ベコ
2024-11-11 19:22:11
696文字
Public メモ、書きかけ
 

書きかけの話

書きかけのまま放置しててメモ帳の中で埋もれてたのでこっちに拾い上げ。
そのうち続き書けたらいいな……

いつものように原っぱに寝そべっていた。
先程からずっと腹の虫が餌をよこせとしつこく訴えかけてきているが、野草はもう食べ飽きたので知らん顔を貫いている。そうすれば虫はそのうち諦めて静かになると、短い人生の中で得た経験でわかっていた。

通りすがりの旅人が、俺の隣に腰を下ろす。
俺なんかになんの用だと睨みつけると、旅人は自分の荷物からパンを取り出し、なんでもないことのように俺に手渡した。
気づけば俺は礼を言うよりも先にパンにかじりついていた。まともな食べ物にありつける機会なんてそうそうないんだから仕方ない。
がっつく俺を嘲笑うでもなく、旅人は穏やかに微笑んでそっと去って行った。
しまった、パンの礼を言いそびれた。
それにしても、世の中にはあんな格好良い大人もいるんだな。
あの旅人がしてくれたように、俺も誰かを助けたい。腹を空かせた子どもにパンを与えるように、目の前で困っている人に手を差し伸べることができたら。
そんなささやかな夢と理想を胸に抱いた少年時代。



現実は無情だ。
握った拳の内側に、己の爪が突き刺さる。
病に倒れた幼なじみを前にして、俺はただ黙って立ち尽くすことしかできない。
彼女の病を治すには莫大な治療費が必要で、おそらくその金を稼ぐ為だろう、彼女の兄である親友はいつの間にか姿を消していた。

俺は一体どうすればいい?病を治す知識も、治療に必要な金も、もっと腕の良い医者を探し出す伝手も、俺には何もない。
たったいま目の前で大事な人たちが困っているのに、助ける手立てを俺は持っていなかった。他人に分け与えられるパンなんて、俺は最初から持っていなかったのだ。