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ミズト
2014-02-24 14:05:38
1528文字
Public
ファイブレ
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P.M.13:45
ルクビショ短文
カタカタ、カタ。
キーボードを打っていたルークの指が止まり、ビショップはふと彼の方に目を遣った。
「お疲れですか、ルーク様」
声をかけると、目の前の主はうーんと頬杖をついて小さく唸った。
「
…
今日は良い天気だね」
「ええ、そうですね。ここ最近、雨続きでしたから、今日は気持ち良く晴れて
…
」
「散歩しないか」
「え?」
数分後、ルークとビショップはPOG敷地内の遊歩道をあてもなく歩いていた。
「よろしいのですか?何処か行きたい場所があるのでしたら、お車を」
「ビショップ、君はそれでも僕の側近なのかい?僕は散歩がしたいと言ったんだ」
昼下がりの日差しはやわらかく降り注ぎ、芝生が明るい緑色に輝いていた。周囲には彼ら以外の人影はなく、鳥の囀りと足音だけが響く、静かな午後だった。
「もし、お一人になりたいのでしたら、私は退かせていただきますが」
「ビショップ、君はいつも僕の後ろに立っているな」
「? ええ、そうですね」
「隣に来い」
静かな屋外で気分転換をするならば一人のほうが落ち着くのではないかと提案したものの、返ってきたのは脈絡のない命令だった。ルークの思考がわからないまま、ビショップは数歩前に出た。
「では、失礼して」
そういえば並んで歩くことなどこれまでほとんどなかったと、右斜め下のルークの白髪を見て思う。当然といえば当然だ。自分は主に従う身であり、対等な「隣」に立つことなど、基本的に許されない。
ルークが何も言わず歩き続けるので、ビショップも何も言わず隣について歩いた。ふとルークが足を止めた。「ルーク様?」と彼の名を呼ぶと。
「ビショップ。手を繋いで歩こう」
「はっ
…
!?」
予想だにしなかった提案に、従者としては些か失礼な反応を取ってしまい、ビショップは慌てて表情を整えた。対してルークの表情は少し険しく、己の失態を恥じた。
「あの、ルーク様
…
手を、ですか?」
「他に何を繋ぐの。首輪がいいなら別の時にしてくれるかい」
「いえ、あの、そういう意味ではなく」
首輪という衝撃発言にも言及したいところだが、ひとまずそれは次の機会にするとして。
「こんなことまで命令しなきゃいけないのかい」
ビショップから視線を外し、足元の小石を爪先でじゃりじゃりと玩ぶ。こんな風にルークが目を合わせないときは、本心を隠そうとしているときだ。素っ気ない軽口もその裏付けだ。
「
…
いいえ。申し訳ありません。私としたことが、ルーク様の恋人失格ですね」
「まったくだ。どうしてお前のような鈍感な男が好きなのか自分でも理解に苦しむよ」
「
…
申し訳ありません
…
」
辛辣な言葉の裏で、恋人らしく甘えさせろと要求してくるルークの左手を恭しく取る。
「そうじゃなくて、こっちにしよう」
と、言うが早いか、手を交差させ指を絡めて繋がれる。
「ルーク様
…
これは
……
」
「日本では恋人繋ぎというらしい。不満か?ビショップ」
「不満そうに見えますか」
「全然」
悪戯っぽい笑いも、いつの間にか精悍さを含んでいて、ああこのお方はどんどん高みへ登って行くのだな、と、うっとりしながら、陽に照らされた横顔を見た。
「気持ちの良い日だな、ビショップ」
「ええ、本当にいい天気ですね、ルーク様」
「いつか二人で海に行こうよ。スペインがいいな」
「プライベートでですか?」
「お前は本当に無粋だな」
そう嘆息したルークの表情は先程の険しいものではなく、しょうがない奴だと恋人の欠点さえ愛おしむそれだった。
「
…
ところでルーク様、首輪とは一体
…
」
「お前はそういう事だけ耳聡いな」
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