは限られている。しかしドゥリーヨダナはそのサーヴァントを見た事がなく、新入りが来たとも聞いていなかった。
「何してるんですか? ダー」
ドゥリーヨダナの隣で言いかけたキャストリアに謎のサーヴァントは大きくバツを作る。名を言うな、との仕草にキャストリアはにやりと笑った。
「うちの聖杯組筆頭のアサシンさん、どうしたんですか?」
聖杯組には何騎かいるらしいがドゥリーヨダナは特に紹介されていない。悪用すると言われてデータ閲覧も禁止されていた。
しかし、謎のアサシンは聖杯組筆頭と言われるだけあって強かった。ライダーの人型を軒並み一撃で倒していく。
「うむうむ。お主、我が家臣にならぬか?」
勧誘に何故かアサシンは震え上がった。ぷるぷると首を振る。
「なんだ、遠慮しておるのか? んん?」
アサシンの肩を組んだドゥリーヨダナに別のサーヴァントの残り香がふわりと匂った。
ライダー坂本龍馬の部屋にドゥリーヨダナが乗り込んでくる数時間前の話。
■2024/01/30
アシュヨダ
「何よりもお前に会えたことが」
アシュヴァッターマンの拳が勢いよくドゥリーヨダナの脳天を殴りつけた。
「いったぁい!! いや、本当に痛い」
「
……
」
椅子に座ったまま頭を抱えるドゥリーヨダナにアシュヴァッターマンは何かを言おうとしたが、結局顔をくしゃくしゃにして走り去っていった。
焼き肉のプレートがじゅわじゅわと音を立てる。ドゥリーヨダナの向かいに座っていたカルナが箸を置いた。
「愚かに過ぎる。──オレがおまえと同じ事を言ったとしたら。おまえは喜ぶのか」
ドゥリーヨダナはアシュヴァッターマンが座っていた椅子を見た。
先ほど言った言葉が蘇る。
『サーヴァントは最高だな! うるさい侍従もおらぬし、言うことを聞かない家臣もおらぬ。執務もないし、いつでも友と会えるし、好きな物を食べられる!! 死んでよかった!!』
それは本心だったが口にだして言っていいものではなかった。特にアシュヴァッターマンの前では。
ドゥリーヨダナは椅子から立ち上がった。
「謝るのか?」
「わし様悪くないもん。アシュヴァッターマンは一言付け加えれば分かってくれるとも」
■2024/01/30
マハバ組
「借りは返すぜ。ちゃあんとな」
囚われたのは、アシュヴァッターマン、カルナ、アルジュナ、ビーマの順だった。
塗り込められた部屋。魔術の文様が刻まれた床からビーマが足を上げようとするがピクリともしない。
「愚行だ。おそらく神性を対象にしているのだろう」
「なら、大丈夫だな」
カルナとアシュヴァッターマンの言葉と同時に彼らを閉じ込めていた壁が吹き飛ぶ。
「ドゥリーヨダナ」
ぼろぼろのドゥリーヨダナはにやりと笑った。
床の魔術文様を棍棒でなぞる。
「わし様、カルナとアシュヴァッターマンは助けてやるが。他はどうしようかなぁ? んんん〜? 泣いて頼むなら考えてやらんでもないぞ」
「このろくでなし!!」
「あなたは兄さんには借りがあるはずですが?」
虜囚から助け出された事を持ち出されてドゥリーヨダナは大げさに顔をしかめた。
「生前の借りなど! ──分かった。カルナ、そんな顔で見るな」
ドゥリーヨダナが棍棒で文様を叩き潰す。体が軽くなった4人にエネミー達の気配が近づいてきた。
「せいぜいわし様を守れよ」
■2024/01/29
アシュヨダ
「ねん活初めました」
「アシュヴァッターマン。わし様の新しい恋人を紹介しよう」
些細な事で喧嘩した恋人に謝ろうとしていたアシュヴァッターマンの舌が凍りついた。
慌てて周りを見回しても、ドゥリーヨダナの部屋にはふたり以外の気配はない。
「霊体化してんのか?」
「んふふふ、ちゃあんとここにおる!」
ドゥリーヨダナが指し示した先、そこにはアシュヴァッターマンの手のひら程の大きさのドールが立っていた。
「わし様の恋人だ。かわいいだろう?」
そのドールの髪は赤。褐色の肌に、額には黄色い宝珠まで再現してある。鎧の代わりに赤いシャツとジーンズを身に着けたドールはアシュヴァッターマンを見つめ返しているようだった。
「神代の魔女に頼んだ一品だ。わし様、今度からこいつと食事をするし、一緒に寝る」
思わずドゥリーヨダナを振り返ったアシュヴァッターマンだが、何を言っていいのか分からず口ごもった。
そんなアシュヴァッターマンを置いて、ドゥリーヨダナはドールを持ち上げその頬に唇を寄せる。
