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AmexAmexxx
2018-06-13 00:00:17
4486文字
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bkyi
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おいわいキャット
一時間目の休み時間。二時間目は移動教室だから、と教科書と筆記用具片手に教室を出てーーさて階段を降りようとしたところで。
「あ、居た、大友」
「ん?あー、おはよーございまーす、龍堂せーんせ」
「おはようじゃないよ」
腕を掴まれて振り返ったら、居たのは化龍だ。珍しい、こんなところで声掛けてくるなんて。
……
いや、でもまあ、理由は大体想像ついてるんだけどね?わざわざ探しに来るとは思わなかった。
「何ー、用事?次移動教室なんだけど」
「
……
あー」
「化龍に構ってる暇ないんですがー」
「怒るよ」
顔はずっと怒ってるよ。っていうか不機嫌だよ。って言ったら怒るだろうなー。ごめんごめん、と笑っておく。いやでも本当に、こんなところで立ち話なんかしたら目立つんだけど。下手なこと言えないし。意識しなければ何の問題もないフツーの教師と生徒の立ち話なんだろうけど、意識してしまうじゃないですかどうしても。避けてるんですけど。化学の授業ない日に会えるのは嬉しいですけども。
うー、だのあー、だのちょっと唸った後、化龍はわざとらしいくらい大きな溜め息を吐いて。
「
……
放課後」
「りょーかいしましたー」
お呼び出し食らっちゃった。
+++
さて、放課後いつものように化学準備室に向かうと、化龍が暇そうにくるくるペンを回しながら待っていた。おや煙草吸ってない。珍しー。と思いながら失礼しまーす、と中に入る。
机の上にはビニール袋に入った箱がひとつ。んー、やっぱそれの件だよね。
「姫」
「なに」
「これ何」
「誕生日プレゼントー。化龍今日誕生日でしょ、おめでとー」
「ありがとう
……
、じゃなくて、いや、普通こんなの学校に持ってくる?女子高生が?」
「カバンに臭いついたらやだし誰かに見つかっても困るし朝イチここに持ってきとくの大変だった」
「いやそういうことじゃなくて
……
」
あはは、脱力した。
ビニール袋の中身。化龍が吸ってる煙草、1カートン。結構悩んだ結果、いやもう消耗品で確実に捨てたくないレベルの必要なものがいいでしょ、ってなって、だから煙草。二人で居る時は結構吸ってるの見るから、銘柄の把握は簡単だった。ただ何せ未成年なものでどうやって購入するか、が大問題で、瀧に土下座して頼んで買ってきてもらったのだ。んー、持つべきものはヘビースモーカー一歩手前の幼馴染み。
別に週末、化龍の家に行った時に渡しても良かったけど、やっぱり誕生日プレゼントって当日に渡したい。モノがモノなだけにずっと持っとく訳にもいかなくてーーこれでも一応優等生な訳だしーーこそっと化学準備室に侵入してこそっと置いていったのだ。まー朝イチ化龍が飛んでくるとは思わなかったけど。ていうか煙草だけ置いていったのによく分かったよね。すごいね、愛の力だね。とかふざけておく。多分こんなことするの他に居ないっていう消去法なだけだ。
「
……
生活指導案件だよこれ
……
」
「自分で吸うんじゃないしー、分かんないよーに何も書かなかったでしょ。本当はバースデーカードくらいはつけたかったんだけど」
「
……
別に今日じゃなくても」
「今年の誕生日は今日しかないのー」
そういうの大事にしたい乙女心分かんないかなー。分かんないよなー。記念日とかめんどくさいから覚えてないタイプだもんねえ。こっちもイチイチ言わないようにしてるし。めんどくさがられるのは勘弁だ。
……
うん、まあ、こちらのお誕生日は?当日忙しく?おめでとー、だけで済まされ?誕生日プレゼントもご用意なく?お祝いしてもらったの二週間後とかで?
