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みすみ
2024-11-15 21:34:17
8096文字
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祈りの灯る銀河を辿る
アカデミーができたばかりの頃のディンルク
「ルーク?」
ふと目が覚めた。肌の表面が、特に頬の一番高い位置あたりが、ひんやりと冷たいと感じる。薄く目を開けたディンは、ルークが隣にいないことにすぐに気がついた。ゆっくりと身体を起こす。部屋の中は隅々までしんとしている。窓の外はまだ暗い。
反対側では静かに眠っているグローグーの胸がゆっくりと上下する様子を確認して、彼を起こさないようにそっと毛布をかけ直しベッドを抜け出した。視界の隅にベッドのそばに揃えて置かれたままになっているルークの靴が入り、首をかしげる。
室内中どこを探してもルークの姿はなかった。外へと繋がるドアのそばに佇む彼の相棒のドロイドも念のため確認した。ドロイドに疎いディンにはよくわからなかったが、スリープモードなのか動き出す様子はない。
ディンは上着を羽織り、窓際の籐椅子の背にかけられたままになっていた薄手の毛布を片手に持つと外に出た。少し悩んだが、明かりは持たなかった。今夜は雲は少なく、眠る前に見た空には星が美しく瞬いていたからだ。
夜露に濡れた土の上を落ち葉や枯れ枝を踏みしめて歩きながら、虫の声と夜風が木々を揺らす音に耳を澄ませる。竹林までたどり着くと密になった竹の連なりの間の小径はより暗い。頭上からはさわさわとくすぐるような葉擦れの音が落ちてくる。闇の中で自然と研ぎ澄まされた感覚が、土や風や葉や流れるエネルギーをさらに強く受けとっていることが意識しなくてもわかった。
小径を抜けると広く開けた場所の真ん中で寝衣に裸足のままのルークがひざを抱えて座り込み、ぼんやりと夜空を見上げていた。声をかけるまでもなくディンが迎えにきたことに気がついているはずだが、ルークはぴくりとも動かない。
ディンが手にしていた薄手の毛布をルークの肩にかけるまで、ルークはディンのほうを見ようともしなかった。意図的に無視をしているというよりは、存在には気がついているけれどそこに意識を回す余裕がないというようにディンの目には映った。毛布をかける時に触れたルークの身体はすっかり冷えきっている。いつからここにひとりでいたのだろう。
ルークは時折こうしてひとりきりで頭も心もここに在らずという状態になることがあった。放心とも自失とも表現できるその姿は、ディンの胸を強くざわつかせた。夜空を見上げているはずのルークの瞳は、たった数時間前までの輝きが幻だったのではないかと疑ってしまうほどに頼りなく、虚ろだった。目の前にあるはずのものの一切を映していないようで、普段の彼の研ぎ澄まされた気配とはかけ離れている。
最初の頃は放っておいたほうがいいのか追いかけたほうがいいのか、どうしたらルークのためになるのかまったくわからなかったが、いまはこうして黙って追いかけることにしている。放っておいてもルークは文句を言わないし、それどころか次の日には何事もなかったかのように完璧にジェダイの顔に、遠くからそっとグローグーを見守る師の姿に、そしてディンの恋人のルークに戻っているのだけれど、ディンがこの状態の彼をひとりで放っておくのが嫌だったのだ。
ルークが姿を消すのは、晴れた日の星が多く見える美しい夜が多い気がした。そう考えながらディンもルークの隣に腰を下ろして同じように夜空を見上げていると、幾分か普段通りの瞳の光をとり戻し始めたルークが、ディンの肩に自身の頭を預けた。冷たくなったルーク髪の毛が、ディン首筋をくすぐる。
「
……
起こしちゃった?」
「ああ。隣が寒くて目が覚めた」
申し訳なさそうなルークの表情も声音も嫌だったディンが叩いた軽口に、ルークはふっと笑った。ごめんと、この静けさの中ではなかったら聞き逃してしまいそうなほど小さな声で囁くように謝罪する。
「暗い夜の闇の中にいると、自分が大きなものの一部だと思い出すことができるから」
