ろころころ
2024-11-12 10:12:05
1182文字
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レオララ 間章




──────ガチャリ。

重たい戸の無機質な音が、しんと静まり返った部屋に響く。

数カ月前であれば彼と共同生活を送っていたあの部屋であれば、"おかえり"の一言が帰ってくることもあった。寂しいと思うかと聞かれれば、レオンはかならず首を横に振った。当たり前だ。自ら望んで出てきたのだから。もうあの男の忌々しい"おかえり"なんぞ、聞きたくも無いのだ。

静かな空間は落ち着いたはずなのに、なんだか今日は落ち着かなくてテレビを着ける。捨て犬のドキュメンタリーが流れる。犬や猫でも飼えば、また何か違ったことでも起きるだろうか。

(………それにしても、)

レオンは戸棚にしまってあった小瓶を手に取る。カランコロン、と瓶の中で小さく揺れるのは2色の飴玉。少し前、あの商人から購入した効き目のあるんだかないんだかわからない品物である。彼はもう少し試してみるべきだなどと言っていたが、何せ売りつけた本人の言葉だ。信用するに値しないのはわかりきっている。しかし

(彼からは悪意を感じなかった……)

勿論、商人全てが悪だと言う訳では無いが少なからず"金を得る"目的のために何かしらの悪徳な方法を使う商人というのを、レオンは数多く見てきた。そしてその方法を取る事について、少なからず通常の感覚の持ち主であれば"悪"であることを認識している。彼らは隠し通しているつもりだろうが、矢張り顔やら声やら動作やら言い回しやらどこかしらに、ソレに対する罪悪感が滲み出ていたりするのだ。レオンがこれに気がつくのは、単に彼が"悪"という存在に対して人一倍敏感だったからかもしれないが。

しかし、かの商人からはそんな悪意すら感じ取れなかった。

(そもそも、二重能力者なのに何故商人なんてやってるんでしょうか?)

二重能力者はこの世界では非常に貴重な存在、この力を持つだけで多くの大企業から引っ張りだこになるのが現実である。

(それに……あの外見。頭の角は飾りか?服装も見た事の無い形状、それに跡地の生き残りと言っていましたが少数民族であれどユニオンが把握していない、だなんてことは……)

悪意のない商人、あまりにも現実離れした外見や風変わりな発言……
どんな些細な気掛かりでも、大陸の平和を守るものとして放っておくことは出来ない。
万一、"デストロイヤー"の使者であったらそれこそ大問題である。デストロイヤー本人に尋ねるか?それとも不死者に注意を促すか?

「暫くは要注意、ですかね

飴を戸棚に入れる。テレビでは、とある飲食店の特集をLIVE配信で流されていた。
そこに見覚えのある髪色が映っていることに、彼は気づくことは無かった。