かのまる
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伊剣ワンドロワンライ「冬の訪れ」

3時間くらいです。
現パロで、セイバーは性別不詳です。
相変わらず拙い作品ですが、読んでいただけたら嬉しいです。
個人的にお兄ちゃんムーブかましてるのに、ちゃんとやることやってるのがツボなのでそういう話が多いです😅
ブランケットは翌日コインランドリーに出されたかもしれません。

艶やかな黒に紫がかった三つ編みをなびかせて、セイバーはショッピングモールを闊歩する。
整った顔立ちに白色にラインの入ったパーカーを合わせ、カーゴパンツ姿のセイバーは否が応でも目を引く。
不躾な視線も慣れたものとばかりに意にも返さず、セイバーは様々な店を見て回る。
しかし、気に入った品は見つからないようで、店を出てはほっそりした顎に手を当て少し考え込む。
セイバーは伊織への誕生日プレゼントを探しに来ていたが、彼が何を欲しがるのかさっぱり想像がつかなかった。
物欲がないと言うべきか、伊織は最低限の持ち物しか持っていない。
ただセイバーには気がかりなことがあった。
伊織は口には出さないがやや寒がりらしく、まだストーブやこたつを出す程ではないこの地域では朝晩は中途半端に冷えるので、居心地が悪そうにしている。
そもそもアパートが古く、すきま風が入るのが悪いのだ。
ここならば何かしらあるだろうと入ったバラエティショップで、それはそれは「愛い」品を見つけた。半分はセイバーの趣味だが、実用性は間違いないだろう。
慣れないラッピングをそわそわとして待ちながら、伊織の驚く顔を想像すれば、こちらもつい顔が綻んでしまうのだった。


伊織の誕生日当日、セイバーが手づから料理を作り伊織に振る舞う。なかなか満足のいく出来だったようで、伊織からも「旨い」と言われセイバーは大層機嫌を良くした。
近くの洋菓子屋で買ったケーキも食べ終わり、満腹になった所で、セイバーはいそいそと押し入れに向かった。
プレゼントを背中に隠しながら、伊織の前に立つとセイバーは思わず笑みが止まらなくなる。
隠してるつもりのプレゼントは大きすぎて、伊織からはしっかりと見えていた。

「私からの誕生日プレゼントだ!さぁ、開けてみてくれ」
伊織に手渡されたそれは随分大きく、ふわふわと柔らかいものだった。
包装を開けると、ピンク地に白い子豚柄の大きなブランケットが出てくる。
「どうだ!最近家でも寒そうにしているからこれを選んだのだ。かけても良し、くるまっても良しの優れものだぞ」
セイバーが嬉しそうに胸を張った。
確かにこれほどの大きさなら、男の自分が羽織っても余裕があり、ちょっとした毛布代わりにも使えそうだ。
なかなかにファンシーな色柄だが、セイバーは色々と悩みこれを選んでくれたのだろう。
「ありがとう、大切に使うよ」
「うむ、うむ!気に入ってくれたなら何よりだ!」
にぱっと満面の笑みを浮かべるセイバーが健気で、愛おしく感じた。

今夜も安アパートはどこからか冷気が入り、ややひやりとする。
せっかく貰った物だからと、早速使ってみる事にした。
肩から羽織ると、肉厚で柔らかく起毛したフリース生地が冷気を防いでくれる。
これはなかなかに心地良い。
「イオリ!どうだ?温かいか?」
「温かいぞ」
……ふーん、本当か?私も入って確かめてみよう」
ブランケットの中に入り込むと伊織の胡座の間にすっぽりとおさまり、首だけちょこんと出している。
「おお、結構温かいものだな」
子供の様に体温の高いセイバーはまるで湯たんぽみたいで、気を抜けば眠くなりそうだった。
「ほら、こうやってくっつけばもっと温かいだろう」
セイバーが身体をそっと寄せてくる。
視線を下げると、耳がほんのり赤くなっているのがわかった。
抱き寄せるように手を腹部に回すと、熱く細い指がそっと重なる。
「まるで二人羽織みたいだな」
「むぅ、きみは全くムードもへったくれもないことを言う」
「まるで何か期待していたような口ぶりじゃないか」
「!?な、なんでいつも伊織は私の心を読むような真似をするのだ!」
ぷんぷんと頬を膨らませて怒るセイバーのほっぺたをつっつくと、もちもちと柔らかい。
ブランケットを口実にこうやって最初から甘えるつもりだったのだろう。
セイバーは肩に頭をもたれ掛けるが、場所が悪いのか身体をモゾモゾと動かしている。
密着して熱を持ったセイバーの身体が擦れ、伊織の身体もじんわりと火照ってくる。
腕に力を入れてしっかりと抱きすくめ、そのまま覆い被さる。
「あぁ、やはりセイバーは可愛いな」
セイバーの身体をブランケットで包み込むとそのままゆっくり押し倒すした。
セイバーからは、わずかに紅潮した顔の伊織と、ぎらついた濃紺の瞳が映る。
「待て!待って!イオリ、どうしてそうなるんだ?せめて寝室に……
「すまない、我慢できない」
顔を真っ赤にしたセイバーは、驚きや戸惑いの混じった複雑な表情をする。
「もう!ついさっきブランケットを大切にすると言ったではないか!!」
伊織の涼しい顔に、負けたと言わんばかりに悔しそうに目を瞑る。
「あ、ああ……っ、くっ、誕生日だから!特別だからな!ブランケットは汚すなよ」
「あと!優しくすると約束するならいい……ぞ」
「あぁ、約束する」
セイバーはまた流されてしまったと心の隅で思いつつ、熱に浮かされた頭でくちづけに応えるのだった。