バディファニ以前に書こうとしていた恋バナしてる二人のSS。
まだ遥ちゃんがこはねちゃんに、杏ちゃんがみのりちゃんと出会ってない頃
遥ちゃんが恋してる事を話したらどんなやり取りするのかなと
見たくて書いてたら
……バディファニで前提全部吹き飛んでボツりました、わはは。
何かの際に再利用する事あるかなーって思って取ってたんですけど、特に機会なさそうなので置いておきます。
出来ている箇所だけの掲載です、ご了承ください。
恋バナしてる二人見たいのでこれ見て私が見せてやんよ!って方がいたら見せてください(懇願)
作中のみのりちゃん気絶のくだりはセカイの4コマネタです↓
☆ ☆ ☆ ☆
「好きな人が、できたんだ」
「
……」
私がぽつりとそう漏らせば、先程まで饒舌に遠慮無い物言いをしていた友人は、腰掛けているブランコを揺らすのを止めぽかんと口を開けたまま黙ってしまった。
長年付き合いがあっても中々見れない光景を楽しみたいと言う気持ちと、この友人が次に出す答えはどんなものなのかとても興味があったのでこのまま私も黙って様子を見る事にする。
目を明後日の方に向けながら髪をかき上げて考える素振りを見せた後、友人
――こと、白石杏は首を傾げて言った。
「あれ
……? たしかさ、アイドルって恋愛禁止ってやつじゃなかったっけ?」
「そうだよ」
アイドル事情には疎いだろう杏がそこによく気づいたなと思いながらすぐさま肯定すれば、杏は眉を寄せて私を信じられないようなものを見る目で見つめてくる。
表情だけで“何言ってんの?”と言う意思がはっきり伝わってきて面白いな。
でもそれもそうか。今日はたまたま練習帰りに遭遇した杏と、ジュースを買って公園で何でも無い事を話して笑ってばかりだったのに。
またアイドルとして活動を始めた私が、急にアイドルとして禁止されてる事を表明してくればそんな顔にもなるよね。
さて、杏はどう答えるかな? じっと杏を見るだけの私に、杏は怪訝な顔のまま手に持っていた缶コーヒーを一口あおって口を開いた。
「ふぅん
……。固すぎってぐらいのド真面目な遥がかぁ。あはは、やるじゃん」
「何その感想」
ようやく杏の中で何かが腑に落ちたのか、けど彼女らしい雑な言い回しに苦笑すると杏は笑って返してくる。
「だってさ、遥楽しそうだし」
「
……え?」
それは全く予想外の返答で、今度は私の方がぽかんと口を開けて呆けている間にも言葉を続ける杏。
「あれ、無意識? さっき言ってた時楽しそうって言うか、やってやるって言うか
……そうだなぁ。バスケの試合ですっごい点差あるのに、一人だけ勝つ事を諦めないで、ってかむしろ状況楽しんでるんじゃない? って時の遥みたい」
「何それ、私そんな顔してたの? でも大体、そう言う時諦めないの私だけじゃなくて杏もでしょう?
……あ」
「遥?」
そこまで言った所で気づいた。何故杏にあんな事を言ったのかを。
性格は正反対と言ってもいいぐらいの私と杏だけど、負けん気が強くて窮地を自分が成長するチャンスに変えてやろうとさえする根っこの部分は似てるって思ってる。
だから私が今から向き合わないといけない環境を、相手を、そして何より想いを。杏なら呆れても馬鹿にせずに受け止めてくれて、そして
……。
「そっか。さっきのは私の決意表明だったのかも」
「え? ちょっと、私にも分かるように話してよ」
「ふふ、ごめんごめん。杏に今の私の状況を聞いて貰う事で、自分を鼓舞してこれから頑張ろうと思ったのかなって」
「そこ、普通は相談じゃない? 聞くだけで良いんだ?」
「聞いてくれるだけで十分だよ。こればかりは
……私だけしか答えを出せない道だから。ありがとう、杏」
小さな頃から変わらない関係。私がアイドルになっても、有名になっても
……アイドルを辞めても。
そっか、って決まった最初の一言。気遣ってない訳じゃない、心配してない訳じゃない。
それでも他の人みたいに態度を変えたり、私と親しいのだと風潮したり、推測による噂話を流したりもしない。
『だって遥が決めた事なんでしょ?』
そう桐谷遥一個人として受け入れてくれる、いつ会っても話しても変わらない幼なじみ。
さっき話していた時に実感した私は、杏にこれからまた新しく
――茨の道とさえ思える事へ挑もうとする事を。今回は歩き始める前に
……ううん、歩き始めるきっかけが欲しかったんだね。
杏に自分の今を受け入れて貰う事で。
