ロザリーが玄関でヒールを脱いでる間に良明くんはささっとスニーカーを履き
…「すみませんロザリーさん!おれ、ちょっと買い忘れがあったんで海星の事お願いします!」と軽く声をかけて「んじゃ海星行ってきます!」と言葉を残し元気にとびだしていく。「いってらっしゃい~!」と海星が返事をしてる頃にはロザリーはスリッパを履き終えただ一言
…「今日は下でやるわ」とだけ言った。良明くんが来てからは殆ど二階でだった為、何だか海星は胸に懐かしさを覚えつつ「うん!わかった」とパタパタとロザリーの後に続いた。
★★★
海星はともかくとして
……まるで縋り付く様に海星の膝で泣いてるのってロザリーさん?だよな?と
…いきなり目に飛び込んできた情報が整理できず良明くんはリビングのドアを開けたまま立ち尽くす。脳内では" 海?
…あの人は何を言ってるんだ? "と言う言葉が何度も反響する。ひとまず「え~っと
……それ、海星ですよ?」と、なんとかぐるぐるする言葉を声に出せる頃には良明くんの一連の様子を見ていた海星も何か察したのか「あぁ、ごめんね!待っててね!」と声をかけてきた。そして
……
海星の言葉にぶるっと身震いをしたロザリーは何事もなかったかの様に自身が持ってきたレインコートと鞄を手に持ち始めた。そして海星へただ一言「ケアセット戻して来なさい」と普段と変わらぬ態度と様子を見せながら言葉を放つと玄関を目指し始める。先程の姿とはまるで別人のようだった。
とロザリーは強い言葉を残した
……肩をぶつけたのは明らかにわざとだった。そのことをぶつけられた良明くんも感じていた。海星は自身のケアセットを戻している最中だったのもありその一連のやりとりに気づいていなかったようだ。スタスタと後ろも見ずに歩き去り玄関でヒールを履くロザリーを追いかけるように
…海星はパタパタと良明くんの前を通り過ぎる。そして玄関のドアを開けようとしているロザリーへ「また来週ね!」と明るい無邪気な声をかけていた。ロザリーは「えぇ」と短い返事だけを残して碧家を出て行った。正直、ロザリーの出て行く後ろ姿を見送った後
……もやもやが晴れない良明くんは気になってた事をそのまま海星へぶつけてみることにした。
今日は煮込みハンバーグ、海星の好きな味のケチャップは隠し味!チラッとハンバーグを頬張る海星を盗み見ながら手応えを感じている良明くん。なかなかいい出来き!次回も同じ配分で
…と考えていると海星が「あ!忘れてた」と口を開いた。
正直ドアを開けて目に飛び込んできたものがあまりにも異常というか
…おかしい様に感じてしまっていたのもある。しかし話を続ける海星はこれからも継続していく口振りだった。
オルゴールの箱を開けると中には本体とその脇に元々付いていたであろう小物たちが入っていた。一つ一つ丁寧に出しながらくっつける作業に用意をしようとしていたその時
…ヒョイっと海星の手が伸びてきたと思えばオルゴールの箱を自分の方へと持っていき本体を抜き出し、ついでに下に引かれていた蓋も取り出した。なにしてるんすか?と
…良明くんが聞く前に海星は口を開く
穏やかなそして優しいオルゴールの音色に海星は耳をすませている。やり切った解放感から良明くんも静かにオルゴールが奏でる音に聞き入る。そうして数分経った頃にオルゴールは止まった。回した分のネジが切れたのだろう。海星は満足そうな表情を浮かべ優しくオルゴールの蓋を閉めた「写真とかあるしロザリーには言えてなかったからさ
…!えへへ、良明くんにお願いできて良かった!」と海星はにぱっと明るい笑顔で言う。「そーすか、そりゃ良かったすね!」と元気に答えつつもこの家にはまだ数ヶ月しか居ないわけだが
……それでもなかなかもって大変な家に来たな〜と思う気持ちは少しばかり胸の中にじんわりと抱いている良明くん。まぁ、受けた仕事だし不満があるわけでもないしな
…とぼんやり考えていると向かい側の海星が冷めたティーポットを持ちながら「良明くん
…おかわり欲しい」と言う。「あっ、はいはい」とポットを受け取り良明くんは席を立った。