108utata
2023-07-22 19:52:56
3457文字
Public 供養
 

ポトマ太と敦の話。

太敦。
3年前の書きかけの小説。バトエンになる予定だった。結末あまり覚えていないので供養。ただ、確か支部の方であつぴを年齢操作しないで同じようなものを書いていたはずです。

「首領、帰りました。」
「おお、太宰君、予定通り出来たみたいだね、…………………………………?」
 太宰の隣には、何時もは居ない小さな物体が存在していた。
「おや、太宰君、此れは?」
「え、見たら分かりますよね、拾ってきました」
 さも当然であるかの様にさらりと云った。「面白そうなので。善いですか?首領?」
「もっと、理由らしい理由が欲しいねえ
 とはいえ、頭の良いこの太宰がこのポートマフィアに損をもたらす様な事をするとは考え難い。太宰がこういう不思議な事をする時は大体何かしら有るはずである。
「まあでも、太宰君が何かしら考えが有るなら私は許可するよ。」苦笑いで答えた。
「有り難う御座います。首領。」何か、笑みを浮かべ乍ら云った。

「でもね、其の子を先ず紹介してくれないかい?先ず首領である私が把握しておかなければ、ね。太宰君?」
「別に善いですけど取らないで下さいよ」少し警戒しながら其の子を前に押し出した、その刹那、森は、ほぅと溜息を吐いた。
 太宰が押し出した、其の子は太宰の足にしっかりとしがみ付いたままだった。だが、其の姿は確りと見えた。
 真っ白い髪。そして朝焼けの様な瞳。齢は7、8くらいだろうか。身に付けている物は薄汚れては居たものの、それに負けぬくらいの綺麗な少年だった。
「なかじま あつし です」口を開き、そう話した。
「敦君っていうんだね、私は森だ。ポートマフィアの首領をしているよ。嗚呼、そうだ、あの子を呼ぼうかエリスちゃーん」
「なによ、リンタロウあっ、その子可愛いわね!」
 突然森が目の前でエリスという名前の子を呼んだり、何処からかエリスと謂われる女の子が出てきたりした為に、突然の事で其の少年————敦は目を白黒させていたがお構いなしに2人は、
「この可愛い子はエリスちゃんでね、敦君も仲良くしてね」「………は、はい」
「へえ、その子アツシっていうのね!じゃあ遊びましょ!」「あ、え、はい
 「取り敢えず、一回落ち着いてくれませんか?」突然の事が多過ぎて目を回してきていた敦を太宰が助け船を出した。
「そうだったね敦君、済まなかったね。でも、大丈夫だろう。太宰君、敦君について、許可しよう」
「有り難う御座います、首領。ほら、敦君、」「あ、ありがとうございます!」
「アツシ、いつでも遊びに来てもいいからね!」「え、ありがとうございます!」「敬語じゃなくてもいいわよ、ね、リンタロウ?」「まあエリスちゃんが云うならば、エリスちゃんに敬語を使わなくても善いよ、敦君。」「ほら、いいじゃない!ほら」

 なんやかんやとなったが敦は太宰に拾われ、森やエリスに歓迎されながら、ポートマフィアに入る事となった。


*****

 それから3ヶ月経った。
 ポートマフィアに加入してから3か月ということでもある。
 いろんな人達に挨拶をしたり、準備に忙しかったが落ち着いてきた頃であった。
 敦は、エリスと遊んだり、太宰や森に可愛いがられたりしている毎日を過ごして居た。

 そんな或る日。
 「そうだ、敦君」と敦は呼び止められた。「?はい、何ですか?太宰さん!」なんだろうと迚もワクワクした。太宰が敦を呼ぶ時は大体何かしら面白そうな事が有るか、太宰が任務に行く事が多い。然し、敦がワクワクしたのは、今回は任務に行くわけではないなと思ったからだ。理由は別段有るわけではないが。
「敦君にね、善いものをあげようと思ってるんだけど欲しいかい?」
「いいものですか?欲しいです!」やっぱりだった。けれども太宰が今何か持って居る様子はない。全く予想出来ないなあ、と敦は思った。
 「ふふふ………なんと!敦君の部屋をあげようかと思っているんだけど如何だい?」
 敦の目がさあっと輝いた。あの、憧れの、
「自分の部屋ですか?」「然うだよ、勿論敦君の部屋だ」ニッコリと微笑む。
「欲しいです!!」「じゃあ決まりだね」「はいっ!」
「善い笑顔だね」
 敦の其の笑顔は、太宰も伝染ってしまう様な清々しい笑顔で、太宰も思わず微笑む。
 ポートマフィアに加入して色々なものを貰って敦はとても嬉しかった。でも、憧れの自分の部屋が与えられたこと、そして太宰から云って貰えたのが、今までよりもずっと嬉しかったのである。
 「只、ひとつ決まりだよ。夜は私が任務でない限り、一緒に寝ようね。急に虎になっちゃうかもしれないし、そしたら此処に居られなくなるかもしれないからね、敦君」「勿論ですよ太宰さん!だって、太宰さんと一緒だと安心しますから」「然うだね、善かった」


