siso_leonids
2017-01-05 00:05:34
1935文字
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私立明星学園生徒会の日常

私立明星学園生徒会の小ネタをぽんぽんしていきます。

【1】
「何かやることある?」
長門先輩が隣に座りそう声をかけてくれた。
「えぇっとじゃあお言葉に甘えて、そこに積んでる紙をファイリングしてもらってもいいですか?」
「おっけー!」
領収書やレシートが貼ってあるので妙に分厚い紙をまとめる彼にお礼を述べつつ自分も電卓で表の数値を確認する作業に戻る。
ばさばさという紙をまとめる音が不意に止まる。
「ねぇ」
「はい?」
「これだけやたらレシート貼ってあるけど
「あぁそれ湯飲み代です」
「えっ!?」

【2】
「ただいま戻りましたー」
「どうだった?」
先生の呼び出しの言伝を私に届けてくれた月城先輩が少し心配そうに問いかける。
「えっと湯飲み代多すぎってことだけでした」
あぁと生徒会役員のぼやきが重なる。
今月は湯飲みが割れた回数が過去最高記録を突破したのだ。
「一応気を付けてくださいっていうのと、とりあえず代替案考えますね」
「ごめんね
「いや朝比奈君大丈夫よ、割れたものは仕方ないし」
「最悪紙コップもあるし」
生徒会のメンバーが出してくれる代替案を聞きながら換気のために窓を開けると何かが私の頬をかすめる。
振り向くのと、会長の机にあった湯飲みが窓の外からの来訪者ことボールに吹っ飛ばされるのは同時だった。

【3】
「お茶いれたよー!」
朝比奈君の明るい一声で生徒会の面々がふっと顔を緩めた。
「休憩にしましょうか」
「あ、今日クッキー持ってきたんで食べてください」
頷いた月城先輩がクッキーを取り出すのを見届けてから私はキリのいいところまで終わらせるために書類整理の手を少しだけ早めた。
「霜月、その書類の確認は急ぎじゃないだろう」
会長が私の手元の書類を覗き込んだ。
「あぁ、いや、締め切り直前に書類のミスを急いで直してもらうのも悪いですし、私が早めにやらなかったことで皆さんに迷惑かかって部活の予算折衝に支障があっても困るので
「そうか」
根を詰めすぎないように、と言ってから葛先輩はクッキーとお茶を囲む輪の中に入っていった。
「うちの学園は部活多いからねー。手伝うから休憩しよ」
「そうですね」
長門先輩の言葉と笑顔に甘えて、お手伝いを頼み私も席を立った。
輪に入ると朝比奈君がクッキーを美味しそうにほおばっており、その隣にいた月城先輩がお茶を渡してくれた。お礼を言って受け取ったお茶は温かく、冷えた手をじんわりと暖めてくれる。
その温かさにほっと一息ついた時だった。
「んっ!?」
っ!!」
「おぅ!?」
「にがい
驚きの声が上がり、湯飲みを安全な場所において口元を抑える人、突っ伏す人、泣きそうな表情やなんとも言えない表情をしている人がいる。それらを見まわし、お茶に視線を戻す。ゆっくりと口を付けるとすぐにその正体がわかった。
……センブリ茶ですね」
その言葉に涙目の朝比奈君が首を傾げる。
「センブリ茶?」
「胃腸薬として有名で、最も苦いハーブと言われているもの、カフェインは入ってないですね」
そう告げたあたりで生徒会の役員たちは復活し始め顔が上がってくる。
「違う意味で目がさめたけどね
「もしかすると誰か間違ってもってきたのかもしれないな
「なんで生徒会にセンブリ茶があるのかしら
「新しいお茶缶増えてたから使ってみたらセンブリ茶だったみたいでごめんなさいー!」
「大丈夫よ、朝比奈君」
慌てて謝る朝比奈君に月城先輩が微笑みながらそういう。見渡せば周りも同じような表情で私もきっとみんなと同じような表情でいるのだろう。
「大丈夫ですよ、頭からかぶれば頭皮の血行を良くしてくれて育毛発毛効果ありますし」
「こ、これを頭からかぶるのか?」
「美容効果もありますし、健康茶なんで害はないどころかむしろ良いです」
「美容効果、あるのね
「良薬は口に苦しとはまさにこのことだな」
「言葉通りってことかぁ
「今日のお茶で生徒会の健康は促進されましたね」
「そっかーよかったぁ」
休憩時間は賑やかな雑談で過ぎ、結局、センブリ茶の葉の持ち主は誰だったのか、わからないままだった。

「なんてこともありましたねー」
「また間違えた
「でもこの味にも慣れてきたよ」
2週間に一回のペースで出てくるセンブリ茶の味に、生徒会は慣れつつあった。
「でも淹れても淹れても量減ってないんだけどどうなってるんだろー?」
朝比奈君の一言に一瞬時が止まった。
「まっさかー!」
「お茶葉ってなかなか減らないものよね」
「そうですよねー」
すぐにいつもの和やかな雰囲気に戻り、休憩のお茶会は刻々と進んでゆく。
どうやら生徒会のお茶事情にはもう一波乱ありそうだ。