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出口
2024-11-15 13:39:09
4597文字
Public
呪専パロ(五悠)
「完全敗北、完全勝利。」
呪専ごゆ
虎杖悠仁に告った。
俺にとっては生まれて初めての愛の告白。
悠仁はちょっと困ったような顔をして、
「俺の恋愛対象って女の子なんだよね
……
」
って。
だからって諦めきれないし、一度フラれて諦められるくらいなら最初から告ったりしねーし、半ば脅すみたいな半ば泣き落としのようにしてごねてごねてごねまくった結果
――
なんとか悠仁と付き合えることになった!
カッコ悪ぃけど結果オーライ。いやまだオーライって言えるほどの結果じゃねーけど、それでも悠仁の彼氏になれたってことは他のやつを牽制する権利も得たってこと。
誰にもやらねーし、俺だって悠仁だけのもの。それを悠仁が望んでくれるかは分からないが、全ては今後の俺次第だろう。
俺は悠仁を口説く権利だって手に入れたんだ。
とりあえず『恋人にしてもらった』って状況で。だからまだキスとかなんとかもとーぶん先のこと。
だけど俺はその日その瞬間から浮かれてて、翌日から時間さえあればいそいそと悠仁の元へ通った。今までは気持ちバレんの怖くて一応セーブとかしてたんだが、これからは大手を振って会いに行ける。むしろ会いに行くほど俺の気持ちの強さや本気加減が伝わるとか、良いことしかない。
んで、今日も今日とて。予定していた任務が高専と現地(窓)との連絡行き違いで延期になった
……
っていう思わぬオフに、1年教室へまっしぐら駆けつけたってやつ。
さすがに余裕なさすぎでカッコ悪いとこ見せるのもシャクだから本当に走ったりはしなかったが、気持ち的には急いていた。マジ1秒でも早く悠仁の顔が見たかった! 俺の恋人の悠仁の顔が!
前のめりになり過ぎて呪力漏らさないよう気をつけながら、意識しすぎていっそ気配すら消し気味に廊下を歩き、1年教室の前で深呼吸して息を整える。
教室には悠仁以外にも1年居るからな、先輩としても舐められない程度に体裁は保たなくちゃならねえし。
「で? あれからアイツとはどーなのよ?」
閉まったドアに手を伸ばしかけた時、女の声でそう聞こえた。野薔薇だ。
「えっ!? 五条先輩!?」
反応するよう返した悠仁の声も届いて、俺はその場に固まる。
俺の話!? 悠仁、いま俺の名前言ったよな?
俺が思わずそのままドアの陰に身を潜めたのは、その先の会話が気になったから。
悠仁と付き合い始めて1ヶ月になる。キスとかできないなりにスキンシップ程度のハグとか触れ合いはあるが、それは嫌がられてはいない
……
はずだ。
前々から悠仁は俺に近い距離を許していたし今さら意識されてないなんて可能性もあったけど、それでも自分のこと『好きだ』って男にくっ付かれるの許容してるってことは多少なり憎からず
……
少なくとも嫌われてはいないよな? とは思っている。まがりなりにも恋人同士って立場なんだから嫌うってことは無いんだろうけど、触られることへの嫌悪っていうか、拒絶っていうか、違和感っていうか、悪感情の話。
俺の方からいっかい告ってはいるけど、そう何度も「好きだ」とかまともに言葉にするのは照れくさくて。それにもし微妙な反応されたらそれこそ泣きそうだから、ちょっとびびってて。
そもそもこんな感情初めてだったから、態度には出してるつもりではいたけど、どうアプローチするのが正解か分からないままの手探りだった。距離感とか、強弱とか、押し引きとか。
そんなだから改めて悠仁の気持ちを聞くとか俺にできる訳なくて、野薔薇の言葉に悠仁はなんて答えるのか!? 息を潜め耳をそばだててしまうのは抗いようがない。盗み聞きなんてダサい真似どうなんだ? って思ってる自分もいるのに、同じ頭でこれはもうしょーがないって思ってる。
「アンタが良いって言うまでキスもしないとか言ってたけど、そんな殊勝なことできるの? 下半身から生まれて来たようなタイプでしょ、アレ」
――
ハァ?
