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九条空
2024-11-14 15:31:16
1890文字
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【サンプル】Set a thief to catch a thief.
よろず同人誌に収録予定の短編サンプル
H×H
占い師主人公/クロロ
わたしは占い師を生業にしている。
あらゆる不可思議を可能にする念能力を用いた本物の未来予知ができると、それなりに評判だ。
評判が評判を呼び、わたしの命さえ狙われるようになってからは、とある武闘派集団と提携を組んでいる。
わたしの護衛をしてくれたら、売り上げの7割持って良いよ、かわりに死んでも守ってね、という契約だ。
ついでに、どう売り上げを出すかについても彼らに任せることにした。
どういう広告を出すか、どこに店を構えるか、どんな客を選んでくるか、その客にどのくらい金を支払わせるか、までぜ~んぶお任せである。
あまりにも任せすぎて、彼らは相棒に始まり、とっくに上司を越え、いまや勝手にお上と呼んでいる。
わたしは人が占えればそれでいい。
それが面白くて人生をやっているのだ。
今日もお客がやってくる。
入口の扉を開け、ビースのすだれを潜り抜けて男が一人やってきた。
わたしは威厳ある占い師らしく、薄いベールで顔を覆っている。だから、人を占える楽しみのあまり、にやにやしていてもバレていないはずだ。
声色だけはいつも通りであるように心掛けながら、わたしは男に尋ねた。
「お名前は?」
「シーザー=クリストフ」
「偽名だと正確に占えないけどいい?」
「そっか。じゃあクロロ=ルシルフルだよ」
わたしは東ゴルトー共和国の1ペイル硬貨を指で弾いて、コイントスをした。表。
「クロロさん、占ってほしいことを教えてくれる?」
「そうだな。仕事運を占ってほしい」
「質問内容が漠然だと回答も漠然になっちゃうよ。良ければこちらから質問して詳細を詰めるけど?」
「お願いします」
50本の
筮竹
ぜいちく
から1本を抜き取って
太極
たいきょく
を決め、
筮筒
ぜいとう
に立てた。
手のひらの中で残りの筮竹をじゃらじゃらと動かしながら、クロロに尋ねる。
「聞きたいのは、今目の前にしている仕事について?」
「はい」
「それについてははっきり言える。全然だめです」
「ばっさりだな。なぜ失敗するのかの原因は?」
「それは相手にもうバレてるからです」
彼は易占いとは相性が悪いらしい。
揲筮
ちょうぜい
する前からわかった。別の方法にしよう。
肩をすくめて
掛扐
けろく
器の一式をテーブルの端に寄せて片付けながら、わたしは占いの結果ではなくただの推測を言った。
「わたしを盗みに来たんでしょう、泥棒さん」
「なんでわかったか聞いてもいいかい、探偵さん」
「わたしは占い師です。全部この水晶玉が教えてくれます
……
と言ってもいいけど、占いが万能と思われると世の中の占い師が困るだろうな。教えてあげよう」
引っ張り出してきた水晶玉に手をかざすと、水晶は瞬く間に赤黒くなった。
「君が相当使えるのは一目瞭然」
これは当然、念能力についてである。
水晶の中の赤黒いもやに注視する。うーん、彼はまともな死に方をしない。
しかしそれはわたしの価値観でのことであって、彼にとっては満足のいく死かもしれないので、口に出すのはやめておいた。そもそも死に方はまだ尋ねられていない。
「そんで質問内容がどうでもいい」
「どうでもいいとはひどいな」
「結構高額だからね、ここの使用料は。わたしとしてはもっと気軽に、迷子になったセキセイインコの捜索なんかをしてあげたいんだが、お上の意見は違うらしい」
客がわたしに何を聞くか、という質問内容については干渉しないよう要望しているが、代わりにお上は料金に関しては一切の妥協がない。
わたしの使用量は分単位、最低で億スタートだ。
これにはわたしも恐縮して、無駄話をしてはいけないと背筋を正す羽目になる。
「高い金を払ってどうでもいいこと聞くなら目的は別にある。大体犯罪の下見だな」
「それだけでもう犯罪者扱いか、早いな」
「候補一、わたしの誘拐に先立っての施設の下見」
わたしはテーブルに積んであった、お気に入りの画家がデザインをしたタロットカードを手に取り、規則的に並べていきながら話を進めた。
「候補二、わたしの念能力強奪に当たっての下見」
「へえ」
わたしは並べたタロットカードを順番にめくっていき、その度にうわぁと言った。
「嫌なほうが当たった。お兄さん特質系だね。たしかにそれっぽい」
念系統による嘘っぱちの性格診断では、特質系はカリスマ性だの、個人主義だの言われている。
優秀な念能力者は大体そうなので、誰にでも当てはまることを言ってバーナム効果を狙っているだけだとは思うが、ほらやっぱり、占い師だから占いじみたことが好きなのだ。
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