そして実際、杏は驚いた反応を見せたものの、いつもの彼女であってくれる。
「ありがとうって言われてもなぁ。私、急に言われて急に感謝されちゃって訳分かんないんですけど」
「あはは。本当、無茶苦茶だね」
「遥ってばしっかりしすぎてるからさ、いっつも悩みは大体事後報告じゃん? 今回こそ何か力になれると思ったのに、期待外れなんですけどー」
大げさに唇を尖らせる杏は申し訳ないけど子供っぽい仕草がおかしくて、笑いながら返した。
「ごめんってば。でも恋愛相談なんてされても、杏だって困るでしょ?」
「お、喧嘩売ってる?」
まだ拗ねてるのか杏が眉を上げてじっとりこちらを見つめてくるのを見て、こう言う所本当に変わらないなって再度思う。
「一般論だよ。友人関係とかの話ならともかく、恋愛は当事者の問題なんだしそもそもアドバイスのしようがないんじゃないかな」
「うわ出たよ、遥のド正論。まあごもっともだけど。って言うかさ、遥的に問題ってどこ
……ってここから先聞いていいやつ?」
「話し始めたのは私なんだから、遠慮無く何でも言って良いよ。その方が私も気持ちの整理ができて気が楽になりそうで助かると思う」
そもそも無意識に言葉に漏らしたのも、自分でも気づかない内に煮詰まっていた証拠かもしれない。
今みたいに人の境界線
――踏み込んでほしくない領域へのボーダーライン
――に敏感な杏が相談に乗ってくれるつもりだったなら、この際頼らせて貰おうかな。
そんな風に思っている内に杏が先に口を開いた。
「そっか、じゃあ遠慮無く。えっと、遥にとって問題ってそうあるのかなーって疑問に思ったんだよね。アイドルのマナー? モラル? 的なやつはまあ一旦置いといてさ。遥の好きな人がどんな人か分かんないけど、遥から告られて断るヤツなんているの?」
再度腰掛けるブランコを前後に揺らし始めた杏の言葉に、それだけの評価を貰うのはありがたくても流石に言い過ぎだと思い眉を下げて言う。
「いや、それは買いかぶりすぎだから
……」
「ふーん、じゃあ遥の好きな人は遥からの告白断りそうな感じなんだ?」
「それ、は
…………」
どう、だろう。私の心を離さない“あの子”の事を思い浮かべ考えていく。
元々私を、“アイドル桐谷遥”を慕って、憧れてアイドルと言う夢を何年も追いかけ続けてきたあの子。
知り合った当初こそぎこちなさもあったけど、最近は
……ああ、時々まだちょっとした事でファンとしての顔を出したり、挙動不審になられる時もあるかな。
それでも今ではアイドルの仲間として一緒に並んで活動して、友人としても良好な関係を築けている、はず。
私が好きだと、友人では無い好意を口にして伝えたなら
……。
私の脳裏に真っ先に浮かんだ彼女の姿に、気づけばぽつりと呟いていた。
「
…………まず真に受けて貰えないかも」
「は? それって遥の言う事、普段から真面目に受け止めないヤツって事?」
私の言い方が悪かったのか、攻撃的な声色になる杏に首を横に振ってから否定して言葉を続ける。
「ああ、違う違う。そうじゃなくて
……むしろ私の事をずっと前からアイドルとして知ってくれてて、尊敬もしてくれてるファンだったんだけど。今では友人としていて
……でも
……」
「でも?」
「その、憧れの色がいまだに強くて
……。ちょっと前にその子の誕生日があったの。どうしても特別な、一番喜んで貰えるお祝いがしたくてメンバーの皆に協力して貰ってその、ちょっとしたバースデーライブみたいな事をしたんだ」
「えっ、遥がそんな事したの!? えー
……遥って仕事とプライベート混ぜるのヤなタイプじゃん。よっぽど特別なんだねその子。それから、何かあったの?」
「あー
……」
杏に言われて、確かに今までの自分ではしない事をしていたのだと思うと少し恥ずかしいな。ただ、私が言い淀んだのはそこじゃなくて
……。
「
……気絶、しちゃって」
「
…………は?」
ああやっぱり、そう言う反応になっちゃうよね。でも最後まで説明しないとその子
――みのりの名誉に関わるので、もう言ってしまう事にする。
「ライブの最中から呆けてるって言うか、ちょっと現実って飲み込めてないんじゃ無いかなぁって様子だったんだけど。私がおめでとうって伝えたら、身体がくたってなっちゃって
……」
「
……っ
……」
そこまで口にした所で、杏は前屈みになってぷるぷると身体を震わせ何かを必死で堪えているようだった。
