水樹
2024-11-11 21:13:37
1695文字
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れっつしぇあはぴ!

ポッキーの日sgao
スグ→(←)アオ
短いです。

「アオイ、これあげる」
「ありがとう!」

 スグリから渡されたチョコレート菓子。棒状のビスケットにチョコレートがコーティングされてて、一箱に二袋入ってるの。スグリはそのうちの一袋をまるっとくれた。はんぶんこ。

「えへへ……
「アオイ?」

 あ。声に出てた。恥ずかしい。

「あ、え、えっと、えっとね」
「うん?」
「スグリとこうして、いろんなものはんぶんこ、とか、シェアできるのが、嬉しくて、つい」
…………
「す、スグリ……?」
……うん。俺も、嬉しい」
……えへへ」
「にへへ」

 それが、ついこの間のこと。

「よーキョーダイ、イイコト教えてやろっか?」
……カキツバタの言う“イイコト”が、ほんとにいいことだったためしはないって、ゼイユもタロも言ってたけど」
「ひでえ。ツバっさん泣いちゃう」
……聞くだけなら、いいよ」
「優しいねぃ、キョーダイは」

 そう言いながら懐から取り出したのは、この間スグリとはんぶんこしたお菓子の箱。

……それが、どうしたの?」
「こいつを使った、ちょっとしたゲームの話よ」
「ゲーム……?」
「耳貸してくれるか?」

 こそばゆいのを我慢して耳をかたむける。
 …………は? えっ? そ、それってどういうことなの!?

「そ、んなこと、できるわけない!!」
「えー? スグリに言えば喜んでやってくれると思うけどねぃ」

 そんなわけないでしょバカ! バカキツバタ!!
 そう叫んでその場をあとにする。
 だけどその足は、自然と購買に向かっていて。その手は、件のお菓子を買っていて。
 い、いやいやいやいや。別に、カキツバタから教えられたゲームをやるためじゃないし。ただスグリと一緒に食べたいだけだし。それで買っただけだし。他意なんてこれっぽっちもないわけだし。そう、そうだよ、こんな考えになるのは、全部。

「カキツバタのせい、だ」
「カキツバタが、何?」
「!?!? すっ……スグリ!?」
……カキツバタに、なんか、言われたの?」
「ぇあ、それは、その……
「嫌なこと?」
「ち、違う。えっと、ええっと……

 嘘をつくメリットは何もない。誤魔化したって多分ばれる。ならもうなるようになれ!

「これ、を、使った、ゲームが、あるん、だって」
……ゲーム?」
「これをね、両端から、二人で、食べるの」
「は?」
「先に、折った方が、負け」
「それ、って」
「スグリ、どう? やりたい? …………わたし、と」
「ーーーーっっっっ!?!?」

 スグリの顔がみるみる真っ赤に染まる。
 お、怒った、よね……

「や、やだよね! ごめんね、変なこと言っ」
……やる」
「へっ?」
「えっと、俺の部屋……は、だめだな。じゃあアオイの部屋……は、もっとだめかも……
「あの、スグリ? ど、どういうことか、わかってる?」
……わかってる」
「!? わ、私、と、ち、ちゅー、しちゃうかも、しれないん、だよ?」
「アオイは?」
「え」
「アオイは、俺と……キス、すんの、いや?」
「っい」

 嫌じゃ、ない。
 なんで。
 どうして。
 あわよくば、キス、できたらいいなとか、思ってるんだろう、私。
 視線がスグリの唇に向かう。
 やわらかいのかな。ちょっとかたいのかな。
 カサついてそうだな。私はどうだろう。
 そこまで。
 考えて。
 やっと、自覚した。

……私、スグリがすき、なんだ」
「っ! …………俺も、アオイが好き、だよ」
「んえっ!?」
「なら、キスしたって、いい、よな?」

 お菓子が奪われ、空いた右手をとられる。そのまますたすたと歩きだすスグリ。あ、耳、赤い。

「スグリ、どこに」
……俺の部屋」
「!?」
「頑張って、理性さ飛ばさないようにすっから。タガも羽目も、外さないようにするから」

 この箱空になるまで、ゲーム、しようか。
 そう言って照れくさそうに、でもいたずらっぽく笑うスグリが、かっこよくてかわいくて。

「ひゃい……

 情けない返事をするので、精いっぱいだった。