……
うんまあ、その後めちゃくちゃ強請ったし結構悪いこともしたので、怒ってはないですけどね?うん、怒ってないよ?
「
……
まあ助かるけど。アリガトウ」
「どういたしまして。そんだけあっても1ヶ月保たないんでしょ」
「そんなことは
……
あるな」
「吸い過ぎちゅーいだよヘビスモ」
「君の幼馴染みに言いなよ」
「瀧?再三言ってるけど人の言うこと聞くような奴じゃないよ、そういうとこ化龍と一緒だよね」
何気なく言ったら思いっきり咳き込まれた。あはは、多分今頃瀧もクシャミしてんじゃないだろうか。ほんっとふたりとも、どんだけ言っても煙草は止めそうにない。
まあ。煙草の臭いがするハグも、煙草の味がするキスも、嫌いじゃないのでーーっていうか、それがこの男の持つものだって分かってるので。身体に良くないよ、は言い続けるけど、やめろ、って言うつもりはないんだよね。やめないしねどうせ。鬱陶しがられるのもやだしね。
そうそう、瀧と言えば。
「ねーせんせー」
「何」
「クイズ、瀧は誕生日のスイに何をあげるでしょう?」
「
……
何か前に首輪とか言ってたから次手錠?」
「ナチュラルに監禁拘束の類に聞こえるからやめよう?」
「彼なら言いかねないのでは」
「まあね
……
」
フツーに言いそうだよね、そしてフツーにこっちがドン引きしたらよく分からないみたいな顔するねアイツは。微妙に一般常識がない。ブレスレット買って手錠、うん、言いそう
……
。でもまあ、スイ高校生だし。あんまりアクセサリー系は宜しくない。学校につけていって没収されるのは可哀想だ。いやつけていかなきゃいいんだけど、肌身離さず持ってたい気持ちも分かるから。
「部屋の合鍵だって」
「
……
それはまた」
「高校生になったし、節度を持って好きな時に来たらいいってことらしいけど。まあ瀧最近仕事も忙しいし、会う時間少ないんだと思うんだけどねー」
「仕事?彼学生じゃなかったっけ。バイト?」
「学生だけど。モデルだよ」
「
……
は?」
「あれ知らなかったっけ」
とはいえただの読者モデルだったんだけど、最近やたら撮影が増えてるみたいで、多分向こうとしては専属モデルにしたいんだろうなあって感じする。綺麗だもんなあ、瀧。めちゃくちゃ人目を引く。広告塔としてはすごい印象残せるだろうなあ、って雰囲気はあるのだ。あと写真だとあの社会性のなさがバレない。
「
……
モデルの癖に変装もせずにあんなところでホワイトホットチョコレート飲んでたのかあの男
……
」
「?なに?」
「いや何でもない」
「てか化龍って瀧に会ったことあったっけ?今度雑誌持ってこようか」
「文化祭の時に見掛けた」
「そういや遊びに来てたっけ」
かれしー、とか言って友達に紹介したなそう言えば。大嘘だけど。全然彼氏じゃないけど。まあこっちにとっても瀧にとっても都合がいいのでそういうことにしてることは結構ある。お互い大変だねえ、って言ったら一言「お前は別れろ」って言われるけどね。鬼かアイツは。
昨日は昨日で結構言われたなあ。笑いながら誤魔化すのも結構疲れるんだよなー。皆そろそろ諦めてくれればいいのにね。化龍がクズな男なことも、騙されてることも、ちゃあんと分かって一緒にいるんだからさ。
「
……
姫も欲しい?」
「何を?」
「合鍵」
合鍵?化龍の家の?
