わらびもち
2024-11-04 18:14:37
1718文字
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ベルナデッタの過去話

同じ空には昇れない げんみ×
自探索者(HO月)の過去

「やあ、また会ったね吸血鬼さん。」
「あ?」

少し欠けた月のおかげで普段より幾分か明るい、そんな夜だった。金色の髪をさらりと風になびかせながら、男は知己に会ったかのように顔を綻ばせた。

「誰だお前?」
「俺はルフス。3日前、君に助けてもらったんだ。」
「3日前ぇ?」

言われて記憶の糸を手繰り寄せる。あの日は確か、中々骨のあるハンターと遊んで深手を負ったんだ。傷を治すために適当にその辺で人間の血を吸ったのは覚えている。
特に顔も見ずに噛み付いて……殺してはいない、別に向かってきた訳でもないし、食料をわざわざ減らす理由もない。そうだ、その時軽い金属が地面にぶつかるような音がして、横目で見ればそれは鋭利なナイフだった。

そういえば傍に他の人間もいた気がする。別に見られたからどうということではない、ハンターと戦うのは好きだし、姿を隠すつもりはないので目撃者がいても気にしていなかった。

「あー、思い出したぜ。お前あん時の腰抜かしてた人間か。……で、何?復讐かなんか?あん時の奴なら死んでねえはずだけど。」
「復讐なんてとんでもない!お礼を言いに来たんだ。君がいなければ俺はあの男に殺されていた。」
「あー、あいつ同族殺しだったのか。そういや人間ではそんなに珍しくないんだってな。」
「いや珍しいよ……。」
「あれ、違った?まいいや。でえ?助かった命を、わざわざ吸血鬼探しに使って。怖くねーの?」
「命の恩人を怖がるなんて!」

男─ルフスは多少大袈裟にリアクションをとる。自分に敵意がないことを表情や仕草で伝えてくる。凡そ人間にされたことのない対応に吸血鬼─ベルナデッタは少しの戸惑いを見せる。

「俺はね、君と友達になりたいんだ!」
「ともだちぃ?」

今度こそ戸惑いを隠せない。自分は男からすれば血を吸い生きる化け物のはずだ。いくら助けられたとはいえたまたまだ、普通なら二度と会いたくないと震えて眠るものじゃないのか。

「吸血鬼さん、君の名前を教えてくれないか?」
「べ、ベルナデッタ……
「ベルナデッタ、ベルナデッタ……。よし、覚えた。」

しまった、圧しに負けてつい教えてしまったが早まっただろうか。
名を告げられたルフスは嬉しそうにベルナデッタの手を取る。

「ベルナデッタ、君この後の予定は?」
「は?特にないけど……。」
「じゃあ一緒に話をしよう!景色の綺麗な高台があるんだ。座って話をして、ベルナデッタのことを教えてくれないか?」
「は、はあ……?」

目を白黒させ、手を引かれるまま歩を進める。
そこから人間と吸血鬼の、奇妙な関係が始まったのだ。




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ルフスは絵を描くのが好きな人間だった。ただ、とてもそれだけで食べていけるほどの実入りはなく、仕事として教師をしながら時々風景のスケッチをするぐらいのものだった。

「ベルも描いてみる?」
「私が?」
「そう、同じ景色を見ていても、君と俺じゃ写るものが違うからね。きっと楽しいよ。」
「はあ?意味わかんねえ、景色は変わんねえだろ。」
「はは、まあ一度描いてみてくれ。」
「描くぐらいいいけどさ、やったことねえから期待すんなよ。」




「ベル、見てくれ!東の方の国で売られている絵だよ。ウキヨエと言うらしい。」
「ほー。ルフスの描く絵とも、お前の好きな画家の絵とも随分違うな。」
「国が変わると絵も変わるんだ、面白いな。」
「描く奴によって変わるってのはなんとなくわかったよ。」
「分かってくれたか。よし、ベルももっと絵を描いてよ。君はきっと絵の才能がある!」
「そうかあ?」
「そうだよ。少なくとも、俺は君の絵が好きだし、もっと見たいと思っているよ。」




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明るい月光の差し込む部屋。何かに追われるように、焦燥にかられた表情で筆を走らせる。

「できた。なあルフス、お前の好きな私の絵だぞ。今度はお前の見たことない景色だ。」

……もっと見たいって、言ったじゃねえか。」









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まーーーーーた幸せだった頃を思い出して曇る女書いてる