私がもっと強く止めていればこんな事にはならなかったのだろうか?あの子の誕生日、海星が起きる前に2人でドライブへ行きたいと出て行ったあの時がきっと分岐だったんじゃないだろうか?
………もう既に何百回と自分に自問自答した言葉。どうしょうもない現実
……海は戻ってこなかった。いいえ、正確に言えば戻っては来てくれた。もう笑いかけてはくれない冷たい体になって
……ドライブ時での不運な事故。共にいたあの男も即死だったと聞く。電話で聞いた時、時間が止まった様だった。そして幼い海星は自分の才能に気づく日でもあった。
暫く私たちは共にいたが彼女に許される時間がきたのだろう
…「また会いに来るよ、それまで元気でな」と微笑んでくれた。ロザリーはただ遠くへ離れて行く千冴さんの背中を見送った。そして千冴さんに抱き寄せられた肩に手を寄せる。張っていた系が緩むのを感じる
……ロザリーは目の前から大きな光を無くしそれでも踏ん張ろうと頑張っていたが
…肩に残る温度と感触を思い出しながら『これから私達は
…どうすればいいのよ?』と自分に弱音を吐くように問いた。ハッと意識が戻ってくる。白昼夢?いや
……うたた寝をしてる間に記憶の再生をしていたのかと気づく。
………ふと、海が収まる小さなお棺が脳裏を過ぎる、何度も見たくはない光景。忘れてはいけないそろそろ海星の着替えを持っていかなければ
……着替えさせてご飯を食べさせる
…食べてくれるのか分からない。熱を出して寝込む海星はどんどん弱る。このままだと、このままだと
……嫌なことしか考えられない自分も嫌だった。
『 そう言うしかなかった。 』
ある程度のことを済ませいつものようにことを済ませる為リビングへと戻る。机に片手を突き頭に手を添えながら『これでよかったの?海
……』と届かない空虚に言葉を漏らしているとインターホンが鳴る。ロザリーはリビングのドアを開け、引き寄せられるように玄関へと行く。ガチャリとドアを開けるとそこには
…
ロザリーは少し無言になってから「
……助かるわ、どうぞ上がって」と千冴さんを招き入れる。先のことは分からない。でも私も海星もここにいる
……だから海との約束は果たさなければならない。少し吹っ切れたような顔でロザリーは「海星のは柔らかめに作りましょう」と言った。