リンタロ
2020-07-15 04:16:34
1091文字
Public うちよそSS
 

†邂逅†

#一日一うちよそ_厘餅
魔王と血社の出会い妄想

「†邂逅†」

「俺は†魔王†……漆黒の闇に蝕まれ尚生き永らえる†常闇の覇者†……俺の眼前に立ち尽くす隠忍(オニ)の血をその身に宿せし邪(ヨコシマ)なる忍よ……聴け……その力気に入った……疾(ト)く†魔王†の手足となり……下僕として永劫仕えるがいい……しかして悪いようにはせぬ……†魔王†は下々の民を一手に統べる者……だからな……
「ふ……いいだろう。」
鞍馬神流・魔王流。鞍馬と隠忍との血を半々に引く半妖のシノビである。
この魔王と名乗る中二ポーズの男は並々ならぬ虚弱体質を抱え、日課となりつつある救急搬送の折々を鑑みて文字通り血眼で探した“身の回りの世話をしてくれるお手伝いさん”を遂に見つけ、とんとん拍子でスカウトに成功したのだった。
用心すべきはこの隠忍……血社(シエシャー)の虫のよすぎること。血社の男はヤのつきそうな目付きで、なんとも捉えどころのない雰囲気を持っていた。
「二つ返事とはこれいかに。我等は仇敵同士ゆえ、奇襲の一手や二手飛んでくるものと身構えていたものだが」
「鞍馬神流とは馬が合わない。かといって隠忍とつるむつもりはない。仇敵の懐に呼び込まれるとはまた珍妙なことだ。見たところお前は俺以上に顔色が悪く、またタバコを手離せず、脈絡なく喀血し気を失うこともあろう。ゆえに俺は斃(タオ)れたお前を拾い、お前の面倒を見るために家に往き、飯を炊こう。羸弱(ルイジャク)な忍の世話とはまた、暇なく気を揉めそうで面白い。」
「成る程。やはり隠忍の意図は毎々汲めん……ぐふっ」
いつになく無理してはしゃいで喋りすぎたためか、魔王の“限界”は突然訪れた。魔王が血を吐いて倒れ、一呼吸置いてから血社が歩み寄る。
「保険証は財布の中か。」
「ゴボッ」
肺が自身の血液で満たされ溺れることへの危機感もそこそこに、何度も頷きながら返事にならない返事をした。
血社は先に魔王の身体を探り、財布を見つけ出した。次いで魔王の両腕を掴んだまま肩にかけて不格好に背負った。
「ゴホッ、ゴホッ」
「人型の生き物、持ったことがない。多分あっている。これでいこう。」
「ゲェッホゴォッホ」
魔王はいや腕でなく足を持ってくれ、おんぶをして俺に負担の少ないやり方で運んでくれと思ったが、口から溢れかえる血液によりとうとう言葉にできなかった。

「お前の行きつけの病院、この時間も開いているといいな。」
血社は路地裏を抜けて病院の方に歩き出す。
魔王流と血社の中睦まじげなそれは(変わった担ぎ方なので)異様な光景(特にシルエット)だった。
「ゲホッゲホッゲェッホッ」
夜は、始まったばかりだ。


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