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AmexAmexxx
2017-11-30 18:12:02
3300文字
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bkyi
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怒りんぼシャーク
待ち合わせ時間をオーバー。
……
ルーズが過ぎる。連絡くらいしてこい。
まあどうせそんなことだろうとは思っていたから、お陰でレポートに集中出来る。カフェでパソコンを叩いているのは今時珍しくない、というのは助かる。
ふっと視界が暗くなって、目を上げる。当たり前のように俺の前に腰を下ろした男に、溜め息。時計を確認。
「
……
15分遅刻だぞ変態教師」
「会議が長引いたし急いで来た方だけど。
……
君何飲んでるのそれ」
「ホワイトホットチョコレート」
「
……
甘そう過ぎて胸焼けする
……
」
ドン引きする男のーー唯の恋人である化龍の手には、珈琲。飲み物を注文してきたということはそれなりに話す気はあるんだろう。
書いていたレポートを保存して、パソコンを閉じる。飲みかけのホットチョコレートは随分冷めてしまった。後で買い直すか。
「で?今日は何のお呼び出しだい?」
「アイツ以外のことでお前とは会わないだろうどう考えても」
「まあそうだけど」
過保護だねー、なんて言いながら珈琲を啜っているのを見ると殴りたくなる。
……
本当にあの幼馴染はこの男のどこがいいんだ?さっぱり分からない。
時々こうやって俺が化龍と会っているのは、唯には内緒だ。それこそ『過保護』だろうから。
唯に何を聞いても、結局「好きなんだから仕方ないじゃん」で押し切られる。アイツには惚れた弱みがあって、自分が何やってるのか本当に分かっているのか少し怪しいところもある。
17歳。
……
恋に生きたいお年頃の女子高生だ。俺が守ってやらないと、とは思わないけれど、手を出したのがこの男でなければ放っておいたのだけれど。
スイから色々聞いた身としては、やっぱり放っておけない。アイツには幸せで居て欲しい。だから、その為の、不定期の『面談』のようなものだ。
「
……
本当に何でお前なんだ
……
」
「毎回それ言わないでくれないかい。こないだ僕のどこが好きなのって聞いたら顔って即答されたけど」
「顔が好みで人生棒に振るようなことをする馬鹿じゃないだろうアイツは」
「分かってるよ。
……
でも嬉しいもんだよねえ、可愛い子が僕のこと好きって甘えてくれるの」
「嬉しいからって生徒に手を出すな未成年淫行で捕まれ」
「それ君もだからね」
俺の場合は保護者公認だからいいんだ。とは返さない。言い返せばああだこうだ言われる。面倒だ。
最初に会ったのは唯がコイツと付き合い出してすぐの時だ。スイ経由で連絡を取って会った。初対面から印象は最悪だった。あまり思い出したくはない。
その印象は今も変わらない。軽薄で、他者の感情の機微を弄ぶタイプだ、コイツ。
……
あの馬鹿、恋に溺れて騙されてるんじゃないだろうな、というのは、ずっと俺の心の中にある。いや、騙されているとしても、唯の場合それすら承知の上なんだろうけれど。
まあ、こうして俺に呼び出されて応じる程度には真面目に付き合っているーーの、かどうかは知らないが。呼び出しに応じなければ即刻唯に「別れろ」と言うだけの話だ。とはいえアイツも頑固な奴なので、別れろと言って素直に別れやしない。
「最近どうしてるんだ」
「特に変わったことはないよ。姫はいつも可愛い」
「知ってる」
「
……
あ、そう」
「お前、大人だろう。きちんとアイツにブレーキかけてやってるのか」
「アクセルは踏んでる」
「馬鹿か」
不安しかない。
それでもいつもコイツの話をする時の唯の表情は幸せそうだから。今のところ酷い目に遭ったりはしていないことは、分かる。
止め切れなかった俺も悪いのだろう。こんな男に引っ掛かって、あの馬鹿は。けれど例え先に会って絶対に手を出すなと釘を刺しても、この男は唯に手を出していただろうなと思う。
……
