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なりさ
2016-12-25 22:11:02
932文字
Public
駄文拙文
砂時計
ディアボワンライ作品
砂時計の砂はもうすぐ落ちきろうとしている。
今日で最後だ、そう長瀬は思った。
明日からは自分はこのチームにはいない。今日がキャプテンとして、そしてチームとしての最後の練習だ。
明日からはこのチームは新しいチームになる、今度はどんなチームになるのだろうか。
今日の練習の最後はそんな新チームとの練習試合になる、今までパスを授けてきた希は新チームとして試合に出る。もう希へパスを与えることもできなくなるのか、と正直寂しさと同時にどれだけしてやれただろうか、自分はどれだけやれたのだろうかと考える。
きっと何もしてやれなかったのかもしれない、と正直に思う。もっとできることはたくさんあったんじゃないだろうか。自分の実力ではあれが精一杯だったなんて悔しさが残る。
それでも、砂は落ち続けていく、もう残された時間は僅かしかなかった。
「じゃあ、最後に3年と新チームとの練習試合始めるぞ」
水戸の声が体育館に響く。
「うっす!」
部員の声が響き、3年のレギュラーと新チームのレギュラーとの10人がフロアに残された。
もちろん次期主将の希は相手側にいる。そして相手側のポイントガードには長瀬佑──長瀬の弟──が立っていた。
「長瀬対長瀬
……
か。面白そうだな」
木下がそう言ってくるが、長瀬には笑うことくらいしかできなかった。
自分よりも優れたポイントガードである佑がどう希を使っていくのか、それを見るのが怖くもあったのだ。ゴクリと生唾を飲んだ事に気がついたのか、麻上が声をかけてきた。
「悟、どうした?」
「いや、なんでもない」
「そうか、じゃあジャンプボール行くぞ」
「ああ、頼む」
ジャンプボールへ向かう麻上の背中とすでに立っていた希の姿を見る。
希はすでに試合へと意識を集中させている事に気がついた瞬間、揺れ動いていた長瀬の心が固まった。
これは希と一緒だった過去を振り返るのではなく、自分の目前へ拓かれた道に向かって歩んでいくための試合だ。
そのためにも、このただ一度だけの試合を何も考えずに楽しもう、そう心に決めた。
砂時計はもう反転し始めている。
今日で最後じゃない、今日からが始まりなのだ────。
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