 
 太宰は気づいていた。
 其れはポートマフィアにひと月経った頃。満月が迚も美しかったあの夜。月光は強く、夜景が月光が反射し尚一層輝いて居た真夜中。何か起きそうだと感じた深夜。何時もの様に部屋に帰った太宰は直ぐ異変に気付いた。
 任務中に体感する殺気の様な物。己に刺さってきたのだ。敦はそんな事は全くしない。寧ろ敦本人が飛び付いて来るというのに。何か破壊された痕。破片が、少し存在する月光を跳ね飛ばす。
 太宰が目を細め暗闇を探る、と其れは視界の中明瞭に映る。
(………白虎?)
 窓から差し込む月光が艶々と白色にも銀色にも見える毛並みを映す。紛れも無く、白虎であった。人間の骨なんていとも容易く折ってしまい然うな巨体な。そして皮膚なんて容易く破りそうな鋭い爪。
(若しかして?)
 只の勘だ。然し周りをくるりと見渡してみて敦を探るが見当たらず、他の人が入った形跡も一切存在して居なかった。そしたら内部しか無い。
(敦君だとしたらあんまり似ていないねえ)
 彼方はもう此方に気付いているだろう。虎は夜目が人よりも効く。此方が気付いて居るのならば聴覚も視覚も嗅覚も優れて居る虎はとっくのとうに気付いているだろう。
(簡単に死ねそうだけど)
 異能力である事を祈ろう。此方へ虎は徐々に近づいてきて居る。
 …………………そして。

飛び掛かった。


「君では私を殺せない」


『人間失格』




 ………あの毛並みも爪もすうっと溶けて、敦へ戻っていった。




 辺りに静けさが戻る。
 太宰はじっと眠っている敦を見つめ、ひとつふたつ瞬きして、目を閉じた。









********

 雀が囀り出した頃。敦はムニャムニャと云っていたが、然し、太宰は決心していた。
 「敦君」
 「なんですか?」
 「朝っぱらから一寸真面目な話をするけど善いかい?」
 目をぱちくりとさせたが、敦は「いいですよ!」と何時もの笑顔で答える。
 「じゃあしようかな」
 太宰は昨夜のこと———敦が虎になっていて、暴れかけて居た事、そして其れは異能力の所為だという事——を包み隠さず伝える。一頻り伝え終えた後、太宰は心配になったが、敦は、そうだったんですか………、とあまり言葉には動揺の様子は無かった。が、衝撃を受けている様だとは察せた。何故なら………………目を見開きって震えて居た為だ……其れは心配に成る程に。
 「大丈夫かい?」然う震えて居る小さな背中を撫でる。「御免ね、こんな事を朝っぱらから話してしまって」 「だ太宰さん」敦は少し震えながら声を出した
 「うん」「ぼ……僕は太宰さんに怪我させてませんか
 (然うか、この子は…………………。)
 「安心し給え。私は全くの無傷だよ、敦君。擦り傷ひとつすらしていないからね、大丈夫だよ」手をひらひらさせながらにっこりと答える。敦が何一つ心配しない様に。
 「……本当ですか?」「此処で嘘をつく必要は無いでしょ?」「でも………
 太宰は敦の頭をふわりと撫でる。「ね?」
 敦はコクリと頷いた。そして
 「太宰さん」「うん」「太宰さんも異能力って有るんですか?」「勿論!」ニッコリと言う。「如何いう異能力なんですか?」敦の目は迚も輝いていた。さっきの様子が幻だった様に。コロコロ変わる其の表情を見て、太宰は笑みがいつも溢れそうになるのだ。
 「然うだね………。私の異能力は、異能力を無効化簡単に云うと、異能力が通じなくなる異能力なんだよ」「最強なんですか!」(おお、いい笑顔だ)と太宰は思う。「うーん然うかもね」目の前で敦は目を迚も輝かせた。「見てみたいです!」「見せてあげたいけど………私の異能はね,目には見えないんだ」