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三毛田
2024-11-09 12:22:27
1058文字
Public
1000字2
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06 006. 在り来たりな約束
6日目 在り来りでもいいから
「丹恒っ」
部屋に戻ろうとした背中に、声を投げかける。
「どうした」
顔だけこちらへ向け、彼は俺を見て。のどが渇いて、少し唇が張り付いている。でも、ここで勇気を出さないと。
「お、おやすみっ。また明日」
「ああ。おやすみ」
ようやく顔を合わせながら伝えられた、就寝の挨拶。
夜はわざわざ訪れる人がいないからと、資料室の鍵はかけられる。
速くなる鼓動を落ち着けるため、胸に手を当てて深呼吸。
いい夢を。と言えなかったのは、まだまだ彼との信頼度が高くないから。出会ってそんなに時間の経過していない相手からそんなことを言われたら、不快だし不愉快だろう。
スキップしたいのを我慢して、廊下を進む。
「いいことでもあった?」
突然声をかけられ、肩が跳ねる。そちらへ向くと、ラウンジには姿のなかった姫子が椅子に腰掛けていて。
「ひ、姫子かぁ
……
」
「驚いたようね。集中して歩かないと、ぶつかるわ」
「そうだよな。忠告ありがとう」
「ええ。おやすみなさい」
「おやすみ。姫子も早く寝ろよ?」
「これに目を通し終えたら寝るわ」
とは言っていたが、すぐには寝ないのだろう。大人は大変だ。
今日は思ったより眠れた時間は長かった気がする。
列車に来た当初は、〝睡眠〟という行為に慣れなくてうまく眠れない日々が続いていた。
『眠れずとも、布団に寝転がれ。それだけでも、体がだいぶ休まる。俺も、列車に乗ってしばらくは眠れなかった。そういう乗客のために、パムがブレンドティーを用意している。淹れてもらえ』
ラウンジと客室車両を行き来していた俺をみて、丹恒が告げた言葉。
彼の言う通りに数日過ごし、それでも眠れなkったので思い切ってパムに言ってみたら、本当に紅茶が出てきた。
『疲れ過ぎていても眠れん時がある。まずは、心も体もリラックスさせるのがコツじゃ』
短い手を腰に当て、とっておきのリラックスティーじゃ! と胸を張って。
そんな姿を見ながら、ゆっくり喉を潤した。
飲み干してしばらくしたら、急に瞼が重くなり。布団に倒れて目が覚めたら朝だったのは流石にびっくり。
それ以降は、体の休め方を知ったので、ちゃんと眠れるようになったけど。
「丹恒も、ちゃんと眠れるのかな」
夜中の資料室に行ったことはないので、わからない。
「明日、元気な姿を見れたらいいけど」
〝また明日〟って、ありきたりな約束をしたのだ。ちゃんと起きてきてもらわないと困る。
それがどんな感情から来ているのか、今の俺はまだ知らない。
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