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香
2019-05-05 12:32:49
1893文字
Public
DMC
バジダン+Vダン
※寝ている5Dと兄貴たちの話。5VとVが共存しています。何でも許せる人向け。
陽が頂点に登る頃、便利屋デビルメイクライは静寂に包まれていた。最もこのスラム街では昼間よりも夜間の方が騒がしいのが常なのだが。
事務所の主であるダンテはソファで左隣に座るバージルの肩に頭を預けて眠っていた。ダンテは夢見が悪い。暇だということも一因ではあるが、依頼の電話がまず鳴らない昼間はそんな理由から惰眠を貪っていることが殆どだった。弟に肩を貸しているバージルはと言うと、右肩の重みなど気にもせずに何処かから調達してきた魔導書を淡々と読んでいた。
一方、ダンテの右隣に座るVは退屈なのか、眠るダンテの髪を悪戯に手で梳いている。絡み合っていると思われた髪は銀糸のようにさらさらとVの長い指を通り抜けていく。何度もそれを繰り返し、時折頭を撫でたり頬を指でつついたりしてみるが、ダンテは不定期に身動ぎするだけで覚醒には至らない。
「
…
楽しいか?」
Vの行動にバージルは書籍から目を離さずに問い掛ける。
元はと言えばVもバージル自身なのだが、不可思議な分離をしてしまっている今、両者の思考は共有し得ないものとなっていた。仮に共有されていたとしても、バージルの潜在意識とも言えるVの言動には素直に共感出来ないだろう。
「ああ」
Vもまたダンテから目を離さずに返答する。問い掛けた本人はその答えに対してさして反応せずに書籍の頁を捲った。
二人の会話の後、また事務所内は静寂に包まれる。
静寂を破ったのは一人の来訪者だった。バージルはまだ三分の一程度しか読み進めていない魔導書から視線だけを来訪者に向ける。
訪れたのはモリソンだった。部外者が見れば殺気をも感じるほどの視線にも動じることなくモリソンはその軽口を叩いた。
「これはこれは
…
仲の良いことだな」
ダンテとその両サイドに座る彼の兄とその片割れだという存在を見て「これじゃソファが可哀想だな」と男性三人分の重みを受け止めるソファに同情してみせる。
「何の用だ」
「依頼だ。そこの眠れる狩人に」
何でも街外れの寂れた教会に夜な夜な悪魔が現れると、そしてその目撃者は日に日に増え、遂には被害者まで出ていると言う話で、依頼の内容は勿論その悪魔の討伐だった。
「ただ少々遠出になるんでね。だから早めに伝えに来たんだが
…
」
ダンテの様子を見るモリソンの目に戸惑いの色がちらついたのは恐らくダンテが起きないからだろう。頻繁に眠っている奴だが、今までなら人が来れば誰であろうが目を醒ましていた。──だと言うのに、余程彼等の傍は安心出来るのだろうか。
「起きなさそうだな」
どうする?とモリソンが言葉にする前にバージルは魔導書を閉じた。音がしない様、静かに閉じたのは隣で眠る弟への配慮だろう。
察したVがダンテの頭を支えながら両腕で抱き寄せ、自らの左肩に頭が乗るようにゆっくりと倒した。丁度、先程バージルがダンテにしていたのと同じような光景になる。
肩が軽くなったバージルは読んでいた書籍をVの膝に投げ捨て、ソファに立て掛けていた閻魔刀を素早く手に取る。そして、モリソンから半ば奪うように依頼状を受け取った。
「
…
今日中には戻る」
ダンテ達の方に振り返り、それだけ告げるとバージルの足音は遠ざかっていった。
未だに眠り続けるダンテに対してモリソンは呆れたような笑みを浮かべると帽子を被り直す。
「そいつが起きた後のフォローは頼むぜ」
Vは分かっている、とだけ返し、バージルの残した魔導書を開き始めた。なら良い、とモリソンも一言呟くと事務所を後にした。
「ん
…
」
Vが十数頁程、魔導書を読み進めた頃、ダンテが今までで一番大きく動く。長い銀色の睫毛に飾られた瞼がゆっくりと開き、その目はぼんやりとしたままVの方を見る。
「バージル
…
?」
虚ろな目のまま、眠る前に肩を借りた兄の名を口にする。
「違う」
半分くらい間違いではないのだが、Vは即答していた。その声に完全に覚醒したのか、ダンテの虚ろだった目にハッキリとVの姿が映る。
ダンテは体を起こすと手を組み上に思い切り伸びをする。しながら視線は事務所内を見回し兄の姿を探していた。止めていた息を吐き出すのと同時に組んでいた手を離し、問い掛けようとしたところでVが答えを返す。
「バージルなら少し前に出掛けた」
「ふーん、そうか」
依頼で、ということを敢えて伏せたのは、もう少しダンテを独占していたい気持ちの現れだろう。正直に言えばダンテはバージルについて行ってしまうような気がした。
そんなVの返答にダンテはさして気にする様子もなく、またVの肩に頭を乗せる。今度は寝るためではなく魔導書を覗き込むために。
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