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THE_ENDuuu
2024-11-07 10:40:50
1209文字
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境界線と体温(灯有)
灯有短編。初めての小説故にお見苦しいかと思われます。
微かな気配に意識が浮上する。
就寝時に間接照明を使う習慣のない部屋はまだ暗く、正確な時間は定かではないが、おそらく寝入ってからそれ程時間は経っていないだろう事が分かる。
気配の正体はペタペタと足音を立てながら、己の横たわっているベッドに近づいてくる。おそらく隠れる気もないのだろうが、普段から意識せずとも気配を殺してしまうきらいのあるくせにらしくない。つい先日も、それで麗に小言を言われたと話していた所だ。
それだけ気を抜いているのか、それとも敢えてなのか。どちらにせよ、こちらが目を覚ましていることにも気付いているだろう。
「灯世、どうした」
呼ばれた主は、なにも応えずベッドに潜り込んでくる。少し肌寒くなった季節には心地の良い温もりが背中から腕を回してくる。ようやく秋らしくなった朝夕の肌寒さに、掛け布団を冬用のものにしたのはまだ記憶に新しいが、今晩は特段冷える訳でもなかった。
「寒かったか?」
「いや
……
」
想像していた通りの簡潔な返事に少しだけ気が抜ける。灯世の寝具も、自分と同じタイミングで入れ替えをしたし、元より自分より体温の高い灯世は今だに朝薄着で起きてくるくらいだ。
ただ、しっかりとした返事があったこと、その中に暗いものは感じ取れなかったことに安心する。
そっと回された腕に手を重ねると、布団で温まっていははずの自分のものよりもいくらか温かい。
「したいのか?」
「
……
いや、そういうわけじゃ」
「じゃあ、甘えたかっただけか」
「
……
有」
明け透けな問いに少しだけ焦りを見せた灯世だったが、二つ目のはどうやら図星らしい。拗ねたような声色で名前を呼ばれるが、回された腕が緩められる事はない。絡められる足も、首筋から背中にかけて感じる吐息も、先ほどの小さな抗議と矛盾していて、全てが愛おしいと思う。
十年前の灯世は、こうして寝室に潜り込んでくる事は無かった。あの頃の灯世は大人になる事を急いていて、特に俺に対しては甘えたり弱音を吐いたりしなかった。仕事から帰った我が家でも、初めて自分を抱いた時も、灯世は今よりずっと大人びていて、どうしようもなく子供だった。今になっては思春期故の背伸びだったのだと思えるが、あの頃の俺は信頼を損ねたかもしれないと、それこそ灯世以上に躍起になっていたきがする。
(
……
俺も子供だったのかもな)
子供では居られないと思っていた。現に子供で居ることが許されない環境だった。それでも、大人と呼ぶには未熟でアンバランスな自分達が、下手くそな大人を演じてこれたのは、舞台に立っていたのが一人じゃなかったから。これは自分のエゴだが、灯世もそう思っていたらいいと思う。
「
……
灯世」
熱いくらいの体温を背に名前を呼ぶ。特別で、愛おしくて、美しい名前。
「しようか、セックス」
動揺したような息遣いを確かに感じて、クスリと笑みが漏れた。
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