11月中頃。この時期にもなればだいぶ日も短い。夏であれば明るかった時間帯はもう真っ暗で、上着を着ていても肌寒さを感じる。そろそろ本格的に冬服を引っ張り出さないとな、と大西拓也はコンビニの駐車場でぼんやりと考えていた。
今日は礁介が家に来ることになっている。家で待っていてもよかったが、なんとなく迎えにいってやろうと家から徒歩5分のコンビニに赴いた。最初は店内を適当に物色していたが、それも飽きて結局外で待っていることに。
「さみー……」
何気なく吐いた息が白くて、そんなことでも冬の訪れを感じた。礁介は授業が終わったらそのまま来ると言っていた。彼の大学からここまでの距離を考えれば、そろそろやって来るだろう。
「悪い、待たせたな。授業が長引いた」
かじかんだ指でスマホを弄りながら壁に寄りかかっていると、ふいに声をかけられる。顔をあげれば目の前には礁介が立っていた。
「すげー待った。寒いし」
「悪かったって。寒いなら中で待っていればよかっただろう」
「待ちくたびれたから外出てきたんだよ」
「……そうか。拓、少しそこで待っていろ」
「え、なに?」
礁介は返事を待たずに自動ドアを潜り店内へと入っていってしまった。結局寒い中待てというのか。
ほどなくして礁介が店から出てきた。その手には2つの中華まん。白いものと、オレンジ色のもの。
「肉まんとピザまん、どっちがいい?」
「……じゃあピザまん」
そう言うと礁介はオレンジ色の中華まんを差し出してきた。紙に包まれたそれは、ホットスナックのショーケースから出されたばかりだからか、あたたかい、というよりは、熱い、という表現の方が適切かもしれない。しかし、寒空の下で凍えた指先にはちょうどよかった。
「待たせた詫びだ」
「別に気にしなくていいのに。まあ、もらっとくけど」
コンビニから出て住宅街へ。拓也はピザまん、礁介は肉まんを頬張りながら。
「すっかり冬みたいな空気だなー」
「そうだな」
「ついこの間まで夏だった気がするのに」
街灯が照らす道を他愛もない会話をしながら並んで歩く。徒歩5分のはずなのに、今日はなんだか長く感じる。肉まんとピザまんはいつの間にか全部胃袋へと消えていった。
「完全に今日、服装間違えたかも。もっと厚着してくりゃよかった」
「そんなに寒いか?」
「まあ、うん」
上着のポケットに手を突っ込もうとすると、その手は礁介に取られた。
「……えっと、しょーすけ?」
「こうすれば、多少は寒さが紛れるだろう」
そう言って握られた手から礁介の体温が伝わってくる。周囲には誰もいない。自分達しかいない。そう意識した途端、これまで寒かったはずなのに、一気に体温が上がるような心地がした。家に着いてしまうのが惜しい、ずっとこうしていたいとさえ思ってしまう。
「……冬服出すの、まだいっか」
礁介には聞こえないような小さな声で呟く。
雲一つない澄んだ夜空に、星は煌々と瞬いていた。
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