三毛田
2024-11-13 09:41:46
1075文字
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10 010. 告白なんて

10日目 俺以外から受けないで

「あの、丹恒くん。今、時間あるかな?」
「構わない。穹、悪いが先に帰ってくれ」
「やだ。待つ」
 胸の奥がざわざわして、肩掛け鞄の紐をぎゅっと掴む。
「どれくらいかかるかわからない。だから」
「待つ。待つから」
 じっと見つめると、諦めたように息を吐いて。
「わかった。俺の荷物を頼む」
「うん!」
 丹恒が先に出ていき、後から話しかけた女子がついていく。俺の隣を通るときに睨んでしまったが、仕方ないだろう。
「結構知られてると思ってたんだけどな」
「他のクラスじゃ、そんなに広がってないでしょ。夕飯は?」
「丹恒と食べるから要らない」
「わかった。じゃ、なのと帰るから」「じゃあな〜。グッドラック」
「あんたもグッドラック」
 なのと手を繋いで帰っていく星を見送り、丹恒が戻ってくるのを待つ。
「穹」
 椅子に座って荷物を抱え、うとうとしてると意識が遠くなり始めたところで、声がかかる。
「おはえり」
「ああ。帰ろう」
「うー……うん」
 大きく伸びをして、頷く。
「荷物、ありがとう」
「どういたしまして」
 荷物を渡した後手を差し出すと、一瞬だけ不思議そうにして。でも、意図が伝わりそっと重ねてくれて。
「告白されたんだろ?」
「断った」
「わかってる。丹恒は誠実な奴だから」
「それは、お前も」
「俺は好きじゃない相手に誠実になれないし、優しく出来ない。今だって、嫉妬で胸の中がぐちゃぐちゃだ」
 繋いでいない手で、胸元をぎゅっと握る。
「穹」
「俺、丹恒が好き」
「知っている」
「何度でも言う。好きです。俺と恋人になってください」
……もう、とっくに恋人だ」
「わかってるけど、上書きしたいんだ」
「他者からの告白を?」
「そう。俺からの告白にだけ、応えればいいんだから」
 むすっとして告げると、笑われた。丹恒が笑うなんて珍しいと思いつつも、子供扱いされている気がして。
「何で笑うん」
「悪い。思っていたより嬉しいんだ」
 そう言われてしまえば、返す言葉は見つからず。
「キスして」
「こら」
 眼鏡を奪うと、怒られた。でも、取り返そうとはしない。
 仕方ないという表情の後、触れるだけのキス。
 そして恥ずかしそうに、眼鏡を取り返してかける。
「伊達眼鏡」
「そのお陰で少しは地味に見えているはず」
「ならいいけど。美人だってバレたら、ますます人を惹きつけちゃうから」
 今度は俺からキス。
 視線を感じていたから、わざと。
 丹恒は俺の恋人だし、俺は丹恒のもの。
 前世でも後世でも。ずっと。
「丹恒、お前を離さないから」