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三毛田
2024-11-02 20:30:28
4225文字
Public
穹丹
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君のことが一番だ!
1102-04【崩壊シリーズWebオンリー】Beautiful World 3 参加作品
穹→丹
※穹が丹恒の胸を揉んでます
「丹恒は、俺がほかの誰かにこうして後ろから抱き着いたり、手を繋いだり一緒に寝たりすることはどう思う」
「
……
それが、お前のしたいことならば俺があれこれ言う資格はない」
一瞬コンソールをいじっていた手が止まる。本当に一瞬。丹恒のことを見つめていた俺じゃなければ、見逃していた。
「本当に?」
「ああ」
「親友が、変な人間に引っかかっても?」
「相手が犯罪者やそれに準ずるならば、交際なりなんなりを止めさせる可能性はあるが、お前が本当に心からその相手を好きなら俺はそれを止めることは出来ない」
権利もない。ただの、親友だ。
今にも消え入りそうな声で。きっと、本人としては独り言。俺がいることを忘れて、思わず出てしまった。そんな感じ。
丹恒の根底にある、懲罰的な暗い思いはどんなに俺が正の言葉をかけて自己肯定感とかを上げようと努力したとてしも、どうにも出来ない。
長く長く積もりに積もった澱は、簡単には取り除けないのと同じように。
「丹恒」
それでも、少しでも、心の隅にでもいいから俺のことを引っ掛けてくれればいいのにと貪欲に願ってしまう。
親友としてではなく、恋心を捧げている相手として。
「穹、噛むな」
色々な感情で頭の中も心の中もぐちゃぐちゃになって、むしゃくしゃして丹恒のうなじに軽く歯を立てたら怒られた。
噛むなとは言っても、うなじに唇を触れさせるなとは言わない。
今、どんなに好意や愛を伝えたとしても、届かないし響かない。虚しさを感じるとともに、とてつもなく劣悪な環境に置かれていたのだと。
その当時の彼の心を救うすべを、俺は持っていないのだと突きつけられ。
「穹、胸を揉むな」
うなじを噛むことをやめて、肩に顔を埋めながら今度は胸を揉む。揉んでいるとノックが。
「開いている」
「失礼しまーす。丹恒、届いた本をアーカイブに載せ
……
丹恒、穹のそれセクハラだよ。嫌なら抵抗しないと、調子に乗るよ」
紙袋を手にしたなのが、引いた表情で俺を見てきて。見られてるけど、揉むのはやめない。とても触り心地がいい子の胸を、手放すなんてできるわけない。
「放っておけ。好きにさせておかないと、後々俺がひどい目に遭う」
恋人でもなんでもない相手に、そんなことしないよ。多分。
「もう。丹恒ってすぐ穹を甘やかすんだから」
置いていくから、後で返しに来てよ! と紙袋を部屋の入口に置いて去っていく。
「恋愛小説に、漫画。これは少し古いな。三月の趣味じゃなさそうだが、どうなのだろうか」
「まとめ買いしたのかも」
丹恒が移動しようと体を捻ったので、ぱっと離れて。それから、膝をついて紙袋の中身を確認する彼の手元を覗き込む。
「なるほど。ひとまず、漫画と小説に分けて一つずつ中身を検めてからアーカイブに登録しよう」
「全部読むの?」
「最悪、タイトルとあらすじだけでも構わない」
カバーのある本は、裏にあらすじが書いてあることが多い。と言いながら、手早く仕分けていく。
どこかソワソワしているように見えるのは、気の所為じゃないだろう。
「どっちから登録していく?」
「小説からだ。漫画なら読んでいても構わない」
「ありがとう。丹恒、ちゃんと休憩をしながらじゃないと、許さないからな」
「それを決めるのはお前じゃないんだが」
「俺が漫画を一冊読み終えたら、休憩」
「さすがに作業時間が短い。せめて三冊にしろ」
まあ、こうして俺の意見も少しだけ聞いてくれるようになっただけマシだろう。
「はいはい。でも、丹恒って冊子になってる本が好きだよね。何で?」
「羅浮で俺が読んでいた書物は、ほとんどが巻物だったからな。こうして冊子になってると読み応えがある。それに、小説と一括りにしても、ジャンルは千差万別。中でも、ホラー、ミステリー、三月の好む恋愛、冒険、ファンタジーというジャンルは出版数が多いように思える。それだけじゃなく、お前が好む漫画や詩集、日記に伝記、専門書まで多岐にわたる。写真集は、今は滅んでしまった、かつては繁栄していた星の貴重な記録にもなる」
「な、なるほど」
喋っていると熱が入ってきたのか、段々と早口になり。だけど、俺が引いていることに気づくと恥ずかしそうに咳払いして。
「こほん。穹。もしよければ、飲み物をもらってきてくれないか。軽食も」
「ご飯はみんなで食べないと駄目でーす」
「む」
俺が両手でバツ印を作ると、むっと唇を尖らせる。
「アーカイブに登録するために軽く読んで、登録を終えたら徹夜でその本読むつもりだろ」
図星だったようで、視線がそっとそらされ。知識欲を満たすために、寝食を疎かにするタイプだとパムから聞いていたので、やっぱりだと。
「夜も寝ること。依頼は俺となので引き受けるから、お前はアーカイブ登録に集中していい」
