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toko-honey
2024-04-10 23:42:25
1384文字
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今日は服を買った
学パロ。SNSで仲良くなるレオタクの小話。フォロワーさんとのお話が楽しかったので書きました。
レオタクはSNS上ではお互いの正体を知りません。
タクミはクローゼットの中を見て眉を寄せた。服はあるのに、着ていく服がない。
机の上のカレンダーを見る。約束の日はもうすぐだ。タクミはSNSで仲良くなった彼と、次の休日に会う約束をしていた。彼と実際に会うのはこれが初めてだ。
クローゼットの中には近所のコンビニに行くような服しかない。約束した行き先は映画館なのだ。好きな小説が映画化されるから楽しみだとSNSでつぶやいたら、彼から返信があって、一緒に観に行くことになった。
まるで双子のように気が合って、タクミと仲良くしてくれる大事な相手だ。会って幻滅されるようなみっともない格好だけはしたくない。今までファッションに興味を持たなかったことを少しだけ後悔した。
タクミはモバイル端末を手にベッドに寝転がった。男子学生のファッションについて検索する。ずらっと出てきた画像を片っ端からながめ、ああでもないこうでもないと頭を悩ませた。
学校帰りにファストファッションの店に寄る。
「あっ」
「えっ」
意外な人物を見かけて思わず声が出た。同じクラスのレオンだ。思いがけない出会いに思いがけず大きな声が出てしまって、向こうに気づかれる。
「へえ、奇遇だね」
「あんたもこんなところに来るんだな」
「まあね」
会話はそれ以上膨らまない。居心地の悪さを感じてタクミはレオンから離れた。彼とは根本的に馬が合わないので学校でもほとんど話をしたことはない。
パーカーを選ぶ振りをして、少し離れたところにいるレオンの様子を観察した。彼はTシャツを選んでいるようだ。
制服姿のタクミと違ってレオンは私服姿だった。すらっとしたスタイルの良い長身には臙脂色のカーディガンと黒のパンツがよく似合っている。首には細い鎖のネックレスを着けていて、足にはハイカットのブーツを履いていた。認めるのはくやしいが、おしゃれだった。
タクミは棚の陰に隠れた。レオンはTシャツを一枚手に取ると、パンツの並んでいる方へと歩いて行く。タクミは気づかれないようその後をついて行った。パンツの次はカラーシャツだ。レオンが選んだものを記憶する。
彼が試着室に入っていくのを見送って、タクミはレオンの選んだ服の棚を順に見て回った。Tシャツとパンツとカラーシャツを一枚ずつピックアップしていく。真似ではない。ファッションの参考にするだけだ。
さすがにまるきり同じというのは気が引けて、違う色のものを選んだ。レオンと色違いのおそろいになってしまうけれど、彼と出かける訳ではないので問題ない。
試着室で着替えて鏡を見る。色合いがちぐはぐだったのでもう一度選び直し、紺色のパンツに白いTシャツ、それに水色のストライプ柄のシャツを羽織るスタイルでどうにか落ち着いた。会計に向かう直前、レオンがネックレスをしていたのをふと思い出す。タクミはアクセサリーの棚に寄ってみた。鎖のタイプは気恥ずかしく思えて、革製のものを一つ選んだ。
家に帰ってから買ったものをもう一度身に着けてみた。鏡の前で自分をながめ、悪くないなと満足する。急に思い立って買った革紐のネックレスも悪くなかった。
タクミはモバイル端末を取り出した。SNSに「今日は出かける服を買った」と投稿する。十数分後に彼から返信といいねがあった。「僕もだよ。気が合うね」との文字にタクミの心が躍った。
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