初めて聞く彼の気持ちにディンは顔を横に向けルークの様子を窺おうとしたが、吐いた息が白く見えるだけでいつのまにかうつむいてしまったいまの彼の表情はわからなかった。
「大きなものの一部?」
「うん。そのことを忘れてしまうと個としての自分があまりにも不確かで、存在そのものがあやふやに思えて、眠れないほど不安になる」
自分が手に入れられなかった幸せは自分が手に入れた幸せより眩しく見えるもので、それは時折自分が守り抜いた幸せの尊さを忘れてしまうほどの力を放出して圧迫する。振り払おうとすればするほど、まるでそれは呪いのようにいつまでもどこまでも変わらぬ強さでついて回るのだと、ルークは困憊しきった様子だった。
弱々しい声音に、聞いているディンのほうが不安になってしまい、意識的にかける言葉は慎重になる。
「ジェダイでも?」
「そうだね。むしろ僕がジェダイだからなのかも」
その言葉に、初めて彼が『こう』なった姿にたまたま居合わせた時のことを思い出した。
ふたりはいまのような関係性ではなく、いまのようにディンがルークを探して追いかけたわけでもなかった。それは本当にまったくの偶然だった。初めて目にしたルークの空虚な横顔は、ディンが声をかけるのを一瞬だけ躊躇したほどだった。ディンがルークに声をかけることを選んだその時、マンダロリアンとして多くの経験を積んでからは普段ほとんど意識することを忘れてしまっていた勇気というものを、ディンは奮わなければならなかった。
*
「スカイウォーカー」
「
……
ディン・ジャリン?」
嫌な感覚からか胸騒ぎがしたディンがルークに勇気を奮い声をかけて返ってきたその声の平坦さを、いまでもよく覚えている。ディンとルークは出会ったばかりで、まだルークがディンを呼ぶ時の声に親しみが込められていなかった頃だった。
急遽ジェダイであるルークに協力を仰ぎたいことがあり彼のもとをグローグーと久しぶりに訪れたが、すげなく断られてしまった翌日のことだ。ルークも新しい弟子の候補のことでしばらく忙しいらしく、ディンは仕方ないと潔く諦めた。もともと彼への協力要請は無理は承知の上だったのだ。
ディンはすぐに船に戻り星を出ようとしたが、ルークはそれには待ったをかけた。数日間の滞在をルークから勧められ、グローグーも疲れているようだったのでディンはその厚意に甘えることにしたのだった。アソーカ曰く、この危険な銀河でルークのそばほど安全な場所はないらしいのだから。
ジェダイ・アカデミーの外壁に寄りかかり暗くなっていく空を見上げていたルークは、ディンの気配にのろのろと顔を上げた。ちらりとディンを視界に入れるが、しかしすぐに再びのろのろとディンを視界から外してしまう。
これまで抱いていた隙のない印象とはかけ離れた様子と、そして彼を中心にして空気が重く澱んでいるような錯覚は、顔を背けてそのままその場から逃げ出したくなるほどだった。
放っておけばいい。放っておいてほしそうだ。放っておいたほうがいい。
しかしそれきり黙り込んでしまったルークを前に、ディンはその場から動けなかった。するとルークの透明な瞳はもう一度ディンに向けられる。
「何か用が?」
生気のない声だった。殊更ゆっくりと上下したルークのまつ毛と曖昧な笑みはミステリアスで、ディンはどきりとした。
「
……
グローグーが探していた」
本当だった。ただし数時間も前のことだ。グローグーはいまはもう空腹で、ルーク探しを中断して大好きな卵を探し始めているかもしれない。
グローグーの名前を聞いてルークは目を細めた。ルークがグローグーを見つめる眼差しは、時々こうして懐かしそうな憂いを帯びた色になる。
そう、と吐息のような声で呟いたルークは、すぐに戻るから先にグローグーに会ったら伝えておいてとあっというまに踵を返してしまう。
その背中に何故か焦りを覚えたディンは、ルークを呼び止めてしまった。呼び止めてから、呼び止められて驚くルークよりもディンは自分自身で驚いてしまった。
「まだ何か?」
「いや
……
」
「何もないならもう行くよ。グローグーはそろそろお腹を空かせているんじゃないかな」
お見通しらしい。
嘆息するディンに、ルークの視線が突き刺さる。
今度はディンがルークにどうかしたかと問いかける番だった。
「ディン・ジャリン、君もグローグーもいつか私に幻滅するかも」
――
君『も』?