「愛しておるぞ」
「──俺に言ってくれ」
懇願にドゥリーヨダナは声を上げて笑った。
■2024/01/28
アシュヨダ
「こういうものは分かりやすく対にしておくものだ」
「なんでカルナなんだよ!!」
「よしよし、よく我慢したな。えらいぞー」
部屋に入った途端壁を殴りつけたアシュヴァッターマンをなだめて。ドゥリーヨダナは手の甲をかざした。正確には左手の薬指を。
「まあ、わし様がルビーの指輪を嵌めていたら。ルビー繋がりでカルナを連想するわなぁ」
彼らの友人であるカルナの胸には大きなルビーが嵌め込まれている。だから、ドゥリーヨダナのルビーを指輪を見て、カルナと付き合っているのか? と声を掛けたサーヴァントは何も悪くない。
それだけなら、アシュヴァッターマンも笑って流せただろう。
「
…
なんで否定してくれねぇんだ」
呻くような声にドゥリーヨダナはにやりと笑って指輪を外した。一粒の輝くような天然ルビーがきらりと美しい光を放つ。
「お前が馬鹿な遠慮をするからだ。アシュヴァッターマン。──わし様がお手本を見せてやる」
──それから数日後。
アシュヴァッターマンの耳にはルビーとアメジストが並ぶリングが飾られていた。ドゥリーヨダナの左手の薬指には同じデザインの指輪がある。
■2024/01/26
ユディシャク
「さあ、骰子賭博を始めよう」
賭博の場に案内されたユディシュティラは私を見つけて安堵したかのように微笑んだ。
悪辣な甥であるドゥリーヨダナに無理やり連れてこられたのだから、どんな無理難題を突きつけられるのかと思っていたのだろう。
ユディシュティラは広げられた流行りのゲームの席につく。私の対面に。
「貴方が居てくれてよかった。シャクニ殿」
「それはどうして?」
私の問いかけにユディシュティラは、クル族の王子は無邪気に微笑む。
「だって。──貴方は私のことが好きでしょう?」
愚かな発言に肩を揺らして笑う私にユディシュティラは言葉を重ねる。
「気づいていらっしゃらないのですか? 貴方はいつも私の姿を見て少しだけ微笑むのです。私が貴方に近づくと貴方はその目元を緩ませるのです」
「だから、私があなたに好意を抱いていると?」
「他にないでしょう?」
賢しらに微笑む王子に私は父の骰子を取り出した。打ち砕かれた足首がまた痛みを訴える。
「そうかもしれませんね」
私はユディシュティラによく似た笑みを浮かべた。おまえ達が破滅するのをどれほど夢見た事だろうか。
■2024/01/26
アシュヨダ
「髪の艶ってどうやって出せばいいんだ?」
「アシュヴァッターマンが浮気をしておる」
食堂で弓のトリスタンを見据えてドゥリーヨダナが呻くように言うと、カルナは首を振った。
「浅慮に過ぎる。おまえは空が落ちてくると憂うのか」
「ならば何故、わし様のアシュヴァッターマンはあの男の側に纏わりついておるのだ!」
その視線の先。騎士トリスタンに至尊の戦士は給仕をしたり、こそこそと何かを話したりしている。
アシュヴァッターマンがトリスタンの長い髪の一筋を持ち上げて何かを囁いた。
「アシュヴァッターマンっ!!」
「旦那!? どうしたんだ??」
しびれを切らしたドゥリーヨダナに大声で呼ばれ、アシュヴァッターマンが駆け寄ってくる。
「おまえは誰の戦士だ?」
「? 旦那の、ドゥリーヨダナの戦士だ」
「分かっておるなら、なんで円卓の騎士に従者紛いの事をしておるのだ!?」
その糾弾にアシュヴァッターマンは頭を垂れた。
「我が王よ。我は戦士なれば従者の仕事などしたことがなく。友に貴人のお世話をするにあたっての心得を学んでおりました。先に許可を得ず、申し訳ございません」
「わし様の世話の練習をしておったと言うのか。愚か者が。そういうのは主に合わせて学ぶものだ」
■2024/01/24
アシュヨダ
「かわいすぎんだろ」
「ズルい! わし様も変身したぁい!!」
「変身する奴なんて珍しくねぇだろ、旦那」
逸れのアシュヴァッターマンの鎧装着を見たドゥリーヨダナにアシュヴァッターマンは強請られていた。
「しょうがねぇなァ、鎧貸してやるから。これで我慢してくれや」
わざわざ2臨姿になって鎧を外し、手渡す。ドゥリーヨダナは満面の笑顔でそれを受け取った。
「カエサルから買った変身セットはサイズがあわんかったのだ」
