みずあめ
2024-11-02 23:29:36
2912文字
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たおちぃ

ハロウィン🎃たおが吸血鬼コスプレしたことにしてます🧛
※ソファーでいちゃいちゃさせるのが好きすぎて二人の部屋にソファーを錬成しています。押し倒していちゃいちゃできるくらいの大きなソファーです。

さっきまで吸血鬼のコスプレをしてた太緒はもうすっかりいつも通りの部屋着に戻って、一日できなかった分のゲームに夢中だった。ゲーム中にちょっかい出すの、あんまりやりたくないんだけど、でも今日はまだ終わってないんだもん。昼間にたっぷりハロウィンは楽しんだけど、付き合ってる恋人同士としてはまだちょっと物足りなくない?
……たーお」
「んー?」
「トリックオアトリート」
「っえ? あ。……、まあいいか。千弥、今なんて」
「トリックオアトリート」
オレの呼びかけのせいで操作をミスった太緒はタイミング悪く敵に撃たれて死んでしまった。表示されたコインティニュー画面に小さくため息を吐き、タイトル画面に戻してコントローラーをテーブルに置く。
太緒がこちらを振り返り、ゲームの結果なんて気にしていないみたいにオレのことをまっすぐ見つめたから、オレはもう一度同じ言葉を声に出して太緒が座るソファーの少しだけ空いている場所へ体を捩じ込んだ。
「なんでちょっと怒ってるんだよ。それ、もうちょっと楽しそうに言うべきじゃないか?」
「怒ってないよ」
「その顔で?」
「あ、今ちぃのことブスって言った?」
「言ってない言ってない。マジで言ってないだろ。怒ってないならなんか拗ねてるか、あとは、……照れ隠し? あぁなるほど。そっちか。んじゃやっぱり可愛い顔だ。あー、今もっと可愛い顔んなった」
「こら! たらしなこと言って誤魔化すな!」
「はいはい。それで、どうした急に」
ぽんぽんと頭を撫でてくれる太緒になんかもうどうでもいいかも、と満足してしまいそうになったけど、ハロウィンだよ! せっかくいちゃいちゃできるチャンスをこのちぃ様が逃すわけにはいかない!
改めて完璧な表情管理で太緒の一番好きな可愛くて甘えん坊なちぃの顔を作り上目遣いで太緒を見つめる。ほんの少し目を見張った太緒に内心笑みを浮かべながらツンと唇を尖らせた。
「トリックオアトリート。お菓子くれなきゃイタズラするぞ」
…………お菓子、昼間めちゃくちゃ食ってただろ」
「昼は昼、夜は夜だよ。太るって言ったら殴るから」
……つっても、みんなに渡して用意してたやつは配り切ったし、もらったやつも千弥が好きそうなやつは残ってないんだよな……
「じゃあ、イタズラだ?」
……まあ、そうなるな。……痛くないやつでお願いします」
にこにこ笑うオレに不安になったのか、太緒はそんなことを言ってから覚悟を決めたように目を瞑った。
わかってないなぁ木ノ内クン。恋人同士のイタズラなんて、ガチのイタズラなわけないじゃん。
オレはソファーの座面に膝をつき、太緒の肩に両手を置いた。ピクッと震えて目を開けようとした太緒に「目つむってて」と声をかける。なーんも分かってない太緒に、ちゃんと分からせてあげないと。
オレは何も言わないまま顔を近づけて太緒の顔をジッと見つめた。ぴくぴく震えるまつ毛と下がった眉毛が可愛い。オレの指導のおかげで化粧水もリップクリームもちゃんと塗ってるから徹夜ばっかりしてても肌はツヤツヤ、唇もなめらか。若さのおかげもあるかな……と羨ましくなりながら頬をさらっと撫でた。
「っ、あ、あの、千弥さん……?」
「うん」
「何してんの……? 目開けていい?」