ディンは一体ルークが他の誰を指しているのかがわからず、思わず眉を寄せた。まるでここにはいない誰かを待っているようだと感じたが、軽率だと思い口にはしなかった。いまわかることは、その誰かは
――
ルークがディンやグローグーの背後に見る人物は、自分たちではないということだけだった。
ディンとルークは、立場も進む道もまったく違う。マンダロリアンとして生きてきたディンはジェダイやフォースのことも聞きかじりの知識しかなく、正直いまだにあまりわかっていない。けれど秩序を守り伝統を重んじるジェダイであるルーク・スカイウォーカーを、ひとりの人間としてディンはひそかに尊敬していた。もちろんグローグーも。しかしいまその言葉を彼に投げかけたところで、それが本当のことでもとても薄っぺらいものになってしまう気がした。そうしたくはなかった。
その時のルークは、すべてを突き放すようにもうディンを振り返らなかった。
それからしばらくして、ディンはそのことをその時点で唯一の共通の知人だったアソーカにこっそりと、それとなく相談したことがあった。個人的なことだったのであまりこういう形で踏み込むべきではないだろうかと悩んだけれど、放っておくにはなぜか負い目を感じた。一応ルークのことだとわからないように遠回しに伝えたつもりだったが、察しのいいアソーカにはすぐにわかってしまったようだった。
黙ってディンの話を最後まで聞いてくれたアソーカは、困ったように眉根を下げた。本当は眠たいくせにまだ寝たくないと駄々をこねる幼子を前にした大人の表情に似ていた。
「スリープモードなの」
苦笑する表情には紛れもなく親しい人間に向けた愛情がにじんでいた。言葉の真意を汲みとることができずに頭の中で反芻しながら、自身の口でもスリープモードとディンは呟いてしまった。力ない呟きだった。
「ずっとひとりで肩に力が入ってしまっているから、年々上手く息抜きができなくなっているみたい。それで時々ああなるの。私はドロイドのスリープモードみたいなものだと思ってる」
――
ねえ、あなたの目にはどう映った?
直接は問いかけられなかったが、アソーカの瞳は確かにディンにそう問いかけていた。
*
彼の気持ちもわかるの、放っておけないあなたの気持ちも、と慰めるように言ってくれたアソーカを思い出しながら、ディンは寒さで赤くなってしまったルークの鼻先に唇を落とす。調子を戻し始めたらしいルークはくすくすと笑った。
「ディン、君の隣が一番安心する」
あの時とは違う、ディンを呼ぶルークの柔らかく弛緩した声は、ディンをどうしようもなくやるせない気持ちにさせた。
その気持ちを誤魔化すように、頭のてっぺんから爪先まですっかり冷たくなってしまったルークを毛布でぐるぐると包み横抱きにして、ディンは立ち上がる。
ディンは降ろせとうるさいルークを無視してベッドまで運んだ。ルークの土で汚れた足の裏までディンが拭ってやる頃には諦めたのかされるがままになり、呆れた顔でディンを眺めていた。
「晴れた日の夜によくいなくなる」
グローグーを起こさないようにディンが声をひそめてそう言うと、ルークはきょとんとした。気がつかなかったとぽつりとこぼし、ディンから窓へ視線を移す。
最近はそのことに加えてルークの妹であるレイアの妊娠がわかってからより不安定さが増していたが、そちらは口にはしなかった。
「ひとりでどこへでも行ってしまうし行けてしまうひとだから、いまあなたが隣にいてくれてよかったと思ってるの」
数ヶ月前に初めて会った時、ルークの妹のレイアは大きくなった腹部を撫でながらそう言ってディンに微笑んだ。