「あ゛ー。あれは子供向けだからなァ。そもそもなんでそんなモン買ってんだよ」
「わし様の友のグッズは手に入れておくものだろう! まあ、だいぶ足元を見られたが」
言いながらドゥリーヨダナはアシュヴァッターマンから受け取った脚部鎧に足を通そうとした。
詰まった。
胸部鎧を嵌めようとした。──閉まらなかった。
腕部。──入るわけも無かった。
「こういうものは装着者に合わせて変形するものだろう! ──どうした? アシュヴァッターマン」
うずくまっているアシュヴァッターマンは息も絶え絶えに答える。
「ちょっと今は、話しかけないでくれ」
■2024/01/22
アシュヨダ
「それにそんな理由でしたくねぇ」
「わし様、魔力が尽きた。もう周回無理ぃ」
泣き言と同時にベッドに倒れ込んだドゥリーヨダナは、ちらりと傍らに立つアシュヴァッターマンを見た。
中途半端なレベルのドゥリーヨダナが出撃する時は必ずLv120のアシュヴァッターマンが付いてくる。
「魔力なーい! 全然なぁい!! 誰か、わし様に魔力を分けてくれんかなぁ?」
ちらちらと明らかに期待の篭った眼差しに、恋人になったばかりのアシュヴァッターマンはため息を付いた。
「分かった。準備してくるから待ってろ」
そう言って部屋から出ていったアシュヴァッターマンはすぐに戻って来た。目を閉じてわくわく感を楽しんでいたドゥリーヨダナの耳に足音が届く。
「旦那、口を開けてくれ」
「あーん。
……
種火ではないかっ!」
飛び起きたドゥリーヨダナに籠いっぱいの種火を抱えたアシュヴァッターマンはにやりと笑う。
「お望みの魔力リソースだ。旦那。レベル上げサボってただろ?」
ドゥリーヨダナは恋人の顔を見た。恋人はうっすらと頬を染めて呟く。
「旦那がレベル上げてくれねぇと、
…
抱き潰しちまうんだよ」
「おかわりっ!!!」
■2024/01/20
アシュヨダ
「甘いのはそれだけではなく」
生け垣に咲いていた花を無造作に口に咥えたカルナに俺達は目を丸くした。
特異点の長閑な村には花々が咲き誇っている。カルナはそのうちひとつの花の根元を笛でも吹くかのように吸っていた。
「何をしておるのだ?」
不思議がった旦那がカルナの顔を覗き込む。
「蜜だ」
カルナの端的な答えを聞いて好奇心に目を輝かせた旦那が花を口に運ぶ。
「旦那っ!?」
「いいではないか。今のわし様はサーヴァントだ」
確かにこの体ならば生前の慣習は遠く、多少の毒性があろうとも関係ないだろう。
美食ばかり味わっていた唇が、ためらいなく野の花を吸う。
「あまーい!」
顔を綻ばせた旦那は問答無用で俺の口に花を当てた。今、自分が吸っていたばかりの花を。
「アシュヴァッターマン! おまえも吸ってみろ!!」
期待に満ちた眼差しに観念して花を吸う。
残っていた蜜はほんの僅か。
だが、脳が痺れる程に甘かった。
■2024/01/20
わし様
「人はお菓子の奴隷である」
ここ最近、ドゥリーヨダナはお菓子をいくつか持ち歩くようになった。子供サーヴァントにあげるためである。
「もちろん等価交換というものだ」
カウラヴァふたりを引き連れて、にやりと笑うドゥリーヨダナに子供サーヴァント達は唇を尖らせる。
だが、ドゥリーヨダナが持っているお菓子は競争率の高い人気のお菓子ばかり。すぐに子供達は諦めて口を開くのだ。
「うむうむ、ご苦労」
子供達の噂話の対価にお菓子を渡したドゥリーヨダナにアシュヴァッターマンは眉をしかめた。
「子供を細作にするんじゃねぇよ」
ドゥリーヨダナはその口にお菓子をねじ込んだ。
「子供のものとは言え、情報とは馬鹿にならんのだぞ。──ほら、対価を払え」
楽しそうなドゥリーヨダナにアシュヴァッターマンはお菓子を飲み込んだ。
「我が王は本当にろくでなしだ」
心得て口を開いたカルナは放り込まれたお菓子をもぐもぐと食べてから言う。
「我が友は恥を知らんと見える」
ふたりの評価にドゥリーヨダナは満足げに笑った。
「そんなわし様だからいいのだろう?」
■2024/01/19
カルヨダ
「公認というものだ」
「オレはセフレというものか?」
カルナの問いかけに、こっそりと部屋を出ようとしていたドゥリーヨダナは足を止めた。
夜明け前にドゥリーヨダナがふたりがいたベッドからいなくなるのはこれが初めてではない。
それどころか
