runa
2024-11-03 02:07:52
1114文字
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【ジェーン+リズボン】『終末』

メンタリスト視聴中に、二人は世界の終わりに一緒にいて欲しいと思い、メモしたままお蔵入りしていたもの。概念的な話。

 あと数時間で、どうやら世界は終わるらしい。差し迫った終末にパニックを起こす者もいれば、案外すんなり受け入れる者もいた。パトリック・ジェーンは後者であった。彼は特別何をするわけでもなく、いつも通りオフィスに向かい、お気に入りのカップで紅茶を淹れた。彼は最後の日を一人で過ごつもりでいた。しかし、ジェーンの相棒、リズボンは彼を一人きりにするつもりはなかった。
「他のみんなはどうしてる?」
「リグスビーとヴァンペルトは一緒、チョウは恋人と家にいるわ」
……そっか、最後のときをみんな愛する人と過ごしてるわけだね」
「自然なことだわ」
「リズボン、君は家族のところに行かなくていいの? 本当に弟さんたちのそばにいなくていい?」
「いいのよ、弟たちとはさっきまで一緒だったし」
「ねぇリズボン。信じ難いだろうけど、もう僕たちに残された時間は少ない。だからもう一度聞くよ、本当にこれでいいの?」
 ジェーンはリズボンを問い詰めるように、真剣な眼差しで見つめた。ジェーンは、最後にリズボンが自分の隣にいることを選んでくれたことを嬉しく思ていた。けれども、彼は自分は彼女の優しさを受けるにふさわしい人間だとは思っていなかった。ジェーンはリズボンの幸せを心から願っていたが、彼女の幸せに自分が必要だとは考えていなかった。
「えぇ、いいのよ。弟たちのことなら心配ないわ。もうみんなそれぞれの家庭を持ってるんだし、今くらい私がいなくとも大丈夫よ。だけど貴方には私たち以外誰もいないでしょ?」
「それはそうだけど……
「それに貴方が隣にいれば世界の終わりなんて馬鹿らしくなってくるわ」
「僕といると全てがバカらしくなってくる?」
「そうね、ほんと呆れる。でも、貴方と一緒だと、変にくよくよしなくて済むからいいわ」
「そっか、僕も君がきてくれてよかったよ」
「あら、素直じゃない」
「たまにはね」
 ジェーンはいつもの調子で笑ってから目を伏せて、リズボンの手を取った。
「ねぇ、リズボン。手握ってもいい?」
 ジェーンの指先は冷えていて、声には少し不安が滲んでいるように思われた。
……仕方ないわね。今日だけ特別よ?」
「ありがとう、リズボン、本当にありがとうね」
「いいのよ、気にしないで」
「君は前に僕は地獄行きだって言ってたけど、神様にも抗議してくれる?」
「いやよ、なんであの世でまで貴方の子守りしなくちゃならないのよ」
「あはは、頼むよリズボン。僕たちの仲だろう?」
 
 ジェーンとリズボンは、これから世界が終わるのが嘘かのように、他愛のない会話を続けた。二人は互いの存在を確かめ合うように繋いだ手を離さないように指を絡めた。