きょとんとして見返す。化龍の表情は読めない。んんー、唐突にこういうので試してくるかこの男。別にいいけど。正直に答えてあげよう。変に演技するより案外そっちの方が効果がある。
「別に要らないかなー」
「へえ?」
「家主のいない家に用事はないし、帰ってくるの待っとくのは寂しいし、そもそも玄関開けたら化龍に居て欲しいからそう考えると合鍵って要らないと思わない?」
「
……
へえ
……
」
何そのビミョーな反応。何て答えて欲しかったの?欲しいって言うと思ったんだろうか。実際本当に、別に合鍵は要らない。万一他の女と鉢合わせても嫌だしね!いや流石に他の女家に連れ込んでないとは思うけどさあ。ていうか女に家知られるのも嫌でしょこの男どう考えても。
合鍵が必要になるのは、きっとまだまだ先だ。今は呼び出されたら家に行って、インターホンを鳴らしたら化龍が出てきてくれる。その生活を堪能したい。迎えてもらうのって結構幸せだしね。
「あ、そうそう、昨日希羅姉誕生日だったじゃん」
「
……
あー
……
」
「何その嫌そうな顔」
「彼女の話はあんまり聞きたくないなって顔」
「うん、ごめんする」
「
……
ドウゾ」
顔が引きつってる。どんだけ希羅姉のこと怖いんだ。いや怖いけどね?昨日の目の笑っていないにこやかな笑顔を思い出す。
……
うん!こわい!しっかしこの男、学生時代何やらかして希羅姉にあんな嫌われてるんだろうなー、面白い。流華さんに聞けばきっとあれこれ面白おかしく教えてくれそうなんだけど、聞いたら可哀想かなあ。まあいいや、そのうち聞こう。多分引きつった笑顔の希羅姉と満面の笑みであれこれ教えてくれる流華さんの図が見える。
「誕生日プレゼント何がいい?って聞いたらにこやかに『唯が化龍と別れることかなー』って言われた」
「
……
まあ彼女なら言うだろうね」
「それはむりー、って言ったら化龍に伝言だって」
「聞きたくない」
「『唯のこと泣かせないでね』、って」
「
……
鳴かせてるけどそれはいいの?」
「言ってやろ」
「君僕のこと殺す気!?」
「あはは」
くっだらないこと言うからでしょー。まあ事実なので言うことは何もない。何だかんだ言いながら溜め息吐いてた希羅姉は心底心配してくれてるんだろうなっていうのが分かるから、ちょっとだけ罪悪感。ごめんね、悪い従妹で。でもそろそろ諦めて欲しい。この男が最低なのも、クズなのも、騙されてるのも分かってて一緒に居る。
……
んー、やっぱ、ダメな女なのかなー?って考えてしまって、あ、だめ、これ全然笑えない。
さて、そろそろ長居し過ぎてるな。帰らなくっちゃ。ていうか最近ここに来過ぎてるなー、もうちょっと回数減らさないと誰かに変に思われたら困るよね、気をつけよっと。
「じゃ、帰りまーす」
「はい気をつけてー
……
」
「今週末は行っていい?」
「一応そのつもりだけど」
「じゃあその時にサービスしまーす」
「
……
期待するよ?」
「いいよ?」
あ、ちょっと目がギラついた。ふふ、本当に欲望に正直だなあ。そういうとこ、ほんっとわかりやすくて宜しい。かわいい。だいすき。
気持ちが高ぶっちゃったから、ちょっとだけ。普段なら絶対しないけど。
「せんせーおめでとうっ」
「
……
、っ、ちょ」
「まったねー」
逃げるが勝ち。
触れるだけの軽いキス、不意打ちのそれに目を丸くした化龍にひらひら手を振って化学準備室を出る。学校じゃ全然しないもんね。たまにはいいでしょ、こういうのも。
……
あ、しまった、今週まだもう一回化学の授業あったな?ていうか明日だ。ちょっとそわそわしそう。
触れるともっともっと、ってなっちゃうから、週末まで会わない日が良かったなー。でも仕方ないよね、今日は化龍の誕生日だもんね。ちょっとくらい甘やかして、ちょっとくらい焦らしたってバチは当たらない。
ああ、ほんっと。週末が、楽しみだなあ。
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