「列車の護衛として、流石にそれは」
あ。自覚あったんだ。という言葉は飲み込み、両手で頬を包んで見つめる。
「ひゅう?」
「最近の丹恒は楽しそうだから、緊急時以外は好きにしていいって姫子が言ってた」
本当は伝えないつもりだったけど、この際伝えておいたほうがいい気がして。
まあ、確かに。
俺から見ても、仙舟での一件以降どこか吹っ切れた様子を見せている。
前より笑うようになったし、自分の意見もしっかり告げるようになった。
俺が胸を揉む時だけは、もっと抵抗してほしいけど。
ちょっと抵抗してくれるくらいが、ちょうどいいんだよなあ。
頬をムニムニと揉んでいると、気持ちよさそうに目を細め。
「キスしたい」
そんな表情を見ていたら、自然とそんな言葉が。
「
……
」
「丹恒先生、手首いたい」
「何でだか、理由はわかるか?」
「わかります。わかりますから、放してください!!」
丹恒が俺の手首を掴んでギリギリと絞めてくるもんだから、骨がミシミシと音を立てて。
降参だと叫ぶも、すぐには離してくれない。
「ふっ」
どこか楽しそうに笑ってから、ようやく放してくれて。
「キスの前に、俺に言うことがあるだろう?」
「本当に言っていいの?」
若干しびれてるような気がする手首をさすりつつ、むすっとしながら言うと、どこか期待を込めたような瞳を向けてきて。
「丹恒が好き」
「知っていた」
「ですよね~。胸揉んでいい?」
「俺の胸を揉んで楽しいか?」
「楽しいっていうか、柔らかいから揉んでいたいっていうのが正しいかも」
手を動かすと、大きなため息。
「俺の邪魔をしないなら、好きにしろ」
「わーい! って、丹恒の返事はどうなんだよ」
「答えた方がいいのか」
「答えてくれると、嬉しいなとは思うけど」
「なるほど。嫌悪感は抱いていない」
「そうじゃない。そうじゃない!!」
俺が叫ぶと、きょとんと目を丸くして。
「お前が言いたいことはわかる。が、お前と同じかどうかと問われると、それは答えに窮する」
「同じじゃなくていい。同じじゃなくていいから、その、恋人になって欲しいんです」
ボソボソと告げると、どこか悩むような表情に変わり。
「なるほど」
「丹恒のことだけ考えるし、お前が望むなら何でも叶えたい」
「流石に、それは」
「うん。行き過ぎっていうのはわかってる。でも、それくらい好き。もう、丹恒がいない生活なんて考えられない」
「重い」
「悪かったな」
ちょっとだけ声が低くなった。それと同時に、眉を下げて困ったように俺を見る。
「キスしたいし、胸揉みたいし、もっと言うと、言葉にするのを躊躇うようなことしたい」
「性交ということか」
「丹恒!!」
思わず叫んでしまったが、丹恒は気にしていない様子だ。
「なるほど。そういうことに興味があるお年頃ということか」
「思っていても、口に出さないで!」
火が出るんじゃないかと思うほど、顔が熱い。多分、耳まで真っ赤だろう。
「そうなのか」
「そうなんですよ!」
ああ、もう! と、半ば投げやりになりつつしゃがみ込む。
「穹、耳が真っ赤だ」
耳に触れつ丹恒の指が冷たくて気持ちがいい。
「じゃなくて! あけすけに言わないでよ
……
」
「人は繊細だな」
「丹恒が気にしていなすぎなだけだって」
腕を組んで膝の上に乗せ、軽くしゃがみこんでいる丹恒を見上げる。
「丹恒、好き。キスもエッチなことも、恋人じゃないとできないことも、いっぱいしたい」
指先を掴んで、見上げる。
「今は無理でも、いつかは同じ好きを向けてくれたら嬉しい」
「そうか。努力はしよう」
「うん。してくれたら嬉しい」
「そうか」
悩んでいる。
俺のことで悩んでいる。それが、とてつもなく嬉しくて、もっと悩んで欲しいと邪な感情がムクムクと。
「丹恒」
「
……
数日、時間をくれないか」
「それでいい。でも、〝はい〟以外は受け付けないから」
「ふ。なら、答えは一択じゃないか」
「そうだよ。丹恒が俺に言っていい答えは、一つだけ」
「それなら、たっぷり時間を貰おう」
「なのが持ってきた本のアーカイブ登録が終わるまで」
「思ったより時間がないな
……
」
「それくらいじゃないと、丹恒先延ばしにするだろ」
「
……
」
俺の言葉に、そっと視線を逸らす。当たりじゃん。
「ちゃんと返事をくれないと、キスするから」
「流石にそれは
……
」
「よくないってわかってるけどさ」
「そうか。それなら、いい」
じっと見つめていたら、そっと視線をそらされ。
「丹恒」
名前を呼ぶと、俺の前にしゃがみこむ。
「穹、どうしたらいい?」
「え?」
「お前に名前を呼ばれると、思っていたよりも嬉しいことに気づいたんだ」
丹恒、思ってるより俺が好きじゃん。
「丹恒、それってもう答えは決まってるじゃん」
「でも、先延ばしにさせてくれ」
「いいよ。でも、これくらいは許して」
前髪を上げて、額にキスをする。
おでこも俺よりはるかに体温が低い。唇がひんやりした。
「穹!」
まさかされるとは思っていなかったのか、口をパクパクさせて真っ赤になって。
「可愛い」
思わず呟いたら、尻尾で思い切りビンタされてしまったのだった。
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