三毛田
2024-11-08 21:50:38
1079文字
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05 005. 唇に指を押し当てて

5日目 現実の君の方がいい

「穹。いい子だから、我慢できるな」
 俺よりも冷たい指が、そっと頬を撫でたあと唇に押し当てられて。
 小さく首を縦に振ると、
「いい子だ」
 彼は、青碧の瞳を細めて口元に笑みを浮かべる。
 目の前にいるこの人は、本当に丹恒なのだろうか。そんな疑問が浮かび、視線だけ動かして上から下まで眺めて。
 だけど、俺にはその違いがわからない。
「きゅう」
 最近艶を持ち始めた唇が、迫ってくる。
 宇宙ステーションで目を覚ました時に、目の前に広がった光景そのもの。
 でも、何かが違う気がして胸を押す。
 押してよろめいたのは、丹恒のはずだった。
 でも、実際は俺。
「はれ?」
 床に頭を打ち付けたらしき衝撃で、目を覚ました。
「きゅう、助けてくれ……
 そんな声が聞こえてそちらを見ると、俺が落ちたからか丹恒もベッドから落ちそうになっていて。
 慌てて起き上がって、その体を支えたあとベッドへと戻す。
「ご、ごめん」
「大丈夫だ。お前こそ、頭を打ち付けたようだが大丈夫か」
「まだ痛むけど、何とか」
 打ち付けた後頭部をさすりながら、丹恒の隣に戻る。スマホで時間を確認し、まだ寝られると寝転がり。
「む?」
 ちょっと冷たい指が、唇に当てられて。それから、指が離れた直後に柔らかく、それよりも温かなものが触れ。
「もう少し寝るぞ」
「うん」
 うつらうつらしながら、毛布を引っ張り上げるので途中から俺が代わりに引っ張って揚げる。
「おやすみ」
「おやすみ、穹」
 嬉しそうな表情を浮かべ、すぐに眠りにつき。暫くそんな彼の寝顔を眺めた後、俺も眠りについた。
 どうやらあれは夢だったのだろうと、再び眠りから覚めて気づき。
 今日は珍しく――寝坊しているというわけではないものの――俺より遅い。
 体を丸め、シーツをぎゅっと握って。
「可愛いなぁ」
 思わず呟きが漏れた。それが聞こえたのか、ちょっと唸って。でも、すぐに表情は元に戻る。
「丹恒、おはよう。もう起きる時間」
「ん、ん……んー?」
 丸めていた体を開き、大きく伸びをして。
「おはよう、穹」
 眠そうな目を擦り、それから俺を見上げてくる。
「おはようのキス」
「ん」
 俺が言うとちょっとだけ唇を突き出し、キスを受け入れてくれ。
 もっと深いキスを交わし、体も重ねられたら最高だ。
 でも、今日もお互いを指名されている依頼が、いくつかある。残念ながら、お預けだ。
「じゃ、ご飯に行こうか」
「そうだな」
 もう一回伸びをして、上着を着てから部屋を出る。
 短い廊下を手を繋ぎながら歩き、またキス。