勝手なことを言う野薔薇の言葉へキレかける衝動は必死に押し殺す。
下半身からって
……
オマエ、俺まだ清い身ですが? ピュアっピュアの童貞ですが? 傑と勘違いしてね!? って叫びたいのをここは堪える。
「それ、逆子ってやつじゃね?」
少し呆れたような口調で呑気な声で、論点そこじゃねーだろ? って返ししてる悠仁はクッソ可愛い♡ 沸騰しそうになってた神経一瞬でなだめ癒されるとかヤバい♡ やっぱ悠仁しか勝たん!
「無理強いはされてないんだよな?」
恵の声に、誰も見てないとこで俺はウンウンと何度もうなずく。
決してしてない! したいけどしてない! 無理やりとか想像だけで興奮するけど
――
ありえねぇ。
「付き合うつっても前とあんま変わんねーよ? 先輩忙しいし」
フォローするような悠仁の言葉。
だけど、
「振り回されてるのは前も今も変わんない訳ね、あんな我がままな男とよく付き合えるわね」
ため息混じりに言う野薔薇へ、
「たしかに面倒くさい人だけどさ
……
」
返すよう届いた悠仁の声に
――
俺は思わず廊下の床に手をついた状態で、ショックの余り座り込んだままズリズリと数メートル後退してた。
ちょっと待って、一旦この場から離れたい。
待って、まって、いや
……
――
面倒くさい!? 悠仁っ
……
俺のこと面倒くさいやつだって思ってたのかよッ!?!?
確かに時間さえあれば悠仁のとこ押しかけてた自覚はあった。悠仁が何してようが構わずにメシ連れ出したりデートしたり
……
。でもそれは俺に自由になる時間が少ないのと、悠仁とは恋人だから一緒の時間を過ごす権与えられたと思ってた。直接会えなくてもメッセ送りまくって、あまりにも返信遅いと文句言ったりもしたけど
……
それも20回に1回くらいだし。本当ならもっとメッセ送りたいし返信も欲しい。とにかく悠仁からの反応が欲しい。暑い日に手を繋いだら嫌がられたとかは仕方ないと思うが
――
まさか面倒くさいって
……
本気でウザがられてたとか!?
……
マジか。
俺は茫然としたまま、やっとというていでよろよろ立ち上がりながら1年教室前の廊下から撤退した。
その日はもう悠仁に連絡することも出来ないまま不貞寝したけど、だけどやっぱ何と思われてても今さら悠仁を手放すことは出来ない。
そもそも俺の片想いから始まって強引に付き合ってもらってる状態だ
……
せめてウザがられない彼氏になれば
――
破局だけは免れる!? って結局諦め悪い俺でしかなかった
――
。
◇
次の日から俺は悠仁に会いに行っても必要以上にベタベタしないよう多少の距離をとり、最新の注意を払った。
そもそも人前でそのチャンスなさ過ぎる手を繋ぐとかハグなんかも我慢した。高専へ戻る1時間前に連絡出来なければ、いきなり連れ出すようなこともしないよう我慢。メッセなんかの連絡も「俺からは1日7回まで」って上限決めて
――
めっちゃ我慢して、我慢して、頑張った。
だって悠仁に面と向かって「面倒くさい」なんて言われたら、今度こそ泣くから!!
「先輩さ、昨日も早く戻ってたんだろ? 夏油先輩とメシ行っちゃって居なかったけど」
そんなこんなで我慢の2週間を過ごした頃に言われた俺は、めちゃくちゃキョドった。
でも、だって、悠仁は恵たちとメシ行く約束してるって硝子に聞いたし! 誘ったら迷惑だと思ったし!
