リンタロ
2020-08-29 02:08:20
852文字
Public うちよそSS
 

ろうるとねこち

狼流とネコチャンライダー(いつもの)
短いほのぼの

「ろうるとねこち」


物音がしたので見に行くと玄関にネコチャンライダーが立っていた。
「よっ」
ネコチは靴を脱ぎながら片手を上げ、軽快に挨拶を済ませる。
「ネコチ……
狼流は今さっき、朝食用のサラダチキンを冷蔵庫から取り出したところだ。サラダチキンの乗ったお皿を持っているため両手が塞がっている。
「朝メシまだだろ?いっしょに食べようと思って」
ネコチはドスドスと部屋にあがり込みながら何やら重たそうなコンビニの袋を持ち上げてみせた。その鋭い鉤爪が袋の上部に小さな穴を開けたらしく、丼系のコンビニ弁当といちごみるくらしきピンク色の紙パックがわずかに見てとれた。
「ごはん……
「狼流はそれだけ?カツ丼食う?」
「ふとる……
狼流は両手でお皿を持ったポーズのまま首をふるふると横に振った。
「サラダチキンばっかり食ってると必要以上に痩せちまうぞ」
「たべる……
ネコチはローテーブルに袋から取り出した飲み物と弁当を並べる。いちごみるくの紙パックが二つと、丼弁当は三つあったらしく、それぞれ牛丼、カツ丼、親子丼だった。その華々しい彩りの隣にそっと、色味の薄いサラダチキン皿が置かれた。
「今日は非番か?」
「非番……
これお前のなと押して渡された暖かい弁当の蓋を外し、二人ぶんのいちごみるくのために狼流はカップを取りに台所に立つ。背後で箸を割る音がして、カップを適当に二つ選んでテーブルに向き直ると紙パックのままいちごみるくを呷る豪快ネコチが目に入る。カップを一つ棚に戻した。
「俺も非番~」
「うん……
席につき、空のカップにピンク色の甘い液体を注ぐ。三鼎の丼弁当の匂いのほうがかなり濃かったが、それでもちょっとだけ甘いにおいがした。
「暇だったら昼飯もいっしょに行かねえか?」
……行く……
「よし」
さてそれまで何をして過ごそうか、映画を観るか散歩でも行くかと、二人は暫く他愛のない言葉を交わす。ネコチがふと目をやれば狼流の、作り物の尻尾がすこし、ぱたぱたと動いたように見えた。


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厘太郎 / リンタロ
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