「だめ。大人しくいい子にしてて」
……あれか、顔に落書きとか」
無言の時間が耐えられなくなったのかペラペラと喋り出した太緒に、するわけないだろと思いながら鼻をつまんでやる。わぷっとおしゃべりをやめた太緒に、オレは不意打ちでキスを仕掛けた。中途半端に開いていた唇のおかげで簡単に舌を侵入させられる。まだ開けていいよって言ってないのに目を開けちゃった太緒が見たことないくらい目をまんまるにしてオレを見つめてた。
太緒が驚いて動けないうちに好き勝手キスをして、大好きな熱い舌がオレの舌に絡んできたところでするっとその舌を振り解いて唇を離す。濡れた唇を舐めて、目をパチパチさせる太緒に笑みを向けた。
「ふふん、イタズラ、楽しかった?」
……、トリックオアトリート」
「え?」
「トリックオアトリート。昼は昼、夜は夜なんだろ?」
「う、ん……。えっと、お菓子ね。オヤツボックスにまだ残って」
「だめ。いま、持ってないよな?」
「っ」
太緒はソファーから下りようとしたオレの足をぐいっと掴んで、いとも簡単にオレをソファーに押し倒した。見上げた顔がちょっと怒ってるみたいに見えて心臓がイヤな感じに締め付けられる。でも、オレの頬に触れた手のひらがいつも通りに温かくて優しくて、オレは無意識のうちにその手に頬を擦り寄らせた。
……お菓子がなかったら、イタズラだよな?」
……いたくないやつね」
「どうかな、ちょっと痛いかも」
……イタズラのリクエストってあり?」
「え。まあ、いいけど……?」
「いいんだ。ふふ、それじゃあ昼間かっこいい吸血鬼サンにお願いできなかったイタズラしてほしいんだけど」
……
「ここ、噛んでほしいな」
ハイネックで隠れた首筋を、服を引っ張って曝け出す。オレは別にMじゃないし痛いことも全然好きじゃないけど、かっこいい吸血鬼のコスプレをしている太緒を見て「噛まれたい……!」って結構本気で思っちゃったから。
瞬きもしないで固まっちゃった太緒は、オレが名前を呼ぶとハッとした後ぶわって顔を赤くして、すっごく照れた顔をしてオレから目を逸らした。
「太緒? どうしたの?」
……や、なんでも、ない」
「いやいや、めちゃくちゃなんでもある顔してるって。ごめん、そんな照れると思わなかった。普通にえっちするんでも全然いいけど」
「あ、う、いや、……引かない?」
……なに? 引くかもしんないけど、いいよ、太緒の考えることって時々全然予想つかないから面白いし」
……首だけじゃなくて、からだ全部、噛みた、くて」
…………いいよ?」
「えっ」
「だって今日のたおたおは吸血鬼だもんね? 人間のちぃは吸血鬼たおたおの生贄なのです。ってことで、はい、全部太緒のだよ」
「え、や、だって、おまえ、……だ、だめじゃないのか……?」
「どうせ寒くなってきたから服は長袖だし、衣装も冬用の露出少なめなやつになるじゃん? だからちょっとくらい痕残っても平気だよ。ていうか、オレも太緒に痕付けて欲しいからイタズラのリクエストしたわけだし」
噛まれて、吸われて、全身を太緒に食べられちゃいたい。自分にこんな感情があるなんて知らなかった。オレは手を伸ばして太緒の頬と後頭部を掴み、引き寄せるのと同時に自分も頭を持ち上げて唇をちゅっと重ねた。触れるだけじゃ物足りなくて太緒の唇を食み、すぐに太緒がオレの唇に齧り付いたから体から力を抜く。犬歯に舌を伸ばすとかぷっと噛まれて痺れるような快感が体を震わせた。
別にMじゃないし痛いことも全然好きじゃない。でも、太緒だったらいいよ。噛まれても吸われても、痛いだけじゃないから。太緒はオレのこと絶対傷つけたりしないって手放しで信じてるの、オレ的には結構、めちゃくちゃ、愛なんだからね。