「俺まだスマホ操作に慣れなくて、返信遅いの怒っちゃった? あんまメッセくれなくなったね」
更に指摘されたメッセの頻度については、めちゃくちゃ我慢して回数減らしてただけ。
本当は通話もしたいが、いま話していいかを確認するために「なにしてた?」なんて訊かれるのもウザいかと日和った。
「前みたいに映画観よ、って部屋にも呼んでくれないよね。俺の部屋にも来なくて」
だって悠仁と2人っきりになったらえっちな気分になっちゃうでしょーがっ!!
おまえのこと好きなんだよ!!
それにこちとら、もう18だってのに童貞なんだよ!!
年季が違うんだよ!! 即発情する自信あるの!!
「もしかして
――
もう俺に飽きちゃった?
……
はははッ」
責める口調ではなかったが、どこか淡々と語ってた悠仁が最後だけちょっと寂しそうに言うから、俺は
……
俺は、
「飽きてねーよ!! 顔見るたびに好きを更新してるわバカ!!」
思わず我慢忘れて叫んでた!!
「へっ?」
びっくりした顔で見上げられ、その虚を突かれたというような可愛い表情にギュン♡ とたまらない衝動が込み上げる。
今また更新したわ!!
――
好きだ!!
「オマエがっ
…
俺のこと面倒くさいヤツだって言ってたから!! 早く好きになってもらえるよーに、嫌われないよーに、めちゃくちゃ我慢して
――
~~
…
あのなぁ!!」
「えっ
……
? はっ、ハイ!」
「男相手に生半可な気持ちで告れる訳ねーだろ!! 好きなんだよ!! 悠仁のことが!!」
腹の底からのデカい声、遠くまで飛ばすが如く叫んでた。悠仁の頭の上飛び越え空に向かって叫んでた。
思えば告った時もだったが、今度も全校学舎内まで響き渡ってただろう。
またやってるの? 未成年の主張
――
とか、同期にも後輩にもみんなに呆れられてるだろうけど、俺は真剣なんだよ!! 後とかねーの!! 今しかねーの!!
必死な俺の告白をぽかんとした顔で聞いてた悠仁は、俺の前でじわじわ赤くなって、
「
……
先輩、聞いてたの? 釘崎と話してたやつだよね?」
心当たりに行きついたらしく気まずそうに言うから、俺も今さら気まずくなりながら、
「おう」
今度は小っさな声で答えてた。
「最後まで聞いてなかったでしょ
……
」
戸惑いがちに聞こえた悠仁の声に恐る恐る見下ろした俺は、
「先輩は面倒くさいけど、そういうところが可愛いって
……
思って、振り回されんのも
……
楽しい
……
って、それ言ったんだよなあ、俺」
らしくなく不明瞭な口調でモニョモニョごにょごにょと言った悠仁の言葉を拾って、フル回転で脳内精査して、つられるよう赤くなってくの自分でも分かった。
「オマエ、面倒くさい俺が好きなの?」
ガン! と殴られたような衝撃にア然とした後じわじわ込み上げてきた高揚に口元緩みそうになるの堪えて、聞いてたら「ウン」ってうなずかれる。
えっ? いま俺「好きなの?」って聞いたよな?
悠仁に「ウン」って言われたよな!?
また状況が脳内駆け巡るの精査しかけて
――
そのまま思考を止めた俺は、
「好きなの?」
もっかい聞いて、
「好き
……
だよ」
照れくさそうに答える悠仁のその顔が、表情がめちゃくちゃ可愛くて、情動のまま抱きしめたし、
「キスしていい?」
調子に乗った前のめりに訊いたら、
「いいよ」
小さく答えた悠仁のキスもした。
「やっっったあぁぁぁぁぁーー!! キス解禁んんんんんんンッッ!!」
唇が離れるなりガッツポーズした俺は悠仁に笑われたが、その笑顔さえ崩れ落ちそうになるほど可愛いくて意識フッ飛びそーだった!!
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