2024-06-30 09:26:02
1778文字
Public 龍如
 

柔らかいのと硬いの(ハンイチ♀)

※🌸後天性女体化。あきらさんの呟きでテンションが上がってしまい、勢いのまま書いたもの。🍞の身体を意識してムラムラする🌸の話。何でも許せる人向け。

「ん?あれこっちだったか?」
首を傾げて目的地とは真逆の方向を指差す恋人を見下ろしながらハンは苦笑いを浮かべる。
「いえ、そちらは逆方向ですよ」
「へへっ、悪ぃ。神室町も久しぶりに来ると迷っちまうもんだな」
照れ笑いしながら後頭部を掻き、春日は訂正された方向へ大股で進む。言動はいつもと何ら変わりない。変わったのは身体の性別だけだ。
数日前、絡んできた悪漢から妙な注射を打たれた春日は女性の身体になってしまった。本来なら有り得ないことが起きているにも関わらず、当の本人は気にも留めていない。そのうち戻れるだろ、と楽観的に言い放ち、かねてより予定していた神室町でのデートも履行する事にした。
初めこそ春日の体調を何かと気に掛けていたハンだったが、心配とは裏腹に余りにも普段通りに過ごしているので止めた。自分より小柄で、豊かな胸を揺らす恋人の姿にはまだ慣れないが、変化前と変わらぬ振る舞いはハンの心中を落ち着かせてくれた。
「折角ですし、腕でも組みますか?」
「馬鹿、んな恥ずかしい事やらねぇよ!」
神室町ならコミジュルの監視も無い。ハンとしては本気だったのだが、春日は冗談だと受け取ったのか笑いながら拒否する。照れ隠しに少し前を行く恋人を眺めていたハンはその先に見覚えのある顔を見付けて眉をひそめた。
丁度、こちらに歩いて来る六人の男たち。彼らは神室町を拠点としながら、近頃異人町にまで活動範囲を広げている半グレのメンバーだった。監視モニターに映っているのを何度も見かけた事がある。直接、因縁を付けられた事は無いが、用心するに越したことはない。
春日さん、こちらへ」
「え?」
ハンは咄嗟に恋人の腕を掴んで狭い路地裏へ入り込む。コンクリートの壁に春日を押し付けると、夜の暗がりに同化させるよう身体を密着させて黒いコートで覆い隠した。
息を潜めて喧騒が遠ざかるのを待つハンとは対照的に、春日の心音は喧しく鳴り響く。柔らかな女性の身体と化してしまった所為か、恋人の鍛え上げられた身体が気になって仕方ない。コート越しでも分かる程の硬さと厚みがある筋肉を押し付けられると、改めて恋人が男なのだと意識させられてしまう。ハンから告白された時には、性別の事など気にもならなかったというのに。
下腹部が疼き、穿いているショーツがじわじわと濡れる。呼吸する度に鼻腔をくすぐるハンの匂いが媚薬のように感じた。このまま抱きついて身体を擦り付けたい。いや、それだけでは足りない。邪魔な服を脱ぎ捨てて触りたいし、触られたい。淫らな欲望が込み上げ、春日は熱の籠った息を吐いた。
実力を過信しているような声の大きい男たちが遠ざかっていく。同時にハンの身体が自分から離れていき、春日は名残惜しそうに恋人を見上げた。
「行ったようですね……って、」
周囲の警戒に気を回していたハンは春日と向き合い言葉を失った。赤く色付いた頬、浅い呼吸、快楽を欲する蕩けた視線。まるでセックスの最中に見せるような恋人の表情に、ハンは涼しげな表情を保てず赤面する。
「何て顔してるんですかっ!」
だ、だってよぉ
小声で叱るハンに、春日は歯切れ悪く言い訳しながらモジモジと内腿同士を擦り合わせた。先程までの粗暴な振る舞いなど一切感じられない表情と仕草に、ハンの下半身には熱が溜まっていく。そういえば春日の身体に変化が起きてから一度も性行為をしていないな、と余計な事を思い出す。
普段は抱き締めれば子供のように無邪気な笑顔を見せるくせに、今日はどういう風の吹き回しだろうか。厄介者たちを撒けた今、早々に路地裏から立ち去りたいが、発情したメスの顔になってしまった恋人を他者に見られたくない。ハンは思案した上で、顔を隠すように脱いだ上着を春日に被せた。
あ、ッ」
コートを脱いだ所為で露になったハンの上体に春日の目は釘付けになる。肌にぴったりと張り付くインナーは動きやすさを重視しての事だろうが、筋肉の凹凸を明瞭にしていて春日の劣情を更に煽った。艶のある声にハンは生唾を飲み込むと恋人の耳元に口を寄せる。
「目的地は──変更、しますね」
期待に満ちた目で頷くと、春日は縋り付くように自分の腕をハンの腕へと絡める。柔らかい乳房を押し付け誘惑する恋人に耐えながら、ハンはホテル街へと足を進めた。