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リース
2019-10-03 14:16:41
2512文字
Public
ドラゴンズドグマ
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おじさんと出会った時のお話
叢雲さん宅のラルスおじさまと、うちの覚者が出会った時のお話。
もともと叢雲さんが書いてくださったお話のうちの子視点になります。
彼と出会ったのは、掲示板でパーティーを組んだ日だ。普段ならあまり使わない掲示板だが
"たまには他の覚者様とも戦ってきたら?"とポーンのオルグに言われたため渋々やってきたのだ。相方の覚者以外であまりパーティーを組んだことがなかった俺は正直乗り気ではなかった。
ぼんやり掲示板を眺めているとちょうど目的が合いそうなパーティーの枠が空いていたため、名前を入れて合流するのを待った。
そこで集まった自分以外の三人の中で、俺が一際目を引いた覚者がいた。見た目は壮年の男性だが、覚者が大勢いるこのレスタニアでは特に珍しいというわけでもない。なのにどこか懐かしいような、根拠はまったくないのだが、そんな気がしたのだ。
他のメンバーと挨拶を交わし、最後にその覚者のもとへ歩み寄る。
「俺はリース。その、よろしく。」
「ああ
…
よろしく頼む。」
ラルスと名乗った覚者と目を合わせた際、ほんの少しだけ相手がぎこちないように見えた。俺の気のせいだとは思うが、なにか気に障ったのだろうか。
とにかく、今回は普段の戦闘とは違い他の覚者もいるのだ。さすがに自由に動きすぎて迷惑はかけないようにしようと思った。
なんとか討伐依頼を達成し、パーティーは解散することになった。俺はシーカーでひたすら攻撃に徹すればいいのだが、立ち回りも久しぶりに気を遣った気がしていつもの倍疲れた。
帰ってなにか食べようと腰をあげると背後から声をかけられた。振り向くとそこにはラルスさんが立っていた。
「折角だ。少し、酒でもどうだ?」
そう言ってきたのだ。どうして俺に?と思ったが
「ああ、うん
…
それじゃあ」
普段は他人と飲むことはないし、第一酒にあまり強くないのだが、なんとなく断る気になれなくて受けることにした。
酒場の一角にあるテーブルに座って酒と料理を選ぶ。俺はとりあえず度数の低く飲みやすい酒を頼んだ。いつも飲んでいる、お気に入りの甘めのやつだ。
さすがに見栄を張って初対面相手を前に酔い潰れるわけにはいかない。
最初は何から話していいかわからなかったが、やはり酒の力は偉大なのか、俺は初対面の相手に対して色々話していたんだと、思う。断定していないのは正直そのあたりの記憶が曖昧だったからだ。
ラルスさんはやはり人としても年齢を重ねてきたこともあるのだろう、よく話もこちらのペースに合わせてくれていた。落ち着いていて、俺の他愛のない話にもその都度返してくれる。
面倒見の良さそうな彼の人柄が伝わってきて、なんだかおっさんといた昔を思い出した。
(嗚呼
…
こういうの、長いこと感じてなかったなぁ。)
俺が最初にラルスさんを見た時に感じたものの正体がなんとなくわかった気がした。
俺はいつのまにか自分の子供の頃から現在に至るまでの話をラルスさんに話していた。こんな暗い話、今考えてみれば話されて気分がいいものではないだろう。だがラルスさんは黙って話を聞いてくれた。
今となっては昔話であり、自分の中では整理がついていると思っていたが、やはり人に話すとなると違うのだろうか。話しているうちに段々とあの時の光景が脳裏に浮かんできて胸がしめつけられた。
それでもここで変な空気にもしたくないので平静を装いながら話を続けた。ダメだ、心臓もないのになんでこんなに胸が苦しいのだろう。
自分でも声が震えているのがわかった。ラルスさんの方を見たくなくて飲みかけの酒の入った容器を見つめながら話していた。先程から顔を見れていないからさすがにラルスさんも不審に思ってるだろうか。
すると頭になにか触れる感覚がした。ラルスさんの手が俺の頭を撫でていた。俺の髪を優しく撫でるその姿がおっさんと重なった瞬間、俺の中でなにかが切れた音がした気がした。
そして耐えきれなくなって人目を気にする余裕もなくラルスさんに縋り付いていた。男の俺に縋られて嫌だったろうに、ラルスさんは嫌な素振りも見せず俺の頭を撫でていた。
あれからどんどん夜は更けていき、散々泣いた俺はすっかり酔いも醒め冷静さを取りもどしていた。
「ほ、ほんとに悪かった
…
迷惑かけて
…
それにこんな時間まで
…
」
「もともと俺が誘ったんだ、気にしなくていい。もう大丈夫なのか?」
おそらく俺が落ち着くまで背中をさすってくれていたのだろう。酒場も人が減り、残っていたのも酔って騒ぐ覚者達か商売しているファビオくらいだった。ファビオの視線がこちらにむいているように感じたが気にせずラルスさんの方を見る。
「ああ
…
その、ありがとう。おかげでなんか、スッキリした。」
さすがの俺も今回ばかりは申し訳ない気持ちと恥ずかしさでいっぱいになり思わず地面を見る。今ならマンイーターの口の中にも飛び込める自信があった。
酒で粗相をしないと決めた矢先にさっそくやらかしてしまった自分を殴りたい。
まぁ
…
今回限りだろうから面倒な奴に捕まったと思って大目に見てほしいとラルスさんに告げると意外な答えが帰ってきた。
「いや
…
リースがよければまた会ってくれないか。」
んん?俺の聞き間違いでもなければむこうも酒に酔ってるわけではなさそうだ。散々迷惑かけられた相手にこの上また会いたいというのか。
「え
…
それは全然、かまわない、けど、なんで
…
」
あまりに予想外の展開でうまく返事ができていない。たしかに、なんだかここでお別れというのも寂しいと感じている自分がいた。なぜだか、一緒にいて穏やかな気持ちになるのだ。
「そうだな
…
放っておけない、と言ったらいいのか。」
苦笑しながらそう言って、また俺の頭に手を置いた。
俺がこの人に抱いている謎の安心感は多分、おっさんと重ねているからなのだろう。その手が心地よくて、照れくさくなっても払いのけることをしなかった。
東の空が薄く白んできて、もうすぐ夜が明けることを告げていた。
遅くなるとも何も言わずにいたから、帰ったらオルグに叱られそうだ
…
。
俺はラルスさんと別れ、自室で待っているポーンからの説教を覚悟しながら帰路についた。
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