いや本当に教師の風上にも置けない。何で教師になったんだコイツ。
「君さあ」
「何だ」
「何でそんなに僕のこと警戒してるの」
「寧ろ何故警戒されないと思うんだ」
「いやまあ悪い教師であることは認めるんだけど君に迷惑掛けてないよね?」
「幼馴染が悪い教師に誑かされてたら心配するのは普通じゃないか」
「過保護モンペが過ぎる」
「相手がお前じゃなきゃな」
「
……
事実に尾鰭背鰭がついてきてる気がするなあ」
流華さんから聞く話なら尾鰭背鰭どころか違う魚まで引っついていそうだけれど、まあ。それでもコイツより遥かに信用出来るというのが悲しいところだ。
大体からしてお前を信じているのは唯だけだということに気付いた方がいい。
……
いや、唯も多分信じてはいない。何を言われても。
アイツは馬鹿な女じゃない。ちゃんと分かっている。何を言われても、喜びはするけれどーー本心とは受け取っていないだろう。多少遊ばれていることは理解している。だから必死なのだ。
「
……
そう言えば聞いたことがなかったな」
「何を?」
「お前、アイツのどこが好きで付き合ってるんだ」
「カラダ」
「殺してやるから死ね」
「冗談通じなさ過ぎない
……
?」
「今この状況でよく冗談が言えるな」
唯が顔って答えるのと変わらなさ過ぎるだろう。馬鹿か。
案外始まりは冗談ではなく本気でそうだったのかもしれない。カラダ目当て。カラダ目当てに手を出すには関係性はリスキーだけれど、まあ上手くやる自信があるなら本物の女子高生を金もかけずに抱けるんだからいいだろう。しかも自分のことが好きな女で、馬鹿じゃない女と来た。扱い易さは半端じゃない。馬鹿な女は何をするか分からないからコイツも避ける。多分。
「ご心配なく。僕は姫のこと好きだよ」
「軽いな」
「そうかな」
「
……
お前が手を出した女は、底が知れないほど愛が深い女だからな」
「ん?」
「皆にちょっとずつだった愛情がひとりに集中するんだ、
……
逃げるなよ」
きっとその頃、逃げられないのはこの男だろうけれど。
遊んでるつもりでどんどん泥沼に嵌っていることに、多分コイツはまだ気付いていない。気付かせる必要もない。唯が望むようにやればいい。
笑っていられるのは今のうちだ。唯の愛し方は昔から、あまりにも情が深過ぎる。誰に向けても。
それを一心に向ける相手に選んだのがこの男なのだからーーきちんと受け止めなければ、きちんと理解しなければ。いつか遊ばれるのは、お前の方だよ。馬鹿教師。
そんなことを教えてやるつもりは、さらさらないけれど。
「じゃあ僕も聞いてもいいかい」
「何だ」
「君、スイのどこが好きなの?」
「全部」
「即答だし」
「
……
俺に好かれる為に必死になって、素直で従順な振りをして、演技のつもりがどんどんそれが素になって、時々暴走して、汚いところを隠しているつもりが全く隠せていなくて、大人っぽく振舞おうとする子供で、自分を見て欲しくて必死なところがたまらなく可愛い」
「
……
よく分かった君本当に滅茶苦茶性格悪い」
「お前に言われたくない」
可愛い恋人だ。年齢も性別も関係なく。
……
まあ一応あの年齢の人間と付き合っているのだし、それなりに責任を取るつもりもある。俺には俺の責任の取り方がある。
俺が心配なのは、この男は何かあった時絶対に責任を取らないし、ーー出来る限りのものは唯が自分からひっ被るだろうなというのが分かるから。
堕とすなら早く堕としきらないと、逃げるぞ。この男。という忠告を俺が唯に出来ない分、こうやってたまに逃げないように見張るのは、やはり必要だ。
「
……
いやでもあの可愛い顔で可愛い声で好き、とか言われたら誰でも無理だと思うよ、姫は魔性が過ぎる」
「そういう奴だから俺みたいなのが傍にいるんだ、覚えておけ」
「こわい」
「ちっとも怖いなんて思っていないだろう、よく言う」
俺の反論に、おどけたように笑って。ことん、とテーブルに置かれたカップにはもう珈琲は入っていない。
……
、お開きか。
「じゃあ帰るよ。またね、王子様?」
「
……
その性格さっさと直せよ、道化」
ーー本当に。
あの幼馴染み、この男のどこがいいんだか。
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