「このような関係になってから、おまえは日中オレを避け続けている」
「──わし様はお前のことを愛しているぞ」
「知っている。だからこそ不可解だ」
揺るがないカルナにドゥリーヨダナはゆるゆると首を振った。
「わし様はまだ死にたくない」
「おまえを害する者がオレの前で存在出来ると思うのか?」
「相手はスーリヤだぞ!」
叫んだドゥリーヨダナは勢いのまま続けた。
「一体化するほど大事な息子を誑かした魔性だと思われているに決まっておる! わし様日光にジュッ!されたくはないっ!!」
ドゥリーヨダナの主張にカルナはため息をついた。
「父ならとうに知っている。──オレが生前からお前を愛していた事を」
■2024/01/18
サムレムコラボとわし様
「
……
許せ、わし様が強すぎたのだ」
「特攻サーヴァントはアシュヴァッターマンだろう!!」
「やだなぁ。こんなにわし様が輝くバトルはないよ」
息をするように盟友を売ったドゥリーヨダナにマスターは微笑んだ。
場所は江戸。百鬼夜行のごとく湧くエネミーをドゥリーヨダナとふたりのキャストリアは何度撃ち破っただろうか。
特にアタッカーで宝具発動を繰り返しているドゥリーヨダナの疲労は深かった。
誰だ、特攻サーヴァントでなければ楽が出来ると言った奴は。
そんなドゥリーヨダナにマスターは高らかに宣言する。
「雑魚敵が多い、それすなわちドゥリーヨダナの宝具が連打出来るということ!特攻サーヴァントなど後衛でよい。時間こそが貴重!」
社会人マスターにとって時間とは貴重なものだった。
あと怠いバトル面倒。
「だから、死ぬほど出撃してね」
マスターの言葉に、ドゥリーヨダナとふたりのキャストリアは震える子供のように身を寄せ合うしか無かった。
「ここは地獄だ」
地獄の江戸はまだ始まったばかりである。
■2024/01/17
アシュヨダ
「わし様が美しいと思う者は、」
「ああ、お前は美しい。わし様にはおまえの本当の美しさが分かる」
戦闘中、突然エネミーに向かって語りだしたドゥリーヨダナに、アシュヴァッターマンとカルナは顔を見合わせた。
魅了されている。
ふたりに挟まれたドゥリーヨダナはエネミーに見入っていた。
「その類まれなるルビーよりも赤い髪。使い込まれたなめし革のような褐色の肌、そして、」
「あ゛あ゛!?」
似たような事をベッドの上で言われた覚えのあるアシュヴァッターマンがドゥリーヨダナの頭を引っ掴んだ。
よりによって口説き文句を使いまわした口を唇で塞ぐ。
そして、沈痛な面持ちをしたカルナがドゥリーヨダナの意識を刈り取った。
倒れ込んだドゥリーヨダナを抱きとめたアシュヴァッターマンにカルナは言う。
「友として、ひとつ指摘をしておかねばなるまい。エネミーには赤い髪も褐色の肌を持つ者もいない」
ならば、ドゥリーヨダナは『誰』を見て魅了されていたのだというのだろうか。
アシュヴァッターマンの赤く染まった頬は、カルナがエネミーを殲滅した後も戻ることはなかった。
■2024/01/16
カルヨダ
「これは義務であり宣言なのだ」
「オレの父親はスーリヤだ」
カルナの告白に友になったばかりの男は驚かなかった。
「そうか。まあ、わし様の従兄弟には半神がごろごろおる。そういうこともあろう」
男の、ドゥリーヨダナの額がカルナの額に触れる。高価な香油の香りがした。
お互いの顔が触れそうな距離でドゥリーヨダナはカルナの瞳を覗き込んだ。
「だから、おまえの目は青空と太陽なのだな」
花のような瞳を微笑ませた後、顔をあげたドゥリーヨダナは侍従を呼びつけた。
「こいつ、
…
いや、我が友カルナの鎧を磨いてやれ」
「不要だ。この鎧は父からの賜り物。外すことは出来ない」
「だったらなおさら磨いておけ。お前はもうクシャトリヤだ。戦士に相応しく身だしなみを整えるのは義務だ。──そこの、紅を出せ」
後半は侍従に言ってドゥリーヨダナはカルナの顎を持ち上げた。
その指先に紅を乗せ、カルナの目の下をなぞる。
「なにをした?」
カルナの問いにドゥリーヨダナは満足げに笑った。
「カウラヴァの赤だ。──これで誰もがお前をわし様の戦士と知るだろう」
■2024/01/15
アシュヨダ(+Kさん)
そういう逸話もある(嘘ではない)
「クリシュナ実装?? そういえばわし様あやつに裸を見られたことがあるぞ」