いや、何かなんて分かりきってるし、普段ならすぐ堪えずにそうする杏が私の想い人だからと気を遣ってくれているのがより恥ずかしさを増させる。
みのりごめんね、と心の中で謝りながら杏に言った。
「いいよ杏。馬鹿にしてるとか思わないし、実際面白い話だから遠慮せずに笑って」
「くっ
……! あははははっ! ははっ、はぁーっ
……!」
私のいつになく小さな声もまた杏のツボを刺激したのか、杏はブランコの鎖をガシャガシャとさせてしばらく声を出して笑い続ける。
やっぱり、普通の反応ではないんだなと言う事が実感できて喜ぶべきなのか私が悩んでいた間に、ようやく落ち着いたらしい杏が目尻に浮かんだ涙を指で拭いながら言った。
「あー
……申し訳ないけど、すっごく面白かった! いや、最高の相手じゃん。遥の事大好きすぎるんだから、告白すれば
……ってそれこそまた気絶するから駄目って事?」
「そう、とは合ってるような、違うような
……。真に受けられないかもってのは、要するに私の本心の想いじゃなくて、ファンサ
……アイドル桐谷遥を好きでいてくれるその子への、サービスの言葉として受け止められるかもしれないって話なんだ」
アイドルとして好きでいてくれるからこその悩み。
みのりの純粋な所、真摯な所、今までの付き合いで勿論知っているつもり。
↑冒頭書けている所ここまで
↓以下、プロットで書いていた会話。断片的です。
「私なら
……恋人になれるんだったら、立場でも何でも利用してなっちゃうな」
「え?」
意外な言葉に驚き目を見開くと、杏は苦笑して言う。
「だって、好きだから。好きって気持ちが、友情のものでも憧れのものでも。どこからが恋の好きってなるのか分かんないって迷われたら、じゃあ恋人から始めよって。恋人になる事がきっかけになれるなら、相手の曖昧な気持ち利用してでもなって、後は自分の努力で何とかしようってする」
「遥さぁ。
……これ、言われて嫌だったら怒って貰っていいんだけど」
「え? 杏、何言って
……」
「遥の好きな人ってさ、女子?」
「!」
「うーん
……遥ならいっか」
「杏?」
「私さ、付き合ってる人いるんだよね」
「
…………えっ?」
それは思いもよらぬ言葉で、そして。
「相手、それこそ同い年の女の子でさ。ちょっと前から付き合い始めて
……って、遥。口開いたままなの珍し。面白い顔になってるよ。ってまあ、そりゃあ困惑もするか」
「ごめん杏。私のせいで言わせちゃったね」
「あーもうこれだから真面目ちゃんなんだからなぁ。私が好きで言ったんだからいーの。
……相手にも後で言った事きちんと謝っとくし」
「怒られない?」
「んー
……多分怒んない。私が言いたかったんでしょってやさしく許してくれるの、目に見えちゃう」
目を細めてきっと恋人を思い浮かべている杏の表情はとても穏やかで優しいもので。
「じゃあ、さっきまでの話は杏の体験談なんだ?」
「あー
……っと、それはちょっと、ノーコメント」
「ふふ、了解」
「遥、その分かってるって顔止めてよね」
「杏、それこそこれは怒っても良いんだけど」
「え?」
「杏のお付き合いしてる人、もしかして一緒に歌ってるチームの子?」
「!? 何で
……?」
「前に杏が相棒の子の事を守ろうと思ってたって相談してきた事あったでしょ。それで解決したって事も連絡してくれたけど。杏が何年も探し求めてた相棒って存在がようやく出来て。そんな杏に恋人だなんて、相棒を上回る存在がこんな短期間で出来るものかなって思ったの」
「うわ、遥鋭すぎ
……。アイドルじゃなくて探偵みたいじゃん」
「ふふ、じゃあもしアイドルを引退したら探偵業でも始めようかな」
ん、と杏が拳を突き出してきて。一瞬呆気に取られた私は、ふっと微笑んでから同じように拳を杏に向けてこつんと突き合わせた。
☆ ☆ ☆ ☆
以上です。
結構気に入ってたので、今後どうにか出来た時はどうにかするかもしれません。
でも難しそうかな
……。
お話の書き方は色々あるんですけど、ウェブにあげようと思ってるものについては
大体こんな感じで冒頭からばーっと書いていって、合間に思いついた会話や展開をメモしつつ進めたりしています。
この時期は特にイベストでの横の繋がりが増えてる頃で、構想していたお話が間に合わないのあるあるでしたね。
と言う懐かしむお話でした。
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