連絡もせずに突然、しかも小さな船と少ない護衛という軽装備でルークのもとを訪れたレイアにルークはひどく驚いたが、すぐに彼女との再会を喜びあたたかく迎え、ディンとグローグーを紹介した。レイアはしばらく真新しく重厚なジェダイ・アカデミーの建物を興味深そうに眺めていた。竣工してからは初めての来訪だったらしい。キッチンからは、妹の代わりに素早く立ち上がりお茶を淹れてくると言ったきりなかなか戻ってこないルークとグローグーの弾むような楽しげな声が聞こえていた。
ディンとルークはいまはこのような関係に落ち着いたが、ここに至るまではそれは険しい道のりだった。ルークは頑なに自身のディンへの気持ちに蓋をすることに躍起になっていたし、そればかりではなくディンのルークへの気持ちまで勘違いだと否定したこともあった。そもそもジェダイの掟であるらしい執着がどうこうという話以前に、ルークにはあまり恋やそれに準ずることに関心が薄い気がした。嫌いだと拒絶されたほうがまだマシだったと当時は怒りに震えた。ディンがかえって自身の気持ちを認めてもらいたいと意地になってしまったのも、仕方のないことだと思う。ルークに否定されたことで、ディンのルークへの気持ちには火がついてしまったのだ。
気持ちを自覚したばかりの頃は、ディンはルークのパートナーになりたいだなんて期待まではしていなかった。最初は、彼への気持ちが報われるだなんて思ってはいなかった。報われようとも思っていなかったかもしれない。けれど彼にだけは否定されたくはなかった。あの時の悲しさと怒りと虚しさは、いまも忘れることができない。
どんな形であれ、ルークのそばにいてくれるひとがいて、それがあなたでよかった、とレイアは心を込めた言葉をディンにくれた。
しかしそう言われると、ディンはうれしい気持ちよりも先に、居心地が悪くなってしまった。
「
……
ずっといっしょにいられるわけじゃない」
硬い声で返したディンに、レイアは目を伏せた。
「それでもよ。それでもいいの」
双子の兄妹であるルークとレイアは血のつながりはあるものの、育った環境は別だったと以前ルークから聞いていた。事情があり、そもそも自分に双子の妹がいるということ自体知らなかったそうだ。しかしレイアのその仕草は、ルークとよく似ていた。ディンが見惚れてしまうほどに。
それからディンはレイアに会っていない。出産はそろそろだろうか。彼女が口にしたそれでもいいとはどういうことなのだろう。
考え込むディンの様子をルークが注意深く見つめていることに気がついて、もう寝ようとディンがルークの身体を抱き寄せようとする前に、観念したようにルークはディンの耳に唇を寄せた。驚くディンの耳朶に、ルークの生ぬるい吐息がかかった。
「晴れた日の夜と、
……
あとはディンとグローグーが会いに来てくれる時かなぁ」
隣から聞こえていたグローグーの穏やかな寝息が、一瞬だけ遠ざかる。
「ディンとグローグー、君たちふたりがいっしょにいることが僕にとっては希望なんだ」
希望だからこそ、近くにいると時折不安になる。希望が損なわれることを想像してしまい、怖くて仕方なくなってしまう。
ルークが恐れていることは、きっといつもまだ訪れてはいない未来だ。訪れるかもわからない未来だ。フォースが見せる、あくまでも可能性のうちの一つでしかない。目の前にいるはずなのに、彼はいつも過去と未来の間で揺れている。
「正直なところ、僕はグローグーに君からのアーマーかヨーダのライトセーバーかを選ばせた時、グローグーが君を選んだことに何よりも安心した」
もちろんグローグーがジェダイ・アカデミーの初の生徒になったとしたら喜ばしいことではあったけれど、とルークは言葉を続けた。