唐突なドゥリーヨダナの告発に、特攻鯖として出かける準備をしていたアシュヴァッターマンは固まった。
「
…
なん、で?」
付き合い始めたばかりの、キスしかしたことのない恋人の反応にドゥリーヨダナはにんまりと笑う。
「わし様が母上に言われて服を脱いだ時にな、あやつがやってきてわし様のこの玉体を貶しおったのだ」
よよよと泣き真似をして顔を覆ったドゥリーヨダナに騙されるアシュヴァッターマンではなかったが、事実無根の嘘ではないだろうことも察していた。
「あやつはわし様をみておこちゃまのようだとからかって。わし様とても傷ついた」
「おこちゃま」
「わし様は立派な成人男性だというのにー!!」
じたばたと不服を訴えるドゥリーヨダナに、どこを見ての話なのかアシュヴァッターマンにはとても聞けなかった。が、
「とりあえず、一発殴ってくればいいんだな」
「頼むぞ。我が戦士」
握りこぶしで訴えるドゥリーヨダナにアシュヴァッターマンは力強く頷いた。
■2024/01/14
アシュ+ぐだ男
「だって、俺も何度でも同じことをするから」
「久しぶりだね。アシュヴァッターマン」
そう言われて召喚されたばかりのサーヴァントは満面の笑顔のマスターに赤い髪をかき混ぜた。
「悪ぃ『俺』は覚えてねぇ。異聞帯に俺がいたのか?」
「違うよ。インドの異聞帯はこれから行くんだ」
それよりもまずは種火と聖杯だね。と強化室に連れて行かれたアシュヴァッターマンは違和感を覚えた。
──何故、マスターはインド異聞帯にアシュヴァッターマンがいるのを知っているのか。
その答えは今。ストームボーダーが落ち、アシュヴァッターマンだけがマスターを死出の旅に見送る時になって明かされる。
「今回は聖杯も使い切ったし何も魔力リソースは残ってないよ。前回は言えなかったけど、ありがとう、アシュヴァッターマン。俺にシヴァの権能を使ってくれて」
時を司るシヴァの権能を持つアシュヴァッターマンは膨大な魔力さえあれば、対象を過去に送り込める。
だから『前回』のアシュヴァッターマンはもう不必要となったカルデアの膨大な魔力リソースを使って少年を過去に飛ばしたのだろう。
おそらくは、家族の元へ。
「ならなんで、またマスターになってんだよ!!」
アシュヴァッターマンの叫びにこの結末を知っていた少年は微笑んだ。
■2024/01/13
ビマヨダ(+叔父)
「綺麗なものには届かない」
「それ、綺麗だ」
豪奢な花冠を被って歩いていたスヨーダナを呼び止めると、従兄弟は頭を庇うような仕草をした。
「触るなよ。叔父上から母上への贈り物だ」
「だからか」
色とりどりの花が咲き誇る冠は母親似のスヨーダナによく似合っている。
そして王妃の住まいには弟とはいえ男は近づけない。だからこそ息子であるスヨーダナがお使いをしているのだろう。
飾り立てられた花が珍しくて手を伸ばすと叩き落される。
「触るな!」
「花なんだからまた摘んでくればいいじゃないか」
「お前の目は飾りか?この赤い花を見たことがないのか?」
言われてみるといくつも連なる赤い花は見覚えがある。昔、母にと持ち帰って怒られた花だ。
「
…
棘がない。どうして?」
「ひとつひとつ全部取ったからに決まっているだろう。母上が触るだろうから」
スヨーダナの叔父は疑り深い男だ。そんな男が姉が触る物を人任せにするはずがないと俺ですら分かった。
それは、なんて──。
「綺麗だ」
俺が与えられないものに彩られてスヨーダナが笑った。
■2024/01/12
叔父+わし様
「英才教育をしたかったのだが」
「もう出来ない? 貴殿はただ今まで通りにしてくれればいいのだよ」
シャクニの言葉にパーンダヴァに仕える男は膝をついた。
気だるげなシャクニの膝に抱えられた子供は無邪気そうに声をあげる。
「叔父上。どうしてこの男はパーンダヴァを裏切ったのです?」
「裏切ってなど!」
「対価を貰って情報を話す。それは人々には裏切りと呼ばれるだろうなァ」
「
…
あの時、おまえからの誘いを断っていれば」
血を吐くような悔恨にシャクニは子供に耳打ちする。
「スヨーダナ。覚えておけ。最初の一口は小さな些細なものでいい。それを食べさせてしまえば止まらなくなる。その後から毒を入れるなり何でもすればいい」
シャクニの手が傍らの菓子を摘む。当然のように口を開いた甥に彼は笑った。
