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シフォン
2024-06-06 23:25:47
1844文字
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小説
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止まない雨は
2024年秦兄弟誕生日記念。雨と双子の話。崇雷視点。
設定捏造含みます。
雨が嫌いだった。
いじめられていたあの時も。
謎の雷に打たれて意識を失ったあの時も。
……
そして、初めてサウスタウンに来たあの時も。
ずっと雨が降っていたのを覚えている。
今日の空は雨模様で、朝から晩まで降り続いていた。
夕方から雷も鳴り出して、広範囲で停電が起きたらしい。
俺たちの住む家も、夜になって電気が点かなくなった。
暗い寝室で轟音を聞いていた俺は、
昔を思い出してなかなか眠れなかった。
思わず漏れた溜息に嫌気が差す。
「
…………
兄さん、どうしたの
……
?」
心配そうな声。
眠っていた崇秀を起こしてしまった。
「すまん、起こしたか」
「ううん、大丈夫
……
雨、止まないね」
「そうだな。電気もまだ点かないみたいだし、俺ももう寝るか」
「そうだね兄さん、おやすみ」
「ああ、おやすみ」
今の溜息、もしかして聞かれたか
……
?
不安になったが、もう他のことを考える気力はない。
降り続く音を忘れようと目を閉じて、そこで記憶が途切れた。
「
……………………………………
。」
翌朝。
「兄さん、外行かない?写真撮りたいんだ」
「お前、この雨の中外出るのか?」
未だ晴れない空とは反対に、元気な声で崇秀は言う。
「天気予報じゃもうすぐ止むって言ってるし大丈夫だよ。
いい撮影スポット知ってるんだ、早く早く!」
そう言って、崇秀はカメラと三脚を持ち出した。
最近の崇秀はいつにも増して明るくなった。
秘伝書事件の後からは人が変わったように笑顔が増えている。
……
にしては、今日はいささか元気すぎやしないだろうか?
そう思いながら、手早く準備を終えた弟とともに家を出た。
俺たちが辿り着いたのは、小高い山の上だった。
崇秀曰く、「ここなら絶景を写せるし人も少ない」らしい。
全く、どこで見つけてくるんだか。
「うん、ここで良さそうだね。あとは画質調整すれば
……
」
「本当に止むのか
……
?まだ降りそうだぞ」
「結構弱まってきたし大丈夫じゃないかな?
……
ねえ、兄さん。僕知ってるんだよ。
雨が降る度、兄さんいつも暗い顔してるよね」
「
……
どうしてそれを
……
?」
「ずっと前から気づいてたんだ。
もしかして、バレてないと思ってた?
生まれてからいつも一緒にいたんだ、知ってて当然だよ。」
「
……
俺たちが辛いとき、決まって雨だっただろう。
思い出すんだ。嫌でもな
……
」
「
……
僕さ、雨嫌いだったんだよね。
冷たいし、濡れるし、じめっとしててさ。
でもね、そんな辛いときに『大丈夫だ』って
太陽みたいに励ましてくれたの誰だと思う?
兄さんだよ。
だから僕、嫌いじゃなくなったんだ。
どんなに暗くて冷たくても、空は必ず晴れるから。
耐えられたのは兄さんのおかげなんだよ」
「崇秀
……
」
「雨、もう止んだみたいだね。ほら、空見てみて?」
傘を閉じて空を見上げると、そこには大きな虹がかかっていた。
「これを兄さんに見せたかったんだ。綺麗だよね」
「虹、か。すごいな
……
こんなに綺麗に見えたの、初めてだ。
……
そうだな。止まない雨はない、か。
崇秀、ありがとう。俺の心も今晴れたぞ」
「それは何より。やっと兄さん笑ってくれたね、良かった」
「ところで崇秀、お前虹を撮りに来たのか?
それなら1人だけでもよかったんじゃ
……
」
「違うよ兄さん、僕たちと虹を撮るの。
ほら、僕ら小さい頃の写真一枚も無いでしょ?
だから今撮っちゃおうと思ってさ」
なるほど、これを待っていたわけか。
だからわざわざ雨の日を選んだんだな。
俺を元気づけるためと、この光景と俺たちを写すため。
「パオパオカフェにある写真みたいに撮るのか?
あの集合写真っぽいの」
「そうそう。コルクボートに貼ってあったやつね。
タイマーセットするからちょっと待っててね
……
」
よし、10秒にしたよ!」
「立ち位置ここでいいんだな?」
「オッケー、大丈夫! いくよ、せーの
……
」
「「壹(イー),贰(アル),叁(サン)、茄子(チェズ)!!」」
雨上がりの空に、シャッター音が響いた。
それから数日後。
俺はあんなに嫌いだった雨の音が心地良く感じる。
手元の写真を眺めながら、気付けば俺は笑みを零していた。
「どうしたの兄さん、今日は上機嫌だね?」
「お前のおかげだ」
「ふふっ、何それ」
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