駆動マキナmk-2
2023-05-26 20:17:05
3092文字
Public 雑多
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404 NOT FOUND 2

岩男EXE/亡霊速

ネクロネクロネクロネクロネクロ待ってくれ■■くん!

………

今のニホンのネットワークは■■■によって壊滅状態だ……。復旧には一人でも多くの技術者が科学省に必要なんだ!!

君のお父様に匹敵する程の優れた技術者。そんな彼が製作した世界初の自立型ネットナビ。『まともな調査もせずに二人を罪人扱いしておきながらそれは誤りで、電子機器の異常の原因は別にありましたとさ。』
………馬鹿馬鹿しい。これは自分らの愚かさがそっくりそのまま返ってきた結果だよ。

■■■■博士を尊敬し、■■■■の存在を尊重していたキミの怒りは当然のものだ。だが今は

じゃあな■くん。わたしはもう二度と世のため人のための研究なんてしない。

■■くん! ■■くん!!









「───あれ? マスターどうしました? まだ4時ですよ?」

 唐突にPETの電源が入り意識が浮上する。時刻を確認すれば普段ならマスターはまだ夢の中のはずの早朝だった。

「なんか目が覚めちゃってさ。ちょっとフォルダでも弄らせてよ」
「かしこまりました、編集モードに移行しますね。でもチップコードは綺麗に纏まってますし、特に変えるべきところは無いと思いますけど……

 マスターのフォルダ編集のやり方はシンプルだ。使うチップコードを1つに絞り、余ったスペースには*コードで汎用性のある物を詰める。至極雑なようだがこの方法で組んだフォルダは私には大変使いやすいのだ。「攻撃力しか頭にないコードバラバラ回転率ガタガタな若葉マーク初心者のフォルダとは違うのだフハハハハ」というのはマスターの談だがそういうの大人げないからやめましょうよマスター。

「いーじゃんいーじゃん。気分転換ってことでさ。ソード構築にでもしてみる?『ソード! ワイドソード! ロングソード! プログラムアドバンス! ドリームソード!』って感じで」
……イイですよね。夢剣」
「イイよね。夢剣」

 プログラムアドバンスの代名詞の話題で盛り上がっていたらクイックマンもスリープモードから起床したようで、なんだなんだといった様子でこっちに寄ってきた。

……?」
「おはよう、クイックマン。マスターがフォルダを弄りたいんだって」
………………

 彼はチップデータの欄をじっと見つめていたがすぐに興味を失くしたようで自身の両腕から伸びるブレードに視線を遣り、慣れた手付きで投げ始めた。(あれらはブーメランとしても使えるらしい。更に言うと額の方のは取り外してソードとして使えるらしい。驚きである。)

 PET内の電脳空間に綺麗な弧を描いて飛んだソレは何かしらのデータにぶつかることはなく意思を持つかのように持ち主の手元へ戻ってくる。せっかち気質なところがあるクイックマンにとって構築を考えるのにじっくり時間を掛ける必要があるフォルダ編集はあまりお気に召さなかったようだ。

「そうだネクロ、ちょっと頼みがあるんだけど」
「はい。どうしました?」
「クイックマンだけだとデータが足りなくなってきてさ。また適当に亡霊ナビ探してきてくれる?」
「えぇぇ……突然ですね。まあ構いませんけど

 ひゅん。ピコン。ひゅん。ピコン。

ブーメランが空を裂く音とフォルダ内のチップを入れ替える音が交互に響く。

「でも今はN1グランプリでインターネット上も大盛り上がりだろうし、探すならほとぼりが冷めてからでいいよ」
「分かりました。それにしてもまだ予選なのに凄い盛り上がりですよね」


 ………亡霊ナビの捜索のために訪れた秋原エリアをクイックマンと一緒に歩く中、いつかの早朝にあんな会話があったことをふと思い出した。

 【悲報】N1グランプリ中止。N1を企画したディレクターがWWWのオペレーターだったのだからこれはもう仕方がない。そしてその後に起きた湾岸病院のシステム暴走事件。命の木なる植物から謎の蔦が大発生して院内の医療機器の大半が機能停止したのだという。幸いにも怪我人ゼロ死者ゼロで終息したようだが少しでも解決が遅れたらたくさんの犠牲者が出る大惨事になっていたはずだ。

 更に言うとよかよか村にある動物園の動物たちが暴れたり、バブルウォッシュという食洗機を買った人がソレから出た泡に閉じ込められたりと近頃奇妙な事件が立て続けに起きていてそしてそこからのN1騒動と病院事件なのだ。今のインターネットには相当な数のオフィシャルのナビが見回りをしておりどことなく雰囲気がピリピリしてる。ちょっとこわい。

「オフィシャルがたくさん巡回してるからあまり時間は掛けられないけど……。もし亡霊ナビがいたら今度はちゃんと話をしたいなって思うんだ」
………

 時折すれ違うナビに聞こえないくらいの小声で胸の内を明かせば隣を歩くクイックマンは「何故だ?」とでも言うように首を傾げる。

「クイックマンの時は、その、私大して何も言えなかったし、むしろなんでかそっちがグイグイ来たし………しかもあんな、あんな、壁に追い詰めて、顎掴んで……っっああああああああああ
……………………………

 だめだ思い出したら恥ずかしくなってきた。ユカシタモグラしたい。

 とにかく目的地は秋原スクエア付近。噂によるとその辺りで稀に不思議な光が見えるらしい。光の正体が亡霊ナビなら話を付けて連れて帰る。無理そうなら日を改める。いなかったらすぐ帰る。上手くいきますように。







「ねえクイックマン……。なんかちょっと……暑くない?」
…………

 確かに暑い。疲労が滲んだ声のネクロにオレは頷きで返答する。

「うぅぅ。秋原エリアには炎属性のウイルスなんていないはずなのに。なんでこんなにあっついの

 彼女の言う通りこの区域に生息しているウイルスはメットール、キャノーダム、ラビリーくらいだ。この面子がこんな暑さを作り出せるとは流石に考えにくい。

 それにしても本当に暑すぎる。このままだと亡霊ナビを見つける前にネクロがダウンしかねない。目的のポイントへ向かう前に秋原スクエアに寄って休息を取るべきか? スクエアのセキュリティは厳重だ。あそこならこの暑さもウイルス同様に遮断しているかもしれな────

「ッッッ!!」
「えっヴぁああああああフレイムタワァァァァァ!!!??」

 ソレは何の前触れもなかった。すぐ近くで火柱がゴォッと音を立てて噴き上がり、オレは彼女を反射的に抱き上げて迅速に距離を取る。ここらのウイルスでないならタチの悪いヒールナビの攻撃かと一瞬考えたが周囲にそれらしい存在はない。しかも火柱はこれだけではないようでそこかしこで発生し、それに比例して悲鳴も次々に上がり出した。

!」
「あ、ありがとうクイックマン。でもこの炎は一体………

 我先にといった様子でプラグアウトを始めている一般のナビたち。彼らに続くべきだとネクロの手を引こうとしたが彼女の視線は明後日の方角に向けられている。

「あれ……? なんか今、あの燃えてるところの向こう………光った?」

 ……待て。待つんだ。待ってくれ。その足取りはなんだ? まさか先に進むとでも言う気なのか。さっきの火柱が上がった時といいオレと初めて出会った時といい突発的な出来事には耐性がないのにどうしてこんな状況で妙な度胸を発揮するんだ?

………………………

 何にせよ今のオレに取れる行動は駆け出したネクロの供をすることだけだった。