未来を、自らが進む道を、自分自身で選択できることの貴重さ。ルークは年を重ねてそれらをより強く実感していったのだと苦笑する。この世界では、この時代では、まず選ぶことすらできないもののほうが多い。ディンにもそれはよくわかっていた。幼く、まだ力がなければ、なおさら。自分自身の道だとしても、選択肢はないに等しい。
ルークのまだ冷たい唇が、ディンのおとがいに触れる。くすぐったさにディンがつい笑ってしまうと、こらとルークは子どもを諭すような口調になった。グローグーが起きちゃうだろとルークに少し伸びた襟足を引っ張られ、ディンはルークの唇に自身の唇を押しつけて笑いを抑えた。
「仕方のないやつだ」
「いまのはルークが悪い」
「ああ、もう。悪かったよ。せっかくひとが真剣に話してたのに」
むくれるルークにそれは自分が悪かったとディンは素直に謝った。続きを聞かせてくれと、ひたいに口づけ甘えるように強請る。ルークがディンのそういった態度に弱いことをディンはよく知っていた。その後すぐにルークがまったく仕方ないなぁと目尻を下げることも。
「
……
だから、だからね、ディンには絶対にグローグーと離れないでほしい」
「ああ」
そんな優しい願いは打ち明けてくれるのに、自分に会いに来てほしいと、自分を迎えに戻ってほしいとは強請ってはくれないし、そもそもルークは思いつきもしないに違いない。彼をこんなにも不安にさせるものの正体の核は、一体何なのだろう。
「僕はこんなに君のことを好きになるつもりじゃなかったんだ」
それはこっちのセリフだ、とディンは内心でぼやく。
君が僕にアプローチをし始める前から君のことが好きだったよ、と苦々しい顔をしたルークを前に、どんな気持ちになればいいというのだろう。何が正解なのだろう。
「ねえディン、レイアとハンの子はどんな風に育つと思う?」
「きっと強く優しい伯父のことが大好きになるだろうな」
「うーん。それはどうかなぁ」
ルークの声が微かに震えていたことに、ディンは気がつかないふりをした。笑って誤魔化していたが、ルークの身体は強張っていたからだ。
未来視にひとりで恐れる彼がゆっくりと眠りに落ちるまで、ディンは決してルークから目を離さなかった。
――
ねえ、あなたの目にはどう映った?
ディンの目に、ルークはいつも、寂しそうに映る。
ひとりでいる時だけではない。誰といても、ディンやグローグーといても、心を許しているアソーカといても、血の繋がりがある愛する妹といる時でさえ、ディンの目には彼はひとりぼっちに見えた。いつもひとりで戦っている、孤独なジェダイ。
ひとりだから孤独なのではない。ルークの不安を誰も理解できないことが、ディンは寂しかった。あるいは、ルーク自身もすべては理解しきれていないのかもしれない。ルークの不安は、日々増しているようにディンには感じられた。
それでもいい、とレイアが言いたい気持ちが、ようやくディンにも少しわかった気がした。それでもいい、それでもいいからルークのそばにいたい。離れていても、寄り添いたい。
好きだ、とディンがルークに思いを告げた時、もう何度目かもわからなくなったその思いの告白にルークがようやく応えてくれた時、ルークはぽつりと怖いんだ、と静かに泣いていた。絶対に僕の腕の中でだけは死なないで、とルークの涙がはらはらと落ち、地面を濡らしていた。ディンは初めてアーマーを纏わずに触れたルークの素肌のぬくもりも、指先の冷たさも、こんなにも鮮明に覚えている。
幻滅なんてしてやるものか。
朝がきたら、生まれたばかりの君の甥にいっしょに会いに行こうと言ってやるのだ。
ディンは目を閉じて、ルークの朝日に照らされた寝顔の輪郭をそっと眼裏に思い描いた。
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