「話を聞いていたか? スヨーダナ」
「叔父上だからです。あーん」
シャクニは甘え上手な甥の口に菓子を放り込んでやった。愚かな子ほどかわいいものだ。
■2024/01/12
わし様(叔父)
「形見分け」
敗戦は目前だった。
名だたる勇士は地に斃れ、戦場は血に濡れている。その泥土を並走する叔父の戦車が減速する事なくわし様の戦車に横付けされる。血で汚れた叔父が顔を出した。
「スヨーダナ!」
投げつけられた物を咄嗟に受け止める。
ソレは白い骰子だった。
叔父がどんな豪華な品々よりも大切にし、誰にも触れさせず、いつも懐に忍ばせていたものだ。
──望んだ目を出せるイカサマ骰子。
それを欲しがって弟たちは何度も手を伸ばしては叔父に叩かれていた。わし様だけが手を出さないのを見て叔父は満足げにしていたが。わし様は分かっている。
──どう考えても厄ネタでしかない品に関わるなどろくでもない事にしかならない。
だからここ一番の時しか頼らなかったというのに、その骰子は手の内にある。
「持っていけ。──お前は我が一族の子だからな」
この先に骰子が必要な場面などない。だからこれは性能を渡したのではなく。
「──叔父上の家族は流行り病で亡くなったのだろう?」
聞かされていた話を繰り返すと叔父は笑って戦車の向きを変えた。土煙と轟音が響く。パーンダヴァの軍勢が近づいていた。
■2024/01/11
わし様(叔父)
「食べなければならない」
衆目の中、ヴァイシャから差し出された果実を受け取った叔父は返礼のようにその女を斬り殺した。
クシャトリヤより下級民であるヴァイシャが触れた食物は汚れていて食すことは出来ない。だが叔父はそれを食べるだろう。それが分かっていてこの女は差し向けられたのだから。
悪辣で傲慢な叔父には唯一弱点がある。差し出された食物はそれが何であっても口にしてしまうのだ。そんな叔父がヴァイシャからの果実を手にわし様達の方を向いた。
「ドローナの息子!」
いきなり果実を投げつけられ、わし様の隣りにいたアシュヴァッターマンがそれを受け取る。
「よこせ」
言われるままにアシュヴァッターマンが果実を投げ返すと、叔父はそれにかぶりついた。
「シャクニ様!」
悲鳴のような歓声のような声に叔父は唇を釣り上げた。
「これが汚れているなら、そこの聖仙の孫は汚れに触れたことになるが?」
人々の目がアシュヴァッターマンに集まり、そして床に転がる女を視界から外した。
汚れを無かったものとされた果実に叔父は歯を立てる。少しも美味そうではなかった。
■2024/01/10
叔父+カルヨダ
「友よ。天の国は遠すぎる」
紹介したカルナを見て叔父はあからさまに顔をしかめた。
「ドゥリーヨダナ。友は玩具のように購うものではない」
「だって、わし様も叔父上のような親友が欲しい!」
酷く酔った叔父が1度だけ語ってくれた友との冒険談。うるさい大人には決して話せないその内容を、わし様は何度も思い返しては胸を踊らせたものだ。
隣に立つカルナが首を巡らせた。
「おまえはオレが親友になる事を望んでいるのか?」
「もうすでにわし様達は親友だろう?」
「もちろんだ」
わし様がカルナの薄い肩を組むと、叔父は首を振った。
「おまえは友など作るべきではない」
「叔父上だけズルい」
「──お前も友に会えなくなれば分かる」
そんな叔父の言葉を今になって思い出した。
戦を起こす凶兆の子は友など作るべきではなかったのかもしれない。
カルナの遺体は冷たく、もう二度と会えない。
■2024/01/10
アシュヨダ
ヨダナさん「鳴かぬなら鳴かせてみろと言うではないか」
「ここにドゥリーヨダナへの判決を言い渡す! 有罪!!」
マスターの裁きにギャラリーが湧くが被害者のアシュヴァッターマンは叫んだ。
「異議あり! 旦那はセクハラなんてやってねぇ!!」
マスターを巡り争いが絶えないカルデアでは同意なしのボディタッチは禁止されている。それをアシュヴァッターマンに絶えず繰り返していたドゥリーヨダナにマスターは確認した。
「でも、同意はなかったんですよね」
「
……
」
ドゥリーヨダナは答えない。正確には答えられない。ドゥリーヨダナがどれほど触っても拒否することをしないアシュヴァッターマンが恋人になるという一点だけは断り続けていたからだ。
「なら有罪です。ドゥリーヨダナを霊基保管庫へ」
