isd81
2018-10-25 02:16:55
538文字
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人形の話




ボイジャーは肉のお人形。滅びる星の無人探査機、誰かに向けた救難信号
世界中の者が彼の帰りを待っていた
彼が素晴らしい知らせを持って帰って来ることを心から待っていた
彼らが移り住むにふさわしい星を見つけ出すと、助けを連れてやってくると

ボイジャーは白痴のお人形。自身に敵意が無いことを異星の者に示すためだ
彼には芸術と文化が満たされている
臓器の代わりに入れられた機器には星の記憶が詰まっていた
あれもこれもと読み込む内にボイジャーの心を入れる所がほとんど残ってはいなかった

ボイジャーは空想のお人形。彼の故郷でオーソドックスな宇宙人の姿を似せて出来ている
だから彼は星で独りだった
疑似科学で探査機を造るなどと鼻で笑われた
それでもぱんぱんに膨らんだ星の者達は縋るしかなかった

ボイジャーはとある星の忘れ物。
彼を産み落とした星はもうない
『この星を、世界を無かったことにしないで』
最期の通信が彼の機能を停止するまでの役目になった


ボイジャーの終わりはまだまだ先になるだろう
辿り着いた果ては、今は亡き星のひとが移り住むにふさわしく 異星の者達は友好的だった
与えられたほんの少しの心では悔恨の念は湧き起こらない
ただ新たな命令を遂行するだけ。それだけ。