2018-11-23 07:46:33
918文字
Public ☆矢
 

氷河×星矢

※ハロウィンの話。何でも許せる人向け。

ったく、やり過ぎだろ」
ウェットティッシュに似たメイク落としをパックから引き出し、星矢の顔を丁寧に拭いていく。今、星矢の顔は酷い有り様だ。いつもの血色の良い肌は青白く、目元は隈のつもりか黒くなっていた。目を閉じて大人しく顔を拭かれている様子は見ようによってはキスを待っているようにも見えるが、口の周りにべっとりと付いた血糊のせいでとてもそんな気分にはなれなかった。
「結構リアルだろ?」
我流のゾンビメイクで無邪気に笑う星矢に思わずため息が出る。ああ、リアルだ。少なくとも可愛い星矢が可愛く見えないくらいには。
「何でゾンビなんだ
「だって、このくらいしないと黄金聖闘士たちが驚いてくれないだろうし」
アテナであると同時にお年頃の娘である沙織お嬢様はイベント事が好きだ。その為、ハロウィンになると黄金聖闘士たちにお菓子を用意するよう言っているらしい。そこを仮装した俺たち青銅が十二宮を巡っていく。
去年の仮装はアテナが選んでくれたのだが、星矢に、と用意されたそれは狼と言うより犬の着ぐるみだった。当然可愛かったのだが新たな宮に着く度に「可愛い」と言われたのが余程気に入らなかったのだろう。「来年みてろよ!!」と黄金聖闘士たちに言ってはいたが、こんなメイクをするとは思ってもいなかった。
黄金聖闘士はこんな仮装に驚いたりしないと思うぜ」
なかなか落ちない目元のメイクに手を焼きなからポツリと呟くと星矢が薄目を開けて聞き返す。
なんで?」
「ゾンビなんて元々西洋のものだし、そもそも黄金だぞ?ちょっとやそっとで驚かねぇよ」
また目を閉じた星矢は、じゃあどうしろと、とでも言いたげにムッとしていた。
正直言うとこの可愛くない仮装をやめてほしいが故の説得なのだが、このくらいで彼らが驚くと思えないのも事実だった。
あぁ、でも、と付け加える。
「西洋の人たちってジャパニーズホラーが苦手な人、多いらしいぜ」
「ホント!?」
顔半分くらいメイクが落ちた星矢が途端に目を輝かせる。
「だからそっちの方が良いんじゃないか?」
「サンキュー氷河! そうするぜ!!」
説得が上手くいったことに安堵しつつ、新たなシートを取り出した。