ちゃび
2024-11-06 02:10:16
2013文字
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【BL】彼の選択について

◆ベルトラン視点
BLでDomSubユニバースパロです(特殊設定で、Domって方の人がSubって方の人に命令して満たされるしSubはいう事聞いて褒めてもらって嬉しいねっていう体質の世界観)
DomベルトランSubフワフワ
※サブスペース→Subが幸せ過ぎてなんかいい感じの状態になるやつ

普段気を張っている反動なのか、オミローはサブスペースに入りやすいようだ、とベルトランは感じていた。

別の相手にはそうでもないと言うので、自分にだけ、ということになるのは素直に嬉しいが、責任は重大である。
というのも、浅いところならば簡単なやりとりができるが、今のように深いところに入っている場合、意思疎通はコマンドでしかできない。
その上、他の言葉が届かない分、こちらが意図するよりもコマンドが強く響いてしまう。軽率な命令は一転して彼を大きく傷つける可能性があるということだ。

抵抗する術を持たない様子は、最早、服従と言えるのではないか。
あらゆる期待をかけられながら人々の望む英雄として振舞ってきた人にとって、意識の外でまで他人の言いなりになるということは不幸なことではないか。
食事や睡眠と同じようにこれがSubの本能であるし、正気に戻った後の本人も嫌がらない。そんな心配をしているベルトランとて、オミローが全てをこちらへ委ねる姿を見て喜びや高揚を感じているのだから、そういう風にできているのだ。
本人が嫌がっていないのにも関わらず、Domのエゴで距離を置き、悲劇が起きたという例もある。
彼がこれを肯定しているうちは、少しでも安らぎを感じてくれたらと願うばかりであったが、しかし──。



「──と、気になっていて。性も、立場も抜きにして、本当はこうありたい、という不満はありませんか」

元々、出会った頃からオミローはあまり自身のことを話す性分ではない。だが、あの亡命の──暁の盟主に希望を託されたという事件の頃からは徹底して、疲れや悲しみが顔に滲んではいても言葉にはしなくなった。
その彼が、終末からこの星を救うという大仕事ののちに、ベルトランに対し「今までの旅の全てを話したい」と願ったのだという。
つまりは、抱いて燻る感情を話すと前に進めなくなると思っていたという彼に、全てを言葉にしてもよいと思える時が来たのなら、こちらも彼の幸福についての不安を明らかにしなければならぬと考え、さきの問いへと至ったのだった。

問いを受けた当のオミローはパチパチと数回瞬きをして、
「不満なんかあるわけないよ」
と驚きの混じる声で言った。
多かれ少なかれ複雑な思いを持っているのではと考えていただけに、彼が驚いていることに面食らったベルトランがなお問いを重ねると、伝える言葉を選ぶように瞳を地面へと泳がしながら、オミローはポツリ、ポツリと話し始めた。

「君も知ってると思うけど、俺は自分で選ぶのが苦手でしょ。今はもう、慣れたけど、苦手なものは苦手だよ」
かつて言われるがまま西へ東へ依頼をこなしていた姿が懐かしく目に浮かび、相槌をうつ。
「それでも、選ばなきゃでしょ。俺は英雄だから、選んで、それをやらなきゃ」
話し下手のオミローの短く、簡単な言葉一節、一節に揺るぎない決意が宿っていることをベルトランは知っている。

そうだ。彼は自分の生き方を知る前に、英雄としての生き方を選んでしまったが、エオルゼアの英雄と名が知れた頃はおろか、彼の世界がグリダニア一国であったその時から、一国民として救われていた身として、自分にそれを咎める資格はない。それならせめて、彼の選択の全てを受け入れよう、暁の血盟や世界が彼を尖めても、それを許す最後の砦でいようと誓ったのだ。だからこそ、彼に選ぶ手段を放棄させることの罪深さについて、真意を問わずにはいられなかった。だから──。

「だから、サブスペースの時に何も選ばなくていいのが嬉しい」
「え?」
「何をいいと思ってるのかって、考えてみたんだよ。正直その時って、思い出せないくらい何も考えられないんだけど。でも、君の命令は聞こえてきてさ、その命令にさえ従えば、絶対に何も間違えないでいられるんだって、分かるのが、安心する……

地面に目を落としたまま、「選ぶことは怖いから」と言葉を繋げたオミローが、窺うようにベルトランを覗く。
「君が嫌じゃないんなら……

全てに抗わず命令されるがままのあの時間が、既に彼にとって砦となっていたのだ。
考えてみると、オミローの恐怖は常に「選択を間違えること」にあり、「選択を求められないこと」が平穏に繋がるというのは全く理にかなっている。

「嫌なわけありますか。貴方がそうしたいのなら、私が責任もって支えましょう」

安堵の顔を滲ませたオミローを見て、ベルトランもまたつかえがとれた心地だと感じていた。
自分が感じていた不安の中身は、彼そのものを左右しかねない選択への不安だったのか、と実感してみると、これでは英雄の抱く荷の重さというものは如何ほどのものかと思いを巡らせる。
あのひと時が彼の心を逃す場になるのなら、安心して全てを傾けられるよう、より勉強しなければな。
密かに決意を新たにして、ベルトランはオミローへと手を伸ばした。