「待ってくれ!!」
再度叫んだアシュヴァッターマンにドゥリーヨダナが振り返る。
「
…
俺と、旦那は、恋人同士だ」
絞り出したアシュヴァッターマンの言葉にドゥリーヨダナが満足げに笑った。
■2024/01/09
モブ(ヨダナさん)
「わし様はなぁんにも命じておらんが?」
「葉の一枚だけでもいい!」
強欲な王子の声に王宮の庭を見ると霊樹の前で長兄が侍従たちに囲まれていた。
末姫が流行り病に掛かってもうひと月。あの霊樹の葉ならば効くかもしれないが。
「いけません。これはチトラーンガタ様のために植えられた霊樹」
「先王はもう死んでおる!」
王子は叫ぶが、チトラーンガタ様はクル族最後の純血の王。厳密には王家の血を引いていない盲目の子供に葉の一枚とはいえ与えられるわけがない。
それが分かったのか王子は唇を引き結んだ。
「分かった」
打って変わって穏やかな笑みを浮かべた王子は侍従のひとりを指差した。
「ではおまえ。この葉と同じものをわし様に捧げよ。3日以内だ。間に合わぬ時はおまえと一族郎党の首を刎ねる」
「スヨーダナ様!」
「駄目なら、次はおまえだ。お前も駄目ならその次。それでも駄目なら
…
なに、葉を一枚持ってくるだけだ。何があってもわし様は目をつむるぞ」
悪魔のように促して王子は笑う。凶兆の子に相応しく。
■2024/01/09
アシュくんととある聖杯戦争の話
「なんと呼ばれようとも」
「僕に悪を教えて、アシュヴァッターマン」
両親を無惨に謀殺された子供の慟哭にアシュヴァッターマンは頷いた。
アシュヴァッターマンは、怒りに満ちていても真っ直ぐな男だ。
バラモンであった彼を知れば知るほどその性格は悪ではないと言う者がほとんどだろう。
だが、たった一画しか令呪を受け継げなかった子供は言う。
「忠義の戦士、アシュヴァッターマン。悪と名高いドゥリーヨダナのやり方を僕に教えて」
アシュヴァッターマンは間近で見て知っている。ドゥリーヨダナの人の陥れ方、裏切り方、破滅のさせ方を。
そんなろくでもない方法でしか両親の仇を取れないと。新しいマスターが嘆き怒るのならアシュヴァッターマンはその力になる。
どんな手段を使っても復讐を成し遂げる。
アシュヴァッターマンはその行為でもって名を残した英霊なのだから。
この聖杯戦争で彼と子供の名は悪魔と同じように呼ばれるだろう。
■2024/01/08
カウラヴァ
「8番出口」
「旦那! 確認もしねぇで先に進むんじゃねぇ!!」
アシュヴァッターマンの叫びに、ドゥリーヨダナは笑って歩みを進めた。
「異変を見つけたら引き返せというのだろう?」
その横でカルナが首を振った。
「浅慮だな。もうすでに答えは出ている」
マスターの故郷にあるという地下道に似た特異点。案内板の指示に従っているはずなのに、カウラヴァ一行は何度も同じ所をぐるぐるまわっていた。
ふたりに追いついたアシュヴァッターマンがカルナに視線を向ける。
「答えが出ている?」
「お前が何をすべきか、だ。アシュヴァッターマン」
息を呑んだアシュヴァッターマンをドゥリーヨダナがアシュヴァッターマンも足を止めた。
「分かっておるだろう。お前は引き返せ、アシュヴァッターマン」
アシュヴァッターマンのいるカルデアには他のカウラヴァは召喚されていない。
■2024/01/07
次男(叔父→わし様)
「あの子だけは見逃してやりたいのに、あの子だけは外せない」
「かわいい、かわいい、スヨーダナ。どうしてお前が末姫ではないんだい?」
シャクニ叔父のいつもの嘆きに、叔父に似合う宝石を見繕っていた兄はからからと笑った。
「叔父上。僕がこの美貌で女だったらクル国は世界を征服出来ますよ」
声変わりも迎えていない兄は俺達兄妹の中で1番母に似て叔父のお気に入りだ。
俺は兄の腕に巻いていた金の鎖を床に放り投げた。
凶兆の予言を持つ兄が女だったら、いくら母が庇っても殺されていただろう。
残酷な言葉を気にしない兄は、飾り立てられた末の妹に呼ばれ商人の元に行ってしまう。
後には俺とシャクニ叔父が残った。
「
…
伯父貴はいつもそう言うけどもし兄貴が末姫だったらどうするんだよ?」
俺のどうでもいい質問に伯父はいつも貼り付けている笑みを深めた。
「あの子が末姫だったら、俺の妻にして故国に連れ帰り。──そしてもう、クル国には帰さない」
昏く笑う伯父貴の指は兄貴が見繕ってくれた宝石をなぞり続けている。
■2024/01/06
カウラヴァ+ジナコ
「わし様イベントなるものに行ってみたいなー」
「この先に進みたければ我の質問に答えよ」
カルナの部屋の前に立ち塞がったガネーシャ神から出かけようとしていたカウラヴァ三人組に質問が投げられる。
「カルナよ。素敵な絵が書かれた本があり、その制作者がいたら何と言う?」
「身の程に合わぬ所業。己を知るがいい」「不参加」
バシッと赤い札をカルナに貼り付けたガネーシャ神はドゥリーヨダナを見た。
「お主の欲しい物の前に列が並んでいる。どうする?」
「そんなもの、我が弟達で蹴散らして」「不参加!」
赤い札がドゥリーヨダナに叩きつけられる。
最後にガネーシャ神はアシュヴァッターマンを見た。ちょいちょいと手招きして手元の端末を見せる。
「汝はこのようなポスターが乱立する通路を抜けられるか」
「!!!!!」
声にならない叫びを上げて座り込んだアシュヴァッターマンにガネーシャ神は赤い札を貼った。
「全員イベントへの参加は認められぬ!!ダメ!!絶対!!」
■2024/01/06
ビマヨダ「最後にお前の顔を見たかった」
ビーマという男は馬鹿だ。
頭が悪いわけでもなく、武勇だって優れているし、かっこいいが。いかんせん馬鹿だ。
わし様から見れば簡単な事にも気づかずぐるぐると同じところを回っているような男だ。
生前もそうだったが、サーヴァントとなった今でもどうせわし様がお前に体を開く理由が分からずずっと戸惑っているのだろう。
このわし様がこうやって大人しく押し倒されてやっているというのに、気の利いたセリフひとつ言えず、死因の残る太ももにすら触れられない馬鹿な男の顔を見上げる。
どこか苦しさを滲ませた表情は変わることがない。
あの時。お前が卑怯な手を使っても使わなくてもわし様の死は変わらなかった。
例えあの場で俺がお前を倒したとしても、パーンダヴァが引き連れていた軍勢に俺は殺されていただろう。
お前が卑怯な手を使う必要なんてどこにもなかったのだ。馬鹿なビーマ。愚かなビーマセーナ。
だからお前は、結果が分かっていた俺がお前を決闘の相手に指名した理由に気づかない。
■2024/01/05
アシュヨダ「わし様、今更そんな物ではぜんぜん足りんのだが」
「それ、すごくきれいだ」
召喚されたばかりのアシュヴァッターマンの額にマスターの目は釘付けになった。
額に美しく輝く宝珠を持つサーヴァントはそんなマスターにニカッと笑う。
「ありがとな。そんな風に真っ直ぐに言ったのはアンタが二人目だ」
「一人目はなんて?」
「『おまえの宝珠はカウラヴァとパーンダヴァの財を全て集めたより価値がある! わし様への献上を許す!!』」
一人目を真似たと思われる尊大な口調にマスターは苦笑いした。
「そんな風に言われたら、普通あげないよねー」
「
…
そうだな」
答えたアシュヴァッターマンが浮かべた苦笑のような後悔のような表情をマスターは数年たった今、まざまざと思い出していた。
召喚されたばかりのドゥリーヨダナに、アシュヴァッターマンが自らその額の宝珠を剥がして捧げたので。
■2024/01/04
カルヨダ
「食堂ではQPを使う。QPはマスターから働きによって支給される。おまえならすぐに召喚された事を後悔するだろう」
「わし様の聞き間違えでなければ、すんごく不穏な事を言わなかったか。カルナ」
昼食時のカルデア食堂で、古参のカルナは召喚されたばかりのドゥリーヨダナに牛丼が乗ったトレーを渡した。
「
…
これは牛の肉か?」
「牛の肉だ。ここでは何を食べてもいいし、誰と食事を共にしても構わない」
禁忌とされる食べ物を手渡された王子はふむと少し思案して、身分について謗られていた友に笑いかけた。
「なるほど。ここではおまえとわし様と共に食事が出来るというわけだな。だったら、もっと気楽に誘え」
「わかった」
表情に乏しいカルナは頷いて、先程ドゥリーヨダナに手渡したものと同じ料理を受け取る。それにドゥリーヨダナは面白いものを見たかのように目をすがめた。
「好きなのか、牛の肉」
「いや、初めてだ。──おまえが召喚されたなら一緒に食べようと思っていた」
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