はるの
2024-11-14 17:25:40
2833文字
Public 感想文
 

フィルス

ネタバレ感想

観終わったあとアッハッハつって笑ってから黙ってエンドロール眺めて、これどうやってこの感情を文字にしよう、って思ってた。端的に言うと「人に勧めるのは躊躇するが確実にわたしが好きなやつ」でした。あ〜〜〜〜っは楽しかった!フィルスくん!!

無修正版ってシール貼られてたんだけど、むしろ修正版があるんですか???って笑いながらフィルム剥いてたわ。これは国によってはガンガン修正されてそう。もっかい観たいなすぐにでも。好きだな〜この映画。

ラストシーンの情動が最高だったな。
ブルースくんはなんかもう全部使い切ってる感じ。いいね、使える分の命をきっちり全部使い切るのは。表情がほんと、いいなあ。残された人たちのうち特定の人々は精神が死ぬと思うけど、そんなん知ったこっちゃないわな。

まかぼさんは、ものすごく、こういうのうまいよね中身が繊細を極めてるからこそガワは大きく振る舞ってるようなやつ。あんまり自分に連続性がなくて不安定で、しこたまピュアなんだけど、そのピュアさに自分で窒息するようなタイプ。簡単に傷ついて泣くけど、救われるためだとか許されるためには生きられない人。表情を全部削ぎ落としたとき、ほんとにそれ以外なにもない、澄んだ目のきれいな存在をするから、その瞬間以外の"キャラクター"との落差がものすごく鮮烈で、はあって息を呑みます。ちょっとこういうこと、あんまり言葉を重ねると失ってしまうような感じがするから、書くの躊躇するんだけど。どうやってこの感情を文字にしよう?文字というものはリアルタイムのこえを未来永劫残すために、一度殺して音だけを剥ぎ取った剥製なんですよね。わたしが文字の限界を感じるとき、いつもこの逸話を思い出します。傷ついていることをなんとか誤魔化して少し先の自分を守ろうとして火の車になっているような男の様子を、本当に好きな造形で描いてくれるんだよなあ。好きだなあ、ジェームズマカヴォイ。

メアリーとその息子の存在がものすごくきれいで、いや〜〜それはどうだろう、まぶしすぎないか大丈夫か、この吐き気がするくらいの心の美しさはブルースくんを生かすと同時に殺すんでは、と思ってたらこれだよ。ハッハ。景気がいいね。

キャロルに新しい"夫"ができてたことが、トドメだったんかなあなんかあの瞬間、自分が遠くへ行った感じあったもんね。
メアリーを引き留めたのは、助けてほしかったからかなあでも自分が助かりたいと思ってるなんて、考えもしなかっただろうな。思いもしなかっただろう。この浮遊感はあ。
最後、メアリーの留守電を再生していたとしても、それは特に彼を救うものではなかっただろうしなあ。もう終わってんだよな、スーパーマーケットで腕を振り払った時点で。

父と弟との関係は、簡単に愛情に飢えさせるものって感じだけど、どちらかというとブルースくんは自己肯定を求めてる感じしました。愛じゃなくて自分が生きてていい証明がほしそう。もうこの時点で自分しか見てないよねやばいね抱きしめたい。処方箋はいつから出てたんですか?弟が死んでから?それとも妻と子供が出て行ってから?
この一連のはめ殺しプランを見る限り、頭の回転早いし臨機応変だし伝手は多いしコミュ力あるし度胸もあるし魅力もあるし発想は斬新だし、アマンダが言うようにちゃんとやれば有能なんだろうけど、まあそれを言ってできるようならこうはなってねーわな。後悔なんてしたことも、もしかしたらその概念すらなかったかもしれないよね。あのときああしていればよかったという考え方は、より良い未来が想像できる余裕があって、"ああ"が選択できる人だけだから。
キャロルとステイシーが"家にいる"ことが、ゆいいつ自分の肯定だったんだろうな〜〜〜真っ直ぐ立っていられるだけの重力だったんだろう。そこそこ上手くはいっていたんだろうな、子供結構大きくなってるし。
でも出て行ったってことは、それなりの理由があるはずで、その理由なんて山ほどブルースくんにはあるので、さもありなん。キャロルに「うわ嫌、関わらんどこ」て顔させるくらいの何かはあったんだろう、そりゃあもうたんまりと。
どうしようもないよも〜〜〜自分が生きてる理由なんて結局自分で何か用意して自分で納得した気になるしかないもん、他人の中に探してもないよ〜〜〜!生きてる意味なんて考えてんのはホモサピエンスくらいだろうし。そりゃ家畜になれたら楽だよね。とりあえずドラッグやめな。

新人くんと家宅押し入り尋問してるとこめ〜〜っちゃ好きです。かーわいい。まあやってることはゴミなんですけど。会話好きだな〜全体的にくそみたいな会話がぽんぽん飛ぶの楽しかった。リズミカルなやりとりが好き。

親友の会計士もかわいかった。よく絶交しないもんだなたぶん描かれていないところで、ふたりの友情が絶えないようないろんなことがあったんだろうな。ブルースくんは結局、彼のことは大事だったわけだし。いろいろあっても君は友だちだよって言ってくれる存在は強いねまあそれが彼を完璧に救うかといったらまったくそんなことはないんだけど。価値がないとかじゃなくて、もうレイヤーが違ってしまってるんだよな、最後は。君には幸せに暮らしてほしい、と願うところにブルースくんはいない。

キャロルは最初、もしかしたら非実在妻かもしれないと思ってたけどみんな知ってるようだったので、もしかしたら死んだか殺したのかと思ってたら普通に生きててそれはよかったです。キャロルに扮するところはものすごくあの花を思い出したんですが、まあそういうことだよね。
犯人グループに捕まって、う、うわあここでゴミみたいに殺されちゃうのかな確かにゴミだがどうせ死ぬならゴミとして誇り高き終わり方をしてほしいだが現実は無慈悲であるものだしなと落ち込んでたら、景気よく窓から叩き落としてて笑いました。散々だよ。
しょん、ってなってるブルースくん。ちっちゃい。アマンダは本当にいいやつだよ。ドラッグ今すぐやめな。

最後、とびきりキュートに笑うところがほんと好きです。
キャロルとステイシーかな、と思わせる影がやってきて、帰ってきたのかという戸惑いと期待と混乱で目が揺れて足元も揺れるの、狂おしいほど好き。からの、すぐ帰っちゃって、まあこんなもんよ、と開き直る感じ。狂おしいほど愛してる。
最後のSame rules applyは、まあだいたいいつもこんな感じ、ってニュアンスで合ってるかな。まあだいたいそう。現実はいつだってろくでもね〜よな、いっけ〜!!!

オープニングでクリスマスソングが流れはじめて、うわ〜これから最低なことが起こるだろうに陽気〜!好き〜!ってなりました。クリスマスにまた観るね。ハッピークリスマス!