壁に背中を預け、敷き布団の上で脚を伸ばして座り込み、無言でスマホを眺める。液晶の中ではほわほわとした毛並みの子猫がニィニィと餌をねだって鳴く様子の最高に癒される動画。あー可愛い。ほんとかわいい。これとは別の人が投稿してる野良だったところを保護した三毛ちゃんの成長記録の動画も実に良い。いいぞもっと食え。もっと遊べ。もっと眠れ。
一方の彼女は俺の太腿に腹部を乗せてうつぶせになりながらダブルスクリーンな携帯ゲームに打ち込んでいる。ドーピングアイテムとかステカンストがどうのとか色々言っていたが多分楽しんでると思うので良しとする。
現在の時刻は午前二時。草木も眠るなんとやら。ラジオから流れていた賑やかなトークはいつの間にかしっとりとしたピアノの旋律にすり替わっていた。夜更かしはあまりよいことではないが今日は土曜日なのだしたまにはこんな風に過ごしたい。
「ねえ、」
「なぁに?」
「そのゲームなんて名前だっけ」
「あぁ、これは……」
夢中でプレイに励む姿になんとなく興味が出てきて、彼女が口にしたタイトルを検索欄に打ち込むと関連動画が次々にヒットした。公式PVにCMにプレイ動画にBGM集。…どうしようちょっと面白そうに見える。一昔前のソフトみたいだし近場の中古ショップに行けば見つかるだろうか。
「ッッくしゅっ、」
「大丈夫?ほら。ティッシュ箱あるよ」
「ん。ありがと…」
もう11月になったんだ、タオルケットと薄い毛布が一枚ずつでは心もとない気がする。近い内に厚めの毛布を出しておくべきだろう。そんなことを考えながら俺はちり紙をゴミ箱に放ってゲームを再開する彼